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「犬の笑顔」。犬好きの「わんクォール」読者の皆さんなら、何としてでも見たい光景ですよね。SNSなどでも、わんちゃんが笑っているように見える写真を見ることがありますが、そんな写真を見つける度に、思わず頬が緩んでしまいます。
しかし、わんちゃんは本当に笑うのでしょうか。
「僕たちも、わんちゃんの笑顔で心癒される時間を味わいたい!」と、今回、人気お笑いコンビ・アキナのお二人が「わんクォール」に初登場。癒し時間を得るため、2020年6月に、山名さんが保護施設から譲り受けた愛犬のおまめちゃんを笑わせるべく奮闘! しかし、そこには、山名さんの切ない想いが……。
目次
- 愛犬おまめと対決するお笑いコンビ・アキナとは?
- 愛犬おまめの悩み相談
- 挑戦スタート! 果たして、愛犬おまめは笑うのか!?
- 愛犬とより良い関係を構築するための方法とは?
- 挑戦を終えてーおまめとの日々はまだまだ終わらない……
愛犬おまめと対決するお笑いコンビ・アキナとは?
アキナ
変顔、コント、モノボケなど、体を張って果敢に挑戦し続ける芸人アキナ。
果たして笑いのプロであるアキナのお笑いは、おまめちゃんに通じるのか!?
愛犬おまめの悩み相談
山名:ちょっと相談があんねんけど。
秋山:ん? なに?
山名:去年の6月におまめがうちに来て1年ちょっと経ったんやけど、そっけないというか、なんか俺に遠慮してんちゃうかな? って思うねん。なんとかして、もうちょっと喜ばせてあげたいねんけど…。
秋山:なんでそう思うん?
山名:呼んでもこっち来てくれへんのもそうやけど、今年、結婚して奥さんとおまめと一緒に暮らすようになってからは、家に帰っても玄関まで来てくれへんくなったり。寝るときも奥さんとは添い寝したりてんのに…。寂しいわー。
秋山:ほんなら俺らのお笑いで喜ばせてみようや!!
山名:ええの? 協力してくれるか?
秋山:当たり前やん! 俺らコンビなんやから!
山名:でもおまめがほんまに喜んでるかって、俺らじゃちょっと分からんやん?
秋山:そう思って、犬の気持ちが分かるプロの先生呼んどいたで! 先生お願いします。
佐藤えり奈先生
佐藤先生:こんにちは。犬の行動カウンセラーの佐藤えり奈です。アキナのお2人がネタをしている間、私はおまめちゃんを観察して、笑っているかどうか判定させていただきます。よろしくお願いします!
わんちゃんも嬉しいと、笑うの?
山名:ちなみにわんちゃんが笑うって諸説あるみたいなんですけど、実際どうなんでしょうか?
佐藤先生:人間のようにユーモアで笑うというとちょっと難しいかもしれませんが、わんちゃんも「嬉しい」という感情表現として笑うと言えると思います!
よくSNSなどで見かけるわんちゃんの笑顔は、目を細め、耳が後ろに倒れ、口元が緩やかに開いていて、笑っているように見えますよね。
※写真はイメージです。
※写真はイメージです。
実際に、これは嬉しい気持ちを表すしぐさなので、笑っていると考えられる理由の一つです。表情以外にも動作やしっぽの動きなども観察し、判断するのがベストです!
山名:なるほど〜。嬉しくて笑ってるってことなんですね。
佐藤先生:はい。そう考えていいと思います。おまめちゃんをいっぱい喜ばせてあげてください!
秋山:今日は山名くんの愛犬・おまめを笑わせるために、変顔・コント・モノボケを用意してきました。早速ですが、先生よろしくお願いします!
挑戦スタート! 果たして、愛犬おまめは笑うのか!?
愛犬おまめの笑顔に挑戦!①変顔
秋山:よし、最初は変顔からいってみよう!
山名:おまちゃん、いくよー!
山名:せーのっ!
おまめ:……。
佐藤先生:落ち着かないのか鼻をペロペロしたり、目を逸らしたりしていますね。鼻を舐める仕草は「カーミングシグナル」と言って、自分を落ち着けたり、相手に敵意がないという意思表示をしたりする仕草です。なので、ちょっと困っている様子なので笑っていない判定です。
愛犬おまめの笑顔に挑戦!②ショートコント
秋山:変顔はあかんかったけど、次は俺らの得意なコントでおまめに笑ってもらおう!
山名:おう!
ショートコント「逃げちゃった」
山名:うわ。最悪や。
秋山:どうした? どうした?
山名:愛犬のラッキーが逃げてん。どうしよう。飼いだしたばっかりやから、お父さんとお母さんに怒られる! どうしよう!?
