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往診専門るる動物病院、TNRののいちアニマルクリニック 所属。小動物臨床15年、往診による一般診療、終末期医療、オンラインでの診療や相談にも積極的に取り組む。
「犬がトイレからはみ出して排泄してしまう」
「上手にできていたのに犬がトイレからはみ出すようになった」
そんな悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。犬がトイレからはみ出して用を足すなら、理由に合った対処が必要です。そこで今回は、犬がトイレからはみ出す理由や対処法、トレーニングのポイントなどを紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
- 犬がトイレからはみ出して用を足す理由と対処法
- 犬のトイレトレーニングでのポイント
- トイレをはみ出してしまうシニア犬への対策
- まとめ
犬がトイレからはみ出して用を足す理由と対処法
犬がトイレからはみ出して用を足してしまうのには、理由があります。叱って済ませるだけでは、いつまで経ってもうまくできるようになりません。
はみ出す理由を見つけて対策する必要があります。人間と犬どちらも快適に暮らすために、理由と対処法を見ていきましょう。
トイレの場所を移動した
場所の移動が原因でトイレに失敗するようになる犬がいます。「違うところに変わった」と理解できない犬も少なくありません。
上手だったのが失敗するようになって、移動が原因だと思われるときは、もとの位置に戻してみてください。そのうえで犬が戸惑わないよう少しずつ場所を移動させてみましょう。
トイレが小さい
はみ出しはトイレのサイズが原因になっている可能性もあります。成長しても子犬時代のトイレを使っているという方も多いのではないでしょうか。
とくに大型犬は、子犬時代のトイレでは小さい可能性があります。犬の体に対してトイレのトレーやシートが小さくないか、確認してみましょう。
小さいようであれば、トイレのサイズを大きくするなど変更が必要になってきます。適切なサイズを把握して買い替えることで、はみ出さずに用を足せるようサポートしてあげましょう。
トイレの端を使っている
用を足すときにトイレのトレーやシートの端を使っているのも、はみ出しの原因です。端を使っているときは、対処法としてトイレ自体をサークルで囲ってみましょう。周囲が囲われていると、端だと用が足しづらくなります。そのためトイレの中央で用を足せる確率が上がるはずです。
排泄のタイミングでサークルに入れて扉を閉め、上手にできたら褒めてみてください。繰り返すうちに、上手にできるようになるでしょう。
足を上げて排泄している
足を上げて排泄するのも、犬がトイレからはみ出してしまう原因のひとつです。雄犬は、成長に伴って足を上げて排泄するようになります。
ただし雄犬でも家のなかでも足を上げて用を足す犬ばかりではありません。足を上げて排泄するのは、縄張りをアピールするためです。そこで次のような対処法を試してみましょう。
- L字型のトイレを使う
- トイレの周囲にもシーツを敷く
- トイレに柱を作る
- 家のなかに犬の居場所を作る
L字型のトイレは二面にシートを入れられるもので、足を上げて用を足すときの対策として便利です。
トイレの周囲にシーツを敷いたり、柱を作ったりする方法もあります。また、マーキングをさせないために、犬が落ち着ける専用の居場所を作ってあげましょう。
トイレの場所を忘れている
シニア犬になってトイレの場所を忘れるのもはみ出す原因です。年齢を重ねると、犬の記憶力は衰えていきます。トイレの場所自体を忘れているのなら、別の場所に排泄してしまうことも増えるかもしれません。
はみ出す回数が増えているのなら、トイレのサイズを大きくしてみましょう。別の場所に用を足してしまうのなら、トイレのタイミングでサークルに入れて排泄させるようにしてみてください。
病気である
急に失敗が続いているのなら病気が原因となっている可能性も考えられます。病気によって頻尿になっているのなら、トイレに行くのが間に合わないかもしれません。
まずは犬の排泄量や排泄回数に変化がないか、チェックしてみましょう。うまく行っていたのに失敗が続いているのなら、病気の可能性が高くなります。犬の様子をチェックして、病気が疑われるなら動物病院を受診してみてください。
犬のトイレトレーニングでのポイント
トレーニングが不完全だと失敗が多くなります。そこで、犬がトイレを完全に覚えるまで、根気よくトレーニングを続けてみましょう。
犬のトイレトレーニングでのポイントを紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
犬がトイレを失敗しても叱らない
まずは犬がトイレを失敗しても叱らないよう徹底しましょう。
失敗したのを見て、つい叱りたくなる方もいるかもしれません。しかし叱ると逆効果になるおそれがあるため注意が必要です。トイレの失敗を叱ってしまうと、排泄自体がダメなのだと勘違いをする犬もいます。
