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大事な家族の一員として、愛犬と共に暮らし、共にお出かけし、共に生きていく、そんなオーナーさんにとってこのワンクォールが大切な存在になれれば幸いです。
サマードッグをご存知ですか?実は『エスパー魔美』という作品に出てきます。
『エスパー魔美』は雑誌「マンガくん」で1977年から連載がスタートした藤子・F・不二雄作品。ごく普通の中学生・佐倉魔美が、自分の中に眠る超能力に気づき、ごく普通の中学生である自分と、人助けするエスパーとしての自分という、二重生活の中で奔走していくストーリーです。
漫画が最終回を迎えた後にも、テレビアニメ化や、実写ドラマ化もされました。漫画やアニメを見ていた世代には、懐かしい!という方もいらっしゃるのではないでしょうか?
目次
- 『エスパー魔美』に描かれたサマードッグって?
- 捨てられていく犬『サマードッグ』は実在したの?
- コロナ渦の今、増える『飼育放棄』の現実
『エスパー魔美』に描かれたサマードッグって?
『エスパー魔美』の中で描かれた「サマードッグ」とは、別荘地などでひと夏だけ飼われ、飼い主が東京に戻る際に捨てられて、その後に野犬化してしまった犬のことです。
作品では、野犬化した犬たちが家畜を襲うほど凶暴化しています。そんな中、主人公の佐倉魔美が、訪れた別荘地でサマードッグによる事件に遭遇します。この別荘地のサマードッグ達はついに人間をも襲うほど凶暴になっていたのです。
一方、伸一という少年がいます。彼の家族は一昨年に別荘で、チビという犬を飼っていたのですが、チビを残して東京へ帰ってしまいました。伸一は2年ぶりにやってきた別荘地でチビを探していました。
魔美達がサマードッグの事を話しているのを聞いた伸一は、その群れの中にチビがいるのではないかと思い、探すために山の奥へ入っていきます。危険を感じた魔美が、伸一を連れ戻すために山へと向かうですが・・・。
捨てられていく犬『サマードッグ』は実在したの?
夏の間に別荘地で飼われたいた犬が、夏の終わりとともにその地に放置され、野犬化してしまった”サマードッグ”。このテーマで作品が描かれた背景には、当時の社会問題として存在していたことが推察されます。
実際、軽井沢などの有名な別荘地では、秋を迎えるたび、飼い主を失った迷い犬が目立っていたそうです。別荘族が”ひと夏の犬”を捨てて帰っているということが、地元では良く囁かれていたといいます。
現在でも、別荘所有者や町民らが発足させたNPO法人が中心となり、講演会などでを通じて啓発活動を続けています。
コロナ渦の今、増える『飼育放棄』の現実
コロナ禍で自宅にいる時間が多くなり、癒やしを求めて犬や猫などのペットを飼う人が増えています。その結果、”プチペットブーム”のような状況が起こっています。
社団法人ペットフード協会の『全国犬猫飼育実態調査』によると、2020年に新しく飼われた犬の数(1年以内の新規飼育者の飼育頭数)は46.2万頭でした。2019年が40.4万頭だったのにくらべると、5.8万頭増加しています。
主な飼育理由には、生活に癒し・安らぎが欲しかったというものがあり、コロナ禍での巣篭もりのなか、日々の生活の中に犬という存在を通じた癒しや、安らぎを求める人の姿が浮かびます。
一方で、飼ってはみたものの世話が大変などの理由で"放棄"されるペットの数も急増しています。『こんなに吠えるとは思わなかった』『こんなに躾が大変だとは思わなかった』といった理由、いざ飼ったらマンションに注意された、家族にアレルギーが出てしまったということを理由に手放す人がいます。
自己都合で犬を使い捨てのように扱うのは、エスパー魔美に描かれた別荘族と重なります。プチペットブームが終わる頃、放棄された”コロナドッグ”のような存在が増えないことを祈るばかりです。夏の終わり、改めてエスパー魔美のサマードッグに教えられているように感じます。