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chicoどうぶつ診療所所長。体に優しい治療法や家庭でできるケアを広めるため、往診・カウンセリング専門の動物病院を開設。
新型コロナウイルスの影響は人のみに留まりません。今のところ、人からわんちゃんに感染するといったケースは見られませんが、人の生活様式が変わることでわんちゃんに与える影響もゼロではないのです。そこで、わんちゃんの新しい生活様式と、新しくなった際に気をつけるべきポイントを、chicoどうぶつ診療所所長の獣医師・林美彩先生に伺いました。
目次
- ソーシャルディスタンスで犬の散歩の方法は変わる?
- 犬とのお出かけはどうすればいい?
- ドッグランなど多くの犬と触れ合う場所に行くときは?
- ウイルス対策としてシャンプーの回数は増える?
- 飼い主の在宅勤務時にはどう過ごす?
ソーシャルディスタンスで犬の散歩の方法は変わる?
新型コロナウイルスの影響で、よく耳にするようになった「ソーシャルディスタンス」という言葉。新型コロナウイルスの感染を予防するために、人と人との間隔を2メートル以上あけましょうという呼びかけです。人と人との距離を2メートル以上キープするとなると、わんちゃんにとって大変なのはお散歩です。特に人口密度の高い地域では、雨の日でなくても散歩をする機会が減ることになるかもしれません。
ソーシャルディスタンスを保った散歩をするためには、リードを短く持つことが必須です。普段の散歩も同様ですが、リードを長く持ったまま散歩をしていると、わんちゃんとオーナーの距離が離れてしまい、道行く人たちと2メートル以上距離を保つことが難しくなりがちです。短めにリードを持って、わんちゃんの歩く範囲をコントロールできるようにしてください。
犬とのお出かけはどうすればいい?
当たり前のことですが、どうしてもお出かけをされる際には、人の少ない場所を選んで感染リスクを減らしましょう。100%大丈夫という場所は存在しませんが、人が少ない屋外や個室タイプのカフェ、コテージなどを選ぶことでリスクは軽減されます。
また、ドッグランに行くことが日常化していたり、お友達と交流することが楽しみになっていたりする子にとっては、遊ぶ機会が減るためストレスを感じてしまうかもしれません。そうした子には、それ以外の楽しみを見出してあげることがストレスの発散につながります。たとえば、室内で遊べる知育玩具を与えてあげてみてはいかがでしょうか。嗅覚でおやつを探知するノーズワークマットなどがおすすめです。
ドッグランなど多くの犬と触れ合う場所に行くときは?
回数を控えるとはいえ、ドッグランなどの多くのわんちゃんと交流する場所を利用する機会はあると思います。ドッグランではわんちゃん同士で接触しますし、他のオーナーがわんちゃんに触れる可能性もあります。そのような場所から帰宅した際は、わんちゃんをお風呂に入れ、付着したかもしれないウイルスを洗い流すことが必須でしょう。そして、オーナー自身も他のわんちゃんに触れない、または触れるときには必ず一言断りを入れてからにする、といった工夫をしてみてください。もちろん、オーナー同士はソーシャルディスタンスを心がけるとよいでしょう。
ウイルス対策としてシャンプーの回数は増える?
人の新型コロナウイルス対策には、帰宅後すぐにお風呂に入ること(またはシャワー)が有効だといわれていますが、わんちゃんの場合は異なります。外出のたびに毎回シャンプーをしてしまうと、必要な皮脂まで洗い流されてしまい、皮膚炎につながってしまいかねません。そのため、散歩など日常の外出では、帰宅後は殺菌作用のある次亜塩素酸水を含ませたタオルなどで拭いてあげる程度でも十分でしょう。
また、アルコールを使って除菌する方もいらっしゃるようですが、わんちゃんはアルコール分解ができない体質です。少しだけ使う分には問題ありませんが、全身に使う場合は次亜塩素酸水を利用するとよいでしょう。
飼い主の在宅勤務時にはどう過ごす?
オーナーの在宅勤務はわんちゃんにとってとても嬉しいもの。しかし、べったりと構いすぎるのはよくありません。わんちゃんにとってストレスかもしれませんし、在宅勤務が解除されたときに分離不安症になってしまう可能性もあります。そのため、なるべくこれまでの生活リズムを崩さないようにするのがおすすめです。
在宅勤務でもこれまでの生活リズムを崩さないために、見守りカメラ(ペットカメラ)を用意しておくとよいかもしれません。家の中の離れた場所にいても、わんちゃんの状態が把握できたり、声を聞かせてあげることができます。また、ひとり遊びができるよう、わんちゃんが好んで遊んでくれるようなオモチャを用意しておくのもいいでしょう。
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