秋山:一緒に探そう!
山名:ラッキー!! おーい、ラッキーーー!
秋山:ラッキー!!! ラッキーーー!!!
山名:ラッキー!!!ラッキーーー!!!
秋山:お? あ!!! あぁーーー!!!!
秋山:おった!! おったぞーーー!!!!!
山名:おっ、マジか!!! え!? なになに?
山名:ちょ、猫やん。もうー。
おまめ:!!
佐藤先生:耳や顔をアキナのお2人へ向けており、しっぽも上がっています。「どうした?どうした?」と興味津々の様子で、山名さんのことを逐一気にしていましたね。笑っているまでは言えないかもしれませんが、興味津々という反応です。
愛犬おまめの笑顔に挑戦!③モノボケ
秋山:コントは変顔よりいい感じやったな。最後のモノボケでおまめの笑顔をゲットするで。
山名:よーーーし! おまめ、待ってろよーーーー!
──用意したのはカインズで人気のこちらのペットグッズ。
──最初に選んだのはこちら。「かじりんボーン Mサイズ」。まずは秋山さんからスタート。
秋山:もしもし? おー、なるほど。
秋山:糸電話は聞いたことあったけど、紐電話はないわ……。
おまめ:……。
──続いて山名さん。
山名:いい天気やなー。
山名:あれ?
山名:出雲大社なくなってる。
おまめ:!?
佐藤先生:「あれ?」という顔で山名さんの方を見に行ってましたが、笑ってはないですね! もしかしたら、撮影現場がスタッフさんの大爆笑に包まれたので、その音に対して少しびっくりしたのかもしれませんね。
──次にお二人が選んだのはこれ。「なで犬(わん)しゃもじブラウン」。
──山名さんからスタート!
山名:こしひかり♪
山名:う〜ん、ひとめぼれ♪
山名:あきたこまち!
山名:あ、違いましたすみません。
おまめ:……。
──続いて秋山さんの挑戦。
秋山:コアラ!!!
おまめ:ふぁああ(あくび)。
佐藤先生:残念ながらどれも反応が薄く、笑っていない判定です。でも秋山さんがモノボケするときよりも、山名さんがモノボケしているときのほうが動向を見ていたので、やはり飼い主である山名さんのことを気にかけているようです。
佐藤先生:コントではちょっと興味を持っていた様子も見受けられましたが、変顔・モノボケでは興味関心もほぼない様子で、残念ながら今回は総合的に「笑っていない」という判定です。
おまめ:......。
秋山:犬笑わせるの難しすぎん?
山名:コントでは手応えあったからいけると思ったのに……ショック。どうしたらおまめは喜んでくれるんや!!
愛犬とより良い関係を構築するための方法とは?
方法①精神状態を満足させる
──残念ながら、お笑いのプロをもってしても愛犬を笑わせることはできませんでした。果たして、どうすれば愛犬を喜ばせてあげることができるのでしょうか? 佐藤先生に、愛犬を喜ばせるための方法を聞きしました。
佐藤先生:愛犬を喜ばせるためには、愛犬の精神状態を満足させてあげることが一番重要です。
わんちゃんは社会的な動物なので、集中して一緒に遊ぶ時間、お散歩などの運動等、日常生活で刺激を充分に与えてあげて、身体的にも精神的にも普段から満足させてあげることが大切です。
秋山:満足している様子とか喜んでいる様子って、どんな仕草で判断できるんですか?
佐藤先生:一般的に犬が喜んでいる仕草には、目を細める、口角をあげる、寄り添ってくる、前足を伸ばして頭を低くしながらお尻を上げる、お腹を見せて寝転がる、口を舐めるなどがあります。
ただ、犬種・性別・年齢・性格によって違いがあるので、愛犬についてよく理解することが大切です。
例えば、おまめちゃんは柴犬かつ10歳の高齢なので、喜んだり満足したりしていても、洋犬種や若いわんちゃんよりもそっけなく見えると思います。
山名:そうですね。普段からあまりリアクションがないので、僕に遠慮してるんじゃないかって気になることもあります。
佐藤先生:でもおまめちゃんを見ていると、山名さんのことを常に気にして見ているので、飼い主として信頼している、頼っていると感じます。ちょっとそっけなく見えるのは、先ほど言ったように和犬ならではの本能や、元々のクールな性格、また10歳という高齢からだと思います。
プードルやチワワなどの洋犬は尻尾を振ったり、耳を伏せてやってきたり、喜んでいる様子なども分かりやすいですが、和犬の場合はちょっと猫っぽい気まぐれな性格の子がいたりするので、分かりにくいかもしれませんね。
山名:なるほど。飼い主として信頼してくれてるのは嬉しいなぁ。
方法②コマンド
佐藤先生:山名さんとおまめちゃんは、すでに良い関係を築かれていると思いますが、もっと仲良くなるために「コマンド」を教えてあげるのはいかがでしょうか?
