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ヤマザキ動物看護大学准教授、愛玩動物看護師、ペットグルーミングスペシャリスト。教育気・研究の現場だけでなく、数々のテレビ出演や、執筆活動など幅広く活躍。
ふさふさの尾が特徴のコーイケルホンディエですが、コーイケルホンディエを初めて飼う場合に気になるのが、どんな性格をしていて飼いやすいかどうかではないでしょうか。そこで今回は、ヤマザキ動物看護大学准教授の福山貴昭先生に教えていただいた、コーイケルホンディエの性格や特徴、かかりやすい病気やしつけのポイントなどについて解説していきます。
目次
- コーイケルホンディエの歴史やルーツ、英語名は?
- コーイケルホンディエのオスとメスの体高や体重は?
- コーイケルホンディエの平均寿命は?
- コーイケルホンディエの毛色や種類、被毛、外貌の特徴は?
- コーイケルホンディエはどんな性格、習性?
- コーイケルホンディエを迎える際にかかる費用は?
- コーイケルホンディエのしつけと社会化トレーニングのポイント
- コーイケルホンディエに必要な運動量や散歩の目安、おすすめの遊びは?
- コーイケルホンディエを飼うのに向いている人は?
- コーイケルホンディエがかかりやすい病気と予防法は?
- コーイケルホンディエの日常のお手入れ
- コーイケルホンディエとの生活で注意すべきことは?
コーイケルホンディエの歴史やルーツ、英語名は?
犬種名 | コーイケルホンディエ |
英語名 | Kooikerhondje |
原産国 | オランダ |
分類 | 中型犬 |
グループ | 7G:ポインター・セター |
コーイケルホンディエ【英語:Kooikerhondje】は、オランダが原産の中型犬です。
ジャパンケネルクラブの犬種分類では、「8G:ポインター・セター以外の鳥猟犬」に属します。
コーイケルホンディエは、カモ猟用の猟犬で、コーヘンというカモ猟法の名称から犬種名が付けられました。コーヘンとは、運河で休んでいるカモを、コーイケルホンディエが長くふさふさの尾を振って運河脇に設置してある網に誘い込む手法で、数百年前からハンターの頼もしいアシスタントを務めてきました。
また陽気で親しみやすい性格や優雅な容姿が当時の貴族に愛され、オランダを代表する有名画家レンブラントをはじめとする中世の絵画に、コーイケルホンディエの美しい姿がいくつも描かれています。
コーイケルホンディエのオスとメスの体高や体重は?
体高:オスは約40cm、メスは約38cm
体重:約9~14kg
コーイケルホンディエは中型犬に分類されます。
コーイケルホンディエの平均寿命は?
コーイケルホンディエの平均寿命に関するデータはありませんが、『アニコム家庭どうぶつ白書2021』によると、中型犬全般の平均寿命は13.4歳となっています。
犬を迎える際は、最期のときまでしっかり世話ができるかを考えておきましょう。
犬をみとる頃に自分は大体何歳になるか、犬の介護ができるか、自分の生活環境や経済状況などもあわせて考えなければなりません。
犬を迎えようと考えているシニアの方は保護犬などで成犬を迎えるケースも検討するほか、万が一自分が世話できなくなった場合を想定しておくことも重要です。犬の世話を頼めそうな人にあらかじめ相談して承諾を得てから迎えたり、老犬ホームといった預かり先を決めたりして急な環境の変化に備えておきましょう。
コーイケルホンディエの毛色や種類、被毛、外貌の特徴は?
ジャパンケネルクラブの犬種標準によると、コーイケルホンディエの毛色はホワイト地に鮮明なオレンジレッドの斑とされています。頭部はブレーズが鼻まで入っています。耳の先にある黒い毛はイヤリングと呼ばれます。
コートは長くてややウェーブがかかり、尾は長くてふさふさしています。
ボディはほぼスクエアで体長がやや長く、歩様時は頭部とふさふさの飾り毛のある尾を高く掲げて優雅です。耳は高い位置について前方に垂れています。
コーイケルホンディエはどんな性格、習性?
コーイケルホンディエは、陽気でおおらかな性格です。子どもや他の犬とも仲良くできます。
飼い主にとても従順で、一緒にいることを好みます。また猟犬として人間とともに働いてきた歴史から、飼い主に奉仕することに喜びを感じます。
狩猟以外のシーンでは害獣を見つけて仕留めることもしてきたため、鋭敏でタフな性質もあります。
コーイケルホンディエを迎える際にかかる費用は?
