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愛犬3匹、はな(トイプードル)・マル・ふわり(ビションフリーゼ)と暮らす。大好きなモノづくりと写真のスキルを活かし、愛犬との生活の楽しみ方を提案している。
DIYで愛犬とのくらしを豊かに! 犬服ブランド『inun(アイヌーン)』の代表、奥野美鈴さんのものづくりに溢れた生活とは?
目次
- 犬服の販売やワークショップを行うDIYerの奥野美鈴さん
- 趣味で作った「愛犬とのお揃い服」に反応が集まる
- 犬服だけにこだわらない。愛犬とのくらしの幅広い楽しみ方を提案
- 犬のエプロンのおかげで、コロナ禍でも人との繋がりを感じられた
- 古民家もDIY! 家全体が、愛犬も映える撮影スポットに
- 自分のためから“愛犬のため”に軸が変わっていった
- 「DIYに失敗はない」人も犬も楽しむ、勘違いマインド
犬服の販売やワークショップを行うDIYerの奥野美鈴さん
「すべては勘違いから始まっています。私でもできちゃうんじゃない? って試したくなる性格なんです(笑)」
そう話すのは、愛犬3匹と暮らす、奥野美鈴さんです。
奥野さんは、大のDIY好き。20代は幼稚園教諭として勤務し、幼稚園で使う小物なども自分で手作りしていたそう。その後、離れのみかん小屋を1軒丸ごと改築したのをきっかけに、実家や祖母の家のリフォームも手掛けました。
「当時はまだ『DIY』って言葉もないような時代でしたが、今振り返るとあれがまさにDIYでした(笑)」
「自分の楽しみ」のためにものづくりに取り組んでいた奥野さん。しかしそれはやがて、犬服や犬アイテムなど、「犬と楽しめること」に変化していきました。
今では、犬服販売以外にも、ワークショップや犬の着物・エプロン制作などと活動を広げています。築60年の平家も、自分でフルリフォーム。愛犬のための工夫が満載で、どこを切り取っても映えるカフェのようなお家が、テレビや雑誌などでも話題です。
そんな『愛犬と楽しむ』をモットーに暮らすDIYerの奥野さんに、DIYのきっかけや魅力、これまでの愛犬との歩みについてお話を伺いました。
趣味で作った「愛犬とのお揃い服」に反応が集まる
奥野さんは結婚を機に、実家の縫製工場で覚えた縫い方をレクチャーする、洋裁教室を始めました。
「しばらくして、『おうちがにぎやかになったらいいね』と夫とワンちゃんを迎えることに決めました」
奥野家の新しい家族の一員として、トイプードルのハナちゃんを、その1年半後にはビションフリーゼのマルちゃんを迎えました。予想通り、愛犬たちは夫婦二人での暮らしに潤いをもたらしてくれました。
そんな愛犬たちとのくらしの中で、奥野さんは「洋裁教室で発生する端切れ布で、犬とお揃いの服が作れるのでは?」と思いつきます。
早速、リネン生地でシャツなどを簡単に作り、ハナちゃんとお揃いの洋服を着てお散歩に行きました。すると、いつも以上に犬仲間から声をかけられたそうです。
「はじめは私だけが着せたいのかな、って思っていたんですが、周りの犬友の反応を見て、『こんなにも愛犬と一緒にオシャレを楽しみたいと考えている人がいるんだ!』 と実感しました」
「愛犬に服を着せてみると家族みんなが笑顔になります。また、その笑顔を見たハナもとても嬉しそうでした。こうしてお揃いの服を着るだけで、笑顔がどんどん広がっていくことに喜びを感じました」
やがて奥野さんは、犬服のインターネット販売に向けて準備を始めます。
犬服だけにこだわらない。愛犬とのくらしの幅広い楽しみ方を提案
2017年1月1日、「ワンワン」の日に、オンラインサイト『inun(アイヌーン)』をオープンしました。同年7月には産業省が主催する、大阪府のビジネスコンテストにも出場を果たします。
「服を作ることが得意で、犬服の制作ももちろん好きだったのですが、私のゴールは『服を売ること』ではありませんでした。コンテストでいろんな方からアドバイスをいただくうちに、いち愛犬家として、私は『犬×〇〇』の楽しみ方を広げていきたい、ってことに気づいたんです」
その後、奥野さんは着物の生地を売りたいという方と出会い、一緒に犬用着物も作り始めます。ワンちゃんでも着付けやすいマジックテープの着物です。
「とても綺麗な柄の布を見せていただき、犬の着物の構想が浮かびました。伝統的なつるし雛(びな)を作っている作家さんのチームと組むことになり、そういった方々の技術にもスポットを当たる機会を作れたらなと思ったんです」
奥野さんが犬のサイズに合わせた型紙を作り、地元の縫い子さんたちが本格的な着物を仕上げる、という形で200着ほど販売しました。現在では、振袖の犬用リメイクなども行っています。
奥野さんのDIYは、そのあとも広がりを見せます。愛犬用エプロンやスヌード 、ティピーテントなど様々なアイテムのレクチャーをする、DIYワークショップの講師も3年ほどつとめました。
「これまで私は家で、愛犬とペアで着られるような普段着を主に作ってきました。でも、成長とともに、うちの子たちはあまり服に袖を通したがらなくなりました。そこで、『服が苦手な子でも楽しめるもの』と考えて、犬の小物を作り始めたんです」