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ヤマザキ動物看護大学准教授、愛玩動物看護師、ペットグルーミングスペシャリスト。教育気・研究の現場だけでなく、数々のテレビ出演や、執筆活動など幅広く活躍。
泳ぎが得意なポーチュギーズ・ウォーター・ドッグですが、ポーチュギーズ・ウォーター・ドッグを初めて飼う場合に気になるのが、どんな性格をしていて飼いやすいかどうかではないでしょうか。そこで今回は、ヤマザキ動物看護大学准教授の福山貴昭先生に教えていただいた、ポーチュギーズ・ウォーター・ドッグの性格や特徴、かかりやすい病気やしつけのポイントなどについて解説していきます。
目次
- ポーチュギーズ・ウォーター・ドッグの歴史やルーツ、英語名は?
- ポーチュギーズ・ウォーター・ドッグのオスとメスの体高や体重は?
- ポーチュギーズ・ウォーター・ドッグの平均寿命は?
- ポーチュギーズ・ウォーター・ドッグの毛色や種類、被毛、外貌の特徴は?
- ポーチュギーズ・ウォーター・ドッグはどんな性格、習性?
- ポーチュギーズ・ウォーター・ドッグを迎える際にかかる費用は?
- ポーチュギーズ・ウォーター・ドッグのしつけと社会化トレーニングのポイント
- ポーチュギーズ・ウォーター・ドッグに必要な運動量や散歩の目安、おすすめの遊びは?
- ポーチュギーズ・ウォーター・ドッグを飼うのに向いている人は?
- ポーチュギーズ・ウォーター・ドッグがかかりやすい病気と予防法は?
- ポーチュギーズ・ウォーター・ドッグの日常のお手入れ
- ポーチュギーズ・ウォーター・ドッグとの生活で注意すべきことは?
ポーチュギーズ・ウォーター・ドッグの歴史やルーツ、英語名は?
犬種名 | ポーチュギーズ・ウォーター・ドッグ |
英語名 | Portuguese Water Dog |
原産国 | ポルトガル |
分類 | 大型犬 |
グループ | 8G:7グループ以外の鳥猟犬 |
ポーチュギーズ・ウォーター・ドッグ【英語:Portuguese Water Dog】は、ポルトガルが原産の大型犬です。
ジャパンケネルクラブの犬種分類では、「8G:7グループ以外の鳥猟犬」に属します。
ポーチュギーズ・ウォーター・ドッグは、かつてはポルトガルの海岸のいたるところにいたといわれています。中でもアルガルベ地方では、漁の網から逃げ出した魚を漁師のもとへ持っていく役割で、漁師の相棒として活躍していました。
泳ぎが得意で、水の中で動きやすいように顔と後肢のコートを刈り込む「ライオン・クリップ」というカットスタイルが特徴的です。アメリカのオバマ元大統領のファーストドッグとして注目を集めた犬種でもあります。
ポーチュギーズ・ウォーター・ドッグのオスとメスの体高や体重は?
体高:オスは50~57cm、メスは43~52cm
体重:オスは19~25kg、メスは16~22kg
ポーチュギーズ・ウォーター・ドッグは大型犬に分類されます。
ポーチュギーズ・ウォーター・ドッグの平均寿命は?
ポーチュギーズ・ウォーター・ドッグの平均寿命に関するデータはありませんが、『アニコム家庭どうぶつ白書2021』によると、大型犬の平均寿命は11.5歳となっています。
犬を迎える際は、最期のときまでしっかり世話ができるかを考えておきましょう。
犬をみとる頃に自分は大体何歳になるか、犬の介護ができるか、自分の生活環境や経済状況などもあわせて考えなければなりません。
犬を迎えようと考えているシニアの方は保護犬などで成犬を迎えるケースも検討するほか、万が一自分が世話できなくなった場合を想定しておくことも重要です。犬の世話を頼めそうな人にあらかじめ相談して承諾を得てから迎えたり、老犬ホームといった預かり先を決めたりして急な環境の変化に備えておきましょう。
ポーチュギーズ・ウォーター・ドッグの毛色や種類、被毛、外貌の特徴は?