コーイケルホンディエを飼い始めるとき、飼い続ける際にかかる費用について説明します。
タイミング | 内訳 | 費用の目安 |
迎えるとき |
ペットショップ、ブリーダー |
※ブリーダーによる |
飼い始めるとき | 畜犬登録料 | 約3,000円 |
生活用品(クレートやケージなど) | 約5~7万円 | |
1年に1回かかる費用 | 狂犬病予防接種費 | 約3,500円 |
混合ワクチン接種費 | 約5,000~10,000円 | |
毎月かかる費用 | 消耗品(フードやおやつなど) | 約5,000~10,000円 |
飼い始める際にかかる費用
コーイケルホンディエはペットショップでの販売は珍しく、専門のブリーダーや輸入が主な入手方法です。ブリーダーから購入する際は時価となり価格は変動することがあります。また、常に子犬が産まれているとは限らないため、コーイケルホンディエのブリーダーにあらかじめ相談したり、問い合わせたりしておくと良いでしょう。
他にも愛犬を迎えるには友人や知人から譲り受ける、譲渡会に参加する、保護犬を迎え入れるといった方法もあります。
犬を飼い始めるときには飼い始めてから30日以内に(子犬の場合は生後91日を経過してから30日以内に)お住いの自治体に犬の登録(登録料は3,000円程度)を行うほか、混合ワクチン接種費や狂犬病予防接種費も必要になります。
母犬の初乳から得た免疫は徐々に低下していくため、混合ワクチンを子犬期に計3回接種してさまざまな感染症を防ぐ必要があります。子犬を迎える際の月齢によっては、ペットショップ側でワクチンを3回打っているため、生体代と一緒にワクチン代も支払います。3回すべて打っていない場合は、飼い主が動物病院に連れて行って接種させましょう。
狂犬病予防接種は生後91日を過ぎたすべての犬が年に1回接種するよう法律で定められており、子犬の場合は混合ワクチンの接種を終えて2週間過ぎたタイミング(およそ生後110日前後)で打たせます。
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飼い続けるために必要な費用
犬を養育するうえでの生涯コストは、ドッグフードやペットシーツ、留守番時のエアコン代、一般医療費、トリミング代、レジャー費など200~300万円といわれています。
なかには僧帽弁閉鎖不全症など手術費が100万円以上になる病気にかかる場合や、アレルギーなどによって継続的な通院や投薬の費用がかかることもあります。犬を迎えるにあたっては、計画的な貯金やペット保険の利用なども検討し、予期せぬ出費にも対応できるかよく検討しておきましょう。
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コーイケルホンディエを迎える際に必要な生活用品としては、クレートやケージ、サークルをはじめ、首輪やリード、食器、給水器、ドッグフード、トイレなどが挙げられます。
また犬が遊べるようおもちゃも用意すると良いでしょう。コーイケルホンディエは普段から散歩だけでなく、ドッグランで走らせたり、ゲームやおもちゃで遊んであげたりするとストレスの解消にもなります。
犬の生体代を除く初期費用としては、5~7万円程度を見込みましょう。
毎月の消耗品としては、ドッグフードやおやつ、トイレシーツ、歯ブラシやボディシートなどが挙げられます。一般的に毎月の平均額は5,000円~10,000円ほどです。ブラッシングや自宅でのシャンプーといったケア用品を揃えておくのが安心です。
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2022年6月から、ペットショップやブリーダーで販売される犬や猫にマイクロチップの装着が義務化されました。マイクロチップは思わぬ事故や災害で迷子になってしまったときに、保護された犬を飼い主のもとへ返すための重要な役目を果たします。装着費用は3,000~5,000円程度で、さらに飼い主の氏名や住所、電話番号などの情報登録料としてかかります。登録はオンライン申請で300円、郵送する場合は1,000円です。
ドアを開けた際に外へ飛び出したり、散歩中大きな音に驚いて逃げてしまったりなど、飼い主の不注意やアクシデントで犬は迷子になってしまう可能性があります。そのため、コーイケルホンディエを迎える際は迷子対策もしっかり講じましょう。迷子対策としてはマイクロチップの装着のほかに、迷子札などの導入が挙げられます。
迷子札は、飼い主の連絡先を記載したキーホルダーで犬の首輪に装着します。値段は1,000~5,000円程度で、素材やデザインによって異なります。
そのほか、家からの飛び出しを防ぐために玄関にゲートを設置するといった対策をとるのもおすすめです。
コーイケルホンディエのしつけと社会化トレーニングのポイント
コーイケルホンディエは利口で賢く、トレーニングは難しくないでしょう。
飼い主と一緒に作業をすることがとても好きで、飼い主が喜ぶことをしたがる性質があるため、褒めながらトレーニングをすると飲みこみが早いでしょう。
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コーイケルホンディエに必要な運動量や散歩の目安、おすすめの遊びは?
