プチ・ブラバンソンの性格や特徴は？飼い方のコツや寿命などについて解説【獣医師監修】

犬種名	プチ・ブラバンソン
英語名	Petit Brabancon
原産国	ベルギー
分類	小型犬
グループ	9G：愛玩犬

プチ・ブラバンソン【英語：Petit Brabancon】は、ベルギーが原産の小型犬です。
ジャパンケネルクラブの犬種分類では、家庭犬、伴侶や愛玩目的の犬である「9G：愛玩犬」に属します。

ブリュッセル・グリフォン、ベルジアン・グリフォン、プチ・ブラバンソンの３犬種は、コートの特徴から別犬種として分類されますが、いずれもベルギーのブリュッセルに15世紀頃からいたとされています。かつては馬小屋や農場でネズミを捕る作業犬として活躍していました。

祖先は「スムージー」と呼ばれる小型で粗毛の犬だといわれていますが、アーフェンピンシャーやヨークシャー・テリア、パグ、ブラック・アンド・タン・テリア、ルビー・スパニエルなどが関わっているともいわれています。

ベルギー王室のマリー・アンリエット王妃が寵愛したことで、1900年頃までに人気が出て、海外でも広く親しまれるようになりました。犬種名は、ベルギー北部にある「ブラバント地方」から付けられました。

体高：オス、メスともにおよそ22cm程度
体重：オス、メスともに3.5～6kg

プチ・ブラバンソンは小型犬に分類されます。オス、メスで体高や体重に大きな差は見られません。

プチ・ブラバンソンの平均寿命に関するデータはありませんが、『アニコム家庭どうぶつ白書2021』によると、小型犬の平均寿命は14.4歳となっています。

犬を迎える際は、最期のときまでしっかり世話ができるかを考えておきましょう。
犬をみとる頃に自分は大体何歳になるか、犬の介護ができるか、自分の生活環境や経済状況などもあわせて考えなければなりません。

犬を迎えようと考えているシニアの方は保護犬などで成犬を迎えるケースも検討するほか、万が一自分が世話できなくなった場合を想定しておくことも重要です。犬の世話を頼めそうな人にあらかじめ相談して承諾を得てから迎えたり、老犬ホームといった預かり先を決めたりして急な環境の変化に備えておきましょう。

ジャパンケネルクラブの犬種標準によると、プチ・ブラバンソンの毛色はレッドや赤みがかった色にダーク・マスクとされています。胸にわずかにホワイトが入ることがあります。
コートは直毛でかたく、スムースコートです。

体躯はほぼスクエアで、筋肉が引き締まって骨太で頑丈です。頭部は幅広で丸く、マズルは短く下あごが突き出ています。耳は高い位置に付いて折れれていて、眼は黒いアイラインで囲まれています。

プチ・ブラバンソンは、底抜けに明るく、独立心が強い性質です。飼い主に忠実で、家族には深い愛情を注ぎます。

しかし自己主張が強く頑固な面もあり、自分よりずっと体の大きな犬に対しても臆することなく向かっていくようなところもあります。

プチ・ブラバンソンを飼い始めるとき、飼い続ける際にかかる費用について説明します。

タイミング	内訳	費用の目安
迎えるとき	ブリーダー、その他	※ブリーダーによる
飼い始めるとき	畜犬登録料	約3,000円
	生活用品（クレートやケージなど）	約5～7万円
1年に1回かかる費用	狂犬病予防接種費	約3,500円
	混合ワクチン接種費	約5,000〜10,000円
毎月かかる費用	消耗品（フードやおやつなど）	約5,000〜10,000円

飼い始める際にかかる費用

プチ・ブラバンソンはペットショップでの販売は珍しく、専門のブリーダーや輸入、里親制度が主な入手方法です。ブリーダーから購入する際は時価となり価格は変動することがあります。また、常に子犬が産まれているとは限らないため、プチ・ブラバンソンのブリーダーにあらかじめ相談したり、問い合わせたりしておくと良いでしょう。
他にも愛犬を迎えるには友人や知人から譲り受ける、譲渡会に参加する、保護犬を迎え入れるといった方法もあります。

