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ヤマザキ動物看護大学准教授、愛玩動物看護師、ペットグルーミングスペシャリスト。教育気・研究の現場だけでなく、数々のテレビ出演や、執筆活動など幅広く活躍。
勇ましく重厚な姿が特徴のセントラル・アジア・シェパード・ドッグですが、セントラル・アジア・シェパード・ドッグを初めて飼う場合に気になるのが、どんな性格をしていて飼いやすいかどうかではないでしょうか。そこで今回は、ヤマザキ動物看護大学動物看護学科准教授、ドッググルーミングスペシャリストの福山貴昭先生に教えていただいた、セントラル・アジア・シェパード・ドッグの性格や特徴、かかりやすい病気やしつけのポイントなどについて解説していきます。
目次
- セントラル・アジア・シェパード・ドッグの歴史やルーツ、英語名は?
- セントラル・アジア・シェパード・ドッグのオスとメスの体高や体重は?
- セントラル・アジア・シェパード・ドッグの平均寿命は?
- セントラル・アジア・シェパード・ドッグの毛色や種類、被毛、外貌の特徴は?
- セントラル・アジア・シェパード・ドッグはどんな性格、習性?
- セントラル・アジア・シェパード・ドッグを迎える際にかかる費用は?
- セントラル・アジア・シェパード・ドッグのしつけと社会化トレーニングのポイント
- セントラル・アジア・シェパード・ドッグに必要な運動量や散歩の目安、おすすめの遊びは?
- セントラル・アジア・シェパード・ドッグを飼うのに向いている人は?
- セントラル・アジア・シェパード・ドッグがかかりやすい病気と予防法は?
- セントラル・アジア・シェパード・ドッグの日常のお手入れ
- セントラル・アジア・シェパード・ドッグとの生活で注意すべきことは?
セントラル・アジア・シェパード・ドッグの歴史やルーツ、英語名は?
犬種名 | セントラル・アジア・シェパード・ドッグ |
英語名 | Central Asia Shepherd Dog |
原産国 | アジア |
分類 | 超大型犬 |
グループ | 2G:使役犬 |
セントラル・アジア・シェパード・ドッグ【英語:Central Asia Shepherd Dog】は、ロシアが原産の超大型犬です。
ジャパンケネルクラブの犬種分類では、番犬や警護、作業をする「2G:使役犬」に属します。
セントラル・アジア・シェパード・ドッグの起源は四千年以上前ともいわれていて、カザフスタンやウズベキスタン、トルクメニスタン、キルギスタンなどの中央アジア地域で、遊牧民や家畜を守ってきた作業犬だと考えられています。
かつてはサウス・ロシアン・シープドッグ、コーカシアン・シープドッグとともに、ロシアン・シープドッグと呼ばれ、砂漠地帯の厳しい自然環境の中で羊を狼から守りながら、遊牧民とともに移動生活をしていました。
遊牧民の減少とともに頭数を減らしたことがありましたが、モスクワで繁殖が行われて絶滅の危機を逃れ、現在は「アラバイ」の愛称でも呼ばれ、世界中に愛好家がいる犬種です。
セントラル・アジア・シェパード・ドッグのオスとメスの体高や体重は?
体高:オスは65cm以上、メスは60cm以上
体重:オスは約40~72kg、メスは約38~70kg
セントラル・アジア・シェパード・ドッグは超大型犬に分類されます。
セントラル・アジア・シェパード・ドッグの平均寿命は?
セントラル・アジア・シェパード・ドッグの平均寿命に関するデータはありませんが、『アニコム家庭どうぶつ白書2021』によると、大型犬の平均寿命は11.5歳となっています。セントラル・アジア・シェパード・ドッグは超大型犬なので、これより平均寿命が短い可能性があります。
犬を迎える際は、最後の時までしっかり世話ができるかを考えておきましょう。
犬をみとる頃に自分は大体何歳になるか、犬の介護ができるか、自分の生活環境や経済状況などもあわせて考えなければなりません。
犬を迎えようと考えているシニアの方は保護犬などで成犬を迎えるケースも検討するほか、万が一自分が世話できなくなった場合を想定しておくことも重要です。犬の世話を頼めそうな人にあらかじめ相談して承諾を得てから迎えたり、老犬ホームといった預かり先を決めたりして急な環境の変化に備えておきましょう。
セントラル・アジア・シェパード・ドッグの毛色や種類、被毛、外貌の特徴は?
ジャパンケネルクラブの犬種標準によると、セントラル・アジア・シェパード・ドッグの毛色は、ホワイト、ブラック、グレー、ストロー、ジンジャー(ラスティ/錆色)、グレー・ブラウン、ブリンドル、パイボールド及び斑とされています。
被毛は粗くまっすぐで、密生したダブルコートです。
体躯は大きく、骨太です。
首の皮膚にたるみがあり、頭部は幅広く、平たいおでこも特徴です。
尾はゆるやかに巻いた鎌尾(シックルテール)です。
セントラル・アジア・シェパード・ドッグはどんな性格、習性?