特に注意したいのが留守番中の失敗です。留守番中の失敗を叱っても時間が経過しているため、犬にはなぜ叱られているのか理由がわかりません。理由がわからないと犬が飼い主を怖がるようになってしまう可能性がありますので、注意してください。
上手にできたらサークルから出したあとに褒める
トイレトレーニングでは、上手にできたときはご褒美を与えて褒めると効果的です。
ただし、ご褒美をサークル内で与えてしまうと「トイレにいるので褒められた」と犬が勘違いする可能性があります。そこでトイレに成功した後は、サークルから出してご褒美を与えるようにしましょう。
「成功したら褒める」を繰り返すうちに、上手にトイレができる回数が増えていきます。根気よくトレーニングを続けてみましょう。
トレーニング中は犬を見守る
トイレのトレーニング中は犬から目を離さないようにするのも大切なポイントです。失敗しそうなときは正しい場所に誘導してあげてください。
上手にできたら褒めるためにも、飼い主による見守りは大切です。トイレ以外の場所で排泄する癖をつけないためにも、なるべく見守るようにしましょう。
汚れたシートはすぐに取り替える
トイレトレーニング中に限らず、汚れたシートはすぐに取り替えるようにしてみてください。
綺麗好きな性格の子は汚れたシートを使いたがらないため、別の場所に用を足してしまう場合があります。そのためトイレ後はなるべく早くシートを取り替えておきましょう。
また、トイレトレーニング中は、長時間の留守番を避けるようにするのも大切です。留守番時間が長いと、犬が排泄物やトイレシートに興味を持って、いたずらをしてしまうかもしれません。
悪い習慣がつかないよう、なるべく犬を見守れる時間を増やしましょう。
トイレの周囲にもシートを敷いておく
まだトレーニングの段階なら失敗はつきものです。そんなときのために、トイレの周囲にもシートを敷いておきましょう。
犬がいたずらをしてしまうようなら、シートを敷いたままにするのは避けてください。
トイレは目立たない場所に置く
犬がうまく排泄できないときは、トイレを目立たない場所に置く方法も試してみましょう。
排泄中の姿を見られるのを好まない犬もいます。愛犬が飼い主に隠れて用を足しているのなら、排泄中の姿を見られたくないのかもしれません。
見られたくない様子なら、トイレを目立たない場所に置いて誘導してみてください。
トイレは出入りしやすいよう工夫する
犬のトイレは出入りしやすいよう工夫してあげるのも大切なポイントです。出入りしづらいとはみ出しや失敗につながってしまいます。
上手に用を足すためには、トイレの使いやすさも大切です。入りづらそうにしていたら、トイレの置き場所を変えるなどの工夫をしてみてください。
トイレをはみ出してしまうシニア犬への対策
若いときはトイレが上手だった犬も、加齢で失敗が増えることがあります。
シニア犬なら、トレーニングよりもはみ出しへの対策が必要です。加齢がはみ出しの原因なら、人間が積極的に対策してあげましょう。
ただし病気が原因となっている可能性もあります。そのためおむつを使うべきか、動物病院で相談してみるのがおすすめです。ここでは加齢や病気により、トイレからはみ出して用を足してしまうシニア犬への対策を紹介します。
縁のないトイレトレーを使う
シニア犬なら縁のないトレーの使用を検討してみましょう。犬も年齢を重ねていくと次第に筋力が落ちていきます。筋力が落ちると、段差のある縁つきトレーが上手に使えなくなってしまうかもしれません。
足腰が弱っているようなら、段差の少ないトイレのトレーを試してみてください。
トイレのサイズを大きくする
失敗が増えてきたら、トイレのサイズを大きくするのも対策のひとつです。
小型犬であれば、トイレをSサイズからMサイズやLサイズに変えてみてください。中型犬・大型犬の場合は、シリコンタイプのトイレに変えると便利です。
シリコンタイプのトイレは段差が少ないため、2個つなげて使えます。犬が余裕を持って用を足せるサイズのトイレに変えてみましょう。
おむつを使う
はみ出して用を足す回数が増えてきたら、おむつを活用する方法も検討してみましょう。おむつならトイレの失敗を気にする必要がなくなります。犬のおむつは、腰回りのサイズを基準に選んでみてください。
ただし、シニアになっていきなりおむつを使っても、慣れないため上手に排泄できないかもしれません。そこで犬が若いうちからおむつを活用しておくと、スムーズに移行できます。
またおむつを使い始めるのなら、蒸れやかぶれに注意が必要です。こまめにおむつを交換して、なるべく清潔な状態を保ってあげましょう。
おむつによるかぶれが生じたらケアが必要です。使い始めるまえに排泄器官の周囲にある毛を剃っておくと、蒸れやかぶれの対策になり、ケアも楽になります。
まとめ
愛犬がトイレからはみ出して用を足すときは、理由に合った対処が必要です。うまく排泄できるよう、飼い主が工夫してみる必要があります。
トレーニングが不十分だった場合は、紹介したポイントを参考にやり直してみましょう。愛犬も家族も快適に暮らせるよう、ぜひトイレのはみ出しへの対処を試してみてください。