ジャイアント・シュナウザーの性格や特徴は？飼い方のコツや寿命などについて解説【獣医師監修】

犬種名	ジャイアント・シュナウザー
英語名	Giant Schnauzer
原産国	ドイツ
分類	超大型犬
グループ	2G：使役犬

ジャイアント・シュナウザー【英語：Giant Schnauzer】は、ドイツが原産の超大型犬です。
ジャパンケネルクラブの犬種分類では、番犬や警護、作業をする「2G：使役犬」に属します。

ジャイアント・シュナウザーの起源は非常に古く、祖先はラフ・コーテッド・ピンシャーと呼ばれたドイツの農場でネズミ退治をしていた犬です。

被毛が長くて剛毛なのがスタンダード・シュナウザーに、短毛なのがジャーマン・ピンシャーとなりました。そのため体型や性質は両者よく似ています。犬種名の“シュナウザー”とはドイツ語で「口髭」という意味があります。

シュナウザーはサイズ違いで、ジャイアント・シュナウザー、スタンダード・シュナウザー、ミニチュア・シュナウザーの３種類あります。

それぞれよく似ていますが、水鳥の猟犬として改良されたスタンダード・シュナウザーからジャイアント・シュナウザーとミニチュア・シュナウザーが作出されたとされています。ジャイアント・シュナウザーは、グレート・デーンなどとの交配で生まれました。

ジャイアント・シュナウザーは、1913年に犬種として認定されています。超大型で優れた嗅覚を持ち、牧牛犬として活躍していましたが、現在では警察犬としても活躍しています。

体高：オス・メスともに60～70cm
体重：オス・メスともに35～47kg

ジャイアント・シュナウザーは超大型犬に分類されます。

ジャイアント・シュナウザーの平均寿命に関するデータはありませんが、『アニコム家庭どうぶつ白書2021』によると、大型犬の平均寿命は11.4歳となっています。ジャイアント・シュナウザーは超大型犬なので、これより平均寿命が短い可能性があります。

犬を迎える際は、最期の時までしっかり世話ができるかを考えておきましょう。
犬をみとる頃に自分は大体何歳になるか、犬の介護ができるか、自分の生活環境や経済状況などもあわせて考えなければなりません。

犬を迎えようと考えているシニアの方は保護犬などで成犬を迎えるケースも検討するほか、万が一自分が世話できなくなった場合を想定しておくことも重要です。犬の世話を頼めそうな人にあらかじめ相談して承諾を得てから迎えたり、老犬ホームといった預かり先を決めたりして急な環境の変化に備えておきましょう。

ジャパンケネルクラブの犬種標準によると、ジャイアント・シュナウザーの毛色は次の３種とされています。

・ブラックの下毛をもつピュア・ブラック
・グレーの下毛を持つソルト・アンド・ペッパー
・ブラック・アンド・シルバー

被毛はワイヤー状で粗いトップコートと、短くて柔らかいアンダーコートが密生したダブルコートです。

体は大きく存在感があり、がっしりと力強い四角ばった体型です。顔は、長いヒゲと眉毛が特徴です。
耳は折れているか、自然に立つ場合もありますが、断耳して立たせることもあります。
尾は断尾して短くする慣習がありましたが、近年では動物愛護の観点から行わない傾向にあります。

ジャイアント・シュナウザーは、穏やかな性格で、家族や子どもに愛情深く接します。
特に自分より小さいものを守ろうとする性質があるため、子どもには親切です。

しかし大人しい性質の反面、祖先は猟犬として改良されてきたため感覚はとても鋭敏で勇敢さも持ち合わせています。警戒心が強い性質もあるので、番犬としても優秀です。
さらに独立心が高く、優れた判断能力もあるため、警察犬や軍用犬としても活躍しています。

犬を飼い始めるとき、飼い続ける際にかかる一般的な費用について説明します。

タイミング	内訳	費用の目安
迎えるとき	ペットショップ、ブリーダー	約30万円～
飼い始めるとき	畜犬登録料	約3,000円
	生活用品（クレートやケージなど）	約5～7万円
1年に1回かかる費用	狂犬病予防接種費	約3,500円
	混合ワクチン接種費	約5,000～10,000円
毎月かかる費用	消耗品（フードやおやつなど）	約5,000～10,000円