ジャパンケネルクラブの犬種標準によると、ポーチュギーズ・ウォーター・ドッグの毛色はブラックやホワイト、さまざまな色調のブラウンの単色、あるいはさまざまな色の組み合わせとなっています。組み合わせには、ブラックやブラウンとホワイトなどがあります。
コートは厚く、ウェーブやカールがかかっています。水の中で働く犬のため、泳ぎやすいように頭部と四肢の毛を残して全身を刈り込むワーキング・レトリバー・クリップや、顔と後ろ肢を刈り込むライオン・クリップにして、尾の先端を丸く毛を残すカットをします。
外貌は、頑健で美しい体型をしています。
ポーチュギーズ・ウォーター・ドッグはどんな性格、習性?
ポーチュギーズ・ウォーター・ドッグは、視覚と嗅覚が発達しています。
非常に利口で、動作は鋭敏ですが、落ち着きがあり思慮深い性格です。本来は使役犬ですが、穏やかで家族に愛情豊かに接する家庭犬としても魅力のある犬種です。
ポーチュギーズ・ウォーター・ドッグを迎える際にかかる費用は?
ポーチュギーズ・ウォーター・ドッグを飼い始めるとき、飼い続ける際にかかる費用について説明します。
タイミング | 内訳 | 費用の目安 |
迎えるとき |
ペットショップ、ブリーダー |
約40万円~ |
飼い始めるとき | 畜犬登録料 | 約3,000円 |
生活用品(クレートやケージなど) | 約5~7万円 | |
1年に1回かかる費用 | 狂犬病予防接種費 | 約3,500円 |
混合ワクチン接種費 | 約5,000~10,000円 | |
毎月かかる費用 | 消耗品(フードやおやつなど) | 約5,000~10,000円 |
飼い始める際にかかる費用
ポーチュギーズ・ウォーター・ドッグをペットショップから迎える際の価格の目安は、約40万円です。月齢や血統などにより、値段が上がることもあります。
他にも愛犬を迎えるには友人や知人から譲り受ける、譲渡会に参加する、保護犬を迎え入れるといった方法もあります。また、サイズによって自治体によって飼育に規制がある場合もあるため、事前に確認しましょう。
犬を飼い始めるときには飼い始めてから30日以内に(子犬の場合は生後91日を経過してから30日以内に)お住いの自治体に犬の登録(登録料は3,000円程度)を行うほか、混合ワクチン接種費や狂犬病予防接種費も必要になります。
母犬の初乳から得た免疫は徐々に低下していくため、混合ワクチンを子犬期に計3回接種してさまざまな感染症を防ぐ必要があります。
子犬を迎える際の月齢によっては、ペットショップ側でワクチンを3回打っているため、生体代と一緒にワクチン代も支払います。3回すべて打っていない場合は、飼い主が動物病院に連れて行って接種させましょう。
狂犬病予防接種は生後91日を過ぎたすべての犬が年に1回接種するよう法律で定められており、子犬の場合は混合ワクチンの接種を終えて2週間過ぎたタイミング(およそ生後110日前後)で打たせます。
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飼い続けるために必要な費用
犬を養育するうえでの生涯コストは、ドッグフードやペットシーツ、留守番時のエアコン代、一般医療費、トリミング代、レジャー費など200~300万円といわれています。
しかし体の大きい犬種だとグッズ代やトリミング代などが高額になるなど犬種によって大きく異なるため、目安としてポーチュギーズ・ウォーター・ドッグの場合は平均より高額になると考えておきましょう。
なかには僧帽弁閉鎖不全症など手術費が100万円以上になる病気にかかる場合や、アレルギーなどによって継続的な通院や投薬の費用がかかることもあります。犬を迎えるにあたっては、計画的な貯金やペット保険の利用なども検討し、予期せぬ出費にも対応できるかよく検討しておきましょう。
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ポーチュギーズ・ウォーター・ドッグを迎える際に必要な生活用品としては、クレートやケージ、サークルをはじめ、首輪やリード、食器、給水器、ドッグフード、トイレなどが挙げられます。
