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獣医師資格取得後、小動物臨床経験6年。主に犬猫の臨床に携わる。現在は子育てをしながら、愛猫と暮らしている。
「股関節形成不全(こかんせつけいせいふぜん)」は、犬の注意したい関節の病気のひとつです。今回は、そんな「股関節形成不全」の症状や原因、治療法、早期発見のコツなどを解説します。
目次
- 犬の「股関節形成不全」の症状・原因
- 犬の「股関節形成不全」の早期発見のコツ・治療法
- こんな関節の病気にも注意して
犬の「股関節形成不全」の症状・原因
「股関節形成不全」は、股関節の発育過程で異常が起き、関節が変形したり、歩くたびに痛みが出たりする病気です。ジャーマン・シェパード・ドッグ、ラブラドール・レトリーバー、バーニーズ・マウンテン・ドッグなどの大型犬や超大型犬に多く見られる病気ではありますが、小型犬で発症するケースもあります。
この病気の主な症状としては、痛みの程度にもよりますが、お尻を大きく振りながら歩く、後ろ足を引きずる、立つのが遅いなどが挙げられます。生後6ヶ月頃から1歳齢くらいになると症状が出やすく、重症化すると股関節脱臼を起こして歩けなくなることも。ただし、成長とともに筋肉が発達すると、症状が軽度の場合筋肉がカバーし、一時的に症状が見られなくなる場合もあります。
犬の「股関節形成不全」の早期発見のコツ・治療法
子犬(生後3カ月と6カ月くらい)のときに、股関節の検査を受けることが早期発見のための最良の手段です。なりやすいとされる大型犬・超大型犬の場合は、必ず検査を受けるようにしてください。
なお、子犬のときの検査で病気が見つかった場合は、状態にもよりますが、人工関節などを用いた外科手術を行って治療するケースも見られます。
こんな関節の病気にも注意して
「肩関節の脱臼」
「肩関節の脱臼」は、トイ・プードルやポメラニアンなどが注意したい疾患のひとつです。犬が肩関節を脱臼すると、人工靱帯などで関節を修復する必要があり、病状がひどい場合は、金属で関節を留め、歩けるようにする場合も。
ちなみに、中型犬や大型犬は肩関節に炎症を起こすことが多く、その結果、肩関節表面が割れたり、肩につながる腱(けん)を痛めたりすることがあるので注意しましょう。
「肘関節形成不全(ちゅうかんせつけいせいふぜん)」
「肘関節形成不全」は、前足首と肘の間にある骨の成長の不均衡が原因で、肘関節の痛みや変形を起こす病気です。
この病気にかかると、前足を引きずったり、上げたりするなどの症状があらわれますが、生後4か月ごろまでに病気が見つかれば、進行を抑える手術ができる場合も。大型犬や超大型犬にみられることが多い病気です。
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