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ヤマザキ動物看護大学准教授、愛玩動物看護師、ペットグルーミングスペシャリスト。教育気・研究の現場だけでなく、数々のテレビ出演や、執筆活動など幅広く活躍。
ミニチュア・シュナウザーは定期的なトリミングが必要です。カットの種類も多数ありますので、ぜひ愛犬に似合うカットスタイルを見つけてみましょう。
この記事では、ミニチュア・シュナウザーのカットのタイミングや種類、カットでのポイントなどを解説します。
自宅でカットするときのコツについてもまとめましたのでミニチュア・シュナウザーのカットでお悩みでしたら、ぜひ参考にしてください。
目次
- ミニチュア・シュナウザーの被毛が持つ特徴
- ミニチュア・シュナウザーのカットのタイミング
- ミニチュア・シュナウザーの代表的なカットの種類
- 【夏&冬】ミニチュア・シュナウザーのカットでのポイント
- ミニチュア・シュナウザーの毛を自宅でカットするときのコツ
- まとめ
ミニチュア・シュナウザーの被毛が持つ特徴
ミニチュア・シュナウザーはダブルコートの犬種です。被毛は、硬めのオーバーコートと柔らかなアンダーコートで構成されています。
ダブルコートの犬は年に2回の換毛期があり、大量の抜け毛に悩まされる飼い主さんも少なくありません。
しかしミニチュア・シュナウザーは、ほとんど換毛期がない珍しい犬種です。抜け毛はないものの、そのままにしておくとオーバーコートが伸び続けてしまいます。
もつれや毛玉もできやすいことから、ミニチュア・シュナウザーには定期的なトリミングが必要です。衛生面も考慮して、シャンプーは月に2回を目安に行いましょう。
ミニチュア・シュナウザーのカットのタイミング
ミニチュア・シュナウザーのカットは、1か月に1回の頻度が目安です。シニア犬だとカットが負担になるため、2か月に1回を目安にしましょう。
ミニチュア・シュナウザーのような硬い毛質には、プラッキング(ストリッピング)というお手入れもあります。トリミングナイフを使って被毛を間引く方法です。
プラッキング(ストリッピング)には毛質を硬くしたり退色を防いだりする効果もありますが、ショーに出ないミニチュア・シュナウザーなら、プラッキング(ストリッピング)は必須ではありません。
特殊な技法のため、行うなら早めにトリマーさんに相談しましょう。
ミニチュア・シュナウザーの代表的なカットの種類
同じミニチュア・シュナウザーでも、似合うカットは犬によって違うものです。選ぶカットの方法によっては、普段のお手入れもしやすくなります。
ミニチュア・シュナウザーの代表的なカットの種類を紹介しますので、ぜひ参考としてお役立てください。
シュナウザーカット
スタンダードスタイルと呼ばれているのが「シュナウザーカット」です。ミニチュア・シュナウザーと聞くと、シュナウザーカットのスタイルを思い浮かべる人が多いでしょう。
シュナウザーカットでは、眉毛、ヒゲ、手足の被毛は長く伸ばし、耳の周囲や頬などは短くカットします。きりっとした印象になるため、シュナウザーカットは男の子には特に多いスタイルです。
女の子なら、少しアレンジして眉毛やヒゲを丸くカットする方法もあります。
シュナウザーカットは、口まわりが汚れやすくなるため注意が必要です。食後は口まわりを拭き取り、清潔にしてあげましょう。
トップノット
女の子にぴったりなカットが、頭部の被毛を伸ばす「トップノット」です。トップノットにすると、伸ばした毛をリボンで結べます。
伸ばした毛を結ぶため、目のまわりがすっきりするうえに、目のトラブル予防にも効果的です。
頭部を結ぶときは、絡まないように専用のゴムを使いましょう。
またトップノットにする場合、被毛を結びっぱなしにしないよう、気をつける必要があります。結びっぱなしは皮膚が蒸れたり、毛玉ができたり、被毛が傷む原因になります。
被毛にダメージを与えないよう、1日に1回は必ず結び直しましょう。
テディベアカット
くまのぬいぐるみのような姿を楽しめるのが、「テディベアカット」です。バリカンを使わずハサミで仕上げるカットであるため、ふわふわした雰囲気になります。
また眉毛を短めにカットするため、目の可愛らしさを際立たせられるでしょう。テディベアカットは、耳の毛の長さによって印象が大きく変わるのが特徴です。
顔まわりが短くなるため、普段のお手入れがしやすくなります。
ただしテディベアカットの場合、耳の付け根部分が絡まりやすいため注意しましょう。外耳炎を防ぐためにも、耳の中にある毛はしっかり処理してもらってください。
プードルカット
ミニチュア・シュナウザーなら「プードルカット」も似合います。プードルの伝統的なスタイルである「コンチネンタルクリップ」というスタイルです。
プードルカットでは、顔や体の毛は短くカットして、足先、しっぽの毛は丸くカットします。丸みがあるため、可愛らしい印象に見えるのが特徴です。
