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ヤマザキ動物看護大学准教授、愛玩動物看護師、ペットグルーミングスペシャリスト。教育気・研究の現場だけでなく、数々のテレビ出演や、執筆活動など幅広く活躍。
トライカラーの大きな体と柔和な表情が特徴のグレート・スイス・マウンテン・ドッグですが、グレート・スイス・マウンテン・ドッグを初めて飼う場合に気になるのが、どんな性格をしていて飼いやすいかどうかではないでしょうか。そこで今回は、ヤマザキ動物看護大学准教授の福山貴昭先生に教えていただいた、グレート・スイス・マウンテン・ドッグの性格や特徴、かかりやすい病気やしつけのポイントなどについて解説していきます。
目次
- グレート・スイス・マウンテン・ドッグの歴史やルーツ、英語名は?
- グレート・スイス・マウンテン・ドッグのオスとメスの体高や体重は?
- グレート・スイス・マウンテン・ドッグの平均寿命は?
- グレート・スイス・マウンテン・ドッグの毛色や種類、被毛、外貌の特徴は?
- グレート・スイス・マウンテン・ドッグはどんな性格、習性?
- グレート・スイス・マウンテン・ドッグを迎える際にかかる費用は?
- グレート・スイス・マウンテン・ドッグのしつけと社会化トレーニングのポイント
- グレート・スイス・マウンテン・ドッグに必要な運動量や散歩の目安、おすすめの遊びは?
- グレート・スイス・マウンテン・ドッグを飼うのに向いている人は?
- グレート・スイス・マウンテン・ドッグがかかりやすい病気と予防法は?
- グレート・スイス・マウンテン・ドッグの日常のお手入れ
- グレート・スイス・マウンテン・ドッグとの生活で注意すべきことは?
グレート・スイス・マウンテン・ドッグの歴史やルーツ、英語名は?
犬種名 | グレート・スイス・マウンテン・ドッグ |
英語名 | Great Swiss Mountain Dog |
原産国 | スイス |
分類 | 超大型犬 |
グループ | 2G:使役犬 |
グレート・スイス・マウンテン・ドッグ【英語:Great Swiss Mountain Dog】は、スイスが原産の超大型犬です。
ジャパンケネルクラブの犬種分類では、番犬や警護、作業をする「2G:使役犬」に属します。
グレート・スイス・マウンテン・ドッグは、スイスで最も古い犬種といわれ、セント・バーナードやロットワイヤーなどの大型マウンテンドッグの祖先にあたる犬種と考えられています。かつては牧畜犬として働いていましたが、大変な力持ちであることから、荷車を引く仕事もしていました。
20世紀初頭までに絶滅したと考えられていましたが、1908年にスイスで行われたドッグショーに2頭のショートヘアードのバーニーズ・マウンテン・ドッグが出陳されたことで、スイス原産の犬に関する権威であったアルバート・ハイム博士に見出されました。スイス・ケネルクラブに別の犬種として公認され、その後、慎重に繁殖プログラムが行われて少しずつ個体数を増やしていきました。
現在では、穏やかな気質から家庭犬としてヨーロッパ以外でも高い評価を得ています。日本では頭数の少ない珍しい犬種です。
グレート・スイス・マウンテン・ドッグのオスとメスの体高や体重は?
体高:オスは65~72cm、メスは60~68cm
体重:オスは60~70kg、メスは50kg~60kg
グレート・スイス・マウンテン・ドッグは超大型犬に分類されます。
グレート・スイス・マウンテン・ドッグの平均寿命は?
