公開
ヤマザキ動物看護大学准教授、愛玩動物看護師、ペットグルーミングスペシャリスト。教育気・研究の現場だけでなく、数々のテレビ出演や、執筆活動など幅広く活躍。
ふわふわで真っ白な毛が特徴のボロニーズですが、ボロニーズを初めて飼う場合に気になるのが、どんな性格をしていて飼いやすいかどうかではないでしょうか。そこで今回は、ヤマザキ動物看護大学動物看護学科准教授、ドッググルーミングスペシャリストの福山貴昭先生に教えていただいた、ボロニーズの性格や特徴、かかりやすい病気やしつけのポイントなどについて解説していきます。
目次
- ボロニーズの歴史やルーツ、英語名は?
- ボロニーズのオスとメスの体高や体重は?
- ボロニーズの平均寿命は?
- ボロニーズの毛色の種類、被毛、外貌の特徴は?
- ボロニーズはどんな性格、習性?
- ボロニーズを迎える際にかかる費用は?
- ボロニーズのしつけと社会化トレーニングのポイント
- ボロニーズに必要な運動量や散歩の目安、おすすめの遊びは?
- ボロニーズを飼うのに向いている人は?
- ボロニーズがかかりやすい病気と予防法は?
- ボロニーズの日常のお手入れ方法
- ボロニーズとの生活で注意すべきことは?
ボロニーズの歴史やルーツ、英語名は?
犬種名 | ボロニーズ |
英語名 | Bolognese |
原産国 | イタリア |
分類 | 小型犬 |
グループ | 9G:愛玩犬 |
ボロニーズの起源は諸説あり、紀元前3世紀から紀元後4世紀のローマ時代にすでに存在していたという説もあります。その後、ルネッサンス時代には王室や貴族たちに愛され、友好の証として贈り物や献上品に用いられていたようです。オーストリアのマリア・テレジア、ロシアのエカテリーナ妃など、高貴な人々の愛玩犬として大切に育てられ、その様子はティツィアーノやブリューゲル、ゴヤなど宮廷画家の絵画にも描かれています。
英語名はBolognese です。名前の由来は、イタリアのボローニャが原産とされているためといわれています。多くはイタリア国内で飼われ、日本を含む国外では希少な犬種です。
ボロニーズのオスとメスの体高や体重は?
体高:オス27~30cm、メス25~28cm
体重:オス2.5~4kg、メス2.5~4kg
ボロニーズは小型犬に分類され、体高と体長がほぼ等しい正方形の体つきが特徴です。小型犬の中でも小さな体つきです。個体差はありますが、オスの方が少し大きくなります。
ボロニーズの平均寿命は?
ボロニーズの平均寿命は13~15歳とされています。『アニコム家庭どうぶつ白書2021』によると、小型犬の平均寿命は14.4歳のため、ほぼ変わらないといえるでしょう。
犬を迎える際は、最期のときまでしっかり世話ができるかを考えておきましょう。
犬をみとる頃に自分は大体何歳になるか、犬の介護ができるか、自分の生活環境や経済状況などもあわせて考えなければなりません。
犬を迎えようと考えているシニアの方は保護犬などで成犬を迎えるケースも検討するほか、万が一自分が世話できなくなった場合を想定しておくことも重要です。犬の世話を頼めそうな人にあらかじめ相談して承諾を得てから迎えたり、老犬ホームといった預かり先を決めたりして急な環境の変化に備えておきましょう。
ボロニーズの毛色の種類、被毛、外貌の特徴は?
ボロニーズの毛色はピュア・ホワイトで、斑もホワイトのシェードも全くありません。毛色は純白であればあるほど珍重されます。体毛はとても柔らかくボリュームがあり、被毛は長毛、シングルコートで抜け毛が少ないのが特徴です。
外貌は小型で、ずんぐりとした体形をしています。ふわふわの被毛に隠れた耳は垂れています。
ボロニーズはどんな性格、習性?
