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愛犬のドッグフード、皆さんは普段、どうやって選んでいますか?今回は編集部が、アメリカ生まれの老舗ペットフードブランドであるニュートロ™を取り扱う「マース ジャパン」さんに直撃取材!同社所属の獣医師・廣本環先生にペットフードの豆知識と選び方について教えていただきました。
目次
- ドッグフードの種類と機能を教えて!
- 本物の"ナチュラル”フード、見分けられる?
- ドッグフードが合っているか見分ける2つのポイント
- 手作り食の気をつけるべきポイントは?犬と人に必要な栄養の違い
- 実はNG!愛犬が太ったらフードの量を減らして調整してない?
- 愛犬にナチュラルフードをあげてみたい!
ドッグフードの種類と機能を教えて!
▼今回直撃取材に答えてくれた獣医師さん
マース ジャパン リミテッド
ペットケア営業本部 販売戦略企画室
テクニカルマーケティング マネジャー/獣医師
廣本 環 先生
http://www.marsjapan.co.jp
― 先生、今日はよろしくお願いします!これまでドッグフードについてきちんと知る機会がなかったので、この機会にいろいろと教えていただきたいと思っています。
先生:はい、なんでも聞いてくださいね!一緒に学んでいきましょう。
― ありがとうございます。では早速ですが、ドッグフードの種類について教えてください。うちはドライフードをあげているのですが、どれを選べばよいのか迷ってしまい、結局、いつも同じものを買ってしまいます。
先生:たしかに、本当にたくさんの商品があって、迷ってしまいますよね。ドッグフードには、消費者の方から見ると、大きく分けて、
①量販店などで広く売られている「一般的なドッグフード」
②愛犬の犬種や年齢、ニーズ(体重管理など)に合わせて作られた「機能食」
③合成の原材料を使わず*自然素材で作られた「ナチュラルフード」 *栄養強化のため、合成ビタミン、ミネラル、アミノ酸使用
④小売業者様が独自に企画・販売している「ストアブランド」
⑤特定の病気の治療の一環として与える「療法食」
の計5つのカテゴリーに見えているのかと思います。
特に病気がなく、療法食を食べなくてよい場合は、①~④のうち、どのカテゴリーのフードを選ぶかを決めると、選択肢が絞りやすくなるのではないかと思います。
― なるほど、たしかにカテゴリーを決めると、選びやすくなりそうです。
本物の"ナチュラル”フード、見分けられる?
― 私の場合、一番気になるのは「ナチュラルフード」ですが、「ナチュラル」には何か定義があるのですか?
先生:ペットフード業界では「ナチュラルフード」について条件が設けられていて、「ペットフード公正取引協議会」が定める3つの条件
①化学合成物を含まないこと(*栄養強化のため、合成ビタミン、ミネラル、アミノ酸使用)
②着色料を含まないこと(天然・合成問わず)
③合成の酸化防止剤を使用しないこと
をすべて満たす商品のみしか、「ナチュラルフード」と名乗ることができないことになっています。
― 逆に言うと、化学合成物や着色料、合成の酸化防止剤が入っているものは、「ナチュラルフード」ではないということなんですね。「化学合成物」は聞きなれない言葉ですが、たとえば、どんなものがありますか?
先生:ドッグフードに使われることがある化学合成物の例としては、とろ味をつけるための「増粘安定剤」(加工でんぷん)などがあります。ただし、ペットの「総合栄養食」の場合は、フードと新鮮な水を与えるだけで愛犬の健康を維持できる必要があるため、栄養バランス上欠かせないビタミンやミネラル、アミノ酸類については、ナチュラルフードであっても合成のものを添加していることがあります。
― では、「合成の酸化防止剤」にはどのようなものがありますか?
先生:酸化防止剤とは油脂の酸化を防ぐために使用される食品添加物で、合成の酸化防止剤には「エトキシキン」や「BHA」や「BHT」が挙げられます。これらが原材料として表記されているフードはナチュラルフードとは標榜できません。同じく酸化防止剤として使われるミックストコフェロールやクエン酸については、天然由来のもののみ、ナチュラルフードへの使用が認められています。ただし、各添加物が天然由来のものかどうかはまではパッケージに表記する必要はないため、ナチュラルフードかどうかを確認したい場合は各メーカーにお問い合わせいただく必要があります。
― ナチュラルフードの定義、よくわかりました。では、ナチュラルフードは他のフードに比べてどんな長所があるのでしょうか?
