1974年に鎌倉警察犬訓練所に入所。2007年、日本人で2人目となるIRO(国際救助犬連盟)国際公認審査員資格を取得。災害救助犬の育成・派遣や指導に携わる。

「よく吠える」「落ち着きがない」。愛犬の困った行動は、本当に犬だけの問題なのでしょうか。災害救助犬トレーナー・村瀬英博さんに、犬の行動の背景や特性をどう理解するのか、家庭でできるトレーニング方法、そして日本の災害救助犬を取り巻く現状について伺いました。
目次
- 家庭での“問題犬”が、救助犬に向いていることがある?
- 小型犬でもなれる!? 災害救助犬に向いている犬の特徴
- 長所と短所は表裏一体。“問題犬”だったシェパードの才能
- 犬は飼い主の気持ちを敏感に感じ取っている
- 愛犬が「自分で考えて、正解にたどり着く」のが理想
- 災害救助犬の面白さは「犬からの学びがあること」
- 見方を変えて、愛犬の能力を発揮できる環境づくりを
家庭での“問題犬”が、救助犬に向いていることがある?
「家庭で困った子だと思われていた犬が、災害救助犬としてトップレベルで活躍するようになったという例もあるんですよ」
そう語るのは、40年近くにわたって災害救助犬の育成に携わり、NPO法人救助犬訓練士協会代表理事を務めるほか、国際救助犬連盟(IRO)の国際審査員としても活動する村瀬英博さんです。
村瀬さんは、これまでにも家庭で“問題犬”と思われていた犬が活躍する姿を数多く見てきたといいます。
「たとえば、『落ち着きがない』『よく吠える』『音に敏感すぎる』といったことで悩まれる飼い主さんも多いと思います。でも実は、そういう特性が災害救助犬としての能力につながることもあるんですよ」
では、実際に災害救助犬として活躍するのはどのような子なのでしょうか。
災害救助犬の適性について伺うと、「困った行動」と思われがちな特性との向き合い方が見えてきました。
小型犬でもなれる!? 災害救助犬に向いている犬の特徴
災害救助犬とは、被災現場で「生きている人」を探したり、生存者がいないことを確認したりする犬のこと。そのため、広い範囲を動き回りながら、人の匂いや気配を頼りに捜索を行います。
いち早く生存者を発見し、レスキューにつなげるだけでなく、その場に生存者がいないことを確認する「ゼロ確認」も大切な役割のひとつ。人の命を助けるのはもちろん、災害現場の作業フェーズを次に進めるための判断材料をもたらすなど、重要な任務を担っています。
そんな大仕事を担う災害救助犬というと、「賢い犬」や「言うことをよく聞く犬」が活躍するイメージを持つ人もいるかもしれません。しかし村瀬さんによれば、それだけで適性が決まるわけではないそうです。
村瀬さんが最も大切にしているのは、その子が「人を探すことを嬉しいと思えるかどうか」だといいます。
「活発に動くことが好きだったり、作業そのものを楽しめたりすることが何よりの適性です。逆に、お家で寝ているのが好きな子や、のんびりするのが好きな子だと、ちょっと難しいかもしれません。どんな犬にも向き不向きがあるので、決して無理して災害救助犬を目指すのではなく、その子の性格に合っているかどうかをしっかり見てみてください」
人間から見ると人命救助という重要な任務ですが、もちろん犬自身は「人を助けている」という意識で動いてはいません。人を探すことそのものが楽しくて夢中になっている結果、それが救助活動につながっているのです。
だからこそ何かを探したり、遊んだり、動き回ったりすることが好きな犬ほど、災害救助犬として活躍しやすいのだといいます。
また、災害救助犬になるには、体の大きさや犬種の制限もありません。
「体の大きなラブラドールやシェパードのイメージがあるかもしれませんが、実際にはチワワやトイプードル、テリア系など小型犬が活躍するケースも多いんです。小型犬は狭い場所にも入っていけるので、現場で強みになることもあるんですよ」













