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こころ鳳ペットクリニック、大阪どうぶつ夜間急病センター所属。小動物臨床に従事。犬猫をはじめ、鳥類、爬虫類、両生類、霊長類など様々な小動物の診療・手術執刀を行う
家の中で飼える“室内犬”は、長い時間を人と一緒に過ごせるため高い人気を誇っています。しかし、室内犬を飼い始めるにあたって、「どの犬種を選べばいいがわからない」「室内犬を迎えるための準備は何が必要?」と迷っている方も多いかもしれません。
そこで今回は、飼いやすい室内犬の条件や人気の室内犬7選を紹介します。また、室内犬をお部屋へ迎える際に整えておくべき準備についても解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
- 飼いやすい室内犬の条件とは?
- 飼いやすい室内犬【7選】を紹介!
- 室内犬に適した部屋づくりのポイント
- まとめ
飼いやすい室内犬の条件とは?
室内犬を飼い始めるときには、どのような観点で犬種を選べばいいのでしょうか。ここでは、室内犬のなかでも特に飼いやすい犬種の条件について解説します。
サイズが大きすぎない
犬のサイズが大きくなれば、そのぶん広い飼育スペースが必要です。特に集合住宅は、大型犬を飼うほどの十分な広さを確保できない場合もあります。そのため、室内犬として飼う場合は小型犬または中型犬が安心でしょう。
また、同じ小型犬でも運動量が多い犬種は、室内での運動や軽い散歩だけではストレスが溜まりやすくなります。十分な運動量を確保するためには、庭に広めの運動スペースを用意したり、定期的にドッグランに連れていったりすることが必要です。室内犬の犬種を選ぶ際には、住まいの設備や周辺環境も考慮したうえで決めましょう。また集合住宅の場合は、飼育可能な犬種や頭数なども決められているため、事前に管理人への確認も必要です。
性格が穏やかで、あまり吠えない
攻撃的な性格の犬種は、来客にかみついたり、家具を壊したりする場合があります。特に小さな子どもがいる家では、ケガをしてしまう危険があるでしょう。そのため、できるだけ性格が穏やかな犬種を選ぶことも重要です。
また、吠えすぎる犬種も、鳴き声が近所迷惑になるリスクがあります。なるべく人に対して友好的で、従順な犬種を選ぶと室内でも安心して飼いやすいでしょう。ただし、頻繁に吠えるかどうかは、子犬の頃のしつけにもよります。そのため、吠えグセを直すトレーニング方法についても、事前に正しく理解しておくことが大切です。
抜け毛が少ない
犬の抜け毛はアレルギーの原因になってしまうため、放置せずにこまめに部屋を掃除する必要があります。その点、抜け毛のなるべく少ない犬種を選ぶと、部屋のお手入れもしやすいでしょう。犬には換毛期が年2回ある「ダブルコート」と、明確な換毛期のない「シングルコート」という2種類の犬種があります。比較的抜け毛が少ないのは、シングルコートです。シングルコートでも毛玉になりやすい犬種もいるので、ブラッシングはこまめに行いましょう。
飼いやすい室内犬【7選】を紹介!
室内犬として飼うにあたって、特に飼いやすい犬種はいるのでしょうか。ここでは、飼いやすい室内犬として人気の犬種を、特徴や飼うときのポイントとあわせて紹介します。
トイ・プードル
トイ・プードルは、ぬいぐるみのようなふわふわした巻き毛がチャームポイントで、日本でもトップクラスの飼育頭数を誇る人気の小型犬です。シングルコートで抜け毛が少なく、賢くてトレーニングもしやすいので、室内犬として飼うのにピッタリといえます。ただし、ドッグスポーツでもよく活躍するほど運動量が多いのも、トイ・プードルの特徴です。家の中には滑りにくいマットを敷き、できるだけ散歩時間を多めに確保することを心がけましょう。
チワワ
チワワは、うるうるした愛くるしい瞳とリンゴ形の小さな頭が特徴の小型犬です。チワワは“超小型犬”ともいわれ、小型犬のなかでも特に身体が小さい犬種なので、室内犬として飼うにはピッタリといえるでしょう。チワワの運動量はあまり多くないので、室内遊びでも十分ストレス発散になります。ただし、甘えん坊な性格ゆえにわがままな一面を見せることがあるので、子犬のときに時間をかけてトレーニングをしておくことが大切です。
ミニチュア・シュナウザー
ミニチュア・シュナウザーは、“仙人”のようにたっぷり蓄えた口ひげと、長い眉毛が特徴的な小型犬です。基本的に素直で従順な性格なため、人間や他の犬種とも仲良くなりやすく、室内犬として飼うのに適しています。ただし、もともと番犬気質なので、頑固な一面もあり警戒したモノや人に対しては吠えやすいのが特徴です。吠えグセがついてしまわないように、子犬の頃からじっくりと社会化トレーニングをしておくようにしましょう。
マルチーズ
