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オールペットクリニック所属。日本獣医皮膚科学会認定医。 アメリカChi University Veterynary Food Therapyコース修了。
全身を覆う粗いむく毛が特徴のブリアードですが、ブリアードを初めて飼う場合に気になるのが、どんな性格をしていて飼いやすいかどうかではないでしょうか。そこで今回は、オールペットクリニック所属で獣医師の五十嵐里菜先生に教えていただいた、ブリアードの性格や特徴、かかりやすい病気やしつけのポイントなどについて解説していきます。
目次
- ブリアードの歴史やルーツ、英語名は?
- ブリアードのオスとメスの体高や体重は?
- ブリアードの平均寿命は?
- ブリアードの毛色や種類、被毛、外貌の特徴は?
- ブリアードはどんな性格、習性?
- ブリアードを迎える際にかかる費用は?
- ブリアードのしつけと社会化トレーニングのポイント
- ブリアードに必要な運動量や散歩の目安、おすすめの遊びは?
- ブリアードを飼うのに向いている人は?
- ブリアードがかかりやすい病気と予防法は?
- ブリアードの日常のお手入れ
- ブリアードとの生活で注意すべきことは?
ブリアードの歴史やルーツ、英語名は?
犬種名 | ブリアード |
英語名 | Briard |
原産国 | フランス |
分類 | 大型犬 |
グループ | 1G:牧羊犬・牧畜犬 |
ブリアード【英語:Briard】は、フランスが原産の大型犬です。
ジャパンケネルクラブの犬種分類では、家畜の群れを誘導・保護する「1G:牧羊犬・牧畜犬」に属します。
フランス最古の犬種のひとつで、起源はいくつかのハーディング・ドッグだと考えられています。長い間名前がなく「草原の犬」と呼ばれていましたが、1898年にベルジェ・ド・ブリー(ブリ―地方の牧羊犬)と呼ばれるようになり、のちにブリアードとなりました。
かつては羊の護衛をする牧羊犬として活躍し、2つの大戦ではフランス軍に従事して監視犬として、また負傷した兵士を見つけるための救護犬として活躍しました。現在も牧羊犬や番犬として活躍し、全身をむく毛が覆うオシャレな容姿から、フランスだけでなく世界中で人気の犬種となりました。
ブリアードのオスとメスの体高や体重は?
体高:オスは62~68cm、メスは56~64cm
体重:オスは約34~41kg、メスは約34~41kg
ブリアードは大型犬に分類されます。
ブリアードの平均寿命は?
ブリアードの平均寿命は12歳とされていますが、『アニコム家庭動物白書2021』によると、大型犬の平均寿命は11.5歳となっています。
犬を迎える際は、最期のときまでしっかり世話ができるかを考えておきましょう。
犬をみとる頃に自分は大体何歳になるか、犬の介護ができるか、自分の生活環境や経済状況などもあわせて考えなければなりません。
犬を迎えようと考えているシニアの方は保護犬などで成犬を迎えるケースも検討するほか、万が一自分が世話できなくなった場合を想定しておくことも重要です。犬の世話を頼めそうな人にあらかじめ相談して承諾を得てから迎えたり、老犬ホームといった預かり先を決めたりして急な環境の変化に備えておきましょう。
ブリアードの毛色や種類、被毛、外貌の特徴は?
ジャパンケネルクラブの犬種標準では、ブリアードの毛色は、ブラック、フォーン、ブラック・オーバーレイのフォーン(若干から中位程度)とされています。しばしばグレーかブルーのマスクがあります。
コートは粗いダブルコートで長さは15cmほど、わずかにウェーブがかっています。
体つきは筋肉質で頑健で、しっかりした骨格を持っています。
口髭と顎髭があり、耳は高い位置で垂れています。かつては耳を断耳して半立ちにしたり、深く断耳したりする慣習がありました。
両眼は大きく、左右に離れているため獲物との距離感を把握しやすい構造をしています。
ブリアードはどんな性格、習性?
ブリアードは、攻撃的でも臆病でもないバランスのとれた気質です。
勇敢で、知らない人や犬を警戒し、独立心が強いことから番犬に向いています。
牧羊犬として活躍してきたことから、群れや家族に対して優しく、賢さがあり高い訓練性を持ちます。
ブリアードを迎える際にかかる費用は?
