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求人メディア会社の唯一女性だけの部署「プリティ事業部」の責任者。社内コンペにて犬用布おむつを企画し入賞。翌年商品化。柴犬ニコ(4歳)とゴルフをこよなく愛する。
立ったまま簡単に着脱ができる、愛犬の肌に優しい犬用布おむつ『omuwan』とは?
目次
- ズレ、肌荒れ、嫌がる...。犬のおむつ問題を解消する『omuwan』
- 社員の愛犬の悩みから、犬用布おむつの開発を提案
- 日本製にこだわり、古き“良き文化”を継承した犬用布おむつに
- しっぽに触れず着脱が可能な、犬にフィットするおむつを考案
- 約50着以上の試作品…犬のことを一番に考えた布おむつが完成
- 犬が苦手だった福井さんの意識を変えた愛犬・ニコちゃんの存在
- 「良さを知ってから購入してほしい」おむつに異例の試着サービスを導入
- 繰り返し使えるからこそ、愛犬の避難グッズとしても役立つ
- 増える犬のおむつ着用シーン。『omuwan』で思い出作りのお手伝いを
ズレ、肌荒れ、嫌がる...。犬のおむつ問題を解消する『omuwan』
カフェやホテルなど、愛犬との外出時にマナーとして着用を求められることが増えてきた犬用のおむつ。はかせる時にしっぽを触られるのを嫌がったり、かぶれてしまったりと、犬のおむつ問題で悩まされたことのある人は多いのではないでしょうか。
そんな犬と飼い主の悩みを解消してくれるのが『omuwan(おむわん)』です。
人間の赤ちゃんの布おむつと同じ素材を使い、すべての素材をmade in Japanにこだわった『omuwan』は、とにかく肌に優しく、しっぽを触らず立ったまま着脱できます。
開発の責任者は、株式会社大新社の福井千景さん。4年前から犬と暮らしている福井さんも、愛犬のおむつ嫌いに悩まされたといいます。
「快適なおむつで、ワンちゃんと飼い主さんの思い出作りのお手伝いがしたい」
そう話す福井さんに『omuwan』を作るまでの背景やこだわりの理由、おむつ着用マナーへの意識の変化などについて伺いました。
社員の愛犬の悩みから、犬用布おむつの開発を提案
株式会社大新社は、1977年の創業以来、新聞折込求人紙をはじめとする人材総合サービスを通じて、関西圏の採用課題を解決してきました。またメディア事業も手がけており、福井さんは女性向け情報メディア『Pretty Online』を運営する「プリティ事業部」の責任者を務めています。
そんなペット産業とは縁遠い会社が『omuwan』の開発に踏み込んだのは、2021年末に行われた社内コンペがきっかけでした。新規事業立ち上げを目標に、部署対抗で企画案を社長にプレゼンするというものです。
他の部署はそれぞれの事業内容に関わるものを企画するなか、福井さんは「会社がやったことのないことで、自分たちもやってて楽しいこと、大勢の人の役に立つようなことにしよう」と部署のメンバーに提案。
メンバーには、犬を飼っている人が多かったこともあり、自然と犬に関連する課題解決のためのアイデアが飛び交いました。
メンバーが意見を出し合うなかで、とくに注目されたのは「犬のおむつ問題」。そのうちの一つが、ある社員が愛犬の介護をした際に抱えていた悩みでした。
「ちょうどいいサイズのおむつがなくて、人間用の紙おむつにしっぽの穴をあけてガムテープで服 をとめて着けていたそうなんです。暑い時期には服を着せることもできないため紙おむつ一枚で過ごさせるのがすごく悲しかったという話もありました」
同じ頃、福井さんも別のおむつ問題に遭遇します。愛犬ニコちゃんの行きつけのドッグランで、「おむつ着用必須」の貼り紙がされるようになったのです。
「ニコは生まれつき肌が弱く、ふだんから服を着せるならオーガニック系のものを着せるように気を遣っていたので、紙おむつをはかせるのに抵抗がありました。それでも何度か使ったことはありますが、お腹まわりが荒れたり、サイズが合わなくて走りまわると脱げてしまったり、しっぽを触られるのを嫌がって噛みついてきたりするんですよね。結局、おむつが嫌でドッグランには行かなくなってしまいました」
自身の実体験を含め複数のエピソードから、多くの人が犬のおむつ問題で悩んでいるのでは? と福井さんは気づきます。
近年、おむつ着用マナーを求める施設が増えてきていることもあり、福井さんたちは犬が快適に着用できるおむつの開発を提案することにしました。
その後、企画は見事採用。18部門の中から勝ち抜き最終選考に残り、晴れて商品化することになったのです。
「いま会社がおこなっている事業とはまったく別の内容を選んで下さった社長には、感謝ですね」