更新 ( 公開)
「トリック」とは、わんちゃんができる技のこと。「ハイタッチ」や「スピン」などの有名な技も、これにあたります。ここで紹介するのは、わんちゃんの前足でオーナーの手や足を触らせる「タッチ&タップ」、わんちゃんの体を時計回り・反時計回りにその場で一回転させる「ツイスト」、わんちゃんがオーナーの周囲を回る「アラウンド」、わんちゃんが歩いている人の足の間をくぐり抜ける「ウィーブ」、わんちゃんが後ろ向きに遠ざかる「バック」の5種類です。いきなり難しいものから取り組もうとせず、STEP1から少しずつ始めてみてください。
トリックを練習することでわんちゃんの脳に刺激が伝わり、廊下や認知症の予防にもつながります。どこでも遊べるため、雨や雪など散歩に行けない日に運動不足の解消としてトライするのもよいでしょう。楽しくチャレンジを繰り返すことで、オーナーとの絆もどんどん深まります。
まずはわんちゃんの大好きなオモチャやおやつを用意して、チャレンジしてみてください。頭と体で一生懸命覚えたトリックが成功したときの達成感は、何ものにも代えがたい喜びがありますよ。
目次
- STEP1 タッチ&タップにチャレンジ
- STEP2 ツイストで回転にチャレンジ
- STEP3 丁寧な誘導が大切! アラウンド
- STEP4 アラウンドの発展形!? ウィーブ
- STEP5 オーナーと向かい合ってバック
- トリックは賢さアップとアンチエイジングに最適
STEP1 タッチ&タップにチャレンジ
①わんちゃんと向かい合うところからスタート
わんちゃんに見えないよう、オーナーは左手におやつを隠し持ちます。わんちゃんにオスワリをさせてオーナーと向き合う姿勢をとらせ、おやつを握った左手を、わんちゃんの右前足の前に差し出してください。
②わんちゃんがオーナーに触れたら「タッチ」「タップ」と言おう
オーナーが差し出した左手を、わんちゃんが右前足でカリカリと掻き出そうとしたら「タッチ」と言って褒め、おやつをあげます。少しでも触ったら、すぐに褒めておやつをあげるのがポイントです。何度もトライしてできるようになったら、次は「オーナーは右手×わんちゃんは左前足」のパターンも練習してみてください。その際は「タッチ」ではなく「タップ」という声がけに変更を。
③タッチの号令で、膝や足の甲を触らせる
オーナーと向かい合った状態で、わんちゃんをオスワリさせます。「タッチ」の号令をかけながら、オーナーは自分の左手を左足の甲(または膝の上)に添えてください。わんちゃんが右前足をオーナーの左手にタッチしようとしたら、左手を横にずらします。
④足に触れたら大げさに喜んで
わんちゃんの右前足でオーナーの左足の甲(または膝の上)にタッチすることができたら、褒めておやつをあげます。何度も練習してできるようになったら、STEP1の②と同様に「オーナーは右手(と右足)×わんちゃんは左前足」のパターンも練習してみてください。その際、かける声は「タッチ」ではなく「タップ」に変更するのが大切です。
STEP2 ツイストで回転にチャレンジ
①おやつを持って一回転させる
わんちゃんと向かい合い、鼻先5cmくらいの高さに右手でおやつを近づけます。その状態で「ツイスト」の号令をかけながら、時計回りに一回転させるように空中でおやつを動かします。わんちゃんがおやつを追って一回転したら、褒めておやつをあげましょう。
②円をどんどん小さくする
わんちゃんが一回転できるようになったら、「ツイスト」の号令をかけながら、手の誘導を円一周分から「4分の3」→「2分の1」→「4分の1」と少しずつ小さくしていってください。
STEP3 丁寧な誘導が大切! アラウンド
①オーナーの体の周りを一周させる
オーナーは右手におやつを持った状態で、わんちゃんと向かい合います。右手のおやつを鼻先に近づけ「アラウンド」の号令をかけながら、右手でオーナーの体の前に時計回りで半円を描きます。右手が真後ろまでいったら、わんちゃんに見えるようおやつを左手に持ち替えてください。その状態でさらに半円を描き、わんちゃんがオーナーの正面まできたら、褒めておやつをあげてください。
②おやつを動かす範囲をどんどん小さくする
わんちゃんがこの遊びに慣れてきたら、おやつを動かす範囲を少しずつ狭めてください。「2分の1」→「4分の1」と段階を踏んでいくとよいでしょう。
POINT ゆっくり丁寧な誘導を心がけて
わんちゃんを正面から真後ろに誘導するときに前に戻ってしまう場合は、手をゆっくり動かし、丁寧な誘導を心がけてください。
STEP4 アラウンドの発展形!? ウィーブ
①足の間からおやつを投げる
オーナーはわんちゃんの正面に足を開いて立ちます。開いた足の間からおやつを後ろに向かって投げてください。
②足をくぐったタイミングで「ウィーブ」と声かけをする
おやつを投げたと同時に、わんちゃんに足の間をくぐらせます。わんちゃんが足をくぐったタイミングで「ウィーブ」と声かけをしてください。
③歩きながらのウィーブにチャレンジ
両手におやつを持ち、オーナーがわんちゃんの右側に立った状態で「ウィーブ」の号令を出し、右足を一歩出します。右足を出すのと同時に右手におやつを持ち、わんちゃんが左側から足の下をくぐって右側に抜けるよう、誘導します。同様に、反対側もトライしてみてください。「ウィーブ」の号令をかけながら、左右交互に繰り返します。
STEP5 オーナーと向かい合ってバック
①アシストしながら後ろに下がってみよう
わんちゃんとおやつを手に持ったオーナーが向かい合わせに立ちます。「バック」の号令をかけながら、おやつを持った手を前に差し出し、わんちゃんを押すようにしてオーナーは前進します。わんちゃんが一歩でも後ろに下がれたら褒め、おやつをあげてください。
②補助なしのバックを練習しよう
オーナーは手におやつを持った状態で、わんちゃんと向かい合って立ちます。「バック」の号令を出しながら、胸のあたりから押し出すようにしておやつを持った手をわんちゃんに向かって突き出します。わんちゃんが一歩でも後ろに下がれたら褒めてあげて、おやつを食べさせてあげてください。
POINT 狭い通路を作ってみよう
わんちゃんが後ろに下がらなかったり曲がったりしてしまうときには、壁やガードなどを利用しながら狭い通路を作って練習してみてください。
トリックは賢さアップとアンチエイジングに最適
少し難しい技が多いトリックですが、そのぶん、脳に伝わる刺激も多く、賢さアップやアンチエイジング、認知症の予防など、オーナーにとってもうれしい効果がたくさんあります。
STEP3までと比較するとSTEP4以降の「ウィーブ」や「バック」などは少し難しいですが、習得するのにコツがあります。それは、「少しずつ」ステップアップしていくこと。初めは一歩ごとにおやつをあげて褒め、少しずつ歩数や距離を長くしていくことが成功につながる秘訣です。
トリックは、わんちゃんにとって最初は少しハードルが高いもの。そのため、練習に飽きたり嫌がったりしてしまわないように、無理をせず5分程度の練習を繰り返すようにしてください。また、少しでも進歩したら、その瞬間を見逃さず褒めてあげることを心がけるようにすると、わんちゃんにとっても練習が楽しいものになります。
トリックを達成してオーナーが喜ぶ姿を見るのは、わんちゃんにとっても非常にうれしいもの。共同作業をする中で、絆もどんどん深まっていきますよ。