飼い始める際にかかる費用

ジャイアント・シュナウザーは、ペットショップでの販売は珍しく、専門のブリーダーや輸入、里親制度が主な入手方法です。

他にも愛犬を迎えるには友人や知人から譲り受ける、譲渡会に参加する、保護犬を迎え入れるといった方法もあります。また、ジャイアント・シュナウザーは自治体によって飼育に規制がある場合もあるため、事前に確認しましょう。

犬を飼い始めるときには飼い始めてから30日以内に（子犬の場合は生後91日を経過してから30日以内に）お住いの自治体に犬の登録（登録料は3,000円程度）を行うほか、混合ワクチン接種費や狂犬病予防接種費も必要になります。

母犬の初乳から得た免疫は徐々に低下していくため、混合ワクチンを子犬期に計3回接種してさまざまな感染症を防ぐ必要があります。

子犬を迎える際の月齢によっては、ペットショップ側でワクチンを3回打っているため、生体代と一緒にワクチン代も支払います。3回すべて打っていない場合は、飼い主が動物病院に連れて行って接種させましょう。

狂犬病予防接種は生後91日を過ぎたすべての犬が年に1回摂取するよう法律で定められており、子犬の場合は混合ワクチンの接種を終えて2週間過ぎたタイミング（およそ生後110日前後）で打たせます。

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飼い続けるために必要な費用

犬を養育するうえでの生涯コストは、ドッグフードやペットシーツ、留守番時のエアコン代、一般医療費、トリミング代、レジャー費など200～300万円といわれています。

しかし体の大きい犬種だとグッズ代やトリミング代などが高額になるなど犬種によって大きく異なるため、目安としてジャイアント・シュナウザーの場合は平均より高額になると考えておきましょう。

なかには僧帽弁閉鎖不全症など手術費が100万円以上になる病気にかかる場合や、アレルギーなどによって継続的な通院や投薬の費用がかかることもあります。犬を迎えるにあたっては、計画的な貯金やペット保険の利用なども検討し、予期せぬ出費にも対応できるかよく検討しておきましょう。

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犬を迎える際に必要な生活用品としては、クレートやケージ、サークルをはじめ、首輪やリード、食器、給水器、ドッグフード、トイレなどが挙げられます。

また犬が遊べるようおもちゃも用意するとよいでしょう。ジャイアント・シュナウザーは体が大きく、多くの運動を必要とするため、ドッグランなどで自由に走らせたり、ボールやフライングディスクなどを揃えたりして遊んであげるのがおすすめです。

犬の生体代を除く初期費用としては、一般的には5～7万円程度ですが、ジャイアント・シュナウザーは体が大きくなるため、クレートやケージ、サークル費用は平均より高くなる傾向にあります。

毎月の消耗品としては、ドッグフードやおやつ、トイレシーツ、歯ブラシやボディシートなどが挙げられます。一般的に毎月の平均額は5,000円～10,000円ほどですが、ジャイアント・シュナウザーは体が大きいので食事量は多く、トイレシーツも大型タイプを選ぶ必要があるので平均よりかかると見込みましょう。

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2022年6月から、ペットショップやブリーダーで販売される犬や猫にマイクロチップの装着が義務化されました。マイクロチップは思わぬ事故や災害で迷子になってしまった時に、保護された犬を飼い主のもとへ返すための重要な役目を果たします。

装着費用は3,000～5,000円程度で、さらに飼い主の氏名や住所、電話番号などの情報登録料としてかかります。登録はオンライン申請で300円、郵送する場合は1,000円です。

ドアを開けた際に外へ飛び出したり、散歩中大きな音に驚いて逃げてしまったりなど、飼い主の不注意やアクシデントで犬は迷子になってしまう可能性があります。

そのため、ジャイアント・シュナウザーを迎える際は迷子対策もしっかり講じましょう。迷子対策としてはマイクロチップの装着のほかに、迷子札などの導入が挙げられます。

迷子札は、飼い主の連絡先を記載したキーホルダーで犬の首輪に装着します。値段は1,000～5,000円程度で、素材やデザインによって異なります。

そのほか、家からの飛び出しを防ぐために玄関にゲートを設置するといった対策をとるのもおすすめです。

ジャイアント・シュナウザーは、穏やかな性格で賢いため、トレーニングは得意な犬種です。

しかし独立心が強いため、飼い主が信頼できるリーダーでないと判断されると自分の考えで行動をしてしまうケースがあります。

体が大きく育ち、それなりの力もあるので、しっかりと飼い主が犬の興奮や力をコントロールできなくてはいけません。子犬の頃から毅然とした態度で一貫した訓練を行い、信頼関係をきちんと維持することが大切です。

