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ちば愛犬動物フラワー学園所属。北里大学獣医畜産学部卒業 / 現在は専門学校に勤務しつつ、地域の動物病院にて勤務医として従事。

犬は砂肝を食べても問題ありません。ただし、生のまま与えるのは食中毒のリスクがあるので避けましょう。加熱処理をし、適量を守ることが大切です。
また、アレルギーや消化不良のリスクがあるため、与え方には注意が必要です。
この記事では、犬に砂肝を与える際のメリットや注意点、適切な量や調理方法などを獣医師の平田繭子先生監修のもと解説していきます。
※商品などの紹介は、本記事の獣医師の監修外であり、編集部による情報提供です。
目次
- 犬は砂肝を食べられる! まずは基本情報をチェック
- 犬が砂肝を食べるメリット
- 生のままはNG! アレルギーや下痢など犬に砂肝を与える際の注意点
- 適切な量と与える頻度の目安
- 犬に与える際の砂肝の安全な与え方
- こんなときは獣医師に相談を
- 愛犬が喜ぶ! 手作り砂肝レシピと犬用砂肝おやつ
- まとめ
犬は砂肝を食べられる! まずは基本情報をチェック
犬に砂肝を与える際は正しい知識を持つことが大切です。
ここでは、砂肝は鶏のどの部位のものなのか、また、砂肝に含まれる栄養素、子犬やシニア犬に与える際の注意点について解説します。
砂肝は肝臓(レバー)ではない
「砂肝」という名前から、肝臓(レバー)の一種だと思われがちですが、実際には鶏の胃の一部で、食べ物をすりつぶす働きを持つ筋肉質の器官です。
別名「砂ずり」とも呼ばれます。この部位の特性を理解することは、栄養や消化のしやすさを考えるうえで大切です。
砂肝は鉄分やビタミン類を含みますが、レバーのように極めて高いビタミンAを含むわけではなく、含まれる栄養の種類や量がレバーとは異なります。
脂質が少なく、独特の歯ごたえがあるのも特徴です。犬にとってはおやつやトッピングとして活用しやすい部位といえます。
砂肝の主な栄養成分
砂肝は、高タンパク質で低脂肪の食材です。そのほか鉄分や亜鉛、ビタミンK、ビタミンB12、ナイアシン(ビタミンB3)など、多くの栄養素を含んでいます。
これらの栄養素がバランス良く含まれているため、適切な量であれば犬の健康維持に役立つ食材といえます。
子犬やシニア犬には茹でてミンチ状にしてから与えて
子犬は消化器官が未発達であるため、砂肝を与える際は必ず加熱し、ごく少量から始めます。また、細かく刻むことで消化しやすくなります。
シニア犬は噛む力や消化機能が低下していることが多く、加熱してもそのままの形では硬く、食べにくく負担になる場合があります。よく茹でてやわらかくし、ミンチ状にして与えると安心です。
さらに、加齢により腎機能が低下している場合もあるため、持病や既往歴がある場合は必ず獣医師に相談してから与えるようにしましょう。
犬が砂肝を食べるメリット
砂肝は栄養価の高い食材であり、適量を守れば犬の健康維持に役立ちます。ここでは、体重管理、ミネラル補給、ビタミン摂取という3つのメリットに分けて解説します。
低カロリー・高タンパクで体重管理をサポート
砂肝は100gあたり約86kcalと低カロリーで、タンパク質は約18.3g含まれ、炭水化物や糖質はほとんど含まない食材です。
脂肪分も少なく、筋肉質な部位であるため、犬の筋肉や臓器の健康維持に欠かせない必須アミノ酸が豊富に含まれています。
そのため、肥満傾向にある犬や、運動量が多い犬にとって理想的なタンパク源といえます。
おやつや食事のトッピングとして加えることで、摂取カロリーを抑えながら、必要な栄養をしっかり補えるのが大きな利点です。
鉄分や亜鉛などミネラル補給に
砂肝には、犬の健康維持に重要なミネラルである鉄分や亜鉛が豊富に含まれています。
鉄分は赤血球内のヘモグロビン生成を助け、全身に酸素を運ぶ働きを支えます。特に、活動量の多い犬や貧血気味の犬には重要な栄養素です。
亜鉛は皮膚や被毛の健康維持、免疫機能の正常化などに関与します。
これらのミネラルは体内で生成できないため、食事から摂取する必要があります。砂肝はその補給源として優れた食材です。
ビタミン類も摂取できる
砂肝は、ビタミンB12、ビタミンK、ナイアシン(ビタミンB3)など、犬の代謝や健康維持に役立つビタミン類も含んでいます。