犬を飼い始めるときには飼い始めてから30日以内に（子犬の場合は生後91日を経過してから30日以内に）お住いの自治体に犬の登録（登録料は3,000円程度）を行うほか、混合ワクチン接種費や狂犬病予防接種費も必要になります。母犬の初乳から得た免疫は徐々に低下していくため、混合ワクチンを子犬期に計3回接種してさまざまな感染症を防ぐ必要があります。子犬を迎える際の月齢によっては、ペットショップ側でワクチンを3回打っているため、生体代と一緒にワクチン代も支払います。3回全て打っていない場合は、飼い主が動物病院に連れて行って接種させましょう。

狂犬病予防接種は生後91日を過ぎた全ての犬が年に1回接種するよう法律で定められており、子犬の場合は混合ワクチンの接種を終えて2週間過ぎたタイミング（およそ生後110日前後）で打たせます。

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飼い続けるために必要な費用

犬を養育するうえでの生涯コストは、ドッグフードやペットシーツ、留守番時のエアコン代、一般医療費、トリミング代、レジャー費など200～300万円といわれています。

なかには僧帽弁閉鎖不全症など手術費が100万円以上になる病気にかかる場合や、アレルギーなどによって継続的な通院や投薬の費用がかかることもあります。犬を迎えるにあたっては、計画的な貯金やペット保険の利用なども検討し、予期せぬ出費にも対応できるかよく検討しておきましょう。

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プチ・ブラバンソンを迎える際に必要な生活用品としては、クレートやケージ、サークルをはじめ、首輪やリード、食器、給水器、ドッグフード、トイレなどが挙げられます。

また犬が遊べるようおもちゃも用意するとよいでしょう。プチ・ブラバンソンは遊ぶのが大好きですから、ボールなど一緒に遊べるおもちゃがおすすめです。

犬の生体代を除く初期費用としては、5～7万円程度を見込みましょう。

毎月の消耗品としては、ドッグフードやおやつ、トイレシーツ、歯ブラシやボディシートなどが挙げられます。一般的に毎月の平均額は5,000円～10,000円ほどです。ブラッシングや自宅でのシャンプーといったケア用品を揃えておくのが安心です。

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2022年6月から、ペットショップやブリーダーで販売される犬や猫にマイクロチップの装着が義務化されました。マイクロチップは思わぬ事故や災害で迷子になってしまったときに、保護された犬を飼い主のもとへ返すための重要な役目を果たします。装着費用は3,000～5,000円程度で、さらに飼い主の氏名や住所、電話番号などの情報登録料としてかかります。登録はオンライン申請で300円、郵送する場合は1,000円です。

ドアを開けた際に外へ飛び出したり、散歩中大きな音に驚いて逃げてしまったりなど、飼い主の不注意やアクシデントで犬は迷子になってしまう可能性があります。そのため、プチ・ブラバンソンを迎える際は迷子対策もしっかり講じましょう。迷子対策としてはマイクロチップの装着のほかに、迷子札などの導入が挙げられます。

迷子札は、飼い主の連絡先を記載したキーホルダーで犬の首輪に装着します。値段は1,000～5,000円程度で、素材やデザインによって異なります。
そのほか、家からの飛び出しを防ぐために玄関にゲートを設置するといった対策をとるのもおすすめです。

プチ・ブラバンソンは、独立心が強く気まぐれな性質があるので、トレーニングはしっかり行いましょう 。愛情を持って毅然とした態度で、根気強く、犬も楽しい手法を用いましょう。

 

また見知らぬ人を警戒する傾向があるため、子犬の頃からたくさんの人に会わせ、多くの経験をさせることで、見知らぬことに対して過剰な警戒心を持たないよう社会性を育てていきましょう。

