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東大農学部獣医学専修卒後、ウガンダ国立遺伝資源研究所でのリサーチフェローや動物病院での臨床業務に従事。2020年に保護犬たちを新しい形でサポートする事業を開始。
黒い被毛とキツネのような愛らしい顔が特徴のスキッパーキですが、スキッパーキを初めて飼う場合に気になるのが、どんな性格をしていて飼いやすいかどうかではないでしょうか。そこで今回は、獣医師の寺田かなえ先生に教えていただいた、スキッパーキの性格や特徴、かかりやすい病気やしつけのポイントなどについて解説していきます。
目次
- スキッパーキの歴史やルーツ、英語名は?
- スキッパーキのオスとメスの体高や体重は?
- スキッパーキの平均寿命は?
- スキッパーキの毛色や種類、被毛、外貌の特徴は?
- スキッパーキはどんな性格、習性?
- スキッパーキを迎える際にかかる費用は?
- スキッパーキのしつけと社会化トレーニングのポイント
- スキッパーキに必要な運動量や散歩の目安、おすすめの遊びは?
- スキッパーキを飼うのに向いている人は?
- スキッパーキがかかりやすい病気と予防法は?
- スキッパーキの日常のお手入れ
- スキッパーキとの生活で注意すべきことは?
スキッパーキの歴史やルーツ、英語名は?
犬種名 |
スキッパーキ |
英語名 |
Schipperke |
原産国 |
ベルギー |
分類 |
小型犬 |
グループ |
1G:牧羊犬・牧畜犬 |
スキッパーキ【英語:Schipperke】は、ベルギーが原産の小型犬です。
ジャパンケネルクラブの犬種分類では、家畜の群れを誘導・保護する「1G:牧羊犬・牧畜犬」に属します。
“スキッパーキ”とは「小さな羊飼い」という意味で、起源は17世紀、祖先はフランドル地方のルーベルナールと呼ばれた小型の牧羊犬種だといわれています。
1885年にベルギー王室のマリー・アンリエット王妃がスキッパーキを愛育したことで有名になり、1887年にはイギリスやアメリカにも紹介され広く知られるようになりました。
スキッパーキのオスとメスの体高や体重は?
体高:オスは約30cm、メスは約30cm
体重:オスは5~8kg、メスは5~8kg
スキッパーキは小型犬に分類され、牧羊犬らしくスマートで筋肉が発達した力強い体つきをしています。
スキッパーキの平均寿命は?
スキッパーキの平均寿命に関するデータはありませんが、『アニコム家庭どうぶつ白書2021』によると、小型犬の平均寿命は14.4歳となっています。
犬を迎える際は、最期の時までしっかり世話ができるかを考えておきましょう。
犬をみとる頃に自分は大体何歳になるか、犬の介護ができるか、自分の生活環境や経済状況などもあわせて考えなければなりません。
犬を迎えようと考えているシニアの方は保護犬などで成犬を迎えるケースも検討するほか、万が一自分が世話できなくなった場合を想定しておくことも重要です。犬の世話を頼めそうな人にあらかじめ相談して承諾を得てから迎えたり、老犬ホームといった預かり先を決めたりして急な環境の変化に備えておきましょう。
スキッパーキの毛色や種類、被毛、外貌の特徴は?
コートは短く密生するアンダーコートとやや粗いトップコートのダブルコートです。
ジャパンケネルクラブの犬種標準では、スキッパーキの毛色はブラックとされていますが、アンダーコートは完全なブラックではなく、ダーク・グレイも許容されます。クリームやフォーンの個体もあり、血統証明書は発行されますが、繁殖には注意が必要とされています。
首回りにはケープ状の長い毛が生え、直立した小さい耳と、卵型の濃いブラウンの瞳、鼻は黒くキツネのような愛くるしい顔が特徴です。
生まれつき尾がない場合もありますが、尾がある場合は完全に断尾して臀部を丸くするのが主流でした。しかし近年では動物愛護の観点から尾を残すようになってきています。
スキッパーキはどんな性格、習性?
スキッパーキは、好奇心旺盛で明るい性格だといわれています。子どもと仲良くする犬としても知られています。
頭が良く、独立心が強く、いたずら好きな一面から、「小さな黒いキツネ」「小さな黒い悪魔」と呼ばれることもあります。
非常に用心深い性質もあり、見知らぬ人を警戒するため優れた番犬になります。
スキッパーキを迎える際にかかる費用は?