マルチーズは、地中海のマルタ島が原産ともいわれ、真っ白でふわふわな毛に包まれた小型犬です。飼い主に対しては従順でとても温厚な性格の持ち主なので、室内でも安心して飼育できるでしょう。温暖な地域で生まれたこともあって、下毛がないシングルコートで、抜け毛が少ないのも飼いやすさの一つといえます。一方、マルチーズの長毛は毛玉になりやすいので、日々のブラッシングと定期的なトリミングは欠かせません。
ヨークシャー・テリア
ヨークシャー・テリアは、“動く宝石”とも呼ばれるほど、美しくつややかな長毛が特徴の小型犬です。シングルコートで抜け毛が少なく、運動量もあまり多くないので、室内犬として飼いやすい犬種といえます。一方で“テリア気質”と呼ばれる勇敢で物おじしない性格でもあるので、負けず嫌いを発揮して、知らない人に吠えてしまうことも珍しくありません。そのため、できるだけ子犬の頃に十分トレーニングをしておくようにしましょう。
ビジョン・フリーゼ
ビジョン・フリーゼは、わたあめのようにふんわりとした純白の被毛に身を包んだ小型犬です。人懐っこくて友好的なので、吠えることも比較的少なく、室内犬として人気を集めています。初めて会う人や小さな子どもとも仲良くなりやすいので、子育て世帯が飼うのにも向いているでしょう。ただし、小型犬ではあるものの、運動量が多いのが特徴です。室内での遊びだけでなく、散歩やドッグランでの運動時間を十分とることが大切です。
ウェルシュ・コーギー・ペンブローク
ウェルシュ・コーギー・ペンブロークは、生産国のイギリスで古くから牧羊犬として親しまれ、日本では家庭犬として人気を博している中型犬です。性格は非常に賢く従順で、飼い主の指示をよく守ってくれるため、室内で飼う際にもトレーニングしやすいでしょう。独立心も備えているので、一人でお留守番させるのも問題ありません。ただし、牧羊犬ということもあり活動的で遊びが大好きなので、十分な運動時間を確保することが肝心です。またダブルコートで抜け毛の量も多く、子犬の時にしっかり躾ができなければ吠え癖や噛み癖などで悩まされることも多いため、上記の犬種に比べて飼育難易度は高い傾向にあります。
室内犬に適した部屋づくりのポイント
室内犬を家にお迎えするときには、必要なグッズや設備を用意しておくことが大切です。ここでは、室内犬に適した部屋づくりのポイントや必要なアイテムについて解説します。
必要なアイテムを用意しよう
室内犬を飼う際は、飼育用のグッズも用意することが大切です。具体的には、以下のアイテムを揃えましょう。
- ゲージ:犬用の居住空間。縄張り(テリトリー)を意識させるためにも必要になる
- マット:室内で元気に走り回る犬も多いので、滑らないように用意しておく
- ゲート(柵):入ってはいけない場所に設置しておけば、犬の出入りを防げる
- トイレ・ペットシート:決まった場所で犬がトイレできるよう、準備しておく
- 給水器・フード用の食器:犬のサイズや食事量に合わせて、最適な大きさを選ぶ
- クレート:移動用のハウス。犬を車に乗せたり、動物病院に連れて行ったりする際に便利
- 首輪・リード:散歩へ連れていく際に欠かせない。犬のサイズに応じた長さ・太さを選ぶ
- ドッグフード:子犬用・成犬用・老犬用などがあるので、犬の年齢に合わせて選ぶ
これらは最低限必要になるアイテムなので、成長に応じてその他のグッズも適宜買い足していくことが大切です。
危険なモノを片付けよう
犬は好奇心が強いので、トレーニングを通じて理解するまでは、部屋のいろいろなものをなめたりかじったりします。そのため、犬の口に入れてはいけないものは、クローゼットやキャビネットなどの扉つきの収納にしまっておくようにしましょう。特にティッシュはいたずらで食べてしまう犬もいるので、届かない場所に置くことが大切です。また、犬がコードやコンセントをなめると、感電の恐れがあります。そのため、市販されている感電防止用のカバーをつけることもポイントです。
ただし、すべての部屋に感電対策を施したり、物を置かないようにしたりするのは大変です。そのため家の中で犬が過ごすゾーンを決めると、安心して飼いやすくなります。基本的に犬が入ってはいけない場所にはゲート(柵)を立て、出入りを防いでおくと良いでしょう。
温度・湿度を快適に保とう
犬は室温や湿度が合わないと、病気になってしまう可能性があります。そのため、部屋を犬にとって快適な状態に保っておくことも重要です。犬種によっても若干違いはありますが、温度は21~25度、湿度は50~60%が適切といわれています。直接風が当たらないようにエアコンや暖房をつけ、温度・湿度を調節してあげましょう。
まとめ
室内で犬を飼うときには、できるだけサイズが大きすぎず、性格が穏やかな犬種を選ぶことでより安心して育てやすくなります。ただし、同じ犬種でも個体差があり、なかには攻撃的で吠えやすい性格の子もいるでしょう。だからこそ、その犬種の育て方やトレーニングのポイントも事前に知ったうえで飼い始めることが大切です。室内飼いの犬は家族との距離が近いからこそ、普段からたっぷり愛情を注いで、一緒の時間を少しでも長く過ごしてあげてください。