✓散歩:1時間程度を1日2回
✓運動量:多い
✓おすすめの遊び:ドッグスポーツ、ボール投げなど
穏やかな性格ですが、猟犬由来のタフで活発な犬種です。ドッグランなどの広い場所を自由に走らせることも良いですが、飼い主と一緒に何かすることが大好きなため、ドッグスポーツやボール投げなど飼い主とともに楽しむことができるような遊びを取り入れると良いでしょう。
コーイケルホンディエを飼うのに向いている人は?
✓子どものいる家庭でも大丈夫
コーイケルホンディエは誰にでも優しく接する犬種だといわれています。大家族のご家庭でも犬がストレスを感じにくいでしょう。また、子犬期からしっかりとトレーニングをすれば、優れた家庭犬になります。
✓たっぷり時間をかけて散歩や運動をしてあげられる人
コーイケルホンディエは猟犬として活躍してきた背景を持つ犬種のため、活動的で非常にスタミナ豊富な犬種です。散歩は、毎日1時間を2回が理想です。一緒にスポーツを楽しみたい人や、毎日充分な運動ができる体力のある人が良いでしょう。
コーイケルホンディエがかかりやすい病気と予防法は?
コーイケルホンディエがかかりやすい代表的な病気と対策方法を知っておきましょう。
✓セロイドリポフスチン脳症
運動障害や知的障害、視力障害などが現れ、進行すると死に至る遺伝性疾患です。予防法や治療法はありませんが、親犬の遺伝子検査で子犬が産まれる前にチェックできます。
✓フォン・ヴィレブランド病
血小板の止血機能に関与する因子に異常がある遺伝性疾患です。ケガをした際の過度な出血や、手術時に出血が止まらなくなるなどの症状があります。治療法はなく、貧血や出血があった際は投薬や輸血などで対応します。予防法はありませんが、親犬の遺伝検査で子犬が産まれる前にチェックできます。
✓外耳炎
湿気が耳道にこもりやすい垂れ耳の犬種に多い病気です。原因はアレルギーや細菌性の炎症など。強いかゆみを引き起こし、頭を激しく振ったり、耳を足で激しく掻きむしったりしますが、点耳薬などで治療できます。定期的な耳掃除で予防しましょう。
コーイケルホンディエがかかりやすい疾患については、こちらの記事でもっと詳しく解説しています。
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コーイケルホンディエの日常のお手入れ
✓ブラッシング:1週間に1、2回程度
✓シャンプー:1カ月に1回程度
✓トリミング:不要
ダブルコートですが、被毛のお手入れは週に1、2回程度で手間がかからず、トリミングも不要です。
ブラッシング以外にもスキンシップの時間も兼ねて、表面からは分かりづらい皮膚の状態をチェックしたり、日々触れ合う時間を作ったりすることで、愛犬との信頼関係も高まります。
歯みがきは毎日~2日に1回、耳掃除や肛門腺絞り、爪切りは2週~1カ月に1回の頻度で行います。
また足裏の肉球間の毛が伸びると、フローリング床などで滑りやすくなるためカットしてください。
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コーイケルホンディエとの生活で注意すべきことは?
✓湿気の多い季節は、耳のお手入れをいつもより念入りに!
垂れ耳の犬種は、梅雨時期から夏にかけて耳や皮膚のトラブルが増えます。耳の色やにおい、耳垢の様子をこまめにチェックしましょう。ただし、過度な耳掃除は耳を傷つける恐れがあります。かかりつけの動物病院でケアしてもらうと安心です。
✓関節に負担の少ない床材を選ぼう!
床で足が滑ると足首などの関節に負担がかかります。普段過ごす部屋の床は滑りにくい素材を選ぶか、マットなどを敷くと良いでしょう。