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獣医師資格取得後、小動物臨床経験6年。主に犬猫の臨床に携わる。現在は子育てをしながら、愛猫と暮らしている。
犬が誤飲・誤食しやすいものの中には、命の危険にかかわるものも少なくありません。日常から気をつけるべき、特に危険度の高いものを厳選してご紹介します。愛犬の命を守るために、しっかりと知識を身につけておきましょう。
目次
- 危険度の高い誤飲・誤食「要注意リスト」
- 命に関わる異物を飲み込んだらすぐ病院へ!
- 誤飲・誤食後3日間はしっかり経過観察を
危険度の高い誤飲・誤食「要注意リスト」
特に気をつけたいのは、以下にご紹介する5つ。いずれも愛犬を近づけないようにする、愛犬がうっかり口にしてしまうことがないよう片付ける、捨て方を工夫するなどの対策を心がけましょう。
農薬・殺虫剤・殺鼠剤(さっそざい)
農薬や殺虫剤は、犬にとって中毒性のある物質を含んでいたり、多量に摂取してしまうと中毒症状を引き起こしたりする場合があります。
農薬や殺虫剤の種類によって含まれている成分が違うため、起こりえる中毒症状も、下痢や嘔吐などの胃腸障害から、ふらつき、けいれん、意識レベルの低下などさまざまです。
また、殺鼠剤にはワルファリンという成分が使われていることが多く、これを摂取してしまうと犬ではワルファリン中毒が起きます。
ワルファリン中毒は、血が固まりにくくなってさまざまな部位から出血が起こり、対処が遅れると死んでしまうこともあるとても怖い中毒です。
ボタン電池
ボタン電池は、飲み込むと大変危険です。同じ場所にとどまると粘膜が腐食し、胃や腸など内臓に穴をあけてしまうことも。愛犬が電池を飲み込んでしまったら、できるだけはやく動物病院に行ってレントゲンを撮り、飲み込んだ電池がどこにあるかを確認して取り出す処置が必要です。
乾燥剤
乾燥剤にはいくつか種類がありますが、なかでも海苔などの食品の包装によく入っている、生石灰(酸化カルシウム)を使用した吸湿力の高い乾燥剤は、水にぬらすと発熱します。そのため、犬が飲み込むと、口の中から食道、胃に至るまでがただれ、びらんや出血を引き起こし、強い痛みを伴います。
万が一飲み込んだ場合は、すみやかに動物病院を受診しましょう。
保冷剤
保冷剤の成分であるエチレングリコールは、甘い味がします。そのため、犬がかじって穴をあけると、そのまま食べてしまうおそれが。この物質には強い中毒性があるため、摂取した場合、時間とともに嘔吐や意識障害を引き起こすほか、最悪の場合は腎不全を起こして死に至る危険があります。
エチレングリコール中毒は時間との勝負になるため、もし愛犬がエチレングリコールを含んだ保冷剤を誤食してしまったら、早急に動物病院を受診して治療を行いましょう。
人が服用する薬
犬がカゼ薬、睡眠薬、血圧を抑える薬などを誤飲した場合は、迅速な処置が必要となります。飼い主さんの手から落ちたものを反射的に食べてしまう犬も多いので、服用時には周囲に愛犬がいないかなど十分に注意してください。
命に関わる異物を飲み込んだらすぐ病院へ!
リストにあげたものを誤飲・誤食したあと、けいれん、麻痺、呼吸困難、意識不明、泡を吹くなどの症状が見られたら、非常に危険です。
万が一口にしてしまったら、症状が出ていなくてもすぐに受診しましょう。
誤飲・誤食後3日間はしっかり経過観察を
繰り返しになりますが、犬が誤飲・誤食をしてしまったときは、すみやかに動物病院を受診、もしくは相談することが大切です。
ただし、食べてしまったものによっては、獣医師の判断で経過観察になることもあります。
- すぐに体に影響しない
- 吐かせるほうが危険である
- 全身麻酔をかけて行う開腹手術は犬への負担が大きい
上記のような理由から、排せつを待ったほうが安全なケースもあるためです。
誤飲・誤食から3日経っても嘔吐や下痢などの異常がなければ、自然と排せつされる可能性が高くなります。
経過観察になったら、自宅で安静にして過ごし、愛犬の様子をよく観察しましょう。
その場合も、必ず獣医師の判断に従うようにしてください。
※記事内に掲載されている写真と本文は関係ありません。