犬を飼い始めるとき、飼い続ける際にかかる一般的な費用について説明します。
タイミング | 内訳 | 費用の目安 |
迎えるとき |
ペットショップ、ブリーダー |
※ブリーダーによる |
飼い始めるとき | 畜犬登録料 | 約3,000円 |
生活用品(クレートやケージなど) | 約5~7万円 | |
1年に1回かかる費用 | 狂犬病予防接種費 | 約3,500円 |
混合ワクチン接種費 | 約5,000~10,000円 | |
毎月かかる費用 | 消耗品(フードやおやつなど) | 約5,000~10,000円 |
飼い始める際にかかる費用
ブリアードは、ペットショップでの販売は珍しく、専門のブリーダーや輸入、里親制度が主な入手方法です。
ブリーダーから購入する際は時価となり価格は変動することがあります。また、常に子犬が産まれているとは限らないため、ブリアードのブリーダーにあらかじめ相談したり、問い合わせたりしておくと良いでしょう。
他にも愛犬を迎えるには友人や知人から譲り受ける、譲渡会に参加する、保護犬を迎え入れるといった方法もあります。また、ブリアードは自治体によって飼育に規制がある場合もあるため、事前に確認しましょう。
犬を飼い始めるときには飼い始めてから30日以内に(子犬の場合は生後91日を経過してから30日以内に)お住いの自治体に犬の登録(登録料は3,000円程度)を行うほか、混合ワクチン接種費や狂犬病予防接種費も必要になります。
母犬の初乳から得た免疫は徐々に低下していくため、混合ワクチンを子犬期に計3回接種してさまざまな感染症を防ぐ必要があります。
子犬を迎える際の月齢によっては、ペットショップ側でワクチンを3回打っているため、生体代と一緒にワクチン代も支払います。3回すべて打っていない場合は、飼い主が動物病院に連れて行って接種させましょう。
狂犬病予防接種は生後91日を過ぎたすべての犬が年に1回接種するよう法律で定められており、子犬の場合は混合ワクチンの接種を終えて2週間過ぎたタイミング(およそ生後110日前後)で打たせます。
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飼い続けるために必要な費用
犬を養育するうえでの生涯コストは、ドッグフードやペットシーツ、留守番時のエアコン代、一般医療費、トリミング代、レジャー費など200~300万円といわれています。
体の大きい犬種だとグッズ代やトリミング代などが高額になるなど犬種によって大きく異なるため、目安としてブリアードの場合は平均より高額になると考えておきましょう。
なかには僧帽弁閉鎖不全症など手術費が100万円以上になる病気にかかる場合や、アレルギーなどによって継続的な通院や投薬の費用がかかることもあります。犬を迎えるにあたっては、計画的な貯金やペット保険の利用なども検討し、予期せぬ出費にも対応できるかよく検討しておきましょう。
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犬を迎える際に必要な生活用品としては、クレートやケージ、サークルをはじめ、首輪やリード、食器、給水器、ドッグフード、トイレなどが挙げられます。
また犬が遊べるようおもちゃも用意するとよいでしょう。ブリアードは牧羊犬由来で多くの運動を必要とするため、自由に走り回れるドッグランや一緒に遊べるドッグパークが近くにあると理想的です。
犬の生体代を除く初期費用としては、一般的には5~7万円程度ですが、ブリアードは体が大きくなるため、クレートやケージ、サークル費用は平均より高くなる傾向にあります。
毎月の消耗品としては、ドッグフードやおやつ、トイレシーツ、歯ブラシやボディシートなどが挙げられます。一般的に毎月の平均額は5,000円~10,000円ほどですが、ブリアードは体が大きいので食事量は多く、トイレシーツも大型タイプを選ぶ必要があるので平均よりかかると見込みましょう。また、ダブルコートで豊富な被毛を持つため、ブラッシングや自宅でのシャンプーといったケア用品を揃えておくのが安心です。
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2022年6月から、ペットショップやブリーダーで販売される犬や猫にマイクロチップの装着が義務化されました。マイクロチップは思わぬ事故や災害で迷子になってしまった時に、保護された犬を飼い主のもとへ返すための重要な役目を果たします。
装着費用は3,000~5,000円程度で、さらに飼い主の氏名や住所、電話番号などの情報登録料としてかかります。登録はオンライン申請で300円、郵送する場合は1,000円です。
ドアを開けた際に外へ飛び出したり、散歩中大きな音に驚いて逃げてしまったりなど、飼い主の不注意やアクシデントで犬は迷子になってしまう可能性があります。そのため、ブリアードを迎える際は迷子対策もしっかり講じましょう。
迷子対策としてはマイクロチップの装着のほかに、迷子札などの導入が挙げられます。
迷子札は、飼い主の連絡先を記載したキーホルダーで犬の首輪に装着します。値段は1,000~5,000円程度で、素材やデザインによって異なります。
そのほか、家からの飛び出しを防ぐために玄関にゲートを設置するといった対策をとるのもおすすめです。
ブリアードのしつけと社会化トレーニングのポイント
ブリアードは、学習能力に長けていて飲みこみが早いため、トレーニングは得意です。
しかし賢く独立心が強いため、飼い主の甘さを見逃しません。犬にとって飼い主が頼れるリーダーでいられないと判断されると指示を聞かなくなってしまうことがあるので、毅然とした態度でリーダーシップを取るように意識しましょう。
また身体が大きく育つ犬種なので、飛びつき癖や噛み癖があると将来的に事故につながる恐れがあります。子犬の頃から適切なトレーニングをしっかり行って、犬が興奮してもコントロールできるようにしておくことが重要です。
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ブリアードに必要な運動量や散歩の目安、おすすめの遊びは?