先生:ペットフードに化学合成物や合成の添加物が使われている場合でも、ペットに毎日与え続けてもペットの健康に影響がない量で使われているのですが、ナチュラルフードは素材へのこだわりをアピールしている場合が多いので、「愛犬になるべく合成の添加物を食べさせたくない」、「素材にこだわったフードを食べさせたい」といった、飼い主さんの願いに寄り添える点がナチュラルフードの長所だと思います。
― たしかに、ナチュラルフードには安心感があります。「より良いものを与えたい」という気持ちで選ぶと、愛犬の健康管理により前向きな気持ちで取り組めるような気がします。
先生:そうですね。ナチュラルフードに限らず、そもそも一般的なペットフードは医薬品ではないので、愛犬の病気を治したり病気を予防したりする目的として認められているものではありませんし、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(薬機法)により、一般的なペットフードが愛犬の病気の予防や治療に貢献するというような表記は、一部の例外の分野を除いてほとんどの場合することができません。あくまでも愛犬の健康管理の一環として、愛犬の体に合うフードを選んであげることが大切です。そして、愛犬の健康維持のために、かかりつけの動物病院での定期的な健康チェックをしていただきたいと思います。
ドッグフードが合っているか見分ける2つのポイント
愛犬の「皮膚・被毛」と「うんち」の状態をチェック!
― 今、与えているフードが愛犬の体に合っているのかどうか、どうすればわかりますか?
先生:皮膚や被毛、うんちの状態を確認しましょう。 私たち人間も愛犬も、体は食べたものでできています。特に皮膚は体の中で最も大きい、且つ目に見える臓器であり、犬の場合、食事中のタンパク質の30-35%が皮膚・被毛に使われると言われています。良質な食事を食べていることによって、愛犬の本来持つ健康的な皮膚や美しい被毛が維持されます。ただし、皮膚のターンオーバーには約20日かかりますので、与え始めて2-3日後の皮膚・被毛の状態ですぐに判断せず、1カ月ぐらいは様子を見るようにしたいものです。
― 犬は皮膚のターンオーバーに約20日必要なんですね!フードが合っていないかも?と思うと、すぐに変えてしまいがちでした。
先生:それから、愛犬のうんちの状態もよくみてあげてください。ペットの栄養学を研究する「ウォルサム研究所」によると、「良いうんち」は「適度に固く乾燥しているもの」~「よく成型されていて表面がしっとりしており、取り上げたときに跡が残る・触ると手に付着するもの」の範囲であることとされています。乾燥しすぎて触ると砕けてしまうものや、水分があまりにも多い下痢状のものは「良いうんち」とは言えません。そういった状態が続くようなら、フードの見直しも必要です。(痩せてくるなど病気の心配がある場合はかかりつけの獣医師に相談しましょう)
― 「新しいフードに替えたら、愛犬がおなかを壊してしまった」という話をよく聞くのですが、その場合はどうしたら良いですか?
先生:フードを切り替える際に気を付けていただきたいことは徐々に切り替える、ということです。たしかに、長く食べさせていたフードから新しいフードに急に切り替えると、腸内細菌が変わったりして一時的にうんちの状態が変わってしまうこともあります。新しいフードを試す際は、もともと食べていたフードに新しいフードを少量混ぜる程度からスタートし、1週間くらいかけて徐々に新しいフードの比率を増やしていき、少しずつ慣れさせていきましょう。フードの切り替えに特に敏感な愛犬の場合は、それ以上長い期間を掛けてゆっくり切り替えてあげてください。慣れてくれば、理想的なうんちの状態に戻ることも珍しくありません。もちろん、あまりにひどい下痢や便秘が続く場合は与えるのをやめて、かかりつけの獣医師に相談するようにしてください。私たちと同じように愛犬にもそれぞれの個々の差があり、他の子には合うフードでもその子には合わないという場合もあります。
手作り食の気をつけるべきポイントは?犬と人に必要な栄養の違い
― 手作りごはんを食べさせてみたいとも思うのですが、どんな点に注意すればよいですか?
先生:まず、人と犬は違う生き物だという大前提を覚えておいていただくことですね。犬は肉食のオオカミを祖先にもつ「肉食寄りの雑食動物」、人間は完全な「雑食動物」ですから、犬と人とでは健康維持に必要な栄養のバランスが異なり、犬の方が人よりもタンパク質を多く摂取する必要があります。適切な三大栄養素(炭水化物:タンパク質:脂肪)の割合で見てみると、人間が(炭水化物68%:タンパク質18%:脂肪14%)であるのに対し、犬は(炭水化物60%:タンパク質:25%:脂肪:15%)となっています。犬には犬が必要とする栄養バランスを満たす食事が必要であり、そのニーズを満たすために存在するものが、ドッグフード(総合栄養食)なのです。
― たしかに犬が必要とする栄養バランスの食事を、毎日手作りするのはなかなか難しそう。その点、ドッグフードはあらかじめ犬に適した栄養バランスで作られているので安心ですし、何より手軽ですよね。
先生:そうですね。もちろん、手作りごはんは飼い主さんの愛犬への愛情表現の1つなので否定するわけではありませんが、栄養バランスには十分注意してあげたいものです。
― 栄養バランス以外に、手作りごはんで気を付けるべき点はありますか?
