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20歳で国際結婚。ビションフリーゼの愛犬・プンバとともに、23歳〜30歳までアメリカで生活していた。離婚後、日本に帰国し、英語に関わる仕事をしている。

ビション・フリーゼのプンバくんと飼い主・みみこさんが共に乗り越えた人生の転機とは?
目次
- 飛行機に乗った回数は30回以上! アメリカ生まれのプンバくん(ビション・フリーゼ)
- 愛犬と共生するためのクレート・トイレトレーニング
- 「私がこの子を守らなきゃ」愛犬の存在が、NYでの暮らしの支えに
- “犬を迎える”にあたり、引っ越し・渡航・病気・災害…を想像&準備
- 人生で一番の決断で、愛犬と同時に自分の知らない一面にも出会う
- 「ずっと一緒。何があっても絶対に手放さないよ」愛犬への誓い
- いつもそばで寄り添い、無償の愛を注いでくれた愛犬・プンバくん
飛行機に乗った回数は30回以上! アメリカ生まれのプンバくん(ビション・フリーゼ)
転勤や引っ越しが多い家庭で、愛犬を迎えるのはとても勇気のいる決断かもしれません。
「元夫の仕事の関係で、転居が多くて。本当に犬を飼っていいものか、すごく迷いました」
そう語ってくれたのは、アメリカ生まれのビション・フリーゼ・プンバくんと暮らす、みみこさん。

「プンバと一緒にアメリカ国内をたくさん旅行してきました。飛行機に乗った回数はもう30回は超えてるかな」とのこと。もうすっかり空の旅のベテランさんです。のんびり屋さんで優しい性格のプンバくんは、クレートの中でも静かに過ごせちゃうんだとか。
プンバくんとは、みみこさんが結婚してアメリカに渡ってから約5ヶ月後に出会いました。その後、約7年、みみこさん夫婦とプンバくんで暮らしましたが、やがて別居、離婚という大きな転機が。
みみこさんは、プンバくんとふたりでニューヨークで約1年間暮らした後、2022年に日本へ帰国しました。
「異国の地での思いがけない一人暮らしは、何度も心が挫けそうになりました。だけど、プンバがいてくれたから、なんとか踏ん張ることができたんです。今の私がこうして元気に生きていられるのは間違いなくプンバのおかげです」と話す、みみこさん。
転勤、離婚、ニューヨークでの生活……。さまざまな転機や困難を一緒に乗り越えてきた、みみこさんとプンバくんのお話を聞かせてもらいました。
愛犬と共生するためのクレート・トイレトレーニング

「親バカかもしれないんですけど、プンバって本当に賢くて、私の言うことをよく聞いてくれるんです」と、みみこさん。
アメリカは日本よりもワンちゃんフレンドリーのお店やホテルが多く、プンバくんも一緒に飛行機に乗って家族旅行に出かけていたそう。いろんな州の国立公園でハイキングやキャンプを楽しんできました。
日本に帰る際の長時間のフライトもプンバくんはへっちゃらです。みみこさんの足元のクレートの中で静かに過ごし、定期的にクレートごとトイレに行って、トイレシートの上で『ピーピー』というみみこさんからの合図に応じておしっこができます。

それだけプンバくんが飛行機マスターになれたのは、生後2ヶ月でお迎えしてすぐにみみこさんがトレーニングを始めたから。家庭の事情で転居が多かったこともあり、パピーの頃からトレーニングを重ねたんだそう。
飛行機の中や災害の時でも、クレートの中で落ち着いて過ごせるよう、寝る時やお留守番の時は必ずクレートで過ごさせています。トイレも、指示したタイミングでトイレシートの上におしっこをすることができます。
「子犬の頃はあちこちでおしっこしちゃうんですけど、その瞬間を見逃さずトイレシートをサッと出して、そこでできたら褒めるところから始めたんです。その後、プンバがおしっこするタイミングで『ピーピー』って声をかけるようにしたら、今じゃ私の『ピーピー』っていう合図でおしっこができるようになりました」

「家の中ではうまくいったんですけど、一番大変だったのは外でできるようになることですね。プンバも慣れない景色に戸惑っちゃって、合図してもなかなかおしっこできず……玄関の前でトイレシートを広げて、おしっこが出るまで長い時間一緒に粘ったこともありました(笑)」
そんな特訓を乗り越え、プンバくんとたくさん旅行ができたことが、みみこさんにとってアメリカ時代の一番の思い出なのだとか。
「こんなに一緒に旅行を楽しめたのは、プンバが一生懸命私の指示を聞いて、期待に応えてくれたからこそだと思います。本当に感謝でいっぱいです」

「私がこの子を守らなきゃ」愛犬の存在が、NYでの暮らしの支えに
アメリカでの暮らしを送る中、プンバくんが5歳になった2021年、みみこさんは離婚という大きな転機を迎えます。
「突然、プンバと2人きりのニューヨーク暮らしが始まりました。治安も良くないし、物価は高く、決して住みやすい場所とは言えません。でも、『このまますぐに帰国したら私には何も残らない』と思い、せめて3年はこの地で頑張ることを決意したんです」

みみこさんは、何とか生活を成り立たせようと、仕事を3つ掛け持ちしました。しかし、精神的にも追い詰められて、体調を崩してしまいます。
「それまではパートタイム程度の仕事だったから、ほとんどずっと一緒にいられたのに、急にお留守番が増えちゃって、プンバには本当に申し訳なかったです」

離婚による大きな環境の変化、突然始まったニューヨークでのふたり暮らし。そして目まぐるしく忙しい日々の中で、精神的にも不調をきたします。
次第にみみこさんの中で、“最悪な選択”が頭をよぎるように……。
「毎朝地下鉄を待つ間、自分でもいつ一線を越えてしまうかわからないくらい憔悴していました。そのため、自分に何かあってもプンバだけは助かるように、家に犬がいることと住所と夫の連絡先を書いたメモを鞄の中に入れて、お守りみたいに持ち歩いてました」

「当時はこのメモを見て『プンバが家で待ってるから。帰ってご飯あげなきゃ』と、自分に言い聞かせて、なんとか持ちこたえてました。プンバがいなかったら、本当に乗り越えられなかったと思います」
体調を崩したことをきっかけに、みみこさんとプンバくんは日本への帰国を決断。
コロナ禍での一時帰国の時に狂犬病抗体検査を済ませておいたことで、無事にプンバくんと帰国することができました。
「帰国してからは治療を受け半年ほど療養をして、体調も落ち着いてきたので社会復帰しました。転勤や引っ越しの心配もなくもなくなって、お留守番も減ったから、プンバにとっても良かったのかもしれません。母も、パートナーもプンバのことを可愛がってくれてるし、8歳になってシニア犬の仲間入りをした今、穏やかに暮らせていることに私もすごくホッとしています」