また警戒心が少し強い面があるため、子犬の頃からたくさんの人に会わせ、多くの経験をさせることで、見知らぬことに対して過剰な警戒心を持たないよう社会性を育てていきましょう。

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✓散歩：30分以上を1日2回
✓運動量：多め
✓おすすめの遊び： ボールやフライングディスク遊び

体の大きなジャイアント・シュナウザーは、その分多くの運動量を必要としますが、関節に負荷がかからないように激しい運動よりは長時間散歩の方が向いています。しかし、ドッグランなど広い場所で自由に走らせてあげることも必要です。

狩猟犬の本能から、追うことが大好きなので、ボールやフライングディスクなどで遊んであげましょう。

✓子どものいる家庭でも大丈夫
ジャイアント・シュナウザーは、子どもにも良く慣れる犬種だといわれています。

✓超大型犬のトレーニングをできる人
体が大きい犬種なので、ちょっとしたことが事故につながることがあります。しっかりと犬の興奮をコントロールできるように訓練できなくてはいけません。

✓力持ちで体力のある人
体重が50kg近くになる大きな体と力を制御できるくらい力持ちで、一緒に運動できる体力のある人が向いているでしょう。

ジャイアント・シュナウザーがかかりやすい代表的な病気と対策方法を知っておきましょう。

✓胃捻転
体の大きな犬にリスクの多い病気です。胃がねじれてしまい、短時間で急激に全身状態が悪化する危険な病気です。緊急手術が必要になるケースもあります。原因となる早食い、ドカ食いをさせないようにしたり、食後の運動を控えたりするなどの予防策を意識しましょう。

✓股関節形成不全
体の大きな犬にリスクの多い病気です。成長過程で、股関節に異常が出て痛みや歩行障害が起こります。急激な肥満などが誘発することがあるので、体重管理を心がけましょう。

✓皮膚炎
シュナウザーは脂質代謝が苦手で、皮膚炎・尿石症・膵炎になりやすい犬種です。ブラッシングやシャンプーなどのお手入れで皮膚を清潔に保って予防しましょう。

✓ブラッシング：毎日
✓シャンプー：１カ月に１回程度
✓トリミング：必要

全身を覆う豊富なコートは、毎日のお手入れが必要です。
ブラッシング以外にもスキンシップの時間も兼ねて、表面からは分かりづらい皮膚の状態をチェックしたり、日々触れ合う時間を作ったりすることで、愛犬との信頼関係も高まります。

歯みがきは毎日～3日に1回、耳掃除は1カ月に1、2回、外耳炎治療の場合は1週間に1、2回となることもあります。爪切りは1カ月に1回程度の頻度で行います。肛門腺絞りは必要のないことが多いですが、自分で出しづらい犬の場合、1カ月に1回程度がよいでしょう。
また足裏の肉球間の毛が伸びると、フローリング床などで滑りやすくなるためカットしてください。

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✓トレーニングをしっかり行うこと
ジャイアント・シュナウザーは超大型犬のため、ちょっとしたことが事故につながってしまうことも考えておきましょう。頑丈なケージを用意したり、入ってほしくない場所には入れないように仕切りを設置したりするなどして事故を予防します。また力が強いので、人や動物に飛びついたりしないよう、日頃からのトレーニングも大切です。

✓飼育スペースは十分な広さを確保！飼育費も準備して
ジャイアント・シュナウザーを含む超大型犬は、トイレも寝る場所も大きな体の分広さが必要になります。犬がゆっくりとくつろげる大きさのケージが必要です。さらに、食費やペットシーツ代などの消耗品や、医療費、ペットホテル費なども、小型犬、中型犬より高額になります。住居スペースや金銭的な負荷を考慮したうえで迎え入れるようにしましょう。

✓熱中症に注意！
黒い被毛を持つ犬は、全身で太陽光の熱を吸収しやすいため注意が必要です。晴天下で過ごす際は特に、口呼吸（パンティング）が激しくないか、体が熱くなっていないかこまめに確認しましょう。屋外では、充分な水分補給や保冷剤を首に巻くなど、暑さ対策は万全に。

✓自治体の特定犬制度の対象か確認、準備しよう
ジャイアント・シュナウザーを含む大型犬や超大型犬は、人に危害を与える可能性がある特定犬として飼育規制が設けられている自治体があります。各自治体で定められている遵守事項のほか、飼養義務があるためジャイアント・シュナウザーを飼う際は条件を満たす環境であるか、確認しておきましょう。