セントラル・アジア・シェパード・ドッグは、飼い主と家族には良く慣れ、穏やかな性質といわれています。
一方で、警戒心や独立心も強く、優れた番犬としての性質も持ち合わせます。
ガードドッグとして活躍してきたこともあり、敵とみなした相手には猛烈な攻撃を仕掛けます。
セントラル・アジア・シェパード・ドッグを迎える際にかかる費用は?
犬を飼い始めるとき、飼い続ける際にかかる一般的な費用について説明します。
タイミング | 内訳 | 費用の目安 |
迎えるとき |
ペットショップ、ブリーダー |
※ブリーダーによる |
飼い始めるとき | 畜犬登録料 | 約3,000円 |
生活用品(クレートやケージなど) | 約5~7万円 | |
1年に1回かかる費用 | 狂犬病予防接種費 | 約3,500円 |
混合ワクチン接種費 | 約5,000~10,000円 | |
毎月かかる費用 | 消耗品(フードやおやつなど) | 約5,000~10,000円 |
飼い始める際にかかる費用
セントラル・アジア・シェパード・ドッグは、ペットショップでの販売ではなく、専門のブリーダーや輸入、里親制度が主な入手方法です。ブリーダーから購入する際は時価となり価格は変動することがあります。
また、常に子犬が産まれているとは限らないため、セントラル・アジア・シェパード・ドッグのブリーダーにあらかじめ相談したり、問い合わせたりしておくと良いでしょう。
他にも愛犬を迎えるには友人や知人から譲り受ける、譲渡会に参加する、保護犬を迎え入れるといった方法もあります。また、セントラル・アジア・シェパード・ドッグは自治体によって飼育に規制がある場合もあるため、事前に確認しましょう。
犬を飼い始めるときには飼い始めてから30日以内に(子犬の場合は生後91日を経過してから30日以内に)お住いの自治体に犬の登録(登録料は3,000円程度)を行うほか、混合ワクチン接種費や狂犬病予防接種費も必要になります。
母犬の初乳から得た免疫は徐々に低下していくため、混合ワクチンを子犬期に計3回接種してさまざまな感染症を防ぐ必要があります。
子犬を迎える際の月齢によっては、ペットショップ側でワクチンを3回打っているため、生体代と一緒にワクチン代も支払います。3回すべて打っていない場合は、飼い主が動物病院に連れて行って接種させましょう。
狂犬病予防接種は生後91日を過ぎたすべての犬が年に1回摂取するよう法律で定められており、子犬の場合は混合ワクチンの接種を終えて2週間過ぎたタイミング(およそ生後110日前後)で打たせます。
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飼い続けるために必要な費用
犬を養育するうえでの生涯コストは、ドッグフードやペットシーツ、留守番時のエアコン代、一般医療費、トリミング代、レジャー費など200~300万円といわれています。
体の大きい犬種だとグッズ代やトリミング代などが高額になるなど犬種によって大きく異なるため、目安としてセントラル・アジア・シェパード・ドッグの場合は平均より高額になると考えておきましょう。
なかには僧帽弁閉鎖不全症など手術費が100万円以上になる病気にかかる場合や、アレルギーなどによって継続的な通院や投薬の費用がかかることもあります。犬を迎えるにあたっては、計画的な貯金やペット保険の利用なども検討し、予期せぬ出費にも対応できるかよく検討しておきましょう。
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犬を迎える際に必要な生活用品としては、クレートやケージ、サークルをはじめ、首輪やリード、食器、給水器、ドッグフード、トイレなどが挙げられます。
また犬が遊べるようおもちゃも用意するとよいでしょう。セントラル・アジア・シェパード・ドッグは激しい運動を必要としませんが、自由運動やお部屋の中で遊ぶボールやロープのおもちゃがあるとよいでしょう。
犬の生体代を除く初期費用としては、一般的には5~7万円程度ですが、セントラル・アジア・シェパード・ドッグは体が大きくなるため、クレートやケージ、サークル費用は平均より高くなる傾向にあります。
毎月の消耗品としては、ドッグフードやおやつ、トイレシーツ、歯ブラシやボディシートなどが挙げられます。一般的に毎月の平均額は5,000円~10,000円ほどですが、セントラル・アジア・シェパード・ドッグは体が大きいので食事量は多く、トイレ関連用具も大型タイプを選ぶ必要があるので平均よりかかると見込みましょう。
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2022年6月から、ペットショップやブリーダーで販売される犬や猫にマイクロチップの装着が義務化されました。マイクロチップは思わぬ事故や災害で迷子になってしまった時に、保護された犬を飼い主のもとへ返すための重要な役目を果たします。
装着費用は3,000~5,000円程度で、さらに飼い主の氏名や住所、電話番号などの情報登録料としてかかります。登録はオンライン申請で300円、郵送する場合は1,000円です。
ドアを開けた際に外へ飛び出したり、散歩中大きな音に驚いて逃げてしまったりなど、飼い主の不注意やアクシデントで犬は迷子になってしまう可能性があります。そのため、セントラル・アジア・シェパード・ドッグを迎える際は迷子対策もしっかり講じましょう。
迷子対策としてはマイクロチップの装着のほかに、迷子札などの導入が挙げられます。
迷子札は、飼い主の連絡先を記載したキーホルダーで犬の首輪に装着します。値段は1,000~5,000円程度で、素材やデザインによって異なります。
そのほか、家からの飛び出しを防ぐために玄関にゲートを設置するといった対策をとるのもおすすめです。
セントラル・アジア・シェパード・ドッグのしつけと社会化トレーニングのポイント
セントラル・アジア・シェパード・ドッグは、警戒心と独立心が非常に強く、トレーニングは難しいといわれています。そのため家庭犬としての飼育は難易度が高く、初心者にはハードルの高い犬種といえそうです。
身体が大きく攻撃力も強いため、飼い主がコントロールできるように子犬の頃から徹底的に訓練する必要があります。
効率的なトレーニング手法を学ぶために、ドッグトレーナーなどプロに協力をしてもらってもよいでしょう。
トレーニングは子犬の頃から一貫して学習理論に則った訓練を行うことが大切です。また、子犬の頃からたくさんの人に会わせ、多くの経験をさせることで、見知らぬことに対して過剰な警戒心を持たないよう社会性を育てていきましょう。
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セントラル・アジア・シェパード・ドッグに必要な運動量や散歩の目安、おすすめの遊びは?
