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上京どうぶつ病院院長。北里大学出身。日本獣医生命科学大学付属動物病院にて研修後現職。
犬にはフサフサの眉毛や平安貴族のような麻呂眉など、眉毛がはっきりあるように見える犬種もいます。実は、こうした眉毛が特徴的な犬だけでなく、すべての犬に眉毛はあります。
今回は犬の眉毛の位置や役割を解説します。眉毛があるように見える犬種も紹介しますので、ぜひ犬の眉毛について詳しくなりましょう。
目次
- 犬の眉毛はどこにある?
- 犬の眉毛をお手入れするときのポイント
- 麻呂眉がかわいい!眉毛があるように見える犬種とは
- 眉毛の動きで犬の気持ちがわかる?
- まとめ
犬の眉毛はどこにある?
目の上の被毛の色が違うことによって眉毛のように見える犬種もいますが、実は犬の眉毛は一見目立たないところにあります。では、犬の眉毛はどうやって判断すればいいのか、どんな役割を果たしているのかを見ていきましょう。
犬の眉毛は目の上のヒゲのような部分
犬の眉毛は目の上にあるヒゲのような毛の部分です。犬の眉毛の本数は一般的に4〜5本のみなので、一目見ただけでは犬の眉毛に気づかないこともあるでしょう。
体全体をおおっている被毛よりも長くて太いので、犬のお顔をまじまじと見て確認してみてください。犬の種類によっては人の眉毛のように、目の上の一部の毛の色が違っていることがありますが、柄によって特徴が現れたもので眉毛ではありません。
犬の眉毛はヒゲと同様の役割を果たしている
犬の眉毛自体には神経も血管も存在しません。しかし、毛が埋まっている根元のほうに栄養を供給する血管があったり、感覚を感じる神経が覆っていたりなど、きちんと機能を果たしています。
また、犬の眉毛はヒゲと同様に、風や気温を察知するために役立っていると言われています。さらに狭い場所などで距離感をはかるためにも役立っています。
犬の眉毛をお手入れするときのポイント
「犬の眉毛は放っておくと伸びる?」「爪のようにお手入れが必要?」と気になっている方も多いでしょう。愛犬が心地よく過ごせるよう、犬の眉毛をお手入れするポイントをチェックしていきましょう。
犬の眉毛は無理にカットしなくてもOK
犬の眉毛は、爪や被毛などのように定期的にカットしてお手入れする必要がありません。しかし、眉毛の長さや伸びるスピードは犬種によって差があるため、カットしたり伸ばしたりと、お好みで整えても問題ないでしょう。
トリミングに行ったときに整えてもらうのも一つの方法です。カットのスタイルによっては眉毛が短い方がスッキリ見えることもあるので、トリマーさんに相談して決めるのもおすすめです。
間違って切ってしまってもきちんと眉毛の役割を果たせる
犬の眉毛は長さに関係なく機能を果たせると言われており、間違って切ってしまっても問題ないと言われています。
そのため「片側だけ間違って切ってしまった」「長さを整えようとしたら長さがバラバラになってしまった」というときも慌てなくて大丈夫です。
犬の眉毛には機能がありますが、野生の犬とは違い、室内で暮らす犬にとって眉毛の機能の重要性は低くなってきていると言われています。
飼い主が室温や安全面など、愛犬が快適に暮らせる環境づくりを心がけていれば、眉毛の長さや機能を必要以上に気にする必要はないでしょう。
麻呂眉がかわいい!眉毛があるように見える犬種とは
目の上の被毛の一部のカラーが違う眉毛犬。麻呂眉だけでなく、かもめ眉や人間のような眉毛があらわれる犬種もいるようです。では、眉毛犬と呼ばれる犬はどんな種類があるのかを紹介します。
ミニチュア・シュナウザー
ミニチュア・シュナウザーはまん丸な瞳と垂れた耳、そして目の上の被毛の色が違うため、眉毛のように見えるのが特徴です。
シュナウザーは「口ひげ」という意味があり、眉毛だけでなく口の下の被毛も色が違うことによって口ひげのように見えるのも魅力的です。ミニチュア・シュナウザーはもともとネズミ捕りを目的として生まれたと言われており、口ひげはネズミから身を守るために残ったと考えられています。
