【勘違い】防虫剤を正しく使っている人は4人に1人だけ。ムシューダ担当が教える間違いの原因とは?
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マルチタスクが進む現代。多くの女性は忙しさに悩んでいる。
たとえば、夕飯を作りながら子どもの世話をして、翌日の仕事の準備をしながらフェイスパックをして、束の間の余暇の時間にもテレビを観ながらネイルケアをする……。
それは限られた一部の例ではない。子育て、DINKs、単身、いずれの属性においても、ひとつのコトにゆっくり時間をかけられないのが現状だ。
そうした現代社会の課題に目を向けて開発されたのが『ビオレone』である。
ビオレoneは、2018年の発売以来ヒットを続ける「メンズビオレONE」と同じオールインワン洗浄剤だ。商品名に「メンズ」のフレーズがないことから分かるように、ビオレoneはジェンダーフリー。ターゲットに性差はない。
1本で完結できる手軽さから、男性向けイメージの強いオールインワン洗浄料。花王はなぜ女性も使えるオールインワン洗浄料を開発したのか。そして、なぜマルチタスクで忙しい女性の光明と成るのか?
メンズビオレのブランドマネジャーを務め、『ビオレone』の開発にも携わった、花王株式会社の手塚敦子さんに、商品開発の背景から商品特性やブランドコンセプトなど詳しく聞いた。
ビオレoneの開発背景の前に、まずはメンズビオレONEが誕生した経緯に触れておきたい。
メンズビオレONEのそもそものターゲットは、若年男性。勉強に部活動に忙しく、バスタイムはとにかく時短に済ませたいという層に向け、開発された。それがファミリーからシニアまで、幅広い層にヒットした。
「当初の狙いであった時短だけでなく、ジムやサウナに持ち込むにも1本で済む、複数の洗浄料を置いていたバスルームが一気にすっきりした、という声もいただいています」
想定外の評価が得られた中で、手塚さんが驚いたのは女性用を求める意見の多さだった。
スキンケアやヘアケアのみならず、メンズメイクも一般化しつつある昨今。それでも「肌や髪のケアに気を使うのは女性」といったイメージは根強く、ゆえにシャンプーにも洗顔料にもボディーウォッシュにも、それぞれにこだわりを持った女性が多い印象がある。
しかし、「髪も顔も体も1本で洗いたい」という女性の声が花王に寄せられていた。
そうした消費者の声には、向き合わないわけにはいかない。なぜなら、花王のモットーは「生活者起点のものづくり」。寄せられた声を起点にマーケティング調査に乗り出したところ、ここでもまた、驚きの数字が浮かび上がった。
「髪・顔・体を1本で洗える洗浄料を使ってみたいかどうか、女性、男性のそれぞれを対象に調査を行いました。その結果、使いたいと答えた方の割合は女性37%、男性34%でした」
男性よりも女性のほうが、使いたいと答えた割合が多かったのだ。
この数字を受け、さらなるマーケティング調査を実施。すでにメンズビオレONEを愛用していた女性を対象に調査したところ、その属性は子育て、DINKs、単身の割合が、きれいに1:1:1。そして、すべての属性に共通していたのがマルチタスクだった。
若年男性をターゲットに生まれた全身洗浄料が図らずも浮き彫りにした、現代女性の忙しさ。髪・顔・体が1本で洗えたなら、確かに時間を節約できる。
しかし、2018年にメンズビオレONEが発売されるまで、そうした商品はありそうでなかった。その理由は、開発に難しい技術を要するからだ。
「髪の毛はきしみなく洗い上げる必要がある一方、体にはすっきりした洗浄感が求められます。このふたつは相反する要素で共存はとても難しいんです」
髪をきしみなく洗い上げようとすれば、体の洗い上がりにぬめりを感じ、反対に体をすっきり洗い上げようとすれば、髪の毛がきしんでしまう……。
この矛盾を解いたのは、ほかでもない花王の技術力だった。
シャンプーも洗顔料もボディーウォッシュもそれぞれに開発部署が異なり、これを一体化した商品を発売したなら、互いの売上を食い合うことも予想される。技術面でも事業戦略としても、髪・顔・体を1本で洗うことのできる洗浄料の開発は、型破りの挑戦となった。
花王の型破りな挑戦が正しかったことは、メンズビオレONEのヒットが実証している。そして、忙しい毎日を送る現代女性の声を受け、新たに生まれたビオレoneは男性のみならず、女性にも寄り添う。
メンズビオレONEの処方を踏襲することはせず、一から新たに開発を進め、ビオレoneは髪にも肌にもより優しい。
具体的には、きちんと洗浄しながらも体のぬるつきを防ぐため、ノンシリコンが処方されている。なおかつ、髪にハリコシを与えるアミノ酸も配合されている。
「アミノ酸を配合した洗浄料は泡立ちにくさがデメリットですが、開発チームの尽力により、しっかりと泡立ちます」