いすみ動物病院 院長

鶏肉の皮は捨てることが多い部位ですが、実は愛犬のおかずやおやつ用に調理して与えても大丈夫な食材です。
ただし、高カロリーで脂肪分が多い部位のため、与え方には注意が必要です。
この記事では、犬に鶏皮を食べさせるときの注意点や鶏皮の栄養分について、獣医師の田中芳生先生に解説していただきます。また、おすすめのレシピもご紹介します!
目次
- 犬は鶏皮を食べられる!
 - 犬に鶏皮を与えると下痢をする? 食べさせるときの注意点
 - 鶏皮に含まれる栄養素とは?
 - 愛犬が喜ぶ鶏皮レシピ
 - 【Q&A】犬に生の鶏皮は食べさせてもいい? 腎臓病の犬に鶏皮のトッピングはOK?
 - 安全な犬用鶏皮おやつを用意しておこう
 - まとめ
 
犬は鶏皮を食べられる!

鶏皮は、家庭で鶏肉を調理する際に、食感が苦手などの理由から取り除いてしまうことも多い部位です。しかし、コラーゲンやうま味成分が豊富で、調理次第では愛犬にとって魅力的なおやつになります。
結論から言うと、適切な量や調理法であれば、犬に鶏皮を与えても差し支えないでしょう。鶏肉全般は良質なタンパク源で、特にささみは低脂肪で人気のある部位です。
その一方で、鶏皮は脂肪分が多くカロリーも高いため、過剰に与えると下痢や肥満の一因になる可能性があります。与える際は、鶏肉の中でも特に高脂肪な部位であることを理解し、量や調理法に十分な注意が必要です。
犬に鶏皮を与えると下痢をする? 食べさせるときの注意点

犬に鶏皮を食べさせる場合、いくつかの注意点があります。以下に解説します。
鶏肉アレルギーに注意!
犬にも食物アレルギーがあり、鶏肉に反応する犬もいます。最初に与えるときは必ず少量から始め、下痢や嘔吐、皮膚の赤みやかゆみが出ないか観察しましょう。異常が見られた場合はすぐに中止し、動物病院を受診してください。
鶏皮は必ず加熱する
生の鶏肉や鶏皮にはカンピロバクターなどの細菌が付着しています。人間と同じく犬にとっても食中毒のリスクになるため、必ず加熱してから与えましょう。しっかり熱を加えることで細菌は死滅し、脂分も落ちやすくなります。
茹でるなどして脂分を落とす
鶏皮は脂質を多く含むため、下処理が大切です。水洗いして表面のぬるぬるや余分な脂肪を落とした上で、茹でて油を抜くと消化しやすくなります。フライパンを使い、弱火でじっくり焼く方法もおすすめ。カリカリになるまで加熱すると、自然に脂が落ちてヘルシーになります。脂分を十分に落とさないと消化器官に負担がかかり、下痢や嘔吐の原因になるので注意してください。茹で汁も脂が多く含まれるため、与えることは避けましょう。
主食に影響しない量にとどめる
鶏皮は100g当たり約466kcalと非常に高カロリーです。目安としては、1日に与える総合栄養食の10%以内にとどめましょう。例えば、体重5kgの犬が1日200gのフードを食べている場合、鶏皮は20g程度が限度です。おやつやトッピングとして少量を与える程度にしましょう。
細かくカットして与える
鶏皮は弾力があるため、大きなまま与えると喉に詰まらせる危険があります。必ず細かくカットして、喉や消化管への負担を減らしてください。シニア犬や子犬には特に配慮が必要です。
鶏皮に含まれる栄養素とは?

鶏皮に含まれる主な栄養素を解説します。
コラーゲン
コラーゲンは皮膚や骨、関節、血管や内臓など体のあらゆる部分を構成するタンパク質です。体内で分解されるとアミノ酸になり、再びタンパク質を合成する材料として使われます。美しい被毛や健康的な関節の維持に役立つと考えられています。
ナイアシン
鶏皮には水溶性ビタミンの一種であるナイアシンが含まれています。ナイアシンはエネルギー代謝を助ける補酵素で、皮膚や粘膜の健康維持に欠かせません。犬のエネルギー代謝にも関与する重要な栄養素です。
不飽和脂肪酸
犬も人間と同様に、体内で多価不飽和脂肪酸を合成できないため、食事から摂取する必要があります。鶏皮には一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸が含まれており、脳や皮膚の健康をサポートします。ただし、取り過ぎると肥満の原因になるため、あくまで少量が基本です。
愛犬が喜ぶ鶏皮レシピ