シュナウザーの種類のなかでもミニチュア・シュナウザーはもっとも体が小さく、ミニチュア・シュナウザーよりも体が大きいスタンダード・シュナウザーやジャイアント・シュナウザーは、眉毛に見える目の上の被毛が長く、おじいちゃんのような威厳のある見た目が特徴です。
ミニチュア・シュナウザーは明るく無邪気な性格の反面、勇敢で友好的な一面も持ち合わせていると言われています。
体高は30~35cm程度、体重は4~8kg程度まで成長するのが一般的です。
柴犬
柴犬は、カラーによっては眉毛のような模様が目立たない子もいます。白い柴犬はほとんど眉毛があるようには見えません。
柴犬の種類のなかでもとくに被毛に眉毛のような模様があらわれるのが、黒い柴犬です。目の上の色が違う部分がまん丸なので、まさに「麻呂眉」と言われています。黒い柴犬はベースとなる黒いカラーだけでなく、白と赤の毛色も楽しめるという魅力があります。
また、柴犬のなかでも眉毛がつながったように見える「かもめ眉」があらわれる珍しいケースもあると言われています。かもめ眉は柴犬に限らず、日本犬の雑種にあらわれる特徴の一つで、遺伝によるものがほとんどです。
柴犬は愛嬌があり、日本犬らしい誠実な性格です。ただし、警戒心が強く頑固な一面もあるので、小さい頃からしっかり信頼関係を築く必要があるでしょう。
オスの標準的な体高は39.5cm程度、体重は10.5kgほどで、メスの標準的な体高は36.5cm程度、体重は8kgほどまで成長すると言われています。
チワワ
大きな瞳とピンと立った耳がかわいいチワワは、小型犬のなかでも小さい体が特徴です。「アップルヘッド」と言われるりんごのように丸い頭と、いつも潤んだ大きな瞳に魅了される人も多いでしょう。
ブラックとタンやクリームなどのカラーが組み合わさったチワワは、目の上の被毛の色が楕円形に違っていることが多く、眉毛犬の一種と言われています。また、クリームカラー単色のチワワの目の上に人間のような黒い眉毛があらわれることもあるようです。
メキシコで生まれたチワワはとても活発な性格で、勇敢で負けず嫌いな一面もあると言われています。小型犬のなかでも小さいチワワは臆病な一面があらわれることもあるため、やさしく褒めてあげると信頼関係を築きやすいでしょう。
体高は18cm前後、体重は500g~3kgまで成長するのが一般的と言われています。
シベリアン・ハスキー
オオカミのようなクールでワイルドな表情が魅力的なシベリアン・ハスキーは、エスキモー犬(そり犬)の一種です。
シベリアン・ハスキーの被毛はすべてのカラーが確認されており、組み合わせによって眉毛のような模様があらわれるケースがあると言われています。
シベリア生まれのシベリアン・ハスキーの瞳の色はブルーやオッドアイなどビー玉のように美しいカラーが印象的ですが、日照時間の少ないシベリア以外の地域でパートナーとして迎えられることが増え、紫外線から瞳を守るために近年では黒やブラウンの瞳のシベリアン・ハスキーも増えています。
迫力のある見た目ですが、とても友好的な性格のシベリアン・ハスキー。そり犬として活躍していたこともあり、活発で好奇心旺盛な一面も持ち合わせています。
オスは体高が53.5~60cm程度、体重は20.5~28kg程度になるのが一般的で、メスは体高が50.5~56cm、体重が15.5~23kg程度まで成長するのが一般的と言われています。
眉毛の動きで犬の気持ちがわかる?
犬も人間と同様に眉毛を使って表情を作ると言われています。よく見ると目の動きに合わせて眉毛も動いているので、観察してみてください。たとえば、怒っているときや不快な気持ちになったときは眉間にグッとシワが寄り、眉毛が上がっているように見えることもあるでしょう。また、うれしいときに目がパッと見開かれると、眉毛が下がってやわらかい表情に見えることもあります。
犬は視線や態度、尻尾の動きや鳴き声などでも感情を表現しますが、ぜひ感情によって眉毛がどんな風に動くのかもチェックしてみてはいかがでしょうか。
まとめ
目の上のあるヒゲのような長くて太い毛が犬の眉毛です。眉毛のように見える模様を持つ犬種だけに眉毛があるのではなく、すべての犬種に存在します。犬の眉毛はヒゲと同様の役割を果たしています。犬によって眉毛の長さが違うのでチェックしてみてください。