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博士(獣医学)。専門は獣医動物行動学。evergreen pet clinic ebisu行動診療科担当。日本獣医行動研究会研修医。藤田医科大学客員講師。
実は飼い主に甘えたなのに、なかなか表情に表れないあの犬。口角が下がっていて、なんだか不機嫌そうに見えるので『フテブテシーヌ』と命名。コレクションに加えました。
そのユニークな生態の謎や表情の意味、気持ちの読み取り方について、獣医師の茂木千恵先生に真面目に解説してもらいました!
目次
- フテブテシーヌの生態《変な犬図鑑011》
- フテブテシーヌについて獣医師の先生に直撃してみた!
フテブテシーヌの生態《変な犬図鑑011》
フテブテシーヌは中々笑わない。
おなかがすいた?怒っているの?
いつもなんだかふてぶてしい。
「オレがお前と遊んでやるよ。」
と、言ってるかのようなオレ様顔。
心の中ではしっぽをブンブン。この
ギャップが飼い主にはたまらない。
フテブテシーヌについて獣医師の先生に直撃してみた!
『フテブテシーヌ』はどういう時に現れるのでしょうか?
犬と飼い主や、親交のある犬同士の友好的な挨拶のときによく見られるものです。相手の注目を引こうとする行動の一種といえます。
“笑顔”に見える表情は、リラックスと喜びを意味します。飼い主さんに向けた期待が報われそうだと感じている時やポジティブな気持ちの時に表れるものです。
一方この“フテブテシー”表情は、積極的な服従を意味します。飼い主さんが自分の期待に応じてくれるかどうか分からないときの表情です。この表情とともに、犬の尻尾が大きく円を描いて揺れることもあります。
“フテブテシー”表情の時はどんな感情?
実は、飼い主さんにお伺いを立てているのです。
「飼い主さん、、良かったらこちらを見てください。良かったら遊んでください。私はいつでもあなたが見てくれることが好きなんです」という控えめな愛情表現です。
『フテブテシーヌ』のように、表情や感情が表れにくい犬種はありますか?
顔が小さい犬ほど、表現力が劣って見えてしまいます。
中・大型犬よりも小型犬、小型犬よりも超小型犬は表情筋が少ないため、表現力が劣って見えてしまいます。犬種によっても確認しにくい場合はあります。
顔周りに被毛が多い犬種(トイプードル、ミニチュアシュナウザー)、目が隠れている犬種(オールドイングリッシュシープドッグ)などは、表情の微妙な変化に気が付きにくいかもしれません。
さらに、犬に向かっても朗らかな雰囲気で笑顔を向ける飼い主さんの犬の方が、笑顔になりやすい傾向にあります。飼い主の表情を模倣するからです。
『フテブテシーヌ』の感情を読み取るコツはありますか?
・近づいてきている
・目線を送ってきている
・尾が揺れている
・鼻にしわが寄っていない
という点が表情を読み取るポイントとなるでしょう。
とくに犬が自主的に飼い主さんとの距離を詰めてきている時は飼い主さんになにか伝えたい表現です。愛情だけではなく、要求の場合もあります。全身のボディーランゲージを見回して気持ちを推測してあげましょう。
愛犬の感情がうまく読み取れない時は、どうしてあげたらいいのでしょうか。
愛犬の気持ちが分からなくて戸惑っても、険しい顔は厳禁です!
犬の気持ちが分からない時「分からないな、、、」と困惑の態度を出すより、「いい子だね」と率先して朗らかになってみましょう。犬も心が穏やかになりますよ。