また犬が遊べるようおもちゃも用意するとよいでしょう。ポーチュギーズ・ウォーター・ドッグは漁師のパートナーとして活躍しており水遊びが大好きですから、川や海、プールといった水辺の環境を用意できれば理想的です。
犬の生体代を除く初期費用としては、5~7万円程度を見込みましょう。
毎月の消耗品としては、ドッグフードやおやつ、トイレシーツ、歯ブラシやボディシートなどが挙げられます。一般的に毎月の平均額は5,000円~10,000円ほどですが、ポーチュギーズ・ウォーター・ドッグは体が大きいので食事量は多く、トイレシーツも大型タイプを選ぶ必要があるので平均よりかかると見込みましょう。その他、ブラッシングや自宅でのシャンプーといったケア用品を揃えておくのが安心です。
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2022年6月から、ペットショップやブリーダーで販売される犬や猫にマイクロチップの装着が義務化されました。マイクロチップは思わぬ事故や災害で迷子になってしまったときに、保護された犬を飼い主のもとへ返すための重要な役目を果たします。
装着費用は3,000~5,000円程度で、さらに飼い主の氏名や住所、電話番号などの情報登録料としてかかります。登録はオンライン申請で300円、郵送する場合は1,000円です。
ドアを開けた際に外へ飛び出したり、散歩中大きな音に驚いて逃げてしまったりなど、飼い主の不注意やアクシデントで犬は迷子になってしまう可能性があります。そのため、ポーチュギーズ・ウォーター・ドッグを迎える際は迷子対策もしっかり講じましょう。
迷子対策としてはマイクロチップの装着のほかに、迷子札などの導入が挙げられます。
迷子札は、飼い主の連絡先を記載したキーホルダーで犬の首輪に装着します。値段は1,000~5,000円程度で、素材やデザインによって異なります。
そのほか、家からの飛び出しを防ぐために玄関にゲートを設置するといった対策をとるのもおすすめです。
ポーチュギーズ・ウォーター・ドッグのしつけと社会化トレーニングのポイント
ポーチュギーズ・ウォーター・ドッグは、非常に従順で飼い主の命令に喜んで従う性質があるため、トレーニングは得意でしょう。
とはいえ、それなりの力もあるので、しっかりと飼い主が犬の興奮や力をコントロールできなくてはいけません。
子犬の頃から毅然とした態度で一貫した訓練を行い、信頼関係をきちんと維持することが大切です。また、子犬の頃からたくさんの人に会わせ、多くの経験をさせることで、見知らぬことに対して過剰な警戒心を持たないよう社会性を育てていきましょう。
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ポーチュギーズ・ウォーター・ドッグに必要な運動量や散歩の目安、おすすめの遊びは?
✓散歩:45分程度を1日2回
✓運動量:多め
✓おすすめの遊び:水遊び
穏やかな性格ですが、猟犬由来のタフで活発な犬種です。ドッグランなどの広い場所を自由に走らせることも良いですが、飼い主と一緒に何かすることが大好きなので、ボール投げなどともに楽しむことができるような遊びを取り入れると良いでしょう。
また水遊びや泳ぐことが大好きな犬なので、海や川に連れて行ってあげましょう。
ポーチュギーズ・ウォーター・ドッグを飼うのに向いている人は?
✓子どものいる家庭でも大丈夫
ポーチュギーズ・ウォーター・ドッグは誰とでも優しく接する犬種だといわれています。大家族のご家庭でも犬がストレスを感じにくいでしょう。とはいえ、体が大きい犬種なので、徹底した訓練が必要です。
✓しつけをきちんとできる人
ポーチュギーズ・ウォーター・ドッグは体が大きい犬種なので、ちょっとしたことが事故につながることがあります。しっかりと犬の興奮をコントロールできるように訓練できなくてはいけません。
✓充分な運動をさせてあげられる人
ポーチュギーズ・ウォーター・ドッグは大型で猟犬だったこともあり、活動的でスタミナのある犬種です。小走りを交えた散歩や、ボール遊びで走らせるなどして、毎日充分な運動ができる体力のある人がよいでしょう。
ポーチュギーズ・ウォーター・ドッグがかかりやすい病気と予防法は?
