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NPO法人『迷子犬の掲示板』を立ち上げ、迷子犬や輸血が必要な犬への情報拡散のサポートサービスを運営。全国で約14万人の大きな“愛犬家ネットワーク”を築く。
ワンちゃんに黄色いリボンをつける『イエローリボンドッグ』のプロジェクトって何?
目次
- 約14万人の愛犬家のネットワークを築いた木崎亜紀さん
- 犬の黄色いマーク『イエロードッグ』日本での認知度はまだ低い
- 犬の避難用バッグに黄色い缶バッジ。イエローリボンの多様な使い方
- イエローリボン啓発活動、『Yellow Ribbon Dog』プロジェクトへの想い
- 「困っている人をほっとけない」愛犬家ネットワークの原動力
- 「裏表なく真っ直ぐ生きる」犬たちが教えてくれること
約14万人の愛犬家のネットワークを築いた木崎亜紀さん
お散歩中やカフェにいるワンちゃんを見かけたとき、その可愛さからつい声をかけたくなりますよね。
しかし、もしそのワンちゃんが黄色のリボンや缶バッジを身につけていたら一旦ストップ!
「そっとしておいてほしい」という合図かもしれません。
2012年ごろからスウェーデンで始まった、犬にイエローサインをつける『イエロードッグプロジェクト』があります。
イエローサインは、あらゆる理由で《そっとしておいてほしい》ワンちゃんが黄色のリボンや缶バッジを身につけて意思表示をするというもの。「マタニティマーク」や「ヘルプマーク」と同様に、パッとみただけで周りの人が事情を理解し気配りができるような、そんなワンちゃんへの思いやりを形にしたのが、このプロジェクトです。
そこで、イエローサインを日本でより広めるために、『Yellow Ribbon Dog』(イエローリボンドッグ)というプロジェクトを木崎亜紀さんが立ち上げました。
木崎さんは『Yellow Ribbon Dog』(イエローリボンドッグ)のプロジェクトよりも前、2015年より迷子犬や輸血が必要なワンちゃんに関する情報拡散のサポートをおこなう『迷子犬の掲示板』を立ち上げ、SNSの合計フォロワー数が全国で約14万人が集う大きな“愛犬家ネットワーク”を築き上げてきました。
「目の前の困っている人をほっとけないだけなんです」と話す木崎さん。
8年以上もの間、ワンちゃんのための活動をおこなってきた木崎さんの原動力とは一体どんなところにあるのでしょうか? これまでやってきた取り組みと、今後叶えていきたいことについて伺いました。
犬の黄色いマーク『イエロードッグ』日本での認知度はまだ低い
海外の有名なイラストレーターがSNSでの啓蒙投稿をきっかけに、スウェーデンから広がった『イエロードッグ』。
黄色いリボンや小物などをリードに付けた、イエローサインをつけたワンちゃんのことです。
- 他の犬や人間が苦手
- トレーニング中
- 病気(怪我)療養中 など
理由はさまざまですが、お散歩中のワンちゃんがストレスなく過ごせるよう、身につけるアイテムで《そっとしておいてほしい》の意思表示をしてあげます。
木崎さんが飼っているワンちゃんはとても人懐っこい性格のため、『イエロードッグ』を知った当初は特に自分ごと化することはなかったのだそう。
しかし、ある日、木崎さんの友人のワンちゃんが黄色のリボンをつけている様子を見かけます。理由を聞いてみると「とても怖がりだから」との答え。
「ずっとつけているものの、誰も知らないんだよね……」と話す友人の言葉が引っかかりました。
当時すでに「迷子犬の掲示板」でたくさんの飼い主さんとつながりを持っていた木崎さん。そのネットワークを活かして『イエロードッグ』を広められないかと活動を始めることにしました。
リボンという象徴をより際立たせるため、木崎さん主体のプロジェクトは『Yellow Ribbon Dog』(イエローリボンドッグ)と命名。
「#イエローリボンドッグ広め隊」「#イエローリボンドッグ」というハッシュタグを用いて、各SNSでの普及活動を進めています。
国内での認知を広げるための1つの転機となったのが、2021年6月から作り始めた「はなれていてね!」というメッセージとイラストが描かれた缶バッジ。
『迷子犬の掲示板』の仲間が描いてくれた可愛いイラストに魅力を感じた木崎さんは、缶バッジの商品化に踏み切りました。
「黄色いリボンをつけているだけだと伝わりづらいというお声もあったので、どうしたら缶バッジで気持ちよく表現できるかをすごく意識しました」
「触らないで!」という強い拒否の言葉ではなく、子どもたちにも親しみやすいような優しいイラストと「はなれていてね!」という、柔らかいメッセージであることが飼い主さんにとっての使いやすさに繋がり、現在までに約2,000個の販売に至っています。
もし外で、黄色いアイテムを身につけているワンちゃんを見かけたら、近づかずにそっとしてあげましょう。