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ヤマザキ動物看護大学准教授、愛玩動物看護師、ペットグルーミングスペシャリスト。教育気・研究の現場だけでなく、数々のテレビ出演や、執筆活動など幅広く活躍。
黒い被毛とキツネのような愛らしい顔が特徴のランカシャー・ヒーラーですが、ランカシャー・ヒーラーを初めて飼う場合に気になるのが、どんな性格をしていて飼いやすいかどうかではないでしょうか。そこで今回は、ヤマザキ動物看護大学准教授の福山貴昭先生に教えていただいた、ランカシャー・ヒーラーの性格や特徴、かかりやすい病気やしつけのポイントなどについて解説していきます。
目次
- ランカシャー・ヒーラーの歴史やルーツ、英語名は?
- ランカシャー・ヒーラーのオスとメスの体高や体重は?
- ランカシャー・ヒーラーのオスとメスの体高や体重は?
- ランカシャー・ヒーラーの毛色や種類、被毛、外貌の特徴は?
- ランカシャー・ヒーラーはどんな性格、習性?
- ランカシャー・ヒーラーを迎える際にかかる費用は?
- ランカシャー・ヒーラーのしつけと社会化トレーニングのポイント
- ランカシャー・ヒーラーに必要な運動量や散歩の目安、おすすめの遊びは?
- ランカシャー・ヒーラーを飼うのに向いている人は?
- ランカシャー・ヒーラーがかかりやすい病気と予防法は?
- ランカシャー・ヒーラーの日常のお手入れ
- ランカシャー・ヒーラーとの生活で注意すべきことは?
ランカシャー・ヒーラーの歴史やルーツ、英語名は?
犬種名 | ランカシャー・ヒーラー |
英語名 | Lancashire Heeler |
原産国 | イギリス |
分類 | 小型犬 |
グループ | 1G:牧羊犬・牧畜犬 |
ランカシャー・ヒーラー【英語:Lancashire Heeler】は、イギリスが原産の小型犬です。
ジャパンケネルクラブの犬種分類では、家畜の群れを誘導・保護する「1G:牧羊犬・牧畜犬」に属します。
起源は明確ではありませんが、イギリス北東部のオームスカーク地方(ランカシャー州)で、ウェルシュ・ヒーラー(コーギー)とマンチェスター・テリアの原型などの交配によって生まれたといわれています。
コーギー由来のヒーラー犬種独特の牛のかかと(ヒーラー)を噛んで従わせる統制能力と、マンチェスター・テリア由来のネズミ捕りの能力を兼ね備えていて、長い間オームスカーク地方の農場で優秀な牧牛犬として活躍しました。
イギリスでは1981年に犬種として認定されていますが、イギリス国内でも原産地以外ではあまり知られていない犬種です。
ランカシャー・ヒーラーのオスとメスの体高や体重は?
体高:オスは約30cm、メスは約25cm
体重:約3~6kg
ランカシャー・ヒーラーは小型犬に分類されます。
ランカシャー・ヒーラーのオスとメスの体高や体重は?
ランカシャー・ヒーラーの平均寿命に関するデータはありませんが、『アニコム家庭動物白書2021』によると、小型犬の平均寿命は14.4歳となっています。
犬を迎える際は、最期のときまでしっかり世話ができるかを考えておきましょう。
犬をみとる頃に自分は大体何歳になるか、犬の介護ができるか、自分の生活環境や経済状況などもあわせて考えなければなりません。
犬を迎えようと考えているシニアの方は保護犬などで成犬を迎えるケースも検討するほか、万が一自分が世話できなくなった場合を想定しておくことも重要です。犬の世話を頼めそうな人にあらかじめ相談して承諾を得てから迎えたり、老犬ホームといった預かり先を決めたりして急な環境の変化に備えておきましょう。
ランカシャー・ヒーラーの毛色や種類、被毛、外貌の特徴は?
ジャパンケネルクラブの犬種標準では、ランカシャー・ヒーラーの毛色はブラック・アンド・タンまたはレバー・ブラウン・アンド・タンとされています。
頬に鮮やかなタン・ポイントがあります。目の上にある場合もあります。マズル、胸部、膝から下、後躯の内側、尾の下側も鮮やかなタンです。
被毛はダブルコートで、豊富なアンダーコートと短いトップコートの二重構造です。
コーギーのような長い胴体と短めの脚、広く発達した胸に太くて短い首のがっしりした体格で、飾り毛のあるサーベル型の垂れた尾を持ち、マンチェスター・テリアのような顔立ちです。
子犬の頃は耳が垂れていますが、成犬になると立ち耳になります。
ランカシャー・ヒーラーはどんな性格、習性?
