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chicoどうぶつ診療所所長。体に優しい治療法や家庭でできるケアを広めるため、往診・カウンセリング専門の動物病院を開設。
水が嫌いなわんちゃんは珍しくありませんが、あまり飲んでくれないと心配になってしまいますよね。わんちゃんは体内の60%を水が占めているだけに、水を飲まないという状況は好ましいものではありません。今回は、chicoどうぶつ診療所所長の林美彩先生に、水を飲まないわんちゃんのための対策を伺いました。
目次
- 犬に必要な1日の水分量はどのくらい?
- おうちで水を飲まないときの対策方法は?
- 外出先で水を飲まないときはリラックスさせて
- それでも飲んでくれないときはどうすればいい?
犬に必要な1日の水分量はどのくらい?
わんちゃんが水をあまり飲まないと心配になってしまいますよね。そもそも、年齢や体型によっても必要な水分量は変わります。
基本的に、【わんちゃんの体重(kg)×50~70ml】が適切な1日の水分量だといわれています。たとえば、わんちゃんの体重が5kgの場合は【5×50〜70ml=250〜350ml】です。あまり飲まないなと思っていても、小型犬の場合はそもそも必要な水分量が少ないこともあるので、この範疇におさまっている場合はあまり心配しなくてもよいでしょう。季節や食事の水分含有量によっても適切な水分量は変わりますが、基本的にはこの数字が目安となります。
逆に、体重(kg)×100mlを超えると多飲になります。わんちゃんが水を多飲しているようであれば、病気が潜んでいる可能性もありますので、注意してあげてください。
おうちで水を飲まないときの対策方法は?
自宅で水を飲まない場合、いろんなアプローチを試してみてください。たとえば、水飲み場の数を増やすと、場所によっては水をよく飲んでくれることがあります。水の容器の材質を変えたり、自動給水器のような水が流れるタイプなど容器の形態を変えたりするのもよい方法です。
自宅で水を飲まないわんちゃんは、水の味があまり好きではないのかもしれません。その場合、極少量のだしやジュース、犬用ミルクを加えて、水の味を変えてみるのもよいでしょう。水の温度を変えてみるという手もあります。
わんちゃんがどれくらい水を飲んだか確認するためには、器に何ml入れたかを覚えておき、一日の終わりにどれくらい減ったかを計測するとよいでしょう。蒸発などで多少の誤差は起こるかもしれませんが、だいたいの量が把握できれば問題ありません。
外出先で水を飲まないときはリラックスさせて
自宅では水を飲むのに、外出先ではとたんに水を飲まなくなってしまう子もいます。そのような場合、原因は緊張にあることがほとんどです。人間と同じように、わんちゃんも落ち着いた場所や慣れた場所でないと、緊張して水をなかなか飲めなくなってしまうのです。
もし、外出が長時間になるようであれば、わんちゃんが落ち着けるような場所を作ってあげてください。わんちゃんがリラックスできると、水を飲んでくれるようになるかもしれません。また、ゼリーなどの水分を多く含むおやつをあげて、水分補給をさせるのもいい方法です。
散歩などのお出かけが短時間で、おうちに帰ったら水を飲んでくれるという場合であれば、それほど神経質になる必要はないでしょう。
それでも飲んでくれないときはどうすればいい?
どうしても水が進まないというわんちゃんには、食事から水分を摂取することもできます。ドライフードではなくウエットフードやレトルト系のごはんを選ぶだけでもよいでしょう。もし、どうしてもドライフードを使いたい場合には水にくぐらせたり、ふやかしたりするだけでも水分を増やすことができますよ。
また、あらゆる方法を試しても水を飲んでくれないという場合には、病気の可能性も考えられます。腎不全や肝不全で体に毒素が溜まっていたり、水毒のように体内が水であふれすぎていたりして、飲みたいのに飲めない状態なのかもしれません。
「水を飲めない・飲まない」という症状だけで病気だと判断できるケースはあまりないのですが、食欲不振などが同時に見られる場合は病気の可能性も考えられますので、要注意です。
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