ビタミンB12は神経系や血液の健康を保ち、エネルギー代謝を円滑にします。
ビタミンKは血液凝固を助け、ケガや手術後の回復をサポートします。
ナイアシンは脂質や糖質の代謝に関わり、皮膚や消化器官の健康にも寄与します。
これらのビタミンをバランスよく摂取できることは、砂肝を犬の食事に取り入れる大きなメリットのひとつです。
生のままはNG! アレルギーや下痢など犬に砂肝を与える際の注意点
砂肝は適切に与えれば健康的な食材ですが、与え方によっては体調不良や健康被害につながる可能性があります。
ここでは、与える際の注意点を具体的に解説します。
生の砂肝は絶対にNG! 必ず加熱する
鶏肉や鶏の内臓には、サルモネラ菌やカンピロバクター菌といった食中毒の原因となる細菌や、寄生虫が付着している可能性があります。これらは犬にとっても危険で、下痢や嘔吐、発熱などの症状を引き起こす恐れがあります。そのため、砂肝は必ず中心部までしっかりと加熱してから与えましょう。
加熱した砂肝を与える際は、切った断面の色がピンクではなく白く変わっているかを確認することが大切です。加熱後すぐは熱すぎて口内にやけどをする恐れがあるため、十分に冷ましてから与えてください。
アレルギー反応を起こす可能性
砂肝は多くの犬にとって安全な食材ですが、まれにアレルギー反応を示す場合があります。
初めて与える際は、ごく少量から始め、与えた後の様子をしっかり観察しましょう。皮膚のかゆみ、発疹、耳の赤み、下痢や嘔吐などの症状が見られた場合は、すぐに与えるのを中止し、速やかに獣医師へ相談することが重要です。
アレルギーの症状は個体差が大きいため、過去に鶏肉で反応を示したことがある犬には特に慎重な対応が必要です。
消化不良を起こしやすい? 銀皮の処理が重要
砂肝の外側を覆う白く硬い膜は「銀皮(ぎんぴ)」と呼ばれ、非常に噛み切りにくく、消化にも時間がかかります。
そのまま与えると消化不良の原因となるため、必ず下処理の段階で取り除きましょう。また、砂肝本体も筋肉質で硬いため、大きな塊のまま与えると喉に詰まらせる危険があります。
加熱後に小さく刻む、あるいはミンチ状にするなど、食べやすく消化しやすい形に調理して与えることが大切です。
与えすぎは腎臓への負担や結石のリスクも
砂肝は高タンパク質でリンの含有量も比較的高いため、過剰に摂取すると腎臓に負担がかかる可能性があります。
特に、慢性腎臓病を患っている犬や、食事中のリン摂取量を制限する必要がある犬には不向きな食材です。
さらに、リンの過剰摂取は尿路結石のリスクを高めることもあります。
大量摂取や毎日与えるのは避けよう
砂肝は栄養価が高い一方で、主食として与えるのは適切ではありません。毎日与えたり大量に与えたりすると栄養バランスが崩れ、必要な栄養素の不足や過剰摂取による健康リスクが生じる可能性があります。
砂肝はあくまで「特別なおやつ」や「食事のトッピング」として活用し、与える量は少量に抑えることが望ましいといえます。
特別なご褒美や食欲促進のための風味付け程度に留めることで、健康的に取り入れることができます。
適切な量と与える頻度の目安
砂肝をおやつとして与える場合は、1日の総摂取カロリーの10%以内に抑えることが基本です。
体重別の目安としては、小型犬(5~10kg)で30~60g、中型犬(10~25kg)で60~120g、大型犬(25kg以上)で120~200g程度が参考となります。
サイズにより異なりますが、砂肝1個がおおよそ15~20gと考えると小型犬へは1日に1個で十分な量ということを覚えておきましょう。
健康な犬であっても与えすぎは避け、週に数回、少量を与える程度に留めることが推奨されます。
ただし、日々の運動量や健康状態によって適量は変わるため、愛犬の体調や体重変化を見ながら調整しましょう。
犬に与える際の砂肝の安全な与え方
砂肝を自宅で調理して与える場合は、適切に下処理をし、安全な方法で加熱する必要があります。
ここでは、下処理の手順や調理時の注意点などを解説します。
下処理方法:銀皮の取り除き方とカットのコツ
新鮮な砂肝を選ぶことが安全への第一歩です。鮮やかな赤色で、白い筋(銀皮)がやや青みがかった透明感を持つものが新鮮な証拠です。