山名:コマンド??
佐藤先生:はい。例えば、おやつをあげるときに「見て」って声をかけて顔の前で手のサインを出し、目が合ったらおやつをあげるのはどうでしょうか? こういったコマンドを与えることはワンちゃんの脳への良い刺激になりますし、コミュニケーションの一環にもなるので飼い主さんとの信頼関係をより強くできます。手の動作(ハンドシグナル)を加えることで、ワンちゃんに伝わりやすくなるし、それに年齢を重ねて耳が聞こえにくくなったときにも、意思疎通ができるなどのメリットもあるんですよ。
※写真はイメージです。
山名:へー! やってみたい!
佐藤先生:例えば、私たち人間も、平穏で安心できる日常は素晴らしいものとは思いつつも、ときに刺激が欲しくなりますよね。わんちゃんも同じで、もちろん家族と平穏に暮らすことが一番ですが、それだけだとストレスに繋がる可能性があります。
ですので、刺激を与えてあげることは愛犬を喜ばせるためにもとても大切なんです。コマンドを与える以外にも、知育玩具「コング」なども頭を使って遊ぶおもちゃとして、刺激になるのでおすすめです。
山名:刺激を与えてあげるといいんですね。でも実はおまめはおもちゃに興味がないのか全く遊ばないんです。どうしたらいいですか?
佐藤先生:小さい頃に遊ぶことを教えてもらわなかったわんちゃんは、そもそも遊ぶことを知らないので、どうしたらいいか分からない子も多いんです。なので、そういう子には、飼い主さんがやり方を見せてあげたり、簡単なことから始めてあげたりするがいいかもしれません。
でも、おまめちゃんは10歳で年齢的に落ち着いているので、本当に興味がない可能性もありますね。まずはコマンドからぜひ試してみてください。
山名:おまめ、頑張ろうな!
秋山:反対に、愛犬に対して絶対にしてはいけないことってありますか?
佐藤先生:絶対にしないで欲しいのは、怖がらせることです。怒るときに大声を出したり、叩いたりする人がいますが、叱るのではなく、その行動に代わる正しい行動を教えてあげてください。正しい行動をとったときに「そうそう」と肯定してあげることが大切です。
山名:叱るんじゃなくて、教えてあげるのか!
佐藤先生:他にも何かおまめちゃんのことで気になっていることはありますか?
山名:1つ相談したいんですが、いいですか? 最近すごく気になってることがあって。
佐藤先生:はい。どうぞ。
山名:冒頭でも話したんですが、おまめは妻とは、頭に顔を乗せて寝たり、横に並んでグーンと伸びて一緒に寝るのに、僕にはそういうことをしないんですよ。なんでかなーってずっと気になってて。僕とは、僕の足元か頭のほうでしか添い寝してくれなくて。
佐藤先生:お写真を見せてもらう限り、向かい合わないのは多分、常に背中やお尻を山名さんに向けて寝ているからで、お尻を向けるのは信頼している証拠です。山名さんはちょっとがっくりされておられるようですが、むしろ信頼の証なので、喜ぶべきことだと思いますよ。
奥さんの横で足を伸ばしてごろんと寝ているのは、もともとは丸くなって寝ていたのが、リラックスして足を伸ばす形になったのだと思います。
山名:背中向けて寝るのは信頼の証拠やったんか! めっちゃ嬉しい!!
秋山:よかったなあ!
山名:おまめのこと笑わせられへんかったけど、結果、俺が嬉しいっていう(笑)。
挑戦を終えてーおまめとの日々はまだまだ終わらない……
秋山:おまめのこと笑わせることはできひんかったけど、おまめは山名くんのこと信頼してるって分かって、なんか俺も嬉しかったわ!
山名:おまめのこと色々教えてもらえてほんまによかった。先生に1ヶ月くらいおまめの横についてもらって、ずっと解説して欲しいわ。
秋山:それは先生めっちゃ嫌やから。でも、おまめのおかげでアキナの仕事も増えたし、仕事の幅も広がったし、おまめ様様やなぁって俺も思うわ。おまめありがとう!
山名:おまめと暮らすようになってから、ほんまにいいことしかない! これからもおまめのこと大事に、仲良く暮らしていこう!
▼撮影スタッフ
取材・文/野村真帆
写真/高見尊裕