ボロニーズは素直で優しく、明るい性格です。もともと愛玩犬として育てられてきた犬種で、飼い主にとてもよく懐きます。普段は落ち着いていますが、人と一緒に遊んだり甘えたり、飼い主に構ってもらうことが大好きです。従順でトレーニングがしやすく、犬を初めて飼う人にも飼いやすい犬でしょう。
ボロニーズは基本的には比較的おとなしい犬種です。しかし、育て方によっては、警戒心から来訪者に吠えることがあります。子犬の頃からしっかりとトレーニングすることが大事です。
ボロニーズを迎える際にかかる費用は?
ボロニーズを飼い始めるとき、飼い続ける際にかかる費用について説明します。
タイミング | 内訳 | 費用の目安 |
迎えるとき |
犬の生体代 |
約40万円前後 |
飼い始めるとき | 畜犬登録料 | 約3,000円 |
生活用品(クレートやケージなど) | 約5~7万円 | |
1年に1回かかる費用 | 狂犬病予防接種費 | 約3,500円 |
混合ワクチン接種費 | 約5,000~10,000円 | |
毎月かかる費用 | 消耗品(フードやおやつなど) | 約5,000~10,000円 |
飼い始める際にかかる費用
ボロニーズのブリーダーは非常に少なく、ペットショップにいるケースはほとんどありません。迎える費用は一般的に35万円ほどといわれていますが、ブリーダーや月齢などで異なります。他にも愛犬を迎えるには友人や知人から譲り受ける、譲渡会に参加する、保護犬を迎え入れるといった方法もあります。
犬を飼い始めるときには飼い始めてから30日以内に(子犬の場合は生後91日を経過してから30日以内に)お住いの自治体に犬の登録(登録料は3,000円程度)を行うほか、混合ワクチン接種費や狂犬病予防接種費も必要になります。母犬の初乳から得た免疫は徐々に低下していくため、混合ワクチンを子犬期に計3回接種してさまざまな感染症を防ぐ必要があります。子犬を迎える際の月齢によっては、ペットショップ側でワクチンを3回打っているため、生体代と一緒にワクチン代も支払います。3回全て打っていない場合は、飼い主が動物病院に連れて行って接種させましょう。
狂犬病予防接種は生後91日を過ぎた全ての犬が年に1回接種するよう法律で定められており、子犬の場合は混合ワクチンの接種を終えて2週間過ぎたタイミング(およそ生後110日前後)で打たせます。
犬を飼うための初期費用や毎月の支出についてもっと詳しく知りたい方はこちらもおすすめ!
>犬を飼うのにかかる費用はどれくらい?初期費用や毎月の支出を解説【獣医師監修】
飼い続けるために必要な費用
犬を養育する上での生涯コストは、ドッグフードやペットシーツ、留守番時のエアコン代、一般医療費、トリミング代、レジャー費など200~300万円といわれています。なかには僧帽弁閉鎖不全症など手術費が100万円以上になる病気にかかる場合や、アレルギーなどによって継続的な通院や投薬の費用がかかることもあります。犬を迎えるにあたっては、計画的な貯金やペット保険の利用なども検討し、予期せぬ出費にも対応できるかよく検討しておきましょう。
犬を飼う際に生涯かかる費用についてもっと詳しく知りたい方はこちらもおすすめ!
>迎える前に知っておこう!犬の一生にかかるお金はどれくらい?
ボロニーズを迎える際に必要な生活用品としては、クレートやケージ、サークルをはじめ、首輪やリード、食器、給水器、ドッグフード、トイレなどが挙げられます。
また犬が遊べるようおもちゃも用意するとよいでしょう。ボロニーズは人と遊ぶのが好きな性格のため、室内でも遊べるボールやおもちゃなどがおすすめです。
犬の生体代を除く初期費用としては、5~7万円程度を見込みましょう。
毎月の消耗品としては、ドッグフードやおやつ、トイレシーツ、歯ブラシやボディシートなどが挙げられます。一般的に毎月の平均額は5,000円~10,000円ほどです。ボロニーズはふわふわの長毛で毛量もボリュームがあるため、ブラッシングや自宅でのシャンプーといったケア用品を揃えておくのが安心です。
犬を飼うための初期費用や毎月の支出についてもっと詳しく知りたい方はこちらもおすすめ!