鶏皮を使った簡単レシピをご紹介します。おやつにぴったりのカリカリ鶏皮と、栄養豊富なスープをぜひ作ってみてくださいね!
トッピング用カリカリ鶏皮(鶏皮せんべい)
【材料】
鶏皮:適量
【作り方】
- 鶏皮を熱湯で軽く茹でて余分な脂を落とす。
 - 水気を拭き取り、小さめにカットする。
 - 油をひかずにフライパンで鶏皮の両面がカリカリになるまで焼く。
 - ドライフードのトッピングや、ジャーキーのようにおやつとして与える。
 
香ばしい匂いが食欲を刺激します。
たまのごほうびに普段のフードへトッピングしたり、ジャーキーのようにおやつとして与えたりしてもいいでしょう。
カロリーが高いため、1日に与える総合栄養食の10%以内になるよう必ず計算して、毎日与えなくてもよいことを覚えておきましょう。
鶏皮のスープ
【材料】
- 鶏皮:適量
 - 水:鶏皮が浸る量
 
【作り方】
- 鍋に鶏皮と水を入れ、弱火でコトコト煮込む。
 - 火を止めて冷まし、表面に浮いた脂をしっかり取り除く。
 - 味付けは不要。フードに少量かけると風味が増す。
 
※カロリーが高いため、毎日ではなく週に数回程度にとどめる。
鶏皮を煮込むとコラーゲンが溶け出した栄養豊富なスープができます。食欲が落ちているときや、水分をあまり摂らないときにフードにかけると、風味が増して食べやすくなることがあります。
ただし高カロリーかつ脂分が多いため、そのまま与えることは避けてください。冷ましてから脂をできるだけ取り除いたスープを、あくまで補助的な工夫として少量取り入れるようにしましょう。
【Q&A】犬に生の鶏皮は食べさせてもいい? 腎臓病の犬に鶏皮のトッピングはOK?
鶏皮は身近な食材ですが、「生で与えてもいいの?」「鶏皮せんべいなら大丈夫?」「腎臓病の犬に与えても平気?」など、与え方について悩む飼い主さんは多いでしょう。ここでは、鶏皮に関するよくある疑問に答え、注意すべきポイントを解説します。
鶏皮は生で与えても大丈夫ですか?
生のまま与えるのは絶対に避けましょう。鶏肉にはカンピロバクターなどの細菌が付着している可能性があり、食中毒を引き起こす危険があります。必ず加熱し、冷ましてから与えるようにしてください。
鶏皮せんべいを犬に与えても大丈夫ですか?
市販の人間用の鶏皮せんべいは塩分や調味料が多く含まれるため、犬には適していません。家庭で味付けをせずに作り、十分に脂を落とせば、たまのご褒美に少量なら与えても問題ありません。尖った部分が口内を傷つける恐れがあるため、細かく砕いて与えましょう。
腎臓病の犬に鶏皮を与えても大丈夫ですか?
鶏皮は脂質が多く、リンやナトリウムといった腎臓に負担をかける成分も含まれており、おすすめできません。自己判断で与えるのは危険です。
脂肪やリンが少なめな部位(心臓:別名ハツなど)を少量与える方法もありますが、病状や個体差もあるため、獣医師の指導の下で行う必要があります。自己判断せずに、必ずかかりつけの獣医師に相談しましょう。
安全な犬用鶏皮おやつを用意しておこう
鶏皮は脂抜きなどの下ごしらえが大変ですね。忙しいときに、安心して与えられる犬用の鶏皮おやつを用意しておくと便利です。
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※売り切れや取り扱い終了の場合はご容赦ください。
※店舗により取り扱いが異なる場合がございます。
※一部商品は、店舗により価格が異なる場合がございます。
※上記商品は獣医師の監修外です。
まとめ
犬は鶏皮を食べても大丈夫ですが、高カロリーな部位でもあり「少量・加熱・油抜き」を守ることが大切です。
コラーゲンや不飽和脂肪酸などの栄養素も含まれていますが、与え過ぎると肥満や消化不良の原因になりかねません。
普段は捨ててしまいがちな部位ですが、工夫して使えば愛犬の健康と食生活に役立てられるでしょう。

















