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Animal Life Partner代表。ペット栄養管理士など様々な資格を生かし、診療や往診のほかに、セミナー講師やカウンセリング、製品開発など幅広く活動。
コロナ禍の今、在宅ワークをする人が増えているかと思います。犬を飼っている方にとって、通勤時間がなくなった分、愛犬と一緒に過ごす時間が増えるのはとっても嬉しいことですね。しかし、飼い犬からの邪魔が入って仕事に集中できないなどの悩みをお持ちの飼い主は多いでしょう。在宅勤務をきっかけに、犬の生活ペースが乱れて体調を崩したりする可能性もあります。そこで、犬を飼っているご家庭での在宅ワークのポイントについて、獣医師の丸田香緒里先生に解説いただきました。
目次
- 犬を飼っている人が在宅ワークをするメリットは?
- 在宅ワーク中に邪魔してくることも!?犬を飼っている人が在宅ワークをするデメリットは?
- 犬を飼っている人が在宅ワークをスムーズにするためのポイントとは?
- 在宅ワーク中におやつをむやみに与えるのはNG
- 在宅ワーク後に分離不安症にならないために
犬を飼っている人が在宅ワークをするメリットは?
在宅ワークで、通勤する時間がなくなった飼い主も多くいらっしゃるでしょう。日ごろ忙しくて、寂しい思いをさせている飼い犬との絆を深めるチャンスです。まずは、犬を飼っている人が在宅ワークをするメリットについて考えてみましょう。
犬に寂しい思いをさせない
日ごろから、日中はひとりぼっちでお留守番をしている犬も多いでしょう。早朝に出勤して暗くなってから帰宅し、お散歩も1回がやっと、それも慌ただしく済ませざるを得ない日常だった方も環境が変わった方も多いはず。飼い主が一日中おうちにいることは特に寂しがり屋の犬にとって、とても嬉しいことです。
犬との絆が強まる
一緒に過ごす時間が増えれば、新しい発見があったり、お互いの理解が深まったりするのは、人間と犬との間にも言えることです。飼い主はこの機会に愛犬をよく観察し、有意義な時間にしてほしいものです。
犬の異変にすぐ気づける
毎日身近で観察するうちに、精神面での変化やちょっとした成長に気づくことができるかもしれません。もちろん、体調の変化も把握しやすく、万一病気にかかっていても早めに獣医師にみせることができて安心です。
在宅ワーク中に邪魔してくることも!?犬を飼っている人が在宅ワークをするデメリットは?
さて、犬と暮らす飼い主にとって、在宅ワークはいいことばかりではありません。仕事の邪魔をされるのが悩みの種だという飼い主がいるかもしれませんが、犬からしてみれば邪魔をしている自覚はありません。また、飼い主自身が仕事に集中できずに、ついついかまいたくなってしまうこともあるでしょう。
犬の鳴き声が仕事の邪魔になる
在宅であっても、電話やオンラインで仕事は継続しているわけなので、鳴き声はまわりの人の迷惑になります。まして取引先や同僚は必ずしも犬好きとは限りませんから、先方に思わぬストレスを与えている可能性もあります。飼い主さんはワンちゃんが泣く理由を考え、責任をもって対応することが必要です。甘えて鳴いているだけならば、してはいけないことだと繰り返し教えてあげましょう。
犬が飼い主にずっとくっついていたがる
一日中、膝の上に座っていたがる犬もいますが、飼い主にとってだけでなく、犬の体の負担にもなります。可愛いからといってずっとくっつくのを許すのは、癒されているようでいて、お互いに知らず知らずの内にストレスになっている可能性もあります。
犬を飼っている人が在宅ワークをスムーズにするためのポイントとは?
