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愛犬と暮らすメンバーで構成された、犬愛の強いメディア編集部です。 「犬想い」を軸に、ワンちゃんと飼い主さんの暮らしが上向く情報をお届けします。
避妊・去勢手術によって、愛犬が太りやすくなるというのを聞いたことがありますか? 今回は室内飼育や避妊・去勢によるメリット・デメリットと、正しい術後の体重管理の方法を、日本ヒルズ・コルゲート株式会社所属の粂井獣医師が解説します。(PR)
目次
- 室内飼育のメリットとデメリットを知ろう。愛犬は大丈夫?
- 犬に避妊・去勢は必要? メリット・デメリットは?
- 肥満のリスクは避妊・去勢手術前に比べて2倍に!術後におきる犬のカラダの変化
- ボディコンディションスコア(BCS)で愛犬の肥満度を確認しよう
- 『サイエンス・ダイエット 室内小型犬用 避妊・去勢後』は体重管理サポートと、うんちのケアを同時に実現
室内飼育のメリットとデメリットを知ろう。愛犬は大丈夫?
みなさんの愛犬は室内飼育ですか?避妊・去勢手術は実施・あるいは検討していますか?今日は、室内で一緒に暮らしていて、なおかつ避妊・去勢手術をした愛犬たちの体に、一体どんな変化や影響があるのかを、日本ヒルズ・コルゲート株式会社所属の粂井獣医師に、オンライン取材でお伺いしました。
質問に答えてくれた先生:
粂井未紀 先生/獣医師
日本ヒルズ・コルゲート株式会社所属
https://www.hills.co.jp/
——先生、今日は室内飼育や避妊・去勢手術について、教えていただけるとのことですね。最近コロナ禍で子犬を迎えたという方も多いようなので、ぜひ色々教えてください。
粂井先生(以下、先生):はい。よろしくお願いします。
日本では、トイプードル、柴犬、チワワ、ミニチュアダックスフンド、シーズー、ポメラニアンなどが人気の犬種ですよね。特に小型犬は、都市部での限られたスペースでも飼育しやすく、なんといってもかわいいですよね。納得の順位ではないでしょうか?その多くが室内で飼育されており、実に約87%(※)が主に室内で飼育されているといわれているんですよ。
※2021年全国犬猫飼育実態調査(一般社団法人ペットフード協会)より
——室内飼育がそんなに多いとは驚きました!たしかに、海外に比べて日本は小型犬と暮らしている方が多い印象です。特に都市部ではマンションにお住まいの方も多いので、飼育環境や物件の条件で、小型犬となら一緒に暮らせるという方も多いのかもしれませんね。“室内飼育は犬にとっては良いこと”だと考えていいのでしょうか。
先生:室内飼育のメリットとしては、一緒に触れ合う時間が長い、外での事故やケンカによる怪我を回避できる、感染症などの病気のリスクを減らす、ということが挙げられます。一方で室内で飼育するとどうしても活動量が減ってしまうのも事実・・・コロナ禍のテレワークでちょっとお腹周りが気になり始めた方も多いのではないでしょうか?実は可愛い愛犬も同じなんです。
——耳が痛いです...。
犬に避妊・去勢は必要? メリット・デメリットは?
犬の避妊・去勢手術のメリット・デメリットとは
先生:ところで、わんちゃんを迎えた時に、動物病院で愛犬の避妊・去勢手術を勧められたことはありませんか?
——はい。うちの子は獣医師さんに勧められて、手術をしました。オス・メス共に、避妊・去勢によって病気のリスクを減らせると聞いたことがあります。
先生:そうですね。必ず受けなくてはならないわけではありませんが、避妊・去勢には次のようなメリットがあるので、獣医師から提案されることが多く、日本では全体の55%の犬が避妊・去勢手術を受けている(※)と言われているんですよ。
※2021年全国犬猫飼育実態調査(一般社団法人ペットフード協会)より
犬の避妊・去勢のメリット
- 望まない繁殖を防ぐことができる
- 生殖器官系の病気リスクの低減
- 性格が穏やかになり、飼いやすくなることがある
- メスの場合、発情期に起きることがある偽妊娠での食欲低下を予防できる
- オスの場合、マーキングの回数が減ることもある
——なるほど。避妊・去勢手術は愛犬だけでなく飼い主さんにもメリットがあるのですね。手術を検討する場合、適切な月齢やタイミングはありますか?
