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ふくふく動物病院院長。得意分野は皮膚病。飼い主とペットの笑顔につながる診療がモットー。キャバリアと5匹の保護ねこ、わんぱくなロップイヤーと一緒に暮らしている。
大胆で勇敢な性格を持ち、方向感覚にも優れているという特徴を持つ珍島犬を初めて飼う場合に気になるのが、どんな性格をしていて飼いやすいかどうかではないでしょうか。そこで今回は、勤務獣医師の平松育子先生に教えていただいた、珍島犬の性格や特徴、かかりやすい病気やしつけのポイントなどについて解説していきます。
目次
- 珍島犬の歴史やルーツ、英語名は?
- 珍島犬のオスとメスの体高や体重は?
- 珍島犬の平均寿命は?
- 珍島犬の毛色の種類、被毛、外貌の特徴は?
- 珍島犬はどんな性格、習性?
- 珍島犬を迎える際にかかる費用は?
- 珍島犬のしつけと社会化トレーニングのポイント
- 珍島犬に必要な運動量や散歩の目安、おすすめの遊びは?
- 珍島犬を飼うのに向いている人は?
- 珍島犬がかかりやすい病気と予防法は?
- 珍島犬の日常のお手入れ方法
- 珍島犬との生活で注意すべきことは?
珍島犬の歴史やルーツ、英語名は?
犬種名 | 珍島犬 |
英語名 | Korea Jindo Dog |
原産国 | 韓国 |
分類 | 中型犬 |
グループ | 5G:原始的な犬・スピッツ |
珍島犬【英語名:KOREA JINDO DOG】の起源に関する、正確な文書は残されていません。しかし専門家たちは「珍島犬が数世紀に渡って朝鮮半島南西の珍島に生息している」と考えています。有力なのは、珍島からの輸送が難しく朝鮮固有の犬として保護されたとの説です。また日本の紀州犬・甲斐犬・四国犬・柴犬・秋田犬と同じ起源であると考えられています。
朝鮮宝物古蹟名勝天然記念物第53号天然記念物に指定されましたが、戦後は放置されたため絶滅の危機に瀕しました。その後に「韓国珍島犬保護育成法」が制定され、現在に至っています。
珍島犬のオスとメスの体高や体重は?
体高:オスは約50~55cm、メスは約45~50cm
体重:オスは約18~23kg、メスは約15~19kg
珍島犬は均整の取れた中型犬です。
珍島犬の平均寿命は?
珍島犬の平均寿命は12~15歳前後とされています。『アニコム家庭どうぶつ白書2021』によると中型犬の平均寿命は13.4歳であるため、平均前後であるといえるでしょう。
犬を迎える際は、最期のときまでしっかり世話ができるかを考えておきましょう。
犬をみとる頃に自分は大体何歳になるか、犬の介護ができるか、自分の生活環境や経済状況などもあわせて考えなければなりません。
犬を迎えようと考えているシニアの方は保護犬などで成犬を迎えるケースも検討するほか、万が一自分が世話できなくなった場合を想定しておくことも重要です。犬の世話を頼めそうな人にあらかじめ相談して承諾を得てから迎えたり、老犬ホームといった預かり先を決めたりして急な環境の変化に備えておきましょう。
珍島犬の毛色の種類、被毛、外貌の特徴は?
珍島犬の毛色は、ホワイトが主流です。そのほかに、レッドフォーン・ブラック・ブラックアンドタン・ウルフグレー・ブリンドルの5色があります。
被毛は、硬く長い毛・柔らかく短い毛のダブルコート(二重構造)です。
目は暗褐色で小さなアーモンド形をしていて、目尻が吊り上がっています。尻尾は巻尾あるいは鎌尾です。
珍島犬はどんな性格、習性?
狩猟犬・番犬として活躍している珍島犬は、優れた方向感覚を持つ犬です。性格は大胆かつ勇敢ですが、強い警戒心と慎重さも併せ持っています。
飼い主に対しては非常に愛情深く、リーダーとして認めた相手には非常に忠実な犬です。ただし知らない人には打ち解けません。また飼い主が変わっても、最初の飼い主に対して強い愛情を持つのも特徴です。他の動物を好まず、特にオスを嫌います。
珍島犬を迎える際にかかる費用は?