ランカシャー・ヒーラーは、勇敢で陽気、飼い主に対して愛情が深いといわれています。
明るい性格で、警戒心が強い性質もあります。
牛を追うキャトルドッグとして発達しましたが、ウサギやネズミなどの小動物に対して、テリア由来の狩猟本能を見せることがあります。
ランカシャー・ヒーラーを迎える際にかかる費用は?
犬を飼い始めるとき、飼い続ける際にかかる一般的な費用について説明します。
タイミング | 内訳 | 費用の目安 |
迎えるとき |
ペットショップ、ブリーダー |
※ブリーダーによる |
飼い始めるとき | 畜犬登録料 | 約3,000円 |
生活用品(クレートやケージなど) | 約5~7万円 | |
1年に1回かかる費用 | 狂犬病予防接種費 | 約3,500円 |
混合ワクチン接種費 | 約5,000~10,000円 | |
毎月かかる費用 | 消耗品(フードやおやつなど) | 約5,000~10,000円 |
飼い始める際にかかる費用
ランカシャー・ヒーラーは、ペットショップでの販売は珍しく、専門のブリーダーや輸入が主な入手方法です。
ブリーダーから購入する際は時価となり価格は変動することがあります。また、常に子犬が産まれているとは限らないため、ランカシャー・ヒーラーのブリーダーにあらかじめ相談したり、問い合わせたりしておくと良いでしょう。
他にも愛犬を迎えるには友人や知人から譲り受ける、譲渡会に参加する、保護犬を迎え入れるといった方法もあります。
犬を飼い始めるときには飼い始めてから30日以内に(子犬の場合は生後91日を経過してから30日以内に)お住いの自治体に犬の登録(登録料は3,000円程度)を行うほか、混合ワクチン接種費や狂犬病予防接種費も必要になります。
母犬の初乳から得た免疫は徐々に低下していくため、混合ワクチンを子犬期に計3回接種してさまざまな感染症を防ぐ必要があります。
子犬を迎える際の月齢によっては、ペットショップ側でワクチンを3回打っているため、生体代と一緒にワクチン代も支払います。3回すべて打っていない場合は、飼い主が動物病院に連れて行って接種させましょう。
狂犬病予防接種は生後91日を過ぎたすべての犬が年に1回接種するよう法律で定められており、子犬の場合は混合ワクチンの接種を終えて2週間過ぎたタイミング(およそ生後110日前後)で打たせます。
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飼い続けるために必要な費用
犬を養育するうえでの生涯コストは、ドッグフードやペットシーツ、留守番時のエアコン代、一般医療費、トリミング代、レジャー費など200~300万円といわれています。
なかには僧帽弁閉鎖不全症など手術費が100万円以上になる病気にかかる場合や、アレルギーなどによって継続的な通院や投薬の費用がかかることもあります。犬を迎えるにあたっては、計画的な貯金やペット保険の利用なども検討し、予期せぬ出費にも対応できるかよく検討しておきましょう。
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犬を迎える際に必要な生活用品としては、クレートやケージ、サークルをはじめ、首輪やリード、食器、給水器、ドッグフード、トイレなどが挙げられます。
また犬が遊べるようおもちゃも用意するとよいでしょう。ランカシャー・ヒーラーは多くの運動を必要とするため、ボール遊びやフライングディスク遊びなどをさせて思い切り走り回れるようにするのがおすすめです。
犬の生体代を除く初期費用としては、一般的には5~7万円程度です。
毎月の消耗品としては、ドッグフードやおやつ、トイレシーツ、歯ブラシやボディシートなどが挙げられます。一般的に毎月の平均額は5,000円~10,000円ほどです。
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2022年6月から、ペットショップやブリーダーで販売される犬や猫にマイクロチップの装着が義務化されました。マイクロチップは思わぬ事故や災害で迷子になってしまったときに、保護された犬を飼い主のもとへ返すための重要な役目を果たします。
装着費用は3,000~5,000円程度で、さらに飼い主の氏名や住所、電話番号などの情報登録料としてかかります。登録はオンライン申請で300円、郵送する場合は1,000円です。
ドアを開けた際に外へ飛び出したり、散歩中大きな音に驚いて逃げてしまったりなど、飼い主の不注意やアクシデントで犬は迷子になってしまう可能性があります。そのため、ランカシャー・ヒーラーを迎える際は迷子対策もしっかり講じましょう。
迷子対策としてはマイクロチップの装着のほかに、迷子札などの導入が挙げられます。
迷子札は、飼い主の連絡先を記載したキーホルダーで犬の首輪に装着します。値段は1,000~5,000円程度で、素材やデザインによって異なります。
そのほか、家からの飛び出しを防ぐために玄関にゲートを設置するといった対策をとるのもおすすめです。
ランカシャー・ヒーラーのしつけと社会化トレーニングのポイント
ランカシャー・ヒーラーは、牧牛犬としての本能から「かかとを噛む」ような習性があります。そのため噛み癖が付かないように、子犬の頃から意識してトレーニングをしましょう。
また、警戒心の強さから吠えやすい性質があります。できるだけ早期に人や犬に会わせて社会化をすることで警戒吠えをしないように修正し、吠えてしまってもやめさせることができるようにトレーニングをしていきましょう。
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ランカシャー・ヒーラーに必要な運動量や散歩の目安、おすすめの遊びは?
