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獣医師資格取得後、小動物臨床経験6年。主に犬猫の臨床に携わる。現在は子育てをしながら、愛猫と暮らしている。
体も心も成長過程にある子犬期。環境の変化も多く、ストレスを感じる機会も多くなってしまいがちです。では、子犬を迎えたとき、どうしたらストレスを減らしてあげられるのでしょうか。ストレスを感じているときのサインやストレスが原因の病気も解説します。
目次
- 子犬には多くのストレスがかかっている!?
- こんな症状が出たら要注意!ストレスを抱えることでなりやすい病気
- 子犬がストレスを溜めにくい環境をつくるには?
子犬には多くのストレスがかかっている!?
子犬は生後約2ヵ月で母犬や兄弟犬たちと離れ離れになり、まったく別の環境で育つことになるため、それだけでもとても大きなストレスを感じてしまいます。
そんな中で、新しい家族に迎えられますが、かわいさのあまり家族にかまわれすぎると、さらに疲れを感じてしまうことも。子犬を迎えたら最低でも1週間は新しい環境に慣れてもらうことを優先にし、優しく見守りながら、かまいすぎないようにしましょう。特に、力加減ができない小さなお子さまがいるご家庭は注意が必要です。
反対に、生後数ヵ月しか経っていない子犬の長時間の留守番もストレスになりますので、子犬を迎える場合は気をつけましょう。
こんな症状が出たら要注意!ストレスを抱えることでなりやすい病気
ストレスが多くかかると病気になってしまうことも。ストレスの原因もあわせてご紹介します。
胃炎(嘔吐(おうと))
突然ストレスに見舞われて自律神経が乱れることで、胃の動きが悪くなってしまうことがあります。胃炎になってしまうと食欲がなくなり、嘔吐することも。胃酸過多の場合は黄色い液体を吐くこともあります。
主なストレスの原因
- 新しい環境になった緊張や不安
- 子供に力いっぱいなでられたなどの恐怖感
腸炎(下痢)
ストレスを感じることで腸内細菌のバランスが乱れ、悪玉菌が増えてしまい、下痢を引き起こします。水っぽい血便が出ることも。下痢の症状がない場合でも、ウンチの回数が増えたり、そそうが増えたりしたら腸炎の可能性があります。
また子犬の場合は寄生虫感染が隠れている場合もあるので、下痢が続くようなら動物病院で便検査などもしてもらうようにしましょう。
主なストレスの原因
- フードが変わった
- 長時間のお留守番
- 初めてのトリミング
常同症(じょうどうしょう)
生まれつきの性格なども関わっている場合がありますが、不安定な精神状態が続くことでなってしまう心の病です。自分のしっぽを追い続けたり噛み続けたりする、足先を舐め続けるなどの行動を執拗に続けてしまいます。ひどい場合は、自分の体を傷つけてしまうこともあるので、行動がエスカレートする場合ははやめに動物病院で相談するといいでしょう。
主なストレスの原因
- 運動不足
- 生理的欲求が満たされていない
- 長時間のお留守番が毎日続く
- 慢性的なスキンシップ不足
子犬がストレスを溜めにくい環境をつくるには?
では、子犬のときにストレスを溜めないようにするにはどうしたらいいのでしょうか。
見守りつつかまいすぎない
子犬は人の赤ちゃんと同じように、かまいすぎても、かまわなすぎてもよくありません。
優しく見守りながら自由に遊ばせる時間をつくり、その生活の中でルールを教えたりしつけを行ったりするのがよいでしょう。
落ち着ける場所をつくる
子犬が自分の意思で自分だけになれる、静かで安全な場所をつくりましょう。ハウスの中や、部屋の隅っこや物陰などに、犬用のベッドやクレートを用意してあげるのがおすすめ。子犬がその場所に行ったら、また自分から出てくるまで静かにそっとしておきましょう。自由に行き来できる安全地帯をつくってあげることが大切です。
しつけは適度に行う
しつけの本などを参考に、ついがんばりすぎてしまうこともあるでしょう。しかし、長時間のしつけは子犬に大きなストレスがかかります。特に生後6ヵ月くらいまでは要注意。子犬が飽きる前にやめることがポイントです。
過保護にしすぎもNG
お出かけの際は危険だからと抱っこしたままなど、過保護すぎるのもよくありません。過保護にしすぎると、子犬の社会化が十分に行えず、怖がりになることでストレスを感じやすい犬になってしまう場合があるのです。あまり神経質になりすぎず、子犬の様子をよく観察しながら大らかな気持ちで育ててあげられるといいですね。
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