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東京都在住のゴールデンレトリーバーラバー。幼少の頃から常に犬と触れ合う環境で育つ。2018年に愛犬ジェシカと出会い、憧れの大型犬との暮らしを始める。
みなさんにとって、愛犬はどんな存在ですか?
家族、子供、親友…時には恋人のような存在だと感じている人もいるかもしれません。犬は言葉を喋らないのに、いつもそばに寄り添って、まるで私たちの言葉を理解してくれるかのように振る舞い、真っ直ぐな愛を与えてくれます。
小林さんご夫妻は、ゴールデンレトリーバーのジェシカと暮らして3年9ヶ月。1日2回の散歩は欠かさず、休日はジェシカの大好きな川遊びにでかけたり、ジェシカの好物を家庭菜園したりと、ドッグライフを楽しむ愛犬家のふたりです。
そんなふたりは今年、結婚式をあげることになりました。
「ジェシカは、大切な家族です。家族が参加できない結婚式は、私たちには考えられませんでした」
今回は、小林さんご夫妻がゴールデンレトリーバーのジェシカと一緒に挙げた結婚式に密着。犬と暮らす日々の喜びや、愛犬への想いを伺いました。
目次
- ゴールデンレトリーバー、ジェシカとの出会い
- 犬と暮らして広がる世界 旅行やDIY、家庭菜園も!
- 犬と結婚式がしたい! リングドッグへのチャレンジ
- 愛犬に、今伝えたいこと
ゴールデンレトリーバー、ジェシカとの出会い
奥様のまなさんは、ゴールデンレトリーバーとの生活が、小さい頃からの夢だったと言います。それを知った犬好きの小林さんは、迷わず快諾! ふたりは愛犬として迎える犬との出会いを探して、一緒にいくつかのブリーダーへ見学に行くことにしました。
そしてある日、群馬県のブリーダーの元で、一頭のゴールデンレトリーバーとの出会いがありました。ちょっぴり困り顔なその表情に、ふたりは強く心を惹かれます。その犬こそが、ジェシカでした。
「ゴールデンレトリーバーはイギリス発祥の犬種です。ジェシカは女の子だったので、イギリス女性の名前の由来を調べて、名前をつけることにしました。『Jessica』には、“神からの恩寵”や、“幸せを運ぶ”という意味があるんです。まさに彼女にぴったりの名前だと思いました」
犬と暮らして広がる世界 旅行やDIY、家庭菜園も!
ジェシカと運命の出会いを果たしたふたりですが、当時暮らしていた物件の飼育条件は、中型犬まで。大型犬と住める家に引っ越して、やっと夢のゴールデンレトリーバーとの生活がスタートしました。
それ以降、ふたりの生活の真ん中には、いつもジェシカの存在があります。朝晩1日2回のお散歩が習慣化し、犬を迎える前よりも健康的になった気がするという、小林さん。
旅行に行くとなれば、愛犬と泊まれるホテルや同伴できるレストランを探し、冬のレジャーに行く時には、ドッグランのあるスキー場を探す。自分たちのお祝い事でも、決まって『ジェシカが一緒に行ける場所』を選ぶ生活になりました。
「家族だから、一緒が当然なんです。自分たちがお散歩や旅行に連れて行ってあげているのではなくて、ジェシカの方がいろんな場所へ連れて行ってくれている感覚なんですよ」
ゴールデンレトリーバーは、もともと鳥猟で水中から獲物を回収するなどして活躍していたルーツのある犬種で、その名の通りレトリーブ(回収)や、泳ぐのが得意な子も多いとされます。
ジェシカも、泳ぐのが好き! 休日は、川遊びや温水プールに行って、たくさん泳ぎます。ボール遊びも大好きで、家ではボールを咥えたまま寝てしまうこともあるそう。
いつだって、ジェシカを喜ばせたいーー。
小林さんとまなさんの暮らしの隅々に、そんな想いが詰まっています。
既製品の犬服では、なかなかジェシカにぴったりのサイズがないからと、自分で犬服のDIYを始めたまなさん。ジェシカのことを考えて、一点一点大切に作っています。
一方の小林さんも、ジェシカが大好きなキュウリやカボチャを栽培するため、自宅で家庭菜園を始めました。
「ジェシカは食いしん坊で、食べることが大好きなのですが、飼い主としては体重管理もしなくてはなりません。そんな時、獣医師さんに野菜でかさ増ししてあげることを勧められたんです。家庭菜園なら肥料にも気を遣うことができるので、自分で作りはじめました」
二人に溺愛され、楽しく過ごしているジェシカですが、時にレトリーバーらしからぬ、ドライな一面も見せると言います。
「自分がくっつきたくない時は全然相手にしてくれないし、結構わがままなところもあります。でも、ジェシカはゴールデンレトリーバーである前に、ジェシカなんですよね。だから、そんな性格も可愛くて」
犬と結婚式がしたい! リングドッグへのチャレンジ
