公開
ろろの犬猫部屋所属。麻布大学獣医学部獣医学科卒業 / 動物病院で3年間臨床医 / 現在は横浜市の福祉施設にて研究事業と臨床医として働きながら保護猫活動に従事
チワプーは、いわゆるミックス犬の一種です。どのような犬なのか気になっている方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、チワプーの特徴や性格、チワプーを迎える際のポイントなどを解説します。チワプーをお迎えする予定の方は、ぜひ参考にしてください。
目次
- チワプーとは?ルーツを紹介
- チワプーの特徴
- チワプーと相性のよい人の特徴
- チワプーのトリミング、人気のカットスタイル
- チワプーを迎える際に注意するポイント
- チワプーの食事を選ぶ際のポイント
- チワプーにおすすめの遊び
- チワプーのトレーニングに関するポイント
- チワプーが注意したい病気
- まとめ
チワプーとは?ルーツを紹介
チワプーとは、チワワとプードルのミックス犬(ハーフ犬)のことです。別名「プーチー」とも呼ばれています。くるんとした巻き毛が特徴のプードルは、かつては水辺で狩りをする水猟犬として活躍した犬種でした。一方、チワワは古くから愛玩犬として人間と暮らしてきた歴史があります。チワプー自体は比較的新しい犬種ですが、古くから人間との関わりが深い2つの犬種をルーツに持つ犬種です。
ミックス犬とは
ミックス犬とは、便宜上の呼び方で雑種犬の一種です。なかには、「ミックス犬と雑種はどう違うのか」という疑問をお持ちの方も多いでしょう。実は、ミックス犬と雑種に厳密な違いはありません。しかし、近年では、以下のように区別する傾向があります。
ミックス犬 |
純血種同士の交配で生まれた犬や、意図的に交配した犬 |
雑種 |
犬種が混ざっていたり、外飼育の犬や野良犬が無作為に交配したりして生まれた犬種 |
これは、あくまで一般的にはこう区別されるだけであり、両者の違いは曖昧です。
また、ミックス犬は、独立した犬種として認定されているわけではありません。たとえば、日本国内における犬種の認定を行う「JKC(ジャパンケネルクラブ)」ではチワワやプードルは登録されていますが、「チワプー」や「プーチー」といった犬種は登録されていないのです。そのため「近年はチワワとプードルのミックス(雑種)をそう呼ぶようになった」といったほうがより正確でしょう。
チワプーの特徴
ここでは、チワプーの外見、性格的な特徴を解説します。
チワプーの外見的特徴
外見的特徴としては、チワワのくりっと大きな目と、プードルのくるっとした巻き毛を受け継ぐケースが多いでしょう。しかし、両親犬からどの特徴を、どの程度受け継ぐのかは生まれてみないとわかりません。
ミックス犬は外見的特徴の個体差が生じやすいとされています。体の大きさは、チワワがひとまわり大きくなったくらいの個体が多く、毛色はブラックやチョコレート、グレー、ベースカラーに黒や茶色が混ざったブリンドルなど、個体によってさまざまです。
チワプーの性格
チワプーは、遊び好きかつ好奇心旺盛で、フレンドリーな性格の子が多いとされています。しかし、性格についても、チワワとプードルのどちらの特徴を強く受け継ぐのかは、生まれてみないとわかりません。
チワワ寄りなら飼い主に忠実で愛情深い性格、プードル寄りなら社交的でおだやかな性格が色濃く受け継がれるでしょう。また、片方の両親犬の性格を、もう片方がカバーするケースも見られます。たとえば、チワワは比較的臆病な傾向がありますが、プードルの持つ社交性さが、その臆病さをカバーしてくれることもあります。
いずれにせよ、人間と同様に、見た目や性格は成長に伴って変化していきます。成犬になるにつれて、子犬の頃とは印象が変わる子もいます。子犬のチワプーを迎える場合は、その変化もまるごと楽しむことを前提にお迎えするようにしましょう。
チワプーと相性のよい人の特徴
飼い主に忠実で頭のよいチワプーは、初心者にも比較的飼いやすい犬種です。また、体が小さいので、スペースが限られているマンションでも比較的飼いやすいでしょう。チワプーは必要な運動量もそれほど多くないので、運動があまり得意ではない人や、散歩の時間を長く取れない人でも無理なく一緒に暮らせます。
ただし、チワプーは留守番が苦手な子も少なくありません。そのため、日中は学校や仕事で留守にする単身者や、家に誰もいない時間が長い家庭にはあまり向かないかもしれません。
チワプーのトリミング、人気のカットスタイル
チワプーのカットの頻度は、月1回が目安です。また毛質にも個体差がありますが、さまざまなカットスタイルを楽しめるのも魅力のひとつです。おすすめのカットスタイルを紹介しますので、おしゃれのヒントとしてお役立てください。
テディベアカット
毛質がプードル寄りの子におすすめのカットスタイルです。クマのぬいぐるみのような愛らしい印象に仕上がります。テディベアカットと言えば、トイ・プードルの王道スタイルと言われています。とくにプードル寄りのチワプーにマッチしやすく、人気があるスタイルです。
サマーカット
夏におすすめのスタイルです。被毛を短く整えることで、さわやかでスッキリとした印象に仕上がります。
ライオンカット
毛質がチワワ寄りの子におすすめのカットスタイルです。首回りの飾り毛を残し、それ以外を短くカットすることで、まるでライオンのたてがみのような印象に仕上がります。
ラムクリップ風カット
