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家のソファでゆっくりしている時、愛犬がくっついて来たり膝の上に乗って来たりすることはありませんか? 実は、こういったしぐさには愛犬のある気持ちが隠されているんです。今回は、獣医師の堂山有里先生に教えていただいた、犬が飼い主にくっついてくる理由や、犬が好きな人に見せるサインなどを紹介します。
目次
- 犬が飼い主にくっついてくる理由は好意を表すためのサイン!
- 犬が好意を伝えるしぐさと飼い主の正しい応え方は?
- 犬が飼い主から離れない理由とは?
- 犬に不安を感じさせないよう飼い主がとるべき行動は?
- 犬の愛情表現やくっつくことについての注意点
犬が飼い主にくっついてくる理由は好意を表すためのサイン!
犬は社会性の高い動物です。そのため、人と触れ合ったり目を合わせたりすることで人とコミュニケーションをとろうとします。犬がくっつくのは、大好きな飼い主とコミュニケーションをとりたいと考えた時や飼い主に甘えて安心したい時だと考えられます。
犬が好意を伝えるしぐさと飼い主の正しい応え方は?
犬が好意を伝えるしぐさはいろいろあります。どんなしぐさをした時に、どんな気持ちでいるか、また飼い主はどうやって応えればいいのかなどをご紹介します。
飼い主の側に来てくっついてくる
飼い主のそばに来てくっついてくるのは、大好きな人のそばにいることで安心しリラックスする事ができるからです。犬がそばにくっついて来たら目と目を合わせ優しく「いい子だね」などと声をかけ、なでてあげて犬の気持ちに応えましょう。
飼い主の膝の上に乗る
飼い主の膝の上に乗ってくる場合は、「座っている飼い主のより近くに行きたい」「より親密にくっつきたい」「何か不安があり飼い主の膝の上にいる事で安心できる」といった気持ちでいると考えられます。甘えて乗って来ているのなら、十分甘えさせてあげましょう。ある程度安心できたら自分から降りていきます。何か用事があり立ち上がらないといけない場合は「またあとでね」などと声をかけ、そっと膝から下ろしましょう。
視線が合うと見つめ返してくる
目があうと見つめ返してくる場合には、人の意図を理解しようとしている、信頼しているというサインです。犬は人の目を見て表情を読み取ることができるので、犬が目を見てきたら穏やかに見つめ返してあげるといいですね。犬と目と目を合わせ上手にコミュニケーショが取れる人は「オキシトシン」という幸せホルモンが分泌されて、犬との間に絆が形成されやすい事も分かっています。
飼い主にくっついて寝る
飼い主のそばにいると安心できてぐっすり眠れるという犬は飼い主にくっついて寝ます。ソファで飼い主がくつろいでいる間、そばに寄り添って眠るような場合は寝かせておいてかまいません。
ただし、夜眠る時はそれぞれのベッドで休む方がよい場合があります。全てのケースに当てはまる話ではありませんが、眠る時までずっと一緒にいると、飼い主から片時も離れることができないようになり、分離不安症を発症する場合もあるからです。どうしてもそばにいないと眠らない場合は、寝室は一緒にしても、ベッドは分けて寝るようにすると良いでしょう。
なでると表情がゆるむ
なでると表情がゆるむのは、「なでられて気持ちがいい」「嬉しい」「リラックスできる」というサインです。犬をなでる場合には、頭の上の方から手を下ろすと怖がることがあるので、犬の目線より下からそっと手を差し出し優しくなでてあげてください。一般的になでられて気持ちがいい場所は、耳の付け根や眉間、首筋などです。
抱っこをおねだりする
犬は不安があったり、甘えたりしたい時に抱っこをおねだりすることがあります。抱っこしてあげられる状況であればしてあげましょう。せがまれたらどんな時でも抱っこするのではなく、抱っこできない状況であれば「あとでね」などと声をかけ我慢させてください。
足元で伏せをする
足元で伏せをしている時は、飼い主のそばでいつでもすぐ一緒に動けるように準備している状態です。足元で静かに伏せているのならば「いい子だね」などと言葉をかけて落ち着いていることを褒めてあげましょう。
飼い主の匂いを嗅いでくる
犬の嗅覚は非常に鋭く、匂いを嗅ぐだけで何時間も前に飼い主が触れたものの情報を読み取る事ができると言われています。そのため、犬が匂いを嗅いでいる理由は、犬が飼い主と離れている間に飼い主に何があったのか知りたくて探っているのです。犬が納得するように十分に匂いを嗅がせてあげるとよいでしょう。
飼い主に前足やあごをのせてくる
犬が飼い主の身体に前足やあごをのせてくるのは、「甘えている」「かまってほしい」「注目してほしい」「お腹が空いた」などの要求があるからです。ある程度甘えて満足して離れて行くようなら甘えさせて大丈夫です。何か要求がある場合は、応えられるものなら応えてあげましょう。
犬が飼い主から離れない理由とは?
飼い主との間にしっかりとした信頼関係が築かれており、暮らしている環境に満足している犬は、ある程度甘えることはあっても片時もそばから離れないということはあまりありません。犬には犬のペースがあり、常に飼い主と同じ行動をとることは犬にとっても自分らしさを失う行動といえます。そのため、犬がくっついて離れない場合は、何か不安に思う事がないか、身体の不調がないか、犬のストレスとなっていることがないかを考えてみましょう。
飼い主から離れると吠え続けたり破壊行動が見られたりするようであれば、「分離不安」というメンタルの問題があるかもしれません。その場合は獣医師やトレーナーなど犬の行動の専門家に相談されるとよいでしょう。
犬に不安を感じさせないよう飼い主がとるべき行動は?
飼い主と一緒にいなくても犬が不安を感じないようにするトレーニングもあります。
ハウストレーニング
ハウスの合図で決められた場所(クレートやゲージ)に自分から入りそこで落ち着いていられるようにすること。犬は本来囲まれた狭い場所にいることを好みます。そのためハウスに慣れるとハウスにいる間ストレスを感じることなく過ごす事ができ、夜寝る場所としても使えます。
マットトレーニング
マットの上におすわりや伏せをして落ち着いていられるようにするトレーニング。落ち着く場所を与えてあげることで、そこにいる間ゆったりと過ごすことができます。
犬の愛情表現やくっつくことについての注意点
犬は人との間に親密な絆を作り特別な愛情を注いでくれるとても特別な存在ですね。そんな愛犬と一緒にいてくっついていることは、人にとっても幸せを感じる行為です。ですが、犬が四六時中くっついていたいと要求しても、人はそれに応えることはできません。
飼い主はダメなことはダメ、無理なことは無理と言う一貫性のある対応を心がけましょう。飼い主との間にしっかりした信頼関係があり、食事や安心して眠れる場所があって、身体や心の健康が守られていれば、犬は安定したメンタルを持ち自立した生活を送ることができます。犬は普段から飼い主の表情やしぐさをじっと観察しているものです。
※記事内に掲載されている写真と本文は関係ありません。
第2稿:2021年5月21日更新
初稿:2020年2月28日公開