スキッパーキを飼い始めるとき、飼い続ける際にかかる費用について説明します。
タイミング | 内訳 | 費用の目安 |
迎えるとき | ペットショップ、ブリーダー | 約40~50万円 |
飼い始めるとき | 畜犬登録料 | 約3,000円 |
生活用品(クレートやケージなど) | 約5~7万円 | |
1年に1回かかる費用 | 狂犬病予防接種費 | 約3,500円 |
混合ワクチン接種費 | 約5,000〜10,000円 | |
毎月かかる費用 | 消耗品(フードやおやつなど) | 約5,000〜10,000円 |
飼い始める際にかかる費用
スキッパーキをペットショップから迎える際の価格の目安は、約40~50万円です。月齢や血統などにより、値段が上がることもあります。他にも愛犬を迎えるには友人や知人から譲り受ける、譲渡会に参加する、保護犬を迎え入れるといった方法もあります。
犬を飼い始めるときには飼い始めてから30 日以内に(子犬の場合は生後91日を経過してから30日以内に)お住いの自治体に犬の登録(登録料は3,000円程度)を行うほか、混合ワクチン接種費や狂犬病予防接種費も必要になります。母犬の初乳から得た免疫は徐々に低下していくため、混合ワクチンを子犬期に計3回接種してさまざまな感染症を防ぐ必要があります。子犬を迎える際の月齢によっては、ペットショップ側でワクチンを3回打っているため、生体代と一緒にワクチン代も支払います。3回すべて打っていない場合は、飼い主が動物病院に連れて行って接種させましょう。
狂犬病予防接種は生後91日を過ぎたすべての犬が年に1回摂取するよう法律で定められており、子犬の場合は混合ワクチンの接種を終えて2週間過ぎたタイミング(およそ生後110日前後)で打たせます。
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飼い続けるために必要な費用
犬を養育するうえでの生涯コストは、ドッグフードやペットシーツ、留守番時のエアコン代、一般医療費、トリミング代、レジャー費など200~300万円といわれています。なかには僧帽弁閉鎖不全症など手術費が100万円以上になる病気にかかる場合や、アレルギーなどによって継続的な通院や投薬の費用がかかることもあります。犬を迎えるにあたっては、計画的な貯金やペット保険の利用なども検討し、予期せぬ出費にも対応できるかよく検討しておきましょう。
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スキッパーキを迎える際に必要な生活用品としては、クレートやケージ、サークルをはじめ、首輪やリード、食器、給水器、ドッグフード、トイレなどが挙げられます。
また犬が遊べるようおもちゃも用意するとよいでしょう。スキッパーキは好奇心旺盛なため普段からの散歩だけでなく、ドッグランで走らせたり、ゲームやおもちゃで遊んであげたりするとストレスの解消にもなります。
犬の生体代を除く初期費用としては、5~7万円程度を見込みましょう。
毎月の消耗品としては、ドッグフードやおやつ、トイレシーツ、歯ブラシやボディシートなどが挙げられます。一般的に毎月の平均額は5,000円~10,000円ほどです。スキッパーキはダブルコートのため、ブラッシングや自宅でのシャンプーといったケア用品を揃えておくのが安心です。
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2022年6月から、ペットショップやブリーダーで販売される犬や猫にマイクロチップの装着が義務化されました。マイクロチップは思わぬ事故や災害で迷子になってしまった時に、保護された犬を飼い主のもとへ返すための重要な役目を果たします。装着費用は3,000~5,000円程度で、さらに飼い主の氏名や住所、電話番号などの情報登録料としてかかります。登録はオンライン申請で300円、郵送する場合は1,000円です。
ドアを開けた際に外へ飛び出したり、散歩中大きな音に驚いて逃げてしまったりなど、飼い主の不注意やアクシデントで犬は迷子になってしまう可能性があります。そのため、スキッパーキを迎える際は迷子対策もしっかり講じましょう。迷子対策としてはマイクロチップの装着のほかに、迷子札などの導入が挙げられます。
迷子札は、飼い主の連絡先を記載したキーホルダーで犬の首輪に装着します。値段は1,000~5,000円程度で、素材やデザインによって異なります。
そのほか、家からの飛び出しを防ぐために玄関にゲートを設置するといった対策をとるのもおすすめです。
スキッパーキのしつけと社会化トレーニングのポイント
スキッパーキは短気だといわれることがありますが、適切なトレーニングをすることで子どもと仲良くできるような良い家庭犬となります。
トレーニングは比較的容易ですが、独立心が強く賢いがゆえに早期にしっかり行うことが重要です。家に迎えた日からスタートしましょう。
頭が良さから、飼い主の態度が甘いと犬自ら判断して行動するようになり、犬の方が優位に立ってしまうようなこともあります。「あのときは許してくれた」「これをやっても怒られない」といった成功体験を覚えるので、一貫性のあるルールとコマンドでトレーニングを行いましょう。
また警戒心が強いため、人には早い時期から慣れさせる必要があります。さらに強い警戒心から吠えやすい性質があるため、子犬の頃からのトレーニングでコントロールできるようにしましょう。
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スキッパーキに必要な運動量や散歩の目安、おすすめの遊びは?