先生:避妊・去勢に適したタイミングは、犬種や個体によって異なるので一概には言えません。愛犬の繁殖を考えていない人は、できれば最初の発情期が来る前に、かかりつけの獣医師に手術の時期について相談すると良いですよ。
肥満のリスクは避妊・去勢手術前に比べて2倍に!術後におきる犬のカラダの変化
犬の肥満は様々な病気のリスクに!?
——ありがとうございます。一方で、避妊・去勢手術後の体の変化やデメリットがないのかも、気になります。
先生:そうですね。確かに、手術後に愛犬の体には一定の変化が起こります。中でも、最も大きなものは代謝の変化です。避妊・去勢をすると、代謝促進や食欲抑制などの役割を担う性ホルモン(オスはテストステロン、メスはエストロゲン)が減少して基礎代謝が70~80%程度に落ちてしまうので、術前と同じ食生活をしていると、太りやすくなってしまうのです。
異性への関心を失って、活動量が減ってしまいやすいこともあって、肥満のリスクは避妊・去勢手術前に比べて2倍になるという説(※1)もあります。
——肥満のリスクが2倍も!?手術前と同じようにご飯を食べていたら太ってしまうんですね。最近は、在宅時間が増えて愛犬におねだりされるシーンもあり、ついついおやつをあげてしまうこともあります・・・。
先生:たまになら良いのですが、おやつをあげるのが毎日の習慣になってしまうと問題ですね。おねだりされると、ついついおやつを与えてしまいたくなりますし、ぽっちゃりした体型のほうが愛らしく見えてしまうので、愛犬が肥満しているという現実から目をそらしてしまう飼い主さんも少なくありません。
しかし、肥満を放置しておくのは、愛犬にとって非常に危険なこと。なぜなら、肥満は関節炎や心臓病、尿石症、がんといった病気のリスクを高めてしまう(※2)からです。病気を予防し、健康的な毎日を送らせてあげるためにも、特に避妊・去勢後は愛犬の体重管理に気を付けてあげたいものです。
——なるほど。病気のリスクを知ると、慎重になりますね。
※1 避妊去勢手術前に比べ、避妊去勢手術後の体重過多のリスクは約2倍。(Ednery ATB, Smith PM. Study of obesity dogs visiting veterinary practices in the United Kingdom. Veterinary Record 1986;118:391~396)
※2 肥満犬は正常体重の犬に比べて関節炎、糖尿病、がんにそれぞれ、68%、48%、51%かかりやすくなる。
(Lund EM, Armstrong PJ, Kirk CA, et al. Prevalence and risk factors for obesity in adult dogs from private US veterinary practices.International Journal of Applied Research in Veterinary Medicine. 2006; 4: 177-186)
ボディコンディションスコア(BCS)で愛犬の肥満度を確認しよう
——先ほどのおやつの話に加えて、最近はコロナ禍で愛犬とお出かけしづらい状況が続き、より一層運動不足になっています。避妊・去勢をした愛犬の太り過ぎを防ぐには、どうしたらいいのでしょうか?
先生:肥満予防の基本は、運動不足の解消と食生活の管理です。たしかに今はお出かけが難しい時期ですが、おうちの中でも工夫次第で愛犬の運動量を増やすことはできます。次のアドバイスをぜひ参考にしてみてください。
おうちでできる!愛犬の運動不足解消
たとえば、1日の食事の半分はいつもどおりフードボウルから食べさせ、残り半分は投げてキャッチさせる、トレーニングのおやつ(ご褒美)として与えるなどして、毎日の食事と運動や遊びを組み合わせ、無理なく愛犬の運動量を増やしてあげましょう。
今日からトライ!おやつの工夫
食生活に関しては、おやつを与えすぎないことが原則です。外出自粛やリモートワークで愛犬と過ごす時間が増えた分、ついついおやつの量が増えていませんか?1日に与えるおやつの量は、食事+αで考えるのではなく、1日に摂取する食事量の10~20%以内にとどめ、与え過ぎに注意してください
また、普段食べているペットフードを、避妊・去勢後用のフードに切り替えるのも良い方法です。避妊・去勢後用のフードは一般的なフードに比べてカロリーが低く抑えられており、体重管理に適しています。
——ありがとうございます。どれも、今日からすぐに実践できる内容ですね。
愛犬の肥満度を知るには?