グレート・スイス・マウンテン・ドッグの平均寿命に関するデータはありませんが、『アニコム家庭どうぶつ白書2021』によると、大型犬の平均寿命は11.5歳となっています。グレート・スイス・マウンテン・ドッグは超大型犬なので、これより平均寿命が短い可能性があります。
犬を迎える際は、最後の時までしっかり世話ができるかを考えておきましょう。
犬をみとる頃に自分は大体何歳になるか、犬の介護ができるか、自分の生活環境や経済状況などもあわせて考えなければなりません。
犬を迎えようと考えているシニアの方は保護犬などで成犬を迎えるケースも検討するほか、万が一自分が世話できなくなった場合を想定しておくことも重要です。犬の世話を頼めそうな人にあらかじめ相談して承諾を得てから迎えたり、老犬ホームといった預かり先を決めたりして急な環境の変化に備えておきましょう。
グレート・スイス・マウンテン・ドッグの毛色や種類、被毛、外貌の特徴は?
ジャパンケネルクラブの犬種標準によると、グレート・スイス・マウンテン・ドッグの毛色は、ブラックとタン(淡い茶色)、ホワイトの3色からなるトライカラーです。タンは左右対称に入り、頬、目の上、耳の内側、前胸、四肢と尾の下側に入ります。
被毛は短くて厚いスムースコートで艶があります。
体つきは、スイスの風雪に耐える力強さがあります。大きくて骨太、存在感のある頑強な体躯をしています。
顔はアーモンド形の暗色の眼と、黒くて大きな鼻、三角形の垂れ耳が特徴です。
尾は長く垂れさがっています。
グレート・スイス・マウンテン・ドッグはどんな性格、習性?
グレート・スイス・マウンテン・ドッグは、温厚な性質で飼い主と家族に深い愛情を示します。上手く育てれば、誰にでも分け隔てなく愛情を示すポテンシャルを持ち合わせています。
用心深い一面がありますが、知らない人に対しても物怖じはせず、凶暴性はありません。
また大きくて重厚な体ながら機敏に動くことができ、豊富な持久力も持ち合わせています。
他のマウンテンドッグ犬種とは異なり、よだれは少ないです。
グレート・スイス・マウンテン・ドッグを迎える際にかかる費用は?
犬を飼い始めるとき、飼い続ける際にかかる一般的な費用について説明します。
タイミング | 内訳 | 費用の目安 |
迎えるとき |
ペットショップ、ブリーダー |
※ブリーダーによる |
飼い始めるとき | 畜犬登録料 | 約3,000円 |
生活用品(クレートやケージなど) | 約5~7万円 | |
1年に1回かかる費用 | 狂犬病予防接種費 | 約3,500円 |
混合ワクチン接種費 | 約5,000~10,000円 | |
毎月かかる費用 | 消耗品(フードやおやつなど) | 約5,000~10,000円 |
飼い始める際にかかる費用
グレート・スイス・マウンテン・ドッグは、ペットショップでの販売は珍しく、専門のブリーダーや輸入が主な入手方法です。
ブリーダーから購入する際は時価となり価格は変動することがあります。また、常に子犬が産まれているとは限らないため、グレート・スイスマウンテン・ドッグのブリーダーにあらかじめ相談したり、問い合わせたりしておくと良いでしょう。
他にも愛犬を迎えるには友人や知人から譲り受ける、譲渡会に参加する、保護犬を迎え入れるといった方法もあります。また、グレート・スイス・マウンテン・ドッグは自治体によって飼育に規制がある場合もあるため、事前に確認しましょう。
犬を飼い始めるときには飼い始めてから30日以内に(子犬の場合は生後91日を経過してから30日以内に)お住いの自治体に犬の登録(登録料は3,000円程度)を行うほか、混合ワクチン接種費や狂犬病予防接種費も必要になります。
母犬の初乳から得た免疫は徐々に低下していくため、混合ワクチンを子犬期に計3回接種してさまざまな感染症を防ぐ必要があります。
子犬を迎える際の月齢によっては、ペットショップ側でワクチンを3回打っているため、生体代と一緒にワクチン代も支払います。3回すべて打っていない場合は、飼い主が動物病院に連れて行って接種させましょう。
狂犬病予防接種は生後91日を過ぎたすべての犬が年に1回摂取するよう法律で定められており、子犬の場合は混合ワクチンの接種を終えて2週間過ぎたタイミング(およそ生後110日前後)で打たせます。
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飼い続けるために必要な費用