そんな愛に溢れるジェシカの家族。小林さんとまなさんは、今年、結婚式を挙げることになりました。挙式をするにあたって、もちろん二人が大切にしたのは“愛犬と一緒に参加できること”。
「ジェシカが参加できない結婚式は、私たちには考えられませんでした」
とはいえ、『ジェシカにできるだけ負担をかけずに、家族同然で参加させてもらえる式場を探したい』という小林さんたちの思いとは裏腹に、会場探しには沢山のハードルがあったといいます。
「たとえ犬が会場に入れても、一緒に待機はできなかったり、靴やオムツが必須、ケージでお留守番が条件のところが本当に多くて……。お話しする中でも、飼い主として当たり前なことが、一般的にはなかなか理解してもらえないということが、たくさんあるのを痛感しましたね」
何度も検討を重ねた、小林さんとまなさん。ようやく懸念点をクリアでき、納得できる会場を見つけることができました。今回ふたりが式の会場に決めたのは、東京豊洲にある、アヴァンセリアン東京です。
さらに、ジェシカはふたりの結婚式で、ある重役を務めることになりました。リングドッグです。リングドッグとは、式の中で新郎新婦に指輪を届けるワンちゃんのこと。犬を飼っている人なら、一度は憧れるイベントの一つかもしれません。
リングドッグをするにあたっても、ふたりはどうしたらジェシカに負荷なく指輪を運んできてもらえるかを、念入りに考えていました。
箱を首にぶら下げるのがいいかな? 背中に固定する? いろいろな案を出して、最後はリングをリボンに通して、首から下げる方法が、軽くてジェシカに負担もないねと、採用されることになりました。
そのほかにも、当日の空調は犬が暑くない温度に調整し、来場者には暖かい装いをしてきてもらうなど、常にジェシカのことを一番に考えて、準備しました。
そしていよいよ、挙式当日ーー。
犬は初めての場所に連れ出すとストレスを感じてしまうことがあるので、ジェシカも今日までに3回ほど見学にきて、この場所に慣れる練習を重ねてきました。その甲斐あって、本番前も、とても落ち着いた様子でした。
新郎がリードを持てないシーンでは、犬好きの友人たちがジェシカを連れていてくれることになりました。新婦の身支度をするブライズルームにも、ジェシカのための、おやつやグッズをたくさん置いて、準備は万全!
ほどなくして、式が始まりました。厳かなムードの中、まずは新郎新婦入場です。ジェシカも、扉の後ろで自分の出番を静かに待っています。
そしてついに、ジェシカの出番です。再び扉が開き、全員が振り返った先に現れたのは、一頭のゴールデンレトリーバー! 思わぬ登場に、会場から、わあっという歓声があがります。
はじめは勢いよく駆け出したジェシカでしたが、会場に大好きな人たちがたくさんいることに気がつき、みんなにご挨拶。
ジェシカが歩みを進めるうちに、気がつけば、会場は笑顔であふれていました。
無事ふたりに指輪を届けることができたジェシカ。立派にリングドッグを務めあげました。
その後も、最前列でふたりを見守ります。賛美歌の最中には、小さな遠吠えをして、ジェシカも一緒に唄っていました。ついにふたりは夫婦となり、新たな人生のスタートを、2人と1頭で歩み出すことを誓いました。
「想像以上に、ドッグファーストの挙式ができました。可愛いジェシカの姿も沢山見れましたし、素敵な思い出作りができたと思っています。やり直しがきかないので、少し心配もあったけど、犬と一緒で、本当によかったです」と、まなさん。
犬との結婚式は、正直人間のエゴかもしれない。それでもやってよかったと、ふたりは振り返っていました。それも、愛犬のことを一番に考えて、会場選びにこだわり、当日もジェシカの様子を近くで見ていられる工夫を凝らしたからこそではないでしょうか。
この日はふたりにとって、最高の1日になりました。
愛犬に、今伝えたいこと
最後におふたりから、ジェシカへのお手紙をいただきました。
「愛するジェシカ
私たちとの生活をジェシカが選んだわけではないけど、毎日幸せをくれて本当にありがとう。ジェシカが私たちの元で生活している事を、『悪くないね』くらいにでも、思っていてくれたら嬉しいな。
まだ4歳だけど、もう4歳。一緒にいると、楽しくて、毎日が本当にあっという間だよね。
あと、どれくらいジェシカと一緒にいられるのかなって考えて、犬のちょっと悲しい動画を見ては、自分と重ねてしまって勝手に涙したり、嫌がられてもついつい抱き寄せたり。
そんな私たちを、時には少し、鬱陶しく思っているかもしれないね。でも、私たちがジェシカを大好きな気持ちが、ちゃんと伝わっていたら嬉しいよ。
これからも、私たちにとっては、ジェシカが世界で一番のゴールデンレトリーバーだよ」
撮影協力:アヴァンセリアン東京