——ちなみに、同じ犬種でも、体高や体重には個体差があると思うのですが、愛犬のベストな体型は、どうやって見極めればよいでしょうか?
先生:愛犬の肥満度の目安としては、見た目と手で触ったときの感触から体型(特に脂肪のつき具合)を5つの段階で評価する指標である「ボディコンディションスコア(BCS)」を参考にすると良いです。
「BCS3」が理想体型で、上から愛犬を見下ろしたときに肋骨のうしろに腰のくびれが見られ、手で触って肋骨を確認できる状態。飼い主さんが見て、「ちょっと痩せ気味かな?」と思うくらいが、医学的には愛犬の理想体型なのです。なお、同じ犬種でも個体によって理想体重は異なるので、理想体重を知りたい場合は獣医師に相談すると良いでしょう。
もう1つの目安となるのが、1歳のときの体重です。特に小型犬の場合は、1歳前後のとき(人間でいうと20歳くらい)の体重が、その犬の体格に適したベスト体重だと言われています。1歳を過ぎたら、それ以上体重が増え過ぎないように注意してあげましょう。
また、こまめに体重を量ることも大切です。少なくとも月に1回は量るようにすると、体重変化に気づきやすいですし、食事管理のモチベーションもUPします。
飼い主さんが抱っこして一緒に体重計に乗り、体重計に表示された数値から飼い主さんの体重を引けば、自宅でも簡単に愛犬の体重測定ができます。飼い主さんのダイエットにも効果的かもしれませんね(笑)
『サイエンス・ダイエット 室内小型犬用 避妊・去勢後』は体重管理サポートと、うんちのケアを同時に実現
——この度、ヒルズさんからも避妊・去勢後用のフードが新発売されました。どのような特徴があるのですか?
サイエンス・ダイエット 室内小型犬用 避妊・去勢後
先生:このほど発売した「サイエンス・ダイエット 室内小型犬用 避妊・去勢後」は、臨床栄養学に基づいたヒルズ独自の栄養素の組み合わせによって、避妊・去勢後の小型犬の変化をサポートするフードです。
カロリーや脂質を低く抑えているのはもちろん、避妊・去勢後に低下しがちな基礎代謝を維持する栄養素を組み合わせ、愛犬の体重管理をサポートします。
また、良質なたんぱく質を使用し、避妊・去勢後の活動量減少による筋肉の衰えを抑えます。さらに、プレバイオティクスを含む食物繊維や自然素材で健康的な腸内環境をサポートし、室内飼育で気になる「うんち」の悩みも解消。
まさに、避妊・去勢後の愛犬の健康と快適な生活をマルチにサポートしてくれる、機能性に優れたフードなのです。
——代謝を上げてくれるだけでなく、うんちのお悩みまで改善してくれるとはスゴイですね!避妊・去勢後、いつまで食べさせると良いのでしょうか?
先生:療法食が必要な場合など、特に健康上の問題がなければ、シニア用のフードに切り替える10歳くらいまでは、そのまま食べさせても問題ありません。
避妊・去勢前に食べていたフードから切り替える際は、いきなり新しいフードに変えてしまうと、吐いたり、おなかの調子を崩してしまうことがあります。今までの食べ慣れたフードに、新しいフードを少しずつ混ぜ、徐々に新しい方の割合を増やしながら7~10日くらいかけて切り替えるとスムーズにいきます。
——愛犬の体に負担なく切り替えることが大事ですね。先生、お話ありがとうございました。
先生:ありがとうございました。