犬を養育するうえでの生涯コストは、ドッグフードやペットシーツ、留守番時のエアコン代、一般医療費、トリミング代、レジャー費など200~300万円といわれています。
しかし体の大きい犬種だとグッズ代やトリミング代などが高額になるなど犬種によって大きく異なるため、目安としてグレート・スイス・マウンテン・ドッグの場合は平均より高額になると考えておきましょう。
なかには僧帽弁閉鎖不全症など手術費が100万円以上になる病気にかかる場合や、アレルギーなどによって継続的な通院や投薬の費用がかかることもあります。犬を迎えるにあたっては、計画的な貯金やペット保険の利用なども検討し、予期せぬ出費にも対応できるかよく検討しておきましょう。
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犬を迎える際に必要な生活用品としては、クレートやケージ、サークルをはじめ、首輪やリード、食器、給水器、ドッグフード、トイレなどが挙げられます。
また犬が遊べるようおもちゃも用意するとよいでしょう。グレート・スイス・マウンテン・ドッグは引っ張り合ったりするロープ遊びなどのおもちゃの準備があるとよいでしょう。
犬の生体代を除く初期費用としては、一般的には5~7万円程度ですが、グレート・スイス・マウンテン・ドッグは体が大きくなるため、クレートやケージ、サークル費用は平均より高くなる傾向にあります。
毎月の消耗品としては、ドッグフードやおやつ、トイレシーツ、歯ブラシやボディシートなどが挙げられます。一般的に毎月の平均額は5,000円~10,000円ほどですが、グレート・スイス・マウンテン・ドッグは体が大きいので食事量は多く、トイレシーツも大型タイプを選ぶ必要があるので平均よりかかると見込みましょう。
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2022年6月から、ペットショップやブリーダーで販売される犬や猫にマイクロチップの装着が義務化されました。マイクロチップは思わぬ事故や災害で迷子になってしまった時に、保護された犬を飼い主のもとへ返すための重要な役目を果たします。
装着費用は3,000~5,000円程度で、さらに飼い主の氏名や住所、電話番号などの情報登録料としてかかります。登録はオンライン申請で300円、郵送する場合は1,000円です。
ドアを開けた際に外へ飛び出したり、散歩中大きな音に驚いて逃げてしまったりなど、飼い主の不注意やアクシデントで犬は迷子になってしまう可能性があります。そのため、グレート・スイス・マウンテン・ドッグを迎える際は迷子対策もしっかり講じましょう。
迷子対策としてはマイクロチップの装着のほかに、迷子札などの導入が挙げられます。
迷子札は、飼い主の連絡先を記載したキーホルダーで犬の首輪に装着します。値段は1,000~5,000円程度で、素材やデザインによって異なります。
そのほか、家からの飛び出しを防ぐために玄関にゲートを設置するといった対策をとるのもおすすめです。
グレート・スイス・マウンテン・ドッグのしつけと社会化トレーニングのポイント
グレート・スイス・マウンテン・ドッグは、穏やかで飼い主に忠実な性質なので、トレーニングは比較的簡単でしょう。
しかし体が大きく、力が強い犬種なので、子犬の頃から徹底的に訓練する必要があります。特に荷車を引く仕事ができるほど引っ張る力は強いと言えます。引っ張り癖がつかないように注意が必要です。
子犬の頃から毅然とした態度で一貫した訓練を行い、主従関係をきちんと維持することが大切です。また、子犬の頃からたくさんの人に会わせ、多くの経験をさせることで、見知らぬことに対して過剰な警戒心を持たないよう社会性を育てていきましょう。
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グレート・スイス・マウンテン・ドッグに必要な運動量や散歩の目安、おすすめの遊びは?
✓散歩:30分以上を1日2回
✓運動量:多い
✓おすすめの遊び:ドッグラン
歩くことが大好きです。さらに身体が大きいため、腰や関節に負荷がかからないように激しい運動よりは長時間散歩をしてあげる方が向いています。しかし、ときにはスピード感のある運動もさせてあげましょう。
グレート・スイス・マウンテン・ドッグを飼うのに向いている人は?