在宅ワークはまだしばらくは続きそうですし、これをきっかけに部分的に在宅勤務にシフトしてゆく職場もあるでしょう。一時的なことだと諦めてしまわず、犬も飼い主もお互いに快適に過ごせるような工夫をしていきましょう。
仕事をする時間を習慣化する
犬は習性の生き物なので、毎日の決まったリズム(ルーティン)を定めることが大切です。在宅ワーク中には、遊べる時間と待つ時間を決め、犬が不安にならないようにします。たまにイレギュラーな時間に仕事をしなければならないこともあるでしょうから、仕事モードにはいるときの号令を決めて、「はい、これからは遊べない時間だよ。」とわからせてあげるようにするといいでしょう。
仕事に入る前に散歩などをして体力を発散させる
可愛いからといって、「遊べる時間」が多すぎると、犬のストレスになることもあります。オススメなのは、浮いた通勤時間を利用して、仕事に入る前にいつもより長いお散歩に連れ出してあげることです。犬は体力を使うことでストレスを発散でき、帰宅後は寝てくれたり、いつもより落ち着いて過ごしてくれたりするかもしれません。
犬と触れ合う時間を決める
お昼休みや休憩時間を決めて、犬と触れ合う時間を作りましょう。「そろそろ飼い主がかまってくれる時間かな。」と犬が待っていてくれるようになれば理想的です。飼い主にとっても在宅ワークは息が詰まる点がありますから、短い時間でも仕事から離れることができていい気分転換になるでしょう。
決まりがなくずっと抱きしめながら過ごしている場合、メリハリのない関係となり在宅ワークに支障をきたすだけでなく、後述しますが分離不安症になる可能性もあります。なので、いつかまってあげるのかを犬にしつける必要があります。ある程度触れ合ったら、専用スペースに戻すなど繰り返して教えるようにしましょう。
犬専用のスペースを作る
飼い主の仕事中、愛犬にはできればひとりで過ごすために居心地の良く、落ち着けるような専用のスペース(サークルなど)で待っていてもらうと良いでしょう。その場所を気に入ってくれれば、そこでお留守番などもできるようになるでしょう。
犬が集中できることを行わせる
おやつがなかなか出てこないおもちゃなど、集中できるような遊び道具を使ってみるのは一時的に邪魔をさせないためには効果的です。専用のスペースで遊んでいるうちに寝てしまったりするような、お気に入りのおもちゃが見つかるといいですね。
ケーブルなどのコード類は最小限に
オンラインで仕事をする場合、ヘッドセットなどのコード類が増えてしまいがちです。会議中にいたずらをされて切断するようなことがあっては困りますので、可能であればBluetoothなどを利用してできる限りコードレス化を図りましょう。残ったコード類はきちんとまとめ、おもちゃの代わりにされてしまうようなものは片づけておきましょう。
仕事場から持ち込んだ備品の誤飲に注意
在宅ワークに切り替わったことで、PC周辺機器以外にもおうちに持ち込む備品が増えているかもしれません。中には犬が飲み込んでしまうと害になるものもあるでしょう。飼い主の大切な仕事道具でも、犬にとっては物珍しいおもちゃになってしまいます。犬が飼い主の気を引きたくて、いたずらをする場合もあるので、手の届かないところに保管するように気をつけてください。
在宅ワークでできた時間を犬に充てる
せっかく在宅ワークで時間ができても、犬にかまわないようであれば不安を感じながら過ごすことになるかもしれません。信頼関係を強くしたり、安心感を与えるためにも、空いた時間は長い散歩に連れ出したり、しつけの時間に充てたりすると良いでしょう。
在宅ワーク中におやつをむやみに与えるのはNG
仕事中、おとなしくしていて欲しいがために、考えもなしにだらだらとおやつをあげてしまってはいませんか? これが癖になると、犬はおやつが欲しくて仕事中にちょっかいを出すようになります。要求のためにワンワン吠えたりすると、おやつをあげないわけにいかなくなり、結果として肥満を招く可能性もあります。拾い食いの癖がついたり、食べてはいけないものにまで手を出したりする可能性もあるので、最初に要求に負けてしまわないように気をつけたいものです。
在宅ワーク後に分離不安症にならないために
片時も離れずに在宅ワーク期間を過ごすことで、愛犬が分離不安症になってしまうケースが増えているのは事実です。分離不安症とは、飼い主など特定の人と離れると犬が不安感や恐怖感に襲われて、精神的に不安定になってしまうことです。分離不安に陥らないためには、飼い主が在宅しているときも積極的に専用スペースで過ごす時間を作ることをオススメします。おもちゃに集中させるなどして、ごみ捨てなどちょっとした外出時にもなるべく専用スペースでお留守番させる練習をしてみましょう。