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獣医師資格取得後、小動物臨床経験6年。主に犬猫の臨床に携わる。現在は子育てをしながら、愛猫と暮らしている。
近年、犬の寿命が延びていることで、「悪性腫瘍」の発症率も高くなっています。悪性腫瘍は、発見が遅れると命にかかわる危険な病気です。犬の悪性腫瘍の症状、原因やかかりやすい犬、治療方法、予防・早期発見のポイントを知っておきましょう。
目次
- 犬の悪性腫瘍の症状とは
- 悪性腫瘍の原因は?かかりやすい犬は?
- 犬の悪性腫瘍を治療するには
- 犬の悪性腫瘍を予防・早期発見するには
犬の悪性腫瘍の症状とは
犬の悪性腫瘍も人と同じように多種多様で、皮膚から内臓、血液まで体中の至るところに発症する病気です。例として、高齢の犬によく見られる、乳腺癌・悪性リンパ種などがあげられます。
受診に至る症状は、やせてくる、口や耳の中にできものがある、体の表面にしこりができるなどですが、悪性腫瘍は初期には痛みがなく見つかりにくいことが多いです。
発見されたときにはすでに症状が進行していて、治療が難しくなっているケースもよく見られます。
悪性腫瘍の原因は?かかりやすい犬は?
悪性腫瘍は、犬種を問わず6才ぐらいから発症リスクが高まり、9~10才前後でかかる犬が増えてきます。
原因はさまざまで、遺伝や環境、ホルモンなどの影響があげられます。ホルモンの影響により発生率が左右される代表的な腫瘍は、メスの「乳腺癌」。不妊手術をしていない、高齢のメスの発症率が高いといわれている病気です。
犬の悪性腫瘍を治療するには
悪性腫瘍の治療法には、手術、抗がん剤などの化学療法、放射線療法、免疫療法などがあり、腫瘍の種類やできた場所、悪性度、進行具合などを考慮しながら、最善の治療方法を選ぶ必要があります。
場合によっては、悪性腫瘍を直接治療する術がなく、対症療法によって少しでも犬の状態を改善させるのみとなることも。
愛犬の状態に応じて獣医師から治療法を提示されるので、飼い主さんの希望を十分に伝えながら、よく相談して治療法を決定することが大切です。
犬の悪性腫瘍を予防・早期発見するには
ホルモンが影響する腫瘍に関しては、不妊手術を行うことで発症率を下げることができます。しかし、そのような一部の腫瘍を除き、悪性腫瘍の明確な予防方法はありません。初期に適切な治療を行うことでその後の生存率が高くなるため、早期発見が重要な鍵となります。
そのためにも、体の表面のしこりやリンパ節の腫れなどを見逃さないよう、ふだんから愛犬の体をよく観察しておきましょう。また、健康診断で腫瘍が発見されることも多いので、定期的に健診を受けることをおすすめします。
初稿:2020年2月28日公開
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