ポーチュギーズ・ウォーター・ドッグがかかりやすい代表的な病気と対策方法を知っておきましょう。
✓外耳炎
湿気が耳道にこもりやすい垂れ耳の犬種に多い病気です。原因はアレルギーや細菌性の炎症など。強いかゆみを引き起こし、頭を激しく振ったり、耳を足で激しく掻きむしったりしますが、点耳薬などで治療できます。定期的な耳掃除で予防しましょう。
✓進行性網膜萎縮症
網膜に異常が起きて視力が低下する遺伝性の疾患です。治療法は現在のところなく、補助的治療で発症を遅らせたり、目の変性を抑えたりする目的で点眼薬やビタミン剤の投与が行われることもあります。夕方、夜間に動くものに反応しない、鈍い、においを嗅ぎながら歩くといった行動が見られたら動物病院に行きましょう。
✓股関節形成不全
体の大きな犬にリスクの多い病気です。成長過程で、股関節に異常が出て痛みや歩行障害が起こります。急激な肥満などが誘発することがあるので、体重管理を心がけましょう。
ポーチュギーズ・ウォーター・ドッグがかかりやすい疾患については、こちらの記事でもっと詳しく解説しています。
>犬の耳が赤いのは外耳炎かも?原因や対処法、病院に行くタイミングについて解説【獣医師監修】
>【獣医師監修】犬の「股関節形成不全」症状・原因・治療法について
ポーチュギーズ・ウォーター・ドッグの日常のお手入れ
✓ブラッシング:2日に1回
✓シャンプー:1カ月に1回程度
✓トリミング:必要
豊富な被毛ですが、抜け毛が少ないことが特徴です。しかしカールした毛に抜け毛が引っかかったままにしておくと毛玉の原因となるので、こまめにブラッシングをしましょう。
ブラッシング以外にもスキンシップの時間も兼ねて、表面からは分かりづらい皮膚の状態をチェックしたり、日々触れ合う時間を作ったりすることで、愛犬との信頼関係も高まります。
歯みがきは毎日~2日に1回、耳掃除や爪切りは2週~1カ月に1回の頻度で行います。しかし、水遊びをした後は耳の中に水が残っていることがあるので必ずその都度お手入れを行うようにしましょう。
また足裏の肉球間の毛が伸びると、フローリング床などで滑りやすくなるためカットしてください。
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ポーチュギーズ・ウォーター・ドッグとの生活で注意すべきことは?
✓湿気の多い季節は、耳のお手入れをいつもより念入りに!
垂れ耳の犬種は、梅雨時期から夏にかけて耳や皮膚のトラブルが増えます。耳の色やにおい、耳垢の様子をこまめにチェックしましょう。ただし、過度な耳掃除は耳を傷つける恐れがあります。かかりつけの動物病院でケアしてもらうと安心です。
✓関節に負担の少ない床材を選ぼう!
床で足が滑ると足首などの関節に負担がかかります。普段過ごす部屋の床は滑りにくい素材を選ぶか、マットなどを敷くとよいでしょう。
✓飼育スペースは十分な広さを確保!飼育費も準備して
ポーチュギーズ・ウォーター・ドッグを含む大型犬は、トイレも寝る場所も大きな体の分広さが必要になります。犬がゆっくりとくつろげる大きさのケージが必要です。さらに、食費やペットシーツ代などの消耗品や、医療費、ペットホテル費なども、小型犬、中型犬より高額になります。住居スペースや金銭的な負荷を考慮したうえで迎え入れるようにしましょう。