砂肝は、2つのこぶがつながった形をしているため、こぶの間に縦に切り込みを入れ、指でつまんで引っ張るように銀皮を剥がします。
処理後は、犬が食べやすく消化しやすいよう、小さくカットします。特に小型犬やシニア犬には、細かく刻むか薄くスライスすると安心です。
加熱調理は必須! 茹でる・焼く際のポイント
砂肝は必ず加熱してから与えます。茹でる場合は、鍋に砂肝とたっぷりの水を入れ、中までしっかりと火が通るまで数分間茹でます。アクが出た場合はこまめに取り除くと風味が良くなります。
焼く場合は、油を使わずにフライパンやオーブンで加熱します。焦げ付かないよう火加減を調節し、内部までしっかり火を通すことが重要です。生焼けは食中毒の原因となります。なお、加熱後は十分に冷ましてから与えましょう。
味付けは不要! 人間用のものは与えないで
犬に与える砂肝には、塩、こしょう、醤油、ソースなどの調味料は一切必要ありません。犬用に調理する際は、味付けをせずに加熱し、素材のまま与えることが大切です。
特に注意が必要なのは人間用に味付けされた砂肝串や焼き鳥です。これらは塩分や糖分が過剰で、犬の健康を損なう可能性があります。タレや下味には玉ねぎやニンニクなど犬に有害な食材が含まれている場合もあるため、人間用に調理されたものは絶対に与えないようにしてください。
こんなときは獣医師に相談を
愛犬に砂肝を与えた後に異常が見られたり、持病があって与えること自体に不安があったりする場合は自己判断せずに獣医師に相談しましょう。
ここでは、相談すべき具体的なケースを紹介します。
砂肝を食べた後に体調不良が見られた場合
砂肝を与えた後に、皮膚のかゆみや発疹、赤み、フケなどの皮膚症状が出た場合は、アレルギー反応の可能性があります。また、嘔吐、下痢、軟便などの消化器症状や、目の充血、顔の腫れといった全身反応も注意が必要です。
さらに、元気がない、食欲不振といった体調の変化も見逃さないようにしましょう。
これらの症状は軽度であっても放置すると悪化することがあります。少しでも異変を感じたら、与えるのを中止し、速やかに獣医師へ相談することが大切です。
持病がある犬に与える前の相談
腎臓病、膵炎、食物アレルギー、尿路結石症などの持病がある犬は、砂肝の成分が症状を悪化させる恐れがあります。
たとえば、腎臓病の犬はリンやタンパク質の摂取量に制限が必要な場合も多く、膵炎では高タンパク食材が負担になることもあります。また、療法食を与えている犬は、食事内容が厳密に管理されているため、砂肝の追加は栄養バランスを崩す可能性があります。
持病や食事管理の有無にかかわらず、不安がある場合は必ず獣医師に相談してから与えるようにしましょう。
愛犬が喜ぶ! 手作り砂肝レシピと犬用砂肝おやつ
砂肝は家庭で簡単に調理できるだけでなく、市販の犬用おやつとしても豊富に販売されています。ここでは、手作りレシピとおすすめの市販品をご紹介します。
茹で砂肝や電子レンジで手づくりおやつを!
下処理をした砂肝を茹でて細かく刻み、そのまま与えたりドッグフードのトッピングにしたりすると食いつきが良くなります。
また、砂肝を使った市販のペースト状おやつを使えば簡単にジャーキー風おやつも作れます。以下で、砂肝や鶏ささみのペースト状おやつを使ったレシピを紹介しているので参考にしてください。
市販のおやつ「犬用の砂肝ジャーキー」もおすすめ
手作りする時間がない場合は、市販の犬用砂肝おやつが便利です。カインズオンラインショップには、安全性と嗜好性を兼ね備えた商品がそろっています。
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まとめ
鶏の砂肝は、低脂肪・高タンパクで栄養価が高く、犬のおやつや食事のトッピングとして活用できる優れた食材です。
ただし、生で与えるのは食中毒の危険があるため必ず加熱し、銀皮を除去するなどの下処理を行いましょう。与える量は1日の総摂取カロリーの10%以内を目安とし、アレルギーや持病がある場合は獣医師に相談することが大切です。
安全な与え方を守れば、愛犬にとって特別なおやつとして健康的に楽しめます。
※売り切れや取り扱い終了の場合はご容赦ください。
※店舗により取り扱いが異なる場合がございます。
※一部商品は、店舗により価格が異なる場合があります。
※上記商品は獣医師の監修外です。