>犬を飼うのにかかる費用はどれくらい?初期費用や毎月の支出を解説【獣医師監修】
2022年6月から、ペットショップやブリーダーで販売される犬や猫にマイクロチップの装着が義務化されました。マイクロチップは思わぬ事故や災害で迷子になってしまったときに、保護された犬を飼い主のもとへ返すための重要な役目を果たします。装着費用は3,000~5,000円程度で、さらに飼い主の氏名や住所、電話番号などの情報登録料としてかかります。登録はオンライン申請で300円、郵送する場合は1,000円です。
ドアを開けた際に外へ飛び出したり、散歩中大きな音に驚いて逃げてしまったりなど、飼い主の不注意やアクシデントで犬は迷子になってしまう可能性があります。そのため、ボロニーズを迎える際は迷子対策もしっかり講じましょう。迷子対策としてはマイクロチップの装着のほかに、迷子札などの導入が挙げられます。
迷子札は、飼い主の連絡先を記載したキーホルダーで犬の首輪に装着します。値段は1,000~5,000円程度で、素材やデザインによって異なります。
そのほか、家からの飛び出しを防ぐために玄関にゲートを設置するといった対策をとるのもおすすめです。
ボロニーズのしつけと社会化トレーニングのポイント
ボロニーズは飼い主に従順で、褒められることに喜びを感じますから、褒めて伸ばすトレーニングが向いています。臆病な面があり、感受性も強いので強く注意し過ぎないことがポイントです。上手にできたときはしっかり褒めて、スキンシップの時間をたっぷり取りましょう。基本的にトレーニングがしやすい犬種なので、子どもから年配の方まで安心して接することができます。
トレーニングをしていくなかで、子犬期の強い好奇心や、運動不足のストレスによって、家具など本来噛んではいけないものを噛むことがあります。こうしたいたずらは誤飲などの重大な事故につながることもあるので注意が必要です。犬がして欲しくないことをしたときは、必ずその場でやめさせて、代わりのおもちゃを与えるなど、してもいい行動へと誘導してあげましょう。
遊びが大好きで、やんちゃな面もあるので、子犬の頃からきちんとトレーニングをすることが大事です。ほかの犬に対して、最初は警戒心を持つことがありますが、子犬の頃から社交性を身に付けるトレーニングをしておけば、散歩の際にもすぐに慣れて仲良くできます。
また、留守番は苦手なので、子犬の頃から短時間の留守番でトレーニングをして、徐々に慣らしていきましょう。
犬の社会化についてもっと詳しく知りたい方はこちらもおすすめ!
>子犬の社会化期とは?必要な理由と期間中にやっておきたいことを解説【獣医師監修】
ボロニーズに必要な運動量や散歩の目安、おすすめの遊びは?
✓散歩:30分を1日1~2回
✓運動量:少ない~普通
✓おすすめの遊び:ボール遊び、おもちゃ遊び
ボロニーズはそれほど多くの運動量を必要とする犬種ではありませんが、毎日の散歩はしっかり行いましょう。散歩には運動のほかに、気分転換や社交性を育てる目的もあります。1日1~2回、1回30分程度の散歩を基本に、愛犬の様子を見ながら運動量を調整するとよいでしょう。
飼い主とコミュニケーションを取ることが大好きなので、ボール投げやおもちゃの引っ張り合いなどをして遊ぶととても喜びます。
ボロニーズを飼うのに向いている人は?
✓子どものいる家庭でも大丈夫
ボロニーズは子どもが好きな犬として知られているため、小さなお子さまがいるご家庭でも犬がストレスを感じにくいでしょう。友好的でおっとりした性格のため、初めて犬を飼う人やシニア世代にも向いています。
✓自宅で過ごす時間が長い人
飼い主に対する愛情が深いがゆえに、姿が見えないと寂しくなったり、不安になったりする子もいます。留守が多い人よりは、自宅で過ごす時間が比較的長い人に向いているといえるでしょう。
ボロニーズがかかりやすい病気と予防法は?
