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獣医師資格取得後、小動物臨床経験6年。主に犬猫の臨床に携わる。現在は子育てをしながら、愛猫と暮らしている。
「胆嚢粘液嚢腫(たんのうねんえきのうしゅ)」は、飼い主さんが気づきにくい犬の病気のひとつといわれていますが、なぜなのでしょうか? 今回は、そんな胆嚢粘液嚢腫の症状や治療法、早期発見のコツなどについて解説します。
目次
- 犬の胆嚢粘液嚢腫ってどんな病気?症状は?
- 犬の胆嚢粘液嚢腫に気づけないのはなぜ?
- 犬の胆嚢粘液嚢腫を早期発見する方法とは?
- 犬の胆嚢粘液嚢腫の治療法とは?
犬の胆嚢粘液嚢腫ってどんな病気?症状は?
胆嚢とは、肝臓に隣接し、肝臓でつくられた胆汁をためておく場所。その内部にある胆汁がベトベトした泥状の胆泥になり、胆嚢内部の壁に張りついてしまい胆嚢に胆汁がためておけなくなったり、胆汁が排出できずに胆嚢が炎症を起こしてしまったりする病気が、胆嚢粘液嚢腫です。
初期段階ではほとんど症状は出ませんが、悪化すると発熱や嘔吐、食欲不振といった症状が見られます。また、さらに悪化すると、歯茎や白目が黄色くなる黄疸の症状が見られるようになり、胆嚢粘液嚢腫の多くはこの段階で診断されます。
犬の胆嚢粘液嚢腫に気づけないのはなぜ?
先ほどもお話ししたとおり、初期だと症状が出にくいことが、飼い主さんがこの病気に気づきにくくなってしまう大きな理由のひとつです。また、血液検査では確定診断が難しく、胆嚢粘液嚢腫と診断するためにはエコー検査が必要になるため、一般的な健康診断では発見されにくいのでしょう。
実際、ほかの病気の診断のためにエコー検査を受けて、たまたまこの病気が見つかったというケースも少なくありません。
犬の胆嚢粘液嚢腫を早期発見する方法とは?
胆嚢粘液嚢腫を早期発見するためには、定期的にエコー検査を受けて、胆嚢の状態をチェックすることが大切です。
とくに、ミニチュア・シュナウザーやビーグル、シェットランド・シープドッグ、ポメラニアンなどの犬種は、胆嚢粘液嚢腫にかかりやすいといわれているので、積極的に検査を受けることをおすすめします。
また、高脂血症(こうしけつしょう)を指摘されている犬もこの病気になりやすいといわれているので、定期的に胆嚢をチェックしてもらいましょう。
犬の胆嚢粘液嚢腫の治療法とは?
胆嚢粘液嚢腫は、何かのついでにたまたま発見されたような場合は食事や投薬で管理し、経過観察していきます。ただし、胆嚢の管に胆泥がつまっていたり、胆嚢が体内で破裂していたりするなど、病状が悪い場合は、胆嚢そのものの摘出手術が必要となる場合も。
治療方法などについては、獣医師とよく相談するようにしましょう。
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