✓散歩:30分程度を1日2回
✓運動量:多め
✓おすすめの遊び:ボールやフライングディスク遊び
ランカシャー・ヒーラーは牧羊犬の祖先を持つため、他の小型犬と比較して運動量は多めです。
散歩は30分を1日2回が理想です。月に数回は、ドッグランなど広い場所を思い切り走らせてあげましょう。
また走ることが大好きなので、飼い主がボールやフライングディスクを投げて取ってくるような遊びは、運動とコミュニケーションを兼ねる遊びになるでしょう。
ランカシャー・ヒーラーを飼うのに向いている人は?
✓子どものいる家庭でも大丈夫
ランカシャー・ヒーラーは、家族に対しても愛情深く他の犬や誰とでも遊ぶことが大好きです。大家族のご家庭でも犬がストレスを感じにくいでしょう。
✓十分な運動をさせてあげられる人
ランカシャー・ヒーラーは小型犬ですが、牧羊犬の先祖を持つだけあってスタミナ豊富な犬種です。毎日の散歩の他に、ボール遊びやフライングディスク遊び、アウトドアでのスポーツで毎日十分な運動をさせてあげられる人がよいでしょう。
ランカシャー・ヒーラーがかかりやすい病気と予防法は?
ランカシャー・ヒーラーがかかりやすい代表的な病気と対策方法を知っておきましょう。
✓椎間板ヘルニア
胴が長く脚が短い犬種に多い病気です。背骨の椎間板が変性して神経を圧迫することで、痛みや麻痺を起こす疾患です。肥満になると背骨に負担がかかりやすくなるため、適切な食生活と運動で体重管理に気を付けましょう。
✓関節疾患
関節に過剰な負荷がかかるとトラブルを起こします。居室の床材を滑りにくいものにし、ソファやベッドへの上がり降りをさせないようにするなどの対策が有効です。また肥満も関節に負荷をかける要因となるので、体重管理に気を付けましょう。
✓熱中症
黒い被毛を持つ犬は、全身で太陽光の熱を吸収しやすいため注意が必要です。晴天下で過ごす際は特に、口呼吸(パンティング)が激しくないか、体が熱くなっていないかこまめに確認しましょう。屋外では、充分な水分補給や太い血管のある場所を冷やすなど、暑さ対策は万全に。
かかりやすい病気や予防法については、こちらの記事で詳しく解説しています。
>【獣医師監修】犬の椎間板ヘルニアの症状とは?原因や治療法、日常生活でのケアや予防法などについて解説
>犬の熱中症の見分け方は?応急処置と予防法、室内や留守番時の注意点も解説【獣医師監修】
ランカシャー・ヒーラーの日常のお手入れ
✓ブラッシング:1週間に1回
✓シャンプー:1カ月に1回程度
✓トリミング:必要なし
頻繁に必要ではありませんが、硬めの獣毛ブラシで週に1回程度のブラッシングをします。ブラッシングは抜け毛を除去するだけでなく、被毛にツヤが出て皮膚の血行を促すマッサージにもなります。
ブラッシング以外にもスキンシップの時間も兼ねて、表面からは分かりづらい皮膚の状態をチェックしたり、日々触れ合う時間を作ったりすることで、愛犬との信頼関係も高まります。
歯みがきは毎日~2日に1回、耳掃除や肛門腺絞り、爪切りは2週~1カ月に1回の頻度で行います。
また足裏の肉球間の毛が伸びると、フローリング床で滑りやすくなるためカットしてください。
犬のお手入れ方法についてはこちらの記事もおすすめ!
>実はとっても重要!犬に必要な“小さなパーツのお手入れ”方法を解説!〜顔・お尻・足〜
ランカシャー・ヒーラーとの生活で注意すべきことは?
✓脚・関節に負担をかけない
ランカシャー・ヒーラーは小型犬種ではありますが、運動量が多く必要な犬種です。脚や関節への負担が大きいと股関節形成不全のような深刻なケガにつながります。また、肥満になりやすい体質です。身体への負担をできるだけ減らすために、体重管理に気を付けてください。また激しすぎる動きはさせないように配慮しましょう。
✓小動物に注意
ランカシャー・ヒーラーはウサギやネズミを追いかけて捕まえていた狩猟本能があるため、ハムスターや小鳥などの小動物との同居には注意が必要です。