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バーニー動物病院千林分院分院長。ペット薬膳管理士、中医学アドバイザー。動物病院でペットの診療にあたる傍ら犬猫の手作りご飯教室や問題行動のカウンセリングを行う。
シュワシュワとした泡と清涼感のある飲み口が魅力の炭酸水は、暑い夏になると飲みたくなりますよね。炭酸水の健康効果が取り上げられることもありますが、犬にも与えても良いのか、与える意味があるのか、ふと疑問に感じる人もいるのではないでしょうか。そこで今回は、バーニー動物病院 千林分院の堂山有里先生に教えていただいた、犬に炭酸水を与えるメリットやデメリット、正しい与え方などを解説します。
目次
- 犬に炭酸水を飲ませても大丈夫?
- 子犬や老犬(シニア犬)に炭酸水を飲ませても大丈夫?
- 持病のある犬に炭酸水を飲ませても大丈夫?
- 炭酸水に含まれている成分は?
- 犬に炭酸水を飲ませる健康面のメリットは?
- 犬に炭酸水を飲ませるデメリットは?
- 犬に炭酸水を与える1日の適量は?
- 犬に炭酸水を与える際のおすすめの方法は?
- 犬に炭酸水を与える際の注意点は?
- 犬が炭酸水を欲しがった場合、やめさせる方法やしつけ方は?
犬に炭酸水を飲ませても大丈夫?
炭酸水には、犬にとって危険な成分は入っていないので飲ませても問題はありません。ただし、一部の海外の炭酸水の中には炭酸以外にミネラル(カルシウムやマグネシウム)が多く含まれているものがあり、犬がミネラルを過剰に摂りすぎると下痢などの症状を引き起こすことがあるので注意が必要です。与える際は、炭酸水の中でもミネラルが多く含まれている「硬水」は避け、「軟水」を選ぶようにすると良いでしょう。
子犬や老犬(シニア犬)に炭酸水を飲ませても大丈夫?
子犬や老犬であっても、炭酸水を飲ませることによる特段の悪影響は考えられないため、与えても大丈夫です。しかし、与えたほうが良い理由もないため、あえて水ではなく炭酸水を与える意味はないともいえます。
持病のある犬に炭酸水を飲ませても大丈夫?
基本的に炭酸水は「水と同じ」と考えて差し支えないため、持病のある犬でも炭酸水を飲ませることに特に問題はありません。炭酸ガスが腎臓を悪くしたり、尿路結石の原因になるといったことはないためです。胃腸が刺激されることで動きが活発になる可能性はありますが、それが下痢につながることはないと考えられます。
炭酸水に含まれている成分は?
炭酸水に含まれている成分を解説する前に、炭酸水の種類について触れておきます。じつは、炭酸水には「天然炭酸水」と「人工炭酸水」の2種類があり、含まれている成分が若干異なります。
天然炭酸水
天然炭酸水は炭酸ガスを含む地下水を指します。地下水にミネラル成分が多く含まれていれば、カルシウムやマグネシウム量が多い炭酸水になります。
人工炭酸水
人工炭酸水は天然水に炭酸ガスを加えたものや、不純物が少ない純水に炭酸ガスを加えたものなどいくつかの種類があります。
炭酸水に含まれている主な成分
それでは、炭酸水に含まれる主な成分とその特徴をいくつか取り上げて見ていきましょう(以下の項目のカルシウムやマグネシウム、ナトリウムといったミネラルは、炭酸水の種類によっては含まれない場合もあります)。
二酸化炭素
1つの炭素に2つの酸素が結合した化合物で「CO2」と表記されます。人間をはじめ動物が呼吸することで、体外に排出される成分としてもよく知られています。無味無臭で空気中に0.03%存在しており、気体は炭酸ガス、固体はドライアイス、水に溶けると炭酸水に変化します。
カルシウム
人体に最も多く含まれるミネラルで、骨や歯を形成したり、筋肉や神経の興奮を抑えたりする働きを持っています。天然水に含まれるミネラル成分です。
マグネシウム
人体に必要なミネラルのひとつで、リンやカルシウムとともに骨を形づくったり、体内の代謝を助けたりする作用があります。天然水に含まれるミネラル成分です。
ナトリウム
人体に必要なミネラルのひとつで、浸透圧の調整などの働きをします。天然水に含まれるミネラル成分です。
犬に炭酸水を飲ませる健康面のメリットは?
犬に炭酸水を与えるメリットは特にありません。炭酸水の健康効果がうたわれているものも見かけますが、いずれも科学的根拠が示されているとは言えません。人間の場合、糖分の入った炭酸飲料の代わりに炭酸水を選ぶことで糖分をカットすることができますが、そもそも犬は甘い炭酸飲料を飲む習慣がないため、この利点は当てはまりません。
現在、炭酸ガスによって食欲が増進する可能性があるのではないかと示された論文がありますが、それもラットでの研究の段階です。炭酸ガスが腸管運動を促進する可能性が示唆されているため、炭酸ガスの効果で便通が良くなる可能性もあります。しかし、科学的根拠を持って炭酸水が犬の健康にメリットがあると示すことは、現時点でできません。
もし、犬が炭酸水を好んで飲んでくれるようなら、夏場の水分摂取などに役立つと考えることはできるでしょう。
犬に炭酸水を飲ませるデメリットは?
犬に炭酸水を飲ませることが、病気の直接の原因になることはないでしょう。歯が溶ける、腎臓が悪くなる、結石ができるといったこともありません。ただ、たくさん飲むと、お腹が膨れてご飯が食べられなくなる可能性はあります。炭酸水をそれほど過剰に飲む犬はあまりいませんが、もしたくさん飲みすぎてしまうようであれば、食事の前には飲ませないようにしましょう。
犬に炭酸水を与える1日の適量は?
炭酸水を与えるときは、1日の水分量の範囲内におさめましょう。たとえば、5kgの犬であれば、250〜500mlの範囲であれば問題ありません。ただし、1日に与える水をすべて炭酸水に置き換えてしまうと犬が嫌がって飲まなくなってしまったときに、水分不足になる恐れがあります。最初のうちは、今飲んでいる水とは別に大さじ1杯程度から与え始めるとよいでしょう。
犬に炭酸水を与える際のおすすめの方法は?
犬に炭酸水を与える際の、おすすめの与え方について解説していきます。
頻度について
炭酸水を与えるのに適切な頻度は特にありません。毎日与えても大丈夫です。なお、水分補給を炭酸水のみにすることは避けたほうが安心です。
温度について
常温で与えることをおすすめします。炭酸水に限りませんが、犬も人間と同じように、冷たい飲み物によってお腹を壊してしまう可能性があるためです。
犬に炭酸水を与える際の注意点は?
先にも述べた通り、炭酸水をたくさん飲ませると満腹感によって通常の食事が摂れなくなることがあるので、食事の前に大量に与えないようにしてください。ガスの風味を嫌がる犬もいるので、最初は少量から飲ませて様子を見るようにしましょう。
また、繰り返しになりますが、海外の炭酸水にはミネラル含有量が多い硬水でつくられたものがあります。炭酸ガス自体が下痢を起こすことはありませんが、ミネラルが多いとお腹が緩くなることがあるので、必ず、成分中のミネラル量を確認し、適量を守って与えるように注意しましょう。
犬が炭酸水を欲しがった場合、やめさせる方法やしつけ方は?
犬に炭酸水を与えるのをやめさせたくても犬が欲しがるようであれば、徐々に与える量を減らしていくようにしましょう。たとえば、ご褒美の時だけ与えるようにする、与える回数を減らして少しずつほかの飲み物に代えていく方法が有効です。
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