✓散歩:30分以上を1日2回
✓運動量:多い
✓おすすめの遊び:ドッグラン、ボール遊び、おもちゃ遊び
スキッパーキは、牧羊犬の祖先を持つためとても活動的で、せわしなく動き回り、走ることが大好きです。運動不足でストレスが溜まらないよう、散歩は30分以上を1日2回が理想です。月に数回は、ドッグランなど広い場所を思い切り走らせてあげましょう。
またおもちゃ遊びが大好きです。走るのも好きなので、飼い主がボールを投げて取ってくる遊びは良い運動とコミュニケーションになるでしょう。
スキッパーキを飼うのに向いている人は?
✓子どものいる家庭でも大丈夫
スキッパーキは子どもが好きな犬として知られているため、小さなお子さまがいるご家庭でも犬がストレスを感じにくいでしょう。
✓充分な運動をさせてあげられる環境
スキッパーキは小型犬ですが、牧羊犬の先祖を持つだけあってエネルギッシュな体力の持ち主です。毎日の運動を充分にさせてあげられる環境が良いでしょう。
✓しつけをきちんとできる人
スキッパーキは賢いので、飼い主の甘さを見透かして、犬の立場が上になってしまうようなことがあります。
落ち着いて根気強く接することが出来る人が向いているでしょう。
スキッパーキがかかりやすい病気と予防法は?
スキッパーキがかかりやすい代表的な病気と対策方法を知っておきましょう。
✓甲状腺機能低下症
甲状腺ホルモンの分泌が減少して起こる病気で、元気消失や、脱毛やフケが増える皮膚症状、ふらつきや発作などの神経症状などさまざまな症状が現れます。幅広い年齢で発症し、有用な予防法はありません。甲状腺ホルモンを補充する治療を行います。
スキッパーキの日常のお手入れ
✓ブラッシング:1週間に1.2回
✓シャンプー:1カ月に1回程度
✓トリミング:必要なし
皮膚を清潔に保つために、抜け毛や毛玉対策に定期的なブラッシングが必要です。
春と秋は換毛期で、春は冬毛から夏毛に、秋は夏毛から冬毛に生え変わるため大量に毛が抜けます。この時期は、こまめなブラッシングを心がけましょう。
ブラッシング以外にもスキンシップの時間も兼ねて、表面からは分かりづらい皮膚の状態をチェックしたり、日々触れ合う時間を作ったりすることで、愛犬との信頼関係も高まります。
コートは一定以上伸びないためトリミングは必要ありませんが、お尻周りの被毛が長いため、排泄時の汚れが気になる場合はカットすると良いでしょう。
歯みがきは毎日~3日に1回の頻度で行います。
また足裏の肉球間の毛が伸びると、フローリング床で滑りやすくなるためカットしてください。
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スキッパーキとの生活で注意すべきことは?
スキッパーキと生活する上で注意すべきポイントを紹介します。
✓暑さに注意!
スキッパーキに多い黒い被毛を持つ犬は、全身で太陽光の熱を吸収しやすいため注意が必要です。晴天下で過ごす際は特に、口呼吸(パンティング)が激しくないか、体が熱くなっていないかこまめに確認しましょう。屋外では、充分な水分補給や保冷剤を首に巻くなど、暑さ対策は万全に。
✓定期的にブラッシングをしよう!
スキッパーキのようなダブルコートの犬は毛が密生しているため、むだ毛が絡まったり、毛玉になったりすることを防ぐためにも定期的なブラッシングを心がけましょう。その他、月に1度の頻度でシャンプーすることもおすすめです。肌のバリア機能が低下する原因にもなるため、保湿をせず脱脂作用の強いシャンプーで洗うのは禁物です。
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