✓運動量:普通
✓おすすめの遊び:ドッグランなどでの自由運動
身体が大きいため、腰や関節に負荷がかからないように激しい運動よりは散歩をしてあげる方が向いています。
散歩以外ではドッグランなどで自由に運動できる時間を設けるとよいでしょう。しかし、セントラル・アジア・シェパード・ドッグは超大型犬のため、ドッグランを利用する際は、周囲への配慮を意識しましょう。
セントラル・アジア・シェパード・ドッグを飼うのに向いている人は?
✓超大型犬の知識と経験がありトレーニングをできる人
セントラル・アジア・シェパード・ドッグは体が大きい犬種なので、ちょっとしたことが事故につながることがあります。しっかりと犬の興奮をコントロールできるように訓練できなくてはいけません。さらに、トレーニングが高難易度の犬種といわれているため、初心者にはおすすめできない犬種です。
✓力持ちで体力のある人
体重が40kg以上になる大きな体と力を制御できるくらい力持ちで、一緒に運動できる体力のある人が向いているでしょう。
セントラル・アジア・シェパード・ドッグがかかりやすい病気と予防法は?
セントラル・アジア・シェパード・ドッグがかかりやすい代表的な病気と対策方法を知っておきましょう。
✓胃捻転
体の大きな犬にリスクの多い病気です。胃がねじれてしまい、短時間で急激に全身状態が悪化する危険な病気です。緊急手術が必要になるケースもあります。原因となる早食い、ドカ食いをさせないようにしたり、食後の運動を控えたりするなどの予防策を意識しましょう。
✓股関節形成不全
体の大きな犬にリスクの多い病気です。成長過程で、股関節に異常が出て痛みや歩行障害が起こります。急激な肥満などが誘発することがあるので、体重管理を心がけましょう。
セントラル・アジア・シェパード・ドッグの日常のお手入れ
✓ブラッシング:週1、2回程度
✓シャンプー:1カ月に1回程度
✓トリミング:不要
ブラッシングは週1、2回程度で良いですが、春と秋の換毛期は抜け毛が増えるためこまめなブラッシングが必要です。
ブラッシング以外にもスキンシップの時間も兼ねて、表面からは分かりづらい皮膚の状態をチェックしたり、日々触れ合う時間を作ったりすることで、愛犬との信頼関係も高まります。
歯みがきは毎日~2日に1回、耳掃除や爪切りは2週~1カ月に1回の頻度で行います。
また足裏の肉球間の毛が伸びると、フローリング床などで滑りやすくなるためカットしてください。
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セントラル・アジア・シェパード・ドッグとの生活で注意すべきことは?
✓飼育が難しい犬種
攻撃的な性質があり、体が大きく力も非常に強く、飼い主でも制御がきかないことがあるため、日頃からしっかりとしたトレーニングを行う必要があります。
✓飼育スペースは十分な広さを確保!飼育費用も準備して
セントラル・アジア・シェパード・ドッグを含む超大型犬は、トイレも寝る場所も大きな体の分広さが必要になります。犬がゆっくりとくつろげる大きさのケージが必要です。さらに、食費やペットシーツ代などの消耗品や、医療費、ペットホテル費なども、小型犬、中型犬より高額になります。住居スペースや金銭的な負荷を考慮したうえで迎え入れるようにしましょう。
✓夏の高温多湿に注意
セントラル・アジア・シェパード・ドッグは、砂漠地帯で生活をしてきた犬種のため、厳しい暑さや寒さ、乾燥には非常に強い犬種です。ただし、砂漠地帯と違い日本は高温多湿であり苦手な環境です。湿気によって皮膚が蒸れる皮膚疾患や外耳炎、熱中症などに注意しましょう。
✓マメな皮膚のチェックをしよう!
豊