✓超大型犬のトレーニングをできる人
グレート・スイスマウンテン・ドッグは体が大きい犬種なので、ちょっとしたことが事故につながることがあります。しっかりと犬の興奮をコントロールできるように訓練できなくてはいけません。
✓子どものいる家庭でも大丈夫
グレート・スイス・マウンテン・ドッグは子どもに優しい犬種だと言われています。小さなお子さまがいるご家庭でも犬がストレスを感じにくいでしょう。また、子犬期からしっかりとトレーニングをすれば、優れた家庭犬になります。とはいえ、体が大きい犬種なので、徹底した訓練が必要です。
✓力持ちで体力のある人
体重が50kg以上になる大きな体と力を制御できるくらい力持ちで、一緒に運動できる体力のある人が向いているでしょう。
グレート・スイス・マウンテン・ドッグがかかりやすい病気と予防法は?
グレート・スイス・マウンテン・ドッグがかかりやすい代表的な病気と対策方法を知っておきましょう。
✓胃捻転
体の大きな犬にリスクの多い病気です。胃がねじれてしまい、短時間で急激に全身状態が悪化する危険な病気です。緊急手術が必要になるケースもあります。原因となる早食い、ドカ食いをさせないようにしたり、食後の運動を控えたりするなどの予防策を意識しましょう。
✓股関節形成不全
体の大きな犬にリスクの多い病気です。成長過程で、股関節に異常が出て痛みや歩行障害が起こります。急激な肥満などが誘発することがあるので、体重管理を心がけましょう。
✓熱中症
黒い被毛を持つ犬は、全身で太陽光の熱を吸収しやすいため注意が必要です。晴天下で過ごす際は特に、口呼吸(パンティング)が激しくないか、体が熱くなっていないかこまめに確認しましょう。屋外では、充分な水分補給や保冷剤を首に巻くなど、暑さ対策は万全に。
グレート・スイス・マウンテン・ドッグの日常のお手入れ
✓ブラッシング:週1、2回程度
✓シャンプー:1カ月に1回程度
✓トリミング:不要
ブラッシングは週1、2回程度で良いですが、春と秋の換毛期は抜け毛が増えるのでこまめなブラッシングが必要です。
ブラッシング以外にもスキンシップの時間も兼ねて、表面からは分かりづらい皮膚の状態をチェックしたり、日々触れ合う時間を作ったりすることで、愛犬との信頼関係も高まります。
歯みがきは毎日~2日に1回、耳掃除や爪切りは2週~1カ月に1回の頻度で行います。
また足裏の肉球間の毛が伸びると、フローリング床などで滑りやすくなるためカットしてください。
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グレート・スイス・マウンテン・ドッグとの生活で注意すべきことは?
✓飼育スペースは十分な広さを確保!飼育費も準備して
グレート・スイスマウンテン・ドッグを含む超大型犬は、トイレも寝る場所も大きな体の分広さが必要になります。犬がゆっくりとくつろげる大きさのスペースが必要です。さらに、食費やペットシーツ代などの消耗品や、医療費、ペットホテル費なども、小型犬、中型犬より高額になります。住居スペースや金銭的な負荷を考慮したうえで迎え入れるようにしましょう。
✓夏の高温多湿に注意
グレート・スイス・マウンテン・ドッグは、スイスの高地で生活をしてきた犬種のため、寒さには強い犬種です。ただし、スイスの高地と違い、日本は高温多湿であり苦手な環境です。湿気によって皮膚が蒸れる皮膚疾患や外耳炎、熱中症などに注意しましょう。
✓湿気の多い季節は、耳のお手入れをいつもより念入りに!
垂れ耳の犬種は、梅雨時期から夏にかけて耳や皮膚のトラブルが増えます。耳の色やにおい、耳垢の様子をこまめにチェックしましょう。ただし、過度な耳掃除は耳を傷つける恐れがあります。かかりつけの動物病院でケアしてもらうと安心です。