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chicoどうぶつ診療所所長。体に優しい治療法や家庭でできるケアを広めるため、往診・カウンセリング専門の動物病院を開設。
夜中に犬が鳴き続けて、困った経験はありませんか? 特に老犬(シニア犬)になってから夜鳴き(夜泣き)をする愛犬を見るのは辛い気持ちになりますし、もしかして認知症のサインかも?と不安になってしまいます。また、毎日のように鳴き声で起きてしまって飼い主も寝不足になるだけでなく、近所迷惑になっていないか気になり、心身ともに疲れてしまいます。今回は、chicoどうぶつ診療所の所長である林美彩先生に解説していただいた、老犬の夜鳴きの原因や対処法について解説していきます。
目次
- 老犬が夜鳴き(夜泣き)する原因は?
- 老犬の夜鳴き(夜泣き)を放置するとどんなデメリットが?
- 老犬が夜鳴き(夜泣き)をしたらどう対処すべき?
- 老犬の夜鳴き(夜泣き)が続く場合に飼い主が注意すべきことは?
- 老犬の夜鳴き(夜泣き)がひどい時は病院に連れていった方がいい?
- 老犬の夜鳴き(夜泣き)の予防法は?
老犬が夜鳴き(夜泣き)する原因は?
夜鳴きは、子犬や成犬よりも、年齢を重ねた老犬によく見られます。認知症による昼夜逆転、体の痛みなど、老犬特有の症状により夜鳴きをすることが多いようです。なぜ老犬が夜鳴きをしてしまうのか、原因を見てみましょう。
要求鳴き
「お腹が空いた」「水が飲みたい」といった要求を訴えて、夜鳴きすることがあります。
認知症
老犬特有の原因として、認知症が挙げられます。昼夜が逆転し、夜に起きてしまったために、食べ物や水を求めて鳴き声をあげることがあります。
体の痛みや不安
体の痛みや苦しみ、不安、動きたいけど動けないことによるジレンマなども、夜鳴きの原因として挙げられます。
老犬の夜鳴き(夜泣き)を放置するとどんなデメリットが?
体力の衰えた老犬が夜に鳴き続けることで、より体力を消耗してしまいます。中には鳴き疲れてぐったりしてしまう犬も。また、近隣住民とのトラブルの原因にもなりかねないので、配慮が必要です。
老犬が夜鳴き(夜泣き)をしたらどう対処すべき?
犬の夜鳴きはそのまま放置せず、できる限りケアしましょう。その際、絶対に犬を叱らないことが重要です。
ご飯や水を与える
空腹や喉の渇きを訴えている場合、要求に応えてあげると夜鳴きが落ち着きます。「夜中だから」と食事を与えるのをためらうかもしれませんが、少量の食べ物で落ち着くこともあります。
不安を解消する
不安から夜泣きしているようであれば、優しく声をかけてあげたり、飼い主の匂いがついたものをそばに置いてあげたりしましょう。室内犬など飼い主がそばにいられる場合には、近くで寄り添ってあげると、犬の気持ちを落ち着かせることができます。
睡眠環境を整える
老犬は加齢によって体内時計のリズムが乱れ、昼夜逆転しやすい傾向があります。昼寝を長時間すると夜寝られなくなってしまうので、気をつけてあげましょう。夜はケージやハウスを布で覆うなど、できるだけ光が入らないようにして暗い空間で眠らせるといいですよ。
老犬の夜鳴き(夜泣き)が続く場合に飼い主が注意すべきことは?
老犬の夜鳴きが続く場合、犬だけでなく、近隣住民や飼い主自身に対しても気遣いやケアが必要です。以下の点に注意してください。
犬を叱らない
夜鳴きをしたとしても、犬を叱ってはいけません。優しく接し、何を訴えているのか理解するよう努めましょう。
騒音対策とご近所への配慮
夜鳴きが起きるようになると、近隣住民とのトラブルも発生しやすくなります。近所の方に事情を説明した上で、できるだけ鳴き声が漏れないよう対策することが重要です。防音効果のあるケージカバー、ペット用防音ハウス、防音パネルや防音カーテンなどの対策グッズを活用するのもおすすめです。
飼い主も休息する
老犬の夜鳴きが続くと、飼い主自身が肉体的にも精神的にも疲弊してしまうこともあります。頑張りすぎて、飼い主が倒れてしまっては元も子もありません。時には病院や知り合いの家に犬を預けるなどして飼い主もしっかり休息し、犬の夜鳴きとうまく付き合っていきましょう。
老犬の夜鳴き(夜泣き)がひどい時は病院に連れていった方がいい?
空腹や不安ではなく、体の痛みや神経の乱れが夜鳴きを引き起こしているケースもあります。犬がなかなか落ち着かない時は、動物病院を受診しましょう。かかりつけの獣医師に相談することで、飼い主の不安やストレスも解消できますよ。
老犬の夜鳴き(夜泣き)の予防法は?
一度は夜鳴きが収まったとしても、歳月を経て再発することもあります。夜鳴きを防ぐため、日ごろから以下のような対策を心がけましょう。
生活リズムを整える
老犬の夜鳴きは、昼夜逆転が原因となるケースが多いようです。夜鳴きによって夜の睡眠時間が減ると昼間に眠るようになり、ますます昼夜逆転が進んでしまうことも。昼夜をうまく切り替えるためにも、昼間に日光浴をしたり、軽い運動をさせたりしましょう。飼い主がいない時には、テレビやラジオをつけておいて、犬の脳に刺激を与えるのも効果的です。
サプリメントなどを与える
サプリメントや漢方、ハーブなどを取り入れるのもいいでしょう。おすすめは、神経の流れを整えるようなEPA/DHAのサプリメントや、気持ちを落ち着かせるバレリアンなどのハーブ。漢方は犬の体質によって合うものが変わるため、まずは獣医師に相談しましょう。
第3稿:2021年10月18日更新
第2稿:2021年2月15日更新
初稿:2020年12月22日公開
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