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博士(獣医学)。専門は獣医動物行動学。evergreen pet clinic ebisu行動診療科担当。日本獣医行動研究会研修医。藤田医科大学客員講師。
よくカーテンの中に入っているあの犬を『カーテンスキーヌ』と命名。コレクションに加えました。カーテンから出てきて、そのままシスターのようになっている『カーテンスキーヌ』の目撃情報も多数!
『カーテンスキーヌ』の生態や心理、注意点について、獣医師の茂木千恵先生に真面目に解説してもらいました。
目次
- カーテンスキーヌの生態《変な犬図鑑016》
- カーテンスキーヌについて獣医師の先生に直撃してみた!
カーテンスキーヌの生態《変な犬図鑑016》
カーテンスキーヌは、カーテンから
出てくるといつもかぶっている。
気づいているの?気づいていないの?
飼い主がふと目をはなすと、
しっぽだけ出している時がある。
ひとりになりたいのだろうか。
窓とカーテンのすき間にある、
何とも言えない空間が好きらしい。
いつか一緒に包まれてみたい。
カーテンスキーヌについて獣医師の先生に直撃してみた!
カーテンで遊ぶのは、どうしてでしょうか?
他の家具に比べてカーテンは、頻繁に動いたり形を変えるため、好奇心がかき立てられやすいからです。
カーテンで遊ぶのは①好奇心から来る行動、プラス②欲求不満からくるストレス発散のための行動と考えられます。
①動く物を口でくわえることでその物を探査しようとします。さらに興奮すると、噛んだり引っ張ったりして遊び始めることもあるでしょう。
②散歩や運動が不足すると、運動欲求の解消不足でストレスが溜まります。そのストレス発散のために、自発的にカーテンで遊ぶ場合もあるかもしれません。
カーテンをかぶって窓の向こう側を見ているときは、何を考えているのでしょう?
外を眺めながら日向ぼっこをしている可能性が高いです。
窓の向こうが人通りがあると、より好奇心がかき立てられ眺めているだけで楽しいのだと思います。夏はあまり見かけず、春や秋などの過ごしやすい気候の時期のほうが見かけやすいでしょう。
カーテンに隠れているのは、どういう心理なのでしょう?
犬にとってカーテンの中は安全基地です。その中に入り、安心した気持ちになるのでしょう。
犬は元来広々とした空間よりも、狭くて周りが囲われている空間に安心をおぼえます。そのため、カーテンに隠れていると、窓との間の狭い空間に収まることができ、好都合なのです。普段落ち着いた環境の家庭に暮らしている犬が、見慣れない来客やインターホンなどの新しい刺激に不安を感じて隠れることもあります。
ただし、すっかり全身を隠してしまうとカーテンの向こう側の状況を察知しづらくなってしまうので、鼻や目だけ出している時があるようです。
カーテンスキーヌがいるおうちでは、どのようなカーテンを選ぶといいのでしょう?
厚めの生地のものや、なめらか素材にしてあげるほうが良いでしょう。
ヒラヒラと動く様子に興奮する場合は軽い薄い生地より重くて厚い生地のほうが良いでしょう。もしくは、スクリーンカーテンがオススメです。下部におもりが入っていてヒラヒラとは動かないため、カーテンの揺れに誘われて不必要に興奮してしまうことは無いでしょう。
また、表面がなめらかな素材であれば、犬の爪や歯が引っかかりにくいので安心です。
カーテンで遊ぶのは、やめさせてほうがいい?そのまま遊ばせておいて大丈夫?
ヒラヒラと動く物に興味を示すことは、犬の本能なのでやめさせることは難しいです。
カーテンで遊ぼうとしたときに爪や歯が引っかかって危険な部分が無いかどうか確認しましょう。ロールスクリーンは巻き上げるためのコードが床面付近まで垂れていることが多いです。そのため、誤って絡まってしまうことも考えられます。留守番をさせるときはコード等が犬の口に届く範囲より上に巻き上げておきましょう。
突然、カーテンスキーヌになってしまう子もいるようですが、なぜでしょう?
突然カーテンの隙間に隠れて出てこない場合、それは犬の調子が悪いか怯えていると考えて、できるだけ早めに獣医師の診察を受けましょう。
もしくは、「隠れていたら、飼い主さんが名前を呼んでくれた」「見つかった時に喜ばれた」など、過去の経験から隙間に率先して隠れる犬もいます。これは、かまって欲しくてわざと隠れているので、かまってあげるとより頻繁に隙間に入るようになるでしょう。隙間に入って静かにしているならそのままにしておいて問題ないと思います。