✓散歩:1時間以上を1日2回
✓運動量:とても多い
✓おすすめの遊び:アジリティなどのドッグスポーツ
ブリアードは、牧羊犬の祖先を持つためとても多くの運動量を必要とします。
散歩は1時間以上を1日2回が理想です。ドッグランなど広い場所を思い切り走らせてあげることも必要です。
また学習能力と運動能力に長けた犬種なので、飼い主と一緒に楽しむアジリティなどのドッグスポーツは良い運動とコミュニケーションになるでしょう。
ブリアードを飼うのに向いている人は?
✓十分な運動をさせてあげられる環境
ブリアードは牧羊犬の先祖を持つだけあってスタミナ豊富な犬種です。毎日の運動を十分にさせてあげられる、体力に自信がある人に向いているでしょう。
✓毎日のお手入れができる人
ブリアードは体も大きく被毛も豊富なため、毎日のお手入れが欠かせません。散歩から帰宅したら入念にお手入れをしましょう。
✓大型犬のトレーニングをできる人
ブリアードは体が大きい犬種なので、ちょっとしたことが事故につながることがあります。しっかりと犬の興奮をコントロールできるように訓練できなくてはいけません。
ブリアードがかかりやすい病気と予防法は?
ブリアードがかかりやすい代表的な病気と対策方法を知っておきましょう。
✓胃捻転
体の大きな犬にリスクの多い病気です。胃がねじれてしまい、短時間で急激に全身状態が悪化する危険な病気です。緊急手術が必要になるケースもあります。原因となる早食い、ドカ食いをさせないようにしたり、食後すぐの運動を控えたりするなどの予防策を意識しましょう。
✓股関節形成不全
体の大きな犬にリスクの多い病気です。多くの場合成長過程(若齢)で、股関節に異常が出て痛みや歩行障害が起こります。中~高齢での発症もあり得ます。 急激な肥満などが誘発することがあるので、体重管理を心がけましょう。
✓外耳炎
湿気が耳道にこもりやすい垂れ耳の犬種に多い病気です。原因はアレルギーや細菌性の炎症など。強いかゆみを引き起こし、頭を激しく振ったり、耳を足で激しく掻きむしったりしますが、点耳薬などで治療できます。定期的な耳掃除で予防しましょう。
ブリアードの日常のお手入れ
✓ブラッシング:毎日
✓シャンプー:1カ月に1回程度
✓トリミング:不要
全身を覆うコートは、毛玉になりやすいため毎日のブラッシングが必要です。ウェーブがかった長い毛は、特に目の周りと口の周りに汚れが付きやすいので、こまめに汚れを除去してあげてください。
ブラッシング以外にもスキンシップの時間も兼ねて、表面からは分かりづらい皮膚の状態をチェックしたり、日々触れ合う時間を作ったりすることで、愛犬との信頼関係も高まります。
歯みがきは毎日~2日に1回、耳掃除や爪切りは2週~1カ月に1回の頻度で行います。
また足裏の肉球間の毛が伸びると、フローリング床で滑りやすくなるためカットしてください。
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ブリアードとの生活で注意すべきことは?
✓事故予防にトレーニングはしっかりと!
ブリアードは大型犬のため、ちょっとしたことが事故につながってしまうことも考えておきましょう。頑丈なケージを用意したり、入ってほしくない場所には入れないように仕切りを設置したりするなどして事故を予防します。また力が強いので、人や動物に飛びついたりしないよう、日頃からのトレーニングも大切です。
✓飼育スペースは十分な広さを確保!飼育費も準備して
ブリアードを含む大型犬は、トイレも寝る場所も大きな体の分広さが必要になります。犬がゆっくりとくつろげる大きさのケージが必要です。さらに、食費やペットシーツ代などの消耗品や、医療費、ペットホテル費なども、小型犬、中型犬より高額になります。住居スペースや金銭的な負荷を考慮したうえで迎え入れるようにしましょう。
✓湿気の多い季節は、耳のお手入れをいつもより念入りに!
垂れ耳の犬種は、梅雨時期から夏にかけて耳や皮膚のトラブルが増えます。耳の色やにおい、耳垢の様子をこまめにチェックしましょう。ただし、過度な耳掃除は耳を傷つける恐れがあります。かかりつけの動物病院でケアしてもらうと安心です。