犬猫の整形外科・神経科に特化した二次診療の動物病院。CT・MRIなどの先端設備を備え、椎間板ヘルニアや骨折、靭帯損傷の診断・手術・リハビリに数多く携わっている。

愛犬と生活していると、ふとした変化に不安になることがあります。
「最近、愛犬がしっぽを振らなくなった」
「元気そうだけど、これって大丈夫?」
犬にとってしっぽは、感情を伝える大切なコミュニケーションのひとつです。だからこそ、いつも振っていたしっぽを急に振らなくなると、「どこか具合が悪いのでは?」と心配になる飼い主さんも多いのではないでしょうか。
私も以前、シニア期にさしかかった愛犬のしっぽの動きが急に減り、「何か不調があるのでは」と感じて動物病院を受診したことがあります。血液検査とレントゲンでは異常が見つからず、「しばらく様子を見ましょう」と言われたものの、「本当に大丈夫なの?」というモヤモヤは残ったままでした。
そこで今回は、犬・猫の整形外科・神経科を専門とするONEどうぶつ整形外科センターの澤木和貴先生(神経科)と、ONE自由が丘どうぶつ整形外科・リハビリセンターのセンター長、岸陽子先生(リハビリテーション科)にお話を伺いました。
愛犬がしっぽを振らなくなったときに考えられる原因や受診の目安、日常生活で気をつけたいポイントについて詳しく教えていただきます。
※記事内で使用している一部の写真はイメージです。取材協力いただいた病院・先生方の診療風景や症例とは関係ありません。
目次
- 「しっぽを振らない」理由はさまざま。自己判断は要注意!
- 「しっぽを振らない」と病院に行くべき? 受診の見極めポイント
- 動物病院では何を見る? 「しっぽを振らない」ときの検査
- ダックスフンドだけじゃない? 脊椎トラブルが多い犬種の背景
- 「しっぽを振らない」も愛犬の体調変化のサイン
「しっぽを振らない」理由はさまざま。自己判断は要注意!
──最近、愛犬が急にしっぽを振らなくなりました。もしかして病気だったりするのでしょうか。
澤木先生:「しっぽを振らない」からといって、必ずしも病気とは限りません。実際には、気分の問題から体の不調まで、さまざまな理由が考えられます。
大きく分けると、
- 「振らない」(気分や環境の変化など)
- 「振りたくない」(首や腰、お腹などの痛み)
- 「振れない」(神経や筋肉の異常など)
という3つのケースがあります。
──なるほど。一見同じように見えても、背景はかなり違うのですね。
澤木先生:「振らない」ケースでは、緊張や恐怖、ストレス、急な環境の変化といった気持ちの面の要因で、一時的にしっぽを振る回数が減ることがあります。
「振りたくない」「振れない」背景には、首や背中の痛み、お腹の痛み、脊髄や脳を含む神経の異常などが考えられます。
また、しっぽ自体は問題なくても、股関節などが痛くて体を動かすこと自体を嫌がり、結果としてしっぽを振らなくなる子もいます。

──精神的なものから神経の異常まで、本当にさまざまな原因があるのですね。飼い主としては、余計に「何が原因なんだろう」と悩んでしまいそうです。
澤木先生:そうですよね。だからこそ気をつけたいのが、当てはまりそうな病名を見て「きっとこれだ」と決めつけてしまうことなんです。
たとえば「しっぽを振らない=腰が痛い」とひとつに絞ってしまうと、本当の原因を見落としてしまうことがあります。先ほど挙げたものは、あくまで「考えられる可能性」です。自己判断はせず、少しでも気になる変化があれば、まずは動物病院で相談していただきたいですね。
──ただ、実際には不安になってネットやAIで調べてしまう飼い主さんも多いと思います。
澤木先生:情報を得ること自体は、とても良いことだと思います。ただ、こうしたツールは質問の仕方によって答えが変わることがあります。
心配な気持ちで調べれば重い病気が目につきますし、逆に「大丈夫そうだ」と思いながら調べると、安心できる情報ばかりが目に入って受診を逃してしまうこともあります。
あくまで受診の参考情報として活用し、最終的な判断は動物病院で相談していただきたいですね。

