珍島犬を飼い始めるとき、飼い続ける際にかかる費用について説明します。
タイミング | 内訳 | 費用の目安 |
迎えるとき | 犬の生体代 | ※ブリーダーによる |
飼い始めるとき | 登録料 | 約3,000円 |
生活用品(クレートやケージなど) | 約5~7万円 | |
1年に1回かかる費用 | 狂犬病予防接種費 | 約3,500円 |
混合ワクチン接種費 | 約5,000〜10,000円 | |
毎月かかる費用 | 消耗品(フードやおやつなど) | 約5,000〜10,000円 |
飼い始める際にかかる費用
珍島犬は韓国の天然記念物であるため、国内のペットショップやブリーダーから手軽に入手できない犬です。日本国内での購入は難しいでしょう。珍島犬を飼いたいのなら、韓国でブリーダーと交渉する方法があります。そのため値段もブリーダー次第です。
他にも愛犬を迎えるには友人や知人から譲り受ける、譲渡会に参加する、保護犬を迎え入れるといった方法もあります。
犬を飼い始めるときには飼い始めてから30日以内に(子犬の場合は生後91日を経過してから30日以内に)お住いの自治体に犬の登録(登録料は3,000円程度)を行うほか、混合ワクチン接種費や狂犬病予防接種費も必要になります。母犬の初乳から得た免疫は徐々に低下していくため、混合ワクチンを子犬期に計3回接種してさまざまな感染症を防ぐ必要があります。子犬を迎える際の月齢によっては、ペットショップ側でワクチンを3回打っているため、生体代と一緒にワクチン代も支払います。3回全て打っていない場合は、飼い主が動物病院に連れて行って接種させましょう。
狂犬病予防接種は生後91日を過ぎた全ての犬が年に1回接種するよう法律で定められており、子犬の場合は混合ワクチンの接種を終えて2週間過ぎたタイミング(およそ生後110日前後)で打たせます。
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飼い続けるために必要な費用
犬を養育する上での生涯コストは、ドッグフードやペットシーツ、留守番時のエアコン代、一般医療費、トリミング代、レジャー費など200~300万円といわれています。
なかには僧帽弁閉鎖不全症など手術費が100万円以上になる病気にかかる場合や、アレルギーなどによって継続的な通院や投薬の費用がかかることもあります。犬を迎えるにあたっては、計画的な貯金やペット保険の利用なども検討し、予期せぬ出費にも対応できるかよく検討しておきましょう。
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珍島犬を迎える際に必要な生活用品としては、クレートやケージ、サークルをはじめ、首輪やリード、食器、給水器、ドッグフード、トイレなどが挙げられます。
また犬が遊べるようおもちゃも用意するとよいでしょう。珍島犬は運動を好み、体力もある犬なので、毎日の運動が大切です。ボールやロープなどのおもちゃを使ってスキンシップを取りながら遊ぶのがおすすめです。
犬の生体代を除く初期費用としては、5~7万円程度を見込みましょう。
毎月の消耗品としては、ドッグフードやおやつ、トイレシーツ、歯ブラシやボディシートなどが挙げられます。一般的に毎月の平均額は5,000円~10,000円ほどです。
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2022年6月から、ペットショップやブリーダーで販売される犬や猫にマイクロチップの装着が義務化されました。マイクロチップは思わぬ事故や災害で迷子になってしまったときに、保護された犬を飼い主の元へ返すための重要な役目を果たします。装着費用は3,000~5,000円程度で、さらに飼い主の氏名や住所、電話番号などの情報登録料としてかかります。登録はオンライン申請で300円、郵送する場合は1,000円です。
ドアを開けた際に外へ飛び出したり、散歩中大きな音に驚いて逃げてしまったりなど、飼い主の不注意やアクシデントで犬は迷子になってしまう可能性があります。そのため、珍島犬を迎える際は迷子対策もしっかり講じましょう。迷子対策としてはマイクロチップの装着のほかに、迷子札などの導入が挙げられます。
迷子札は、飼い主の連絡先を記載したキーホルダーで犬の首輪に装着します。値段は1,000~5,000円程度で、素材やデザインによって異なります。
そのほか、家からの飛び出しを防ぐために玄関にゲートを設置するといった対策を取るのもおすすめです。
珍島犬のしつけと社会化トレーニングのポイント
珍島犬は慎重で警戒心の強い犬です。番犬として活躍するものの、無駄吠えしやすい傾向にあります。そのため迎え入れたら社会化トレーニングが必要です。子犬の頃からしっかりとトレーニングを行いましょう。
ストレスを溜めないためには毎日の運動が欠かせません。飼い主との信頼関係を深めるために、時間を取って長めに散歩をさせるのがおすすめです。なるべく広い場所で走らせる時間を作りましょう。
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珍島犬に必要な運動量や散歩の目安、おすすめの遊びは?
