イルカトレーナーとして約10年活躍後、ドッグトレーナーに。2020年「Dolphin Boy Academy」を設立し、海獣類のトレーニング理論を犬業界に普及。

元イルカトレーナー・藤井勝さん流の、愛犬と無理なくケアを進めるための信頼関係の築き方とは?
目次
- 愛犬に無理をさせていない? イルカに学ぶ犬との向き合い方
- 体重300kgを超えるイルカの採血、どうやるの?
- 犬が嫌なのは“ケア”ではない。「選べないこと」が恐怖の正体
- 「小ささと優しさへの甘え」愛犬の“サイン”を見過ごしてしまう理由
- 小さなサインを聞くほど、愛犬との“信頼貯金”が貯まっていく
- 犬相手でも対人関係と同じ。嘘のない向き合い方が絆をつくる
- 「犬は“行動”で話している」サインの尊重が当たり前になる未来へ
愛犬に無理をさせていない? イルカに学ぶ犬との向き合い方
爪切りやブラッシング、シャンプーなど、愛犬のケアを嫌がられても、つい「必要だから」と無理に続けてしまう……。そんな経験に、心当たりはありませんか。
では、もし相手が体重300kgを超えるイルカだったらどうでしょう。
人間は、自分よりも体が大きく力の強い動物に対しては、決して無理強いはしません。 イルカの意思を尊重しながら、イルカ自身に「自発的に協力してもらうこと」が最も安全で現実的な方法です。
「この考え方は、犬にも応用できるのではないか」
イルカなどの海獣類のトレーニング経験者の藤井勝さんは、そう考えました。
現在はその経験を活かし、ドッグトレーナーとして活動する藤井さんに、愛犬が自らケアを受け入れられる関わり方や、そのための信頼関係の築き方について聞きました。
体重300kgを超えるイルカの採血、どうやるの?
小さな犬相手でも四苦八苦してしまう、日々のケアや健康管理。採血のように痛みを伴うものとなると、なおさら大変です。体重300kg以上のイルカ相手ともなれば、なおのこと── と思いきや、実はそうではありません。
イルカたちは、自ら採血のために尾びれを差し出してくれるのです。
「イルカは自分の意思で『採血していいよ』というサインを出してくれます。反対に、採血してほしくないときには尾びれを下ろし、『やめて』のサインを伝えます。私たちが徹底しているのは『やめて』のサインが出たときに必ず手を止めること。こうして相手の意思を尊重することこそがスムーズに採血などを行うための鍵になります」

このように、人間とイルカは無理をせず、互いの意思を尊重しながら安全に体調管理を行っています。
「『やめて』と伝えれば止まってもらえ、『やってもいいよ』と受け入れればご褒美がもらえる。その経験を繰り返すことで、イルカはどの選択をしても安全だと学び、次第にケアにも落ち着いて応じてくれるようになります」
つまり、『やめて』というイルカの感情をきちんと聞き入れることが、結果的に『やってもいいよ』という前向きな感情を引き出すことにつながるのです。
このような動物の意思を尊重した健康管理方法は「ハズバンダリートレーニング」と呼ばれ、多くの動物園や水族館で取り入れられています。人の力で制御できない大型動物に対し、安全にケアを行うために欠かせない考え方です。