先生:人間に害がなくても、愛犬が食べると危険な食べ物があることを知っておきましょう。たとえばタマネギやネギ、ブドウやレーズン、チョコレートなどが、その代表例です。これらの食べ物は中毒症状を起こすおそれがあるので、絶対に与えてはいけません。
― タマネギは、ハンバーグや餃子など、いろいろな料理に使われているので、うっかり食べさせてしまわないように注意しないといけないですね。
先生:そうですね。タマネギは加熱したものでもいけませんし、少量だからといってタマネギの入った焼き肉などのたれやドレッシングも与えないようにしてください。
― 知識がないと、知らぬ間に危険な食材を与えてしまうおそれもありますよね。犬に与えてはいけない食材をはじめ、犬の食に関する正しい情報を得るにはどうすれば良いのでしょうか?ネットには情報が多すぎて、何を信じればよいのかわからなくなってしまいます。
先生:信頼できる情報源(国や地方公共団体、獣医師などの専門家など)から情報を得るようにしましょう。
たとえば、犬に必要な栄養素やペットフードの選び方、与えてはいけない食材など、ペットの食にまつわる基本的な情報は、環境省の「飼い主のためのペットフードガイドライン~犬・」猫の健康を守るために」が参考になります。
実はNG!愛犬が太ったらフードの量を減らして調整してない?
肥満の愛犬にとって、正しい食事とは?
― 愛犬の肥満に悩む飼い主さんも少なくありません。フードを変えていないのに太ってしまうケースがあるのは、なぜでしょうか?
先生:肥満は消費するカロリーに対して摂取するカロリーが多すぎることによって起こります。このため肥満の原因として、まず考えられるのはカロリーを摂りすぎていること、つまり食事やおやつを必要以上に与えている可能性、そして運動不足により消費カロリーが十分でないことです。
犬は加齢により代謝が低下するので、高齢にさしかかるとぽっちゃりしてくることもよくあります。
また、フードの与え方については、メーカーが表示している1日あたりの目安の給与量を確認し、それを目安に運動量などに合わせて与える量を加減していただきたいのですが、1日あたりの目安の給与量自体を確認していないために、多く与え過ぎていることや家族みんなでおやつを与えており、おやつの与え過ぎであることも珍しくありません。
―たしかに、パッケージに1日あたりのグラム数が書いてあるのに、量るのが面倒で、なんとなく「フードボウルで1すくい」「片手でつかめるだけ」など、あいまいな量を与えてしまいがちです。
先生:そうですね、そのあいまいな量が、メーカーがパッケージに表示している目安の給与量よりも著しく多いと、カロリー過多で体重が増えてしまう原因になります。パッケージに表示してある目安の給与量を確認し、それを目安に運動量などに合わせて与える量を加減するよう心がけましょう。
― 太ってしまい、痩せさせたい場合は、今まで与えているフードの与える量を減らせばよいでしょうか?
先生:いいえ、本格的に痩せさせたい場合は、単に今までの、減量を目的としていないフードの量を減らせば良いということではありません。フードごとに決められている給与量の目安は、愛犬の健康維持をサポートできるよう栄養バランスを計算した上で設定されていますので、極端に量を減らしてしまうと、必要な栄養素が十分に摂取できなくなってしまう可能性があります。また、特に減量用に設計されていない今までのフードでダイエットをしようとしてフードの量を減らしてしまうと、愛犬がフードの量が減ったことによっておねだりをしてしまい、ダイエットがうまく行かない場合も考えられます。
― なるほど・・。単純にドッグフードの量を調整していました。愛犬のダイエットをしたい時は、どうしたらよいのでしょう?
ダイエットをするのなら、カロリーを抑えながらもボリュームを確保でき、且つ必要な栄養素をきちんと摂取できるように設計された減量用(ダイエット用)フードに切り替えることをおすすめします。
また、おやつの量も要注意です。フードを減量用に切り替えても、おやつを与え過ぎてしまうと意味がありません。特に他の家族と同居している場合は、自分の知らないうちに家族が愛犬におやつをあげている可能性もありますよね。家族みんなで愛犬をダイエットさせることを共通認識とし、1日のおやつの量を決め、与え過ぎを防ぎましょう。尚、マースではおやつを与える量は1日の摂取カロリーの10%以内を推奨しています。
愛犬にナチュラルフードをあげてみたい!
ニュートロ™ ナチュラルチョイス™には、愛犬に合わせた豊富なラインアップがあります
―最後に、先生おすすめのフードを教えてください。
先生:先ほど、「ナチュラルフードが気になる」とおっしゃっていたこと、さらに最後に減量のお話をさせていただいたので、マース ジャパンが展開しているニュートロのシリーズの「ニュートロ™ ナチュラル チョイス™」をお薦めします。
ニュートロ™ ナチュラル チョイス™には、体のサイズ(犬サイズ)やライフステージ(年齢)、好みのプロテイン源(お肉の種類・お魚)、ニーズ(減量をしたい、避妊・去勢後の健康維持に配慮したい)などに対応できる様々なタイプが揃っているので、愛犬に合うタイプを見つけやすく、初めてのナチュラルフード選びに迷っている飼い主さんにもお薦めできます。実際に購入された飼い主さんから、「ニュートロ™ ナチュラル チョイス™を食べさせるようになって、愛犬の皮膚や被毛の状態が健康的になった」というお声も多数寄せられています。