2023年03月08日 更新 (2022年01月05日 公開)
博士(獣医学)。専門は獣医動物行動学。evergreen pet clinic ebisu行動診療科担当。日本獣医行動研究会研修医。藤田医科大学客員講師。
外ではコンクリートブロック、岩、段差、中ではソファやベッドなど、わざわざ高いところに行きたがるあの犬を『ノボリタイーヌ』と命名。コレクションに加えました。
さらにその気になる生態や登る謎の理由について、獣医師の茂木千恵先生に真面目に解説してもらいました!
目次
- ノボリタイーヌの生態《変な犬図鑑013》
- ノボリタイーヌについて獣医師の先生に直撃してみた!
ノボリタイーヌの生態《変な犬図鑑013》
犬は高いところが苦手と聞くが、
このイーヌ、怖くないんだろうか。
コンクリートブロックや岩、段差を
見つけるとついつい登ってしまう。
なぜそんなにも登りたいの?
ノボリタイーヌは答えたらしい。
「そこに登るところがあるから」と。
ノボリタイーヌについて獣医師の先生に直撃してみた!
本当のところ、犬は高いところが苦手なのでしょうか?それとも意外と得意?
苦手です。高いところは怖いからです。
自分で飛び乗ったり降りたりすることができない高さのところに乗せられると不快に感じます。はるか昔から、犬の先祖は地面に穴を掘ったところや岩の下など低いところで休んでいたため、今でも高い場所に慣れていないのです。
では、なぜ登りたがるのでしょうか?
周囲を見渡して警戒したり対象を見つけたりできるからです。
高いところは、より詳しく嗅いだり見たりと情報取集ができることでしょう。周囲を確認したいという心理が働いた時に、少し高いところに登ります。
一方、屋内では快適なところで休みたくて登ることがあると考えられます。ソファの上などは、暖かくて柔らかい場所を好む犬のニーズを満たしてくれているからです。わざわざ『登る』というより、居心地の良い場所がたまたま“高いところ”だったといえます。
高いところが特に好きな犬種はいますか?
高く飛ぶことが得意な体格の犬種は、高いところに登ることも好きになります。
犬がジャンプして届く高さは一般的に、犬の身長の約1〜3倍です。全ての犬がジャンプに優れているわけではないですが、特定の犬種は簡単に1.8mくらいの高さに達することができます。
例えば、ボーダーコリー、シェットランドシープドッグ、パピヨン、グレイハウンドなど
反対に実際に飛び降りた時に、身体が痛くなったり不快になったという経験があると、登らなくなります。足が短い体格や体が小さい犬は、高くジャンプすると怪我のリスクも高いので、あまり“高いところ”を好まないことが多いと思います。
例えば、ダックスフントは背骨に痛みを抱えることが多い犬種です。高いところから飛び降りると背骨に深刻な損傷を与える可能性があります。ソファや人間のベッドなど、高い障害物から飛び降りたり、登らせたりしないように気をつけてあげましょう。
犬に高いところで、うんちやおしっこしようとする習性はありますか?
ありますね。高いところでうんちやおしっこをすることで、自分の存在をアピールしているのです。
排泄は自分の匂いをその場所に置いておくことができる、まるで「名刺」のようなものです。そのため野生の動物たちは、自分の縄張りの境界の目印として排泄をする習性があります。自分以外の動物に気づいてもらいやすいように目に付きやすいところへ排泄する習性が残っていると考えられます。