ボロニーズがかかりやすい代表的な病気と対策方法を知っておきましょう。
✓関節疾患
関節に過剰な負荷がかかるとトラブルを起こします。居室の床材を滑りにくいものにし、ソファやベッドへの上がり降りをさせないようにするなどの対策が有効です。また肥満も関節に負荷をかける要因となるので、体重管理に気を付けましょう。
✓膝蓋骨脱臼
膝蓋骨が脱臼してしまうボロニーズなどの小型犬に多い疾患です。先天的に膝関節に異常がある場合や、外傷などで起こります。症状は4段階に分けられ、重症の場合外科手術による治療が行われます。
✓股関節形成不全
成長過程で、股関節に異常が出て痛みや歩行障害が起こります。急激な肥満などが誘発することがあるので、体重管理を心がけましょう。
✓外耳炎
湿気が耳道にこもりやすい垂れ耳の犬種に多い病気です。原因はアレルギーや細菌性の炎症など。強いかゆみを引き起こし、頭を激しく振ったり、耳を足で激しく掻きむしったりしますが、点耳薬などで治療できます。定期的な耳掃除で予防しましょう。
そのほか、以下のような病気に気を付けましょう。
・レッグ・ペルテス症
1才以下の成長期の子犬に多い病気です。血行障害によって大腿骨頭が壊死する病気で、大腿骨頭壊死症とも呼ばれます。発症すると歩き方の異常や強い痛みを伴います。
・白内障
目の中にある水晶体が白く濁ってきて、次第に視力が失われます。老齢で発症し、ゆっくりと進行する老年性白内障が一般的ですが、生まれつき水晶体が濁っている先天性白内障や、遺伝的要因により発症する若年性白内障もあります。
ボロニーズの日常のお手入れ方法
✓ブラッシング:毎日
✓シャンプー:数週間に1回程度
✓トリミング:1カ月に1回程度
ボロニーズはシングルコートなので抜け毛は少なく、体臭も少なめです。しかし、毛玉ができやすいため、ブラッシングはできれば毎日、定期的に行いましょう。長い被毛をきれいに保つためには、プロのトリミングやシャンプーも取り入れるとよいでしょう。
ブラッシング以外にもスキンシップの時間も兼ねて、表面からは分かりづらい皮膚の状態をチェックしたり、日々触れ合う時間を作ったりすることで、愛犬との信頼関係も高まります。
目や耳の病気を発症しやすいので、目の周りはいつも清潔に保ち、耳掃除もしっかり行いましょう。
また足裏の肉球間の毛が伸びると、フローリング床で滑りやすくなるためカットしてください。
犬のお手入れ方法についてはこちらの記事もおすすめ!
>実はとっても重要!犬に必要な“小さなパーツのお手入れ”方法を解説!〜顔・お尻・足〜
ボロニーズとの生活で注意すべきことは?
ボロニーズと生活する上で注意すべきポイントを紹介します。
✓関節に負担の少ない床材を選ぼう!
床で足が滑ると足首などの関節に負担がかかります。普段過ごす部屋の床は滑りにくい素材を選ぶか、マットなどを敷くとよいでしょう。
✓定期的にブラッシングをしよう!
むだ毛が絡まったり、毛玉になったりすることを防ぐためにも定期的なブラッシングを心がけましょう。その他、数週間に1回の頻度でシャンプーすることもおすすめです。肌のバリア機能が低下する原因にもなるため、洗い過ぎは禁物です。
✓マメな皮膚のチェックをしよう!
豊富な被毛を持つ犬種に多い病気です。ブラッシングやシャンプーなどのお手入れで皮膚を清潔に保って予防しましょう。
✓湿気の多い季節は、耳のお手入れをいつもより念入りに!
垂れ耳の犬種は、梅雨時期から夏にかけて耳や皮膚のトラブルが増えます。耳の色やにおい、耳垢の様子をこまめにチェックしましょう。ただし、過度な耳掃除は耳を傷つける恐れがあります。かかりつけの動物病院でケアしてもらうと安心です。
そのほか、シングルコートのボロニーズは寒さが苦手です。冬季は寝床に毛布を敷くなど、寒さ対策も必要になります。室内の温度や湿度をエアコンで調整しながら、寒いようなら服を着せてあげたり、温かいベッドを用意したりするとよいでしょう。
比較的暑さには強い犬種ですが、高温多湿の日本の夏は熱中症対策が必要です。夏もエアコンによる温度管理を徹底し、暑い時間帯の散歩は避けて、なるべく朝晩の涼しい間に出かけましょう。