モヒカンカット
頭頂部にある被毛を立ち上げるのが、男の子におすすめの「モヒカンカット」です。スタンダードカットに少しアレンジを加えるだけでつくれます。短期間で元に戻せるので、初めてのデザインカットにおすすめです。
三角のモヒカンを作る、毛を伸ばしてリーゼント風にするなど、アレンジもしやすいカットです。
毛の立ち上がらせ方によって、大きく印象が変わりますので、愛犬の顔立ちに合わせていろいろ試してみましょう。
モヒカンカットにするなら、サイドの毛量に注意が必要です。短く刈り込んでしまうと、紫外線による皮膚へのダメージや、熱中症のリスクがあります。
またバリカンでの刈り込みで被毛の質が変化する可能性もあるため、刈り過ぎないよう注意してください。
サマーカット
暑い夏には、全身を短くカットする「サマーカット」を選ぶのもおすすめです。
全身の被毛がすっきりするため、サマーカットは活発な印象を与えます。年齢、性別を問わずに愛されているスタイルです。
モヒカンカットと同じように、サマーカットも刈り過ぎに気をつけなくてはなりません。被毛を短くし過ぎると、皮膚の炎症や熱中症になるリスクがあります。
愛犬の健康のためにも、被毛の刈り過ぎには気をつけましょう。
たてがみカット
個性的で可愛らしいのが、ミニチュア・シュナウザーの「たてがみカット」です。
後頭部からしっぽにかけて、馬のたてがみのように中央部分の被毛を長めに残し、他を短くします。耳まわりの毛を短くすると、たてがみの印象をより一層強められるでしょう。
たてがみカットは全体の毛が短いため、普段のお手入れがしやすくなります。ただしモヒカンカットやサマーカットと同じように、被毛の刈り過ぎには注意が必要です。
まつ毛残しカット
チャーミングで女の子に向いているのが、ミニチュア・シュナウザーの「まつ毛残しカット」です。
ミニチュア・シュナウザーは、まつ毛が太く長く伸びるという特徴があります。その特徴をうまく生かしたカットが、まつ毛残しカットです。
眉毛は長いままにしておいても構いません。しかし眉毛を短くすることによって、まるでエクステのようにまつ毛が目立ちます。チャーミングな印象にしたいなら、眉毛を短くするのがおすすめです。
【夏&冬】ミニチュア・シュナウザーのカットでのポイント
ミニチュア・シュナウザーは被毛が長く伸びる犬種です。夏と冬でカットを変えてあげると、暑さや寒さの対策に役立ちます。
夏の暑さ対策には、全体の毛を短くするのがおすすめです。ただしバリカンを使って刈り過ぎてしまうと日光を遮れなくなり、皮膚の炎症や熱中症につながるため注意しましょう。
冬は長めのカットにしておくと、体温保持やヒートショック対策として役立ちます。トリマーさんと相談しながら、季節に合ったカットを選んでください。
ミニチュア・シュナウザーの毛を自宅でカットするときのコツ
ミニチュア・シュナウザーの本格的なカットを自宅で行うのは、簡単ではありません。カット方法を紹介している動画は多数ありますが、慣れるまで時間がかかるでしょう。
またセルフでのカットには失敗のリスクもあります。本格的なカットをしたいならプロのトリマーさんに依頼するのをおすすめします。
ただしミニチュア・シュナウザーは毛量が多い傾向があります。気になる部分をセルフカットできるようになると、サロンに行く回数を削減できます。
部分カットの方法を2つ紹介しますので、自宅でカットするときの参考にしてください。
足裏の毛をカットする方法
足裏の毛が伸びてしまうと、フローリングでの転倒につながってしまいます。怪我を防ぐために、足裏の毛は普段からチェックして、こまめにカットしましょう。
安全面から考えると、足裏カットでのおすすめはバリカンです。バリカンを肉球に対して平行にあてたら、はみ出ている毛を外側から内側に向かってカットします。
残った毛は少しずつ、バリカンやハサミなどでカットしてあげてください。愛犬が大きな音を嫌うなら、静音タイプのバリカンを選んであげましょう。
肛門周辺の毛をカットする方法
ミニチュア・シュナウザーの被毛が伸びてくると、肛門周辺に排泄物がつきやすくなってしまいます。肛門周辺の毛をカットできるようになっておくと便利です。
しっぽを持ち上げたら、肛門にかかっている毛をカットしましょう。バリカンを使う場合には、刃先を肛門の外に向けて軽くあてながら切ってください。
すきバサミを使う場合は、肛門を傷つけないよう注意しながら少しずつカットしていきます。
まとめ
ダブルコートで毛が長く伸びるミニチュア・シュナウザーには、定期的なトリミングが必要です。カットの種類によって大きく雰囲気が変わるのは、ミニチュア・シュナウザーの魅力だといえるでしょう。
夏と冬ではカットの種類を変えてあげると体温調節に役立ちます。基本的にはサロンでのプロによるトリミングがおすすめですが、自宅で行う場合は怪我をさせないよう気をつけましょう。