 

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✓散歩：20分程度を１日２回
✓運動量：多くない
✓おすすめの遊び：おもちゃ遊び

運動量はさほど多くなく家の中で遊ぶことも好きなので、家の中でもおもちゃ遊びなどを取り入れると良いでしょう。

✓子どものいる家庭でも大丈夫
プチ・ブラバンソンは子どもにも優しく接する犬種だといわれています。小さなお子さまがいるご家庭でも犬がストレスを感じにくいでしょう。

✓アパートやマンションなどの集合住宅に住んでいる人
プチ・ブラバンソンの吠え声は、低音でこもったような音であまり響かないため、集合住宅でも比較的安心です。とはいえ、無駄吠えをしないよう、子犬の頃からトレーニングをしっかり行いましょう。

✓初めて犬を飼育する方
プチ・ブラバンソンは運動量がさほど多くなく、お手入れもさほど手間がかかりません。さらに家族が大好きで愛情深い性格です。マイペースな面があるので、トレーニングは根気が必要ですが、優れた家庭犬として初めて犬を飼育する方に良いでしょう。

プチ・ブラバンソンがかかりやすい代表的な病気と対策方法を知っておきましょう。

✓膝蓋骨脱臼
膝蓋骨が脱臼してしまうプチ・ブラバンソンなどの小型犬に多い疾患です。先天的に膝関節に異常がある場合や、外傷などで起こります。症状は４段階に分けられ、重症の場合外科手術による治療が行われます。

✓呼吸器系の疾患
マズルが短い犬種（短頭種）は、呼吸器系のトラブルが多いです。「軟口蓋過長」や「気道狭窄」などの呼吸困難を引き起こす疾患、心臓疾患などに注意しましょう。

✓熱中症
マズルが短い犬種（短頭種）は、呼吸トラブルが多く、暑い季節が苦手です。特に晴天下で過ごす際は特に、口呼吸（パンティング）が激しくないか、体が熱くなっていないかこまめに確認しましょう。屋外では、十分な水分補給や太い血管のある場所を冷やすなど、暑さ対策は万全に。

プチ・ブラバンソンがかかりやすい疾患については、こちらの記事でもっと詳しく解説しています。
＞犬の熱中症の見分け方は？応急処置と予防法、室内や留守番時の注意点も解説【獣医師監修】

✓ブラッシング：2～3日に１回
✓シャンプー：１カ月に１回程度
✓トリミング：不要

お手入れは、獣毛ブラシやラバーブラシで抜け毛を取り除き、固く絞ったタオルなどで拭いてあげましょう。
ブラッシング以外にもスキンシップの時間も兼ねて、表面からは分かりづらい皮膚の状態をチェックしたり、日々触れ合う時間を作ったりすることで、愛犬との信頼関係も高まります。

歯みがきは毎日～2日に1回、耳掃除や肛門腺絞り、爪切りは２週～１カ月に１回の頻度で行います。
また足裏の肉球間の毛が伸びると、フローリング床などで滑りやすくなるためカットしてください。

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✓マメな皮膚のチェックをしよう！
プチ・ブラバンソンは皮膚炎にかかりやすいため、皮膚に赤みや脱毛がないか、痒がったりしていないか、日頃から様子をチェックしておきましょう。涙や抜け毛が溜まりやすい額や鼻の周りのヒダを伸ばして丁寧に拭いてあげましょう。

✓大きないびきを覚悟しよう
プチ・ブラバンソンは短頭種のため喉が狭く、小さな体からは想像できないほど大きないびきをかきます。犬よりも早く寝る、寝室を別にする、などの対策が必要になるでしょう。また、肥満もさまざまな悪影響を与えるため体重管理に気を付けてください。

✓関節に負担の少ない床材を選ぼう！
床で足が滑ると足首などの関節に負担がかかります。普段過ごす部屋の床は滑りにくい素材を選ぶか、マットなどを敷くとよいでしょう。