口周りを短くバリカンでカットするスタイルです。頭頂まで短くカットすることで、全体がスッキリしつつも、ラブリーな印象に仕上がります。
チワプーを迎える際に注意するポイント
チワプーをお迎えする際は、以下のポイントに注意しましょう。
- 床で足をすべらせないよう工夫する
- ブラッシングはできるだけこまめに
- 散歩や運動は1日1回20分程度が目安
床で足をすべらせないよう工夫する
チワプーは関節が弱いため、病気を防ぐための工夫が欠かせません。チワプーが暮らすエリアには滑り止めつきのマットを敷くと、床で足をすべらせづらくなり、関節を守れます。また、思わぬ怪我を防ぐため、床に余計なものを置かないことも重要です。
ブラッシングはできるだけこまめに
チワプーの被毛は個体差がありますが、比較的プードル寄りになることが多いとされています。その場合、抜け毛は少ないものの毛玉ができやすいため、こまめにブラッシングすることが大切です。
散歩や運動は1日1回20分程度が目安
チワプーの散歩時間は、1日1回20分程度が目安です。小型犬のため必要な運動量はそれほど多くありませんが、個体差があるため、愛犬の様子を見ながら調節することが大切です。体の健康だけでなく、ストレス解消や気分転換も考慮に入れて運動量を調節しましょう。アジリティやフリスビーなども楽しめますが、関節を脱臼しやすいため激しい運動は避けたほうが無難です。
チワプーの食事を選ぶ際のポイント
チワプーの食事を選ぶ際は、以下のポイントに注意しましょう。
- 粒のサイズが小さなものを選ぶ
- 関節ケアや腸内ケアタイプを取り入れてみる
- 粒のサイズが小さなものを選ぶ
チワプーの大きさに合わないサイズのフードを選ぶと、食事中にのどを詰まらせてしまう恐れがあります。また、フードの大きさは、食いつきにも影響するため注意が必要です。なるべく粒が小さいものを選ぶか、小さく切り分けてから与えるようにしましょう。
関節ケアや腸内ケアタイプを取り入れてみる
チワプーが気をつけたい関節の病気や、チワワやプードルに多い「涙やけ」を食事でケアできる場合もあります。ただし、ケア用フードを取り入れる場合は、必ずかかりつけの獣医師に相談しましょう。
チワプーにおすすめの遊び
チワプーに必要な運動量はそれほど多くないものの、活発的な性格の子が多いので、ドッグランや公園など、広い場所で思い切り遊べる機会を定期的につくるのが望ましいでしょう。
また、基本的に「遊ぶこと」自体が好きなので、屋外だけでなく室内遊びも楽しめます。「もってこい」やボール遊びなどの体を使う遊びから、宝探しゲームや知育トイを使った頭を使う遊びまで、バランスよく取り入れるとよいでしょう。
チワプーのトレーニングに関するポイント
チワプーは頭がよく、飲み込みが早い傾向がありますが、トレーニングの際は以下のポイントに注意しましょう。
- 苦手なことは辛抱強く教える
- 留守番に慣れるよう訓練する
- 飼い主以外とふれあう機会をつくる
- メリハリをつける
苦手なことは辛抱強く教える
チワプーには頑固な一面もあり、飼い主の指示になかなか従ってくれないこともあります。苦手なことも辛抱強くトレーニングし、ダメなことはダメとしっかり教えることが大切です。
留守番に慣れるよう訓練する
チワワの臆病さを強く受け継いでいる場合は、ひとりでの留守番が苦手な子もいます。早いうちからひとりでの留守番に慣れておくと、人間と一緒に暮らしやすくなるでしょう。
飼い主以外とふれあう機会をつくる
チワワの臆病さや警戒心の強さを受け継ぐと、散歩中などに人間や犬とすれ違う際、警戒して吠えてしまうことがあります。そのため、子犬の頃から人や犬とふれあい、飼い主以外の人にも慣れる機会をつくれるとよいでしょう。
メリハリをつける
チワプーはその賢さゆえに、飼い主の指示に一貫性がないと、あまり言うことを聞かずわがままに育ってしまうケースがあります。可愛がるときは可愛がる、トレーニングのときはしっかりトレーニングする、とメリハリをつけることが大切です。
チワプーが注意したい病気
チワプーの平均寿命は14~16歳とされています。健康に過ごすためにも、小型犬に多い病気やそれぞれの両親犬がかかりやすい病気に注意したいところです。たとえば、以下のような病気に気をつけましょう。
膝蓋骨脱臼(通称:パテラ)
チワプーのような小型犬は、生まれつき関節が丈夫でない子が多い傾向があります。そのため、膝の骨がずれてしまう「膝蓋骨脱臼(通称:パテラ)」にはまず気をつけたいところです。この病気は、重症化すると歩行困難になってしまうこともあるため、滑り止めマットを敷くなど、足をすべらせないような工夫が必要です。また、膝の骨に負担がかかるのを防ぐため、あまり高いところからはジャンプさせないほうがよいでしょう。
気管虚脱
気管の一部が潰れてしまい、呼吸困難などの症状を引き起こす病気です。小型犬に多いとされており、遺伝やストレスなどが原因と考えられています。愛犬ののどから「ガーガー」という音が聞こえたら、すぐに動物病院に相談しましょう。
流涙症
目に涙が多く溜まってしまう症状のことで、涙やけの原因になります。チワワの大きな瞳を受け継いだ子は、涙やけになりやすいため注意が必要です。
まとめ
チワプーは、チワワとプードルのミックス犬です。チワプーは賢く、飼い主に忠実な個体が多いため、初心者も比較的飼いやすいでしょう。チワワとプードルの特徴をあわせもちますが、どちらの個性が強く出るかは成長してみないとわかりません。今回紹介したポイントを参考に、チワプーとの生活を楽しみましょう。