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IT×犬(猫)のサービス開発者。犬用ネームタグや保護犬のための『10円いぬねこ募金』などを開発。私生活では、愛犬・ラスカルとトリックやアジリティを楽しんでいる。
トリックやアジリティを通じて、愛犬と信頼関係を築くコツとは? ボーダーコリー・ラスカルくんと飼い主の岡田拓巳さんに聞きました。
目次
- トリックが大好きなボーダーコリー・ラスカルくんと飼い主の岡田拓巳さん
- 人も愛犬も楽しく! 小さな成功体験を積ませる
- 体だけでなく心も満たされる愛犬とのアジリティの魅力
- ブルーの瞳を持った子犬ラスカルくんに出会い「恋に落ちた」
- 愛犬のお世話に涙…問題行動の連続で、憂鬱だった過去も
- 第一子が生まれ、愛犬が優しいお兄ちゃんへと成長
- 愛犬と信頼関係を築くためのコツは「何があっても信じる」
- 「愛犬は人生の最高のパートナー」趣味も仕事もずっと一緒
トリックが大好きなボーダーコリー・ラスカルくんと飼い主の岡田拓巳さん
ワンちゃんの一発芸「トリック」。しつけとは違い、飼い主さんとワンちゃんが一緒に楽しみながら習得する遊びです。
犬の芸で定番の「お手」や「おかわり」もトリックの一種。ほかには、ハイタッチやあごのせ、スピン、鼻パク(鼻の上におやつを置き合図があるまで待つ)など、定番なものから難しいものまでさまざまな種類のトリックがあります。
ボーダーコリーのラスカルくんは、なんと60種類以上のトリックができるのだそう。飼い主の岡田拓巳さんと毎日練習をしています。
「トリックは、僕とラスカルにとって日々のコミュニケーションです。心のつながりを感じられると、ラスカルも『よきよき』といった満足げな表情をしてくれるんです(笑)」
岡田さんがInstagramに投稿するトリックの動画を見た人たちからは、『息がぴったり!』『うちの子もやってみたい!』など、感動と驚きの声が上がっています。
しかし2人がここまで信頼関係を築くまでには、たくさんの苦労や試行錯誤があったようです。今回は、これまでの道のりやワンちゃんにトリックを教えるコツを聞きました。
人も愛犬も楽しく! 小さな成功体験を積ませる
約2年前、ラスカルくんを迎えてすぐ、岡田さんは日々のコミュニケーションとしてトリックに挑戦し始めました。
一つのトリックを完成させるためのコツは、「小さな成功体験をたくさん踏ませ、自信をつけてあげること」だといいます。
たとえば、岡田さんが一番教えるのが難しかったという「Foot Stall」というトリックがあります。「Foot Stall」は、岡田さんが地面に寝転がり伸ばした足の裏にラスカルくんがジャンプして飛び乗るという技です。
最初は手のひらに裏返した靴を乗せ、落ちないようにサポートしながら、そこに乗ってみることから始めました。技の完成形に至る前に小さなステップを用意してあげ、できたらしっかりと褒める。それを繰り返すことで自信がつき、足に乗る恐怖心も徐々に和らいでいきました。
「人間相手であれば目指したい完成形を言葉で伝えられますが、犬にとっては知ったことではないですからね(笑)。飼い主が完成形ばかりを求めてしまうと、お互いストレスが溜まってしまいます。動きを細分化して、小さな成功の数をなるべく多く設定し、少しずつ成功の難易度を上げていく。それがトリックの基本的な教え方です」
トリック習得のコツは、「犬も人も楽しく!これがすべてです!」と岡田さん。
ワンちゃんが乗り気ではないときは無理強いせず、好きなおもちゃで遊び、次の日に5分だけ挑戦。前回よりも成長したらたくさん褒めてあげます。あくまで遊びとしてそのプロセスを楽しむことが、結果として信頼関係を育んでくれるそうです。
「ワンちゃんの性格によって、教え方は変わってくると思います。ラスカルは活発といわれるボーダーコリーの中では、意外と繊細でビビりな性格です。だからこそ、小さな成功体験を積むやり方が向いていると、いろいろ試すうちにわかってきました」
新しい技ができるようになったときには、岡田さんがうれしいことはもちろん、ラスカルくんもとてもうれしそうな顔をします。習得したトリックを他の人に見せて、拍手を浴びたり褒められたりすると、ラスカルくんはますます誇らしい表情をするそうです。
「できるようになったら、いろんな人に披露してたくさん褒めてもらってください。ワンちゃんもどんどん楽しくなるし、自信もついてくるはずです」
体だけでなく心も満たされる愛犬とのアジリティの魅力
岡田さんとラスカルくんは、「トリック」以外に、「アジリティ」にも挑戦中です。犬と人が一緒に走りながら障害物を乗り越え、タイムを競い合うドッグスポーツです。大会出場に向け、週に2回練習に取り組んでいます。
ラスカルくんが6ヶ月の頃、しつけの一環で通っていたトレーニング教室で初めてアジリティに挑戦しました。そのときのラスカルくんの気持ちよさそうな表情を見て、岡田さんは続けてみることにしたのです。
「ボーダーコリーはエネルギーが有り余っている犬種なので、時折アジリティで思いっきり走って発散してあげるのは大切だと思っています。たくさん運動をして身体的に満たされることももちろんですが、アジリティの魅力は飼い主とコミュニケーションをとるという、精神的な充実感も得られるところにあります。アジリティをした日の夜は、本当に満足そうな顔をするし、ぐっすり眠っていますね」
ラスカルくんは慎重な性格であることから、最初は障害物にも恐る恐る近づく様子だったそう。しかし、練習を積むことで一つひとつできることが増えてきています。
「アジリティは本当に深い世界なんです。僕がここで語っていいのかと不安になるくらい(笑)ハードルを飛ばせる方法だけでも数十種類あったり、人間の足の向き一つで犬の飛び方が変わってきたり……」
突き詰めるほどに奥が深いというアジリティ。岡田さんは「もっとたくさんの飼い主さんに挑戦してみてほしい」といいます。
速いスピードで障害物をこなしていく、アスリートのようなワンちゃんのための競技のイメージが強いかもしれませんが、実際の練習場では愛犬との趣味として楽しんでいる人たちが大半なのだとか。
「最初の頃は、障害物を無視してリンク内を暴走するのがあるあるです(笑)だから、大会に出場する気持ちがなくても、運動不足の解消やコミュニケーションをはかることを目的に、気軽に挑戦してみることをおすすめしたいです」