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9月23日は”動物虐待防止の日”です。非営利一般社団法人日本動物虐待防止協会によって定められ、動物の命を守る原点の日との思いから「動物愛護週間(9月20日から9月26日)」の真ん中にあたる9月23日に決まりました。
目次
- 「虐待」には2つのタイプがある
- 具体的に「虐待」に該当する可能性がある状況とは?
- アニマルウェルフェア『5つの自由』
- 飼い主の責任が明記された改正「動物愛護法」
- 虐待が疑われる飼い主を発見したら?
「虐待」には2つのタイプがある
動物の虐待には2つのタイプがあることはご存知ですか?
1.意図的(積極的)な虐待
やってはいけない行為を行う・行わせる
■殴る、蹴る、熱湯をかける、動物を闘わせる等、身体に外傷が生じる又は生じる恐れのある行為をする
■暴力を加える
■心理的抑圧、恐怖を与える
■酷使 する
2.ネグレクト
やらなければならない行為をやらない
■健康管理をしないて放置する
■病気を放置する
■必要な世話をしないで放置する
”動物虐待”というと、意図的(積極的)な虐待のイメージを持つ方が多いかもしれませんが、実は身近で頻繁にネグレクトは起こっているのが現状です。ただ、ネグレクトは外部から気づきずらく、結果、認識されにくい側面があります。
また、虐待は意図的な行為がどうかに関わらず、あくまで客観的にみた「動物の心身の状態・置かれている環境の状態」によって判断されるべきとされています。
具体的に「虐待」に該当する可能性がある状況とは?
例えば、病気でも治療もせず放置したり、食物が十分でなくガリガリで あったり、不衛生な環境で飼育していたり、どういった状態が「虐待」とされるのか、より具体的にみていきましょう。
ごはんに関して
・餌が十分でな栄養不良で骨が浮き上がって見えるほど痩せている
(病気の場合は獣医師の治療を受けているか/高齢の場合はそれなりの世話が出来ているか)
・餌を数日入れ替えず、餌が腐っていたり、固まっていたりして、食べることができる状態ではない
・器が汚く、水入れには藻がついている。あるいは、水入れがなく、いつでも新鮮な水を飲むことができない
(獣医療上制限されているときを除く )
お手入れに関して
・長毛種の犬猫が手入れをされず、生活に支障が出るほど毛玉に覆われている
・爪が異常に伸びたまま放置されている
飼育環境に関して
・常時、糞尿、抜けた毛、食餌、缶詰の空やゴミがまわりにちらかっており、アンモニア臭などの悪臭がする。
・繋ぎっぱなしで散歩にも連れて行かず 犬の糞が犬の周りに何日分もたまり 糞尿の悪臭がする。
・外飼いで鎖につながれるなど行動が制限され、かつ寒暑風雨雪等の厳しい天候から身を守る場所が確保できない。
・狭いケージに閉じ込めっぱなしである。
・リードが短すぎて、身体を横たえることができない。
・首輪がきつすぎてノドが締めつけられている。
飼い主の言動に関して
・しつけ、訓練と称するなどし、動物に対し殴る、蹴る等の暴力を与えたり、故意に動物に怪我をさせたりする。
・病気や怪我をしているにもかかわらず、獣医師の治療を受けさせていない。
・事故等ではなく、人為的に与えられたと思われる傷が絶えない。
こうした状態や、その状態を放置することが、「虐待」と認定される可能性があります。
アニマルウェルフェア『5つの自由』
アニマルウェルフェア(動物福祉)という言葉を知っていますか?これは、動物が生まれてから死ぬまで、その動物本来の行動をとることができ、肉体的にも精神的にも欲求が満たされていなければならないという考え方です。このアニマルウェルフェアの基本理念として『5つの自由』というものがあります。
アニマルウェルフェアの 「5つの自由」
1. 飢えと渇きからの自由
その動物にとって適切で、十分な栄養がとれる食事を与えられているか。衛生的な水を常に飲める状態か。
2. 不快からの自由
その動物の習性や生態をふまえ、適切な環境で飼育されているか。衛生的で安全な場所であるか。
3. 痛み・傷害・病気からの自由
病気やケガを防ぐために日常から健康管理がされているか。痛みや外傷が見えた場合、適切に診療・治療されているか。
4. 恐怖や抑圧からの自由
その動物が身体的・心理的に苦痛を感じていないか。ストレスがかかっていると思われる場合、原因の解決ができているか。
5. 自然に行動できる自由
その動物が自分の意思で自由に行動するための空間・環境が整っているか。群れか単独か、習性に合わせて飼育されているか。
飼い主の責任が明記された改正「動物愛護法」
では、虐待行為はどの法律によって裁かれるのでしょうか?動物の虐待禁止と不適切な飼育の防止について定められている法律が『動物愛護法』です。
飼い主が動物の所有者として、動物がその命を終えるまで適切に飼養すること(終生飼養)の責任について明記されています。この法律は2019年に改正され、一般の飼い主さんへの指導も厳しくなりました。大きな変更点が3つあったので紹介します。
適正飼養が困難な場合の繁殖防止を義務化
犬猫の飼い主は、動物が繁殖して適正に飼育できなくなると予想される場合、繁殖防止のために避妊・去勢手術などの防止策をすることが義務付けられました。
犬猫へのマイクロチップ装着を義務化
ブリーダーなど繁殖業者には、犬猫へのマイクロチップ装着を義務付けられました。これは、動物を最期まで適切な環境で飼育する責任が誰にあるのかを明確にし、安易な飼育放棄を阻止することが目的です。
一般の飼い主には義務化されていませんが、犬猫の迷子防止のためにも装着が推奨されています。マイクロチップを装着済の犬を飼育する場合は、一般の飼い主であっても自治体にナンバーを登録しなければなりません。
生後56日齢以内の犬猫を購入できなくなった
一部例外もありますが、幼齢動物の販売制限が設けられ、生後8週未満の子犬のもらい受けができなくなりました。生後3~12週までは社会化期ですが、8週を過ぎないと家庭に引き取れないようになったので、愛犬の社会化のためにはなるべく急いで引き取る必要があります。
虐待が疑われる飼い主を発見したら?
”動物虐待防止の日”、動物虐待・遺棄が犯罪であることを理解し、虐待や遺棄のない社会作りを目指したいですね。ではもし、皆さんがペットの虐待が疑われる状況を発見したら、どうすれば良いでしょうか?
ペットの虐待を発見したときは、発見場所の地方自治体へ連絡、特に緊急性の高い場合のは警察へ相談または通報してください。
環境省では、地方自治体の通報窓口を掲載しています。虐待の確証が得られないけれど、その可能性があるという場合についても、地方自治体に相談してみるのが良いですね。