✓散歩:30分~2時間を1日2回
✓運動量:かなり多い
✓おすすめの遊び:ボール遊び・ロープ遊び
狩猟犬としても活躍するだけあって、珍島犬は運動量の多い犬です。1日2回を目安として、30分~2時間程度しっかりと走らせてあげましょう。ボールやロープを使うと、飼い主とのコミュニケーションにも役立ちます。
時間があるのなら、ドッグランの活用も検討してみてください。ただし珍島犬は、基本的にほかの動物を好みません。そのためドッグランで運動させるときは、ほかの人間や犬とトラブルにならないよう、くれぐれも注意してください。
珍島犬を飼うのに向いている人は?
✓十分な運動をさせてあげられる環境
珍島犬は狩猟犬として活躍してきたことから、スタミナ豊富で運動量が多い犬種です。散歩では速く歩く、長い距離を歩くなど運動量を確保したいため、体力に自信がある人に向いているでしょう。
✓しつけをきちんとできる人
珍島犬は高い警戒心から、良い番犬になりますが、必要以上に警戒し攻撃的にならないよう、小さいうちから社会化トレーニングや、基本的なコマンドをマスターする必要があります。落ち着いて毅然とした態度を取れる人が向いているでしょう。
珍島犬がかかりやすい病気と予防法は?
珍島犬がかかりやすい代表的な病気と対策方法を知っておきましょう。
✓甲状腺機能低下症
甲状腺ホルモンの分泌が減少して起こる病気で、元気消失や、脱毛やフケが増える皮膚症状、ふらつきや発作などの神経症状などさまざまな症状が現れます。幅広い年齢で発症し、有用な予防法はありません。甲状腺ホルモンを補充する治療を行います。
✓皮膚エリテマトーデス(紅斑性狼瘡)
皮膚エリテマトーデスは自分の免疫が自らの皮膚を攻撃してしまう自己免疫疾患のことです。多くは夏の間に全身あるいは一部分の皮膚に炎症が起こります。かさぶやや赤み、色素脱の他、潰瘍といった症状が見られます。根治治療はなく、症状の緩和を目的としてステロイド剤や免疫抑制剤の内服療法で治療します。
珍島犬の日常のお手入れ方法
✓ブラッシング:週に1回程度(換毛期は毎日)
✓シャンプー:月に1回程度
✓トリミング:不要
珍島犬は綺麗好きな犬ですので、清潔にしてあげる必要があります。ブラッシングの頻度は週に1回程度で構いません。ただし換毛期には毛が大量に抜けますので、なるべく毎日ブラッシングしてあげましょう。ブラッシングをせずにいると、毛玉ができたり、皮膚のトラブルの原因になったりします。
珍島犬は稀少な犬であるため、シャンプーの頻度についてはくわしい資料が公開されていません。そこで購入時はブリーダーに相談してみるのがおすすめです。
ブラッシング以外にもスキンシップの時間も兼ねて、表面からは分かりづらい皮膚の状態をチェックしたり、日々触れ合う時間を作ったりすることで、愛犬との信頼関係も高まります。
歯磨きは毎日~2日に1回、耳掃除や肛門腺絞り、爪切りは2週~1カ月に1回の頻度で行います。
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珍島犬との生活で注意すべきことは?
✓マメな皮膚のチェックをしよう!
珍島犬は皮膚炎にかかりやすいため、皮膚に赤みや脱毛がないか、痒がったりしていないか、日頃から様子をチェックしておきましょう。珍島犬はダブルコートで地肌の様子が分かりづらいため、アトピー性皮膚炎にも注意が必要です。
✓暑さ管理に注意が必要
珍島犬はダブルコートのおかげで冬の寒さにはとても強い反面、日本の高温多湿な気候は苦手です。熱中症対策は万全にしましょう。
✓運動不足に注意!
膨大な運動量が必要な犬種です。運動不足は、問題行動の引き金になるだけでなく、肥満の原因にもなります。さらに作業欲(狩猟欲)も強い犬種なので、毎日のアクティビティには、体力だけでなく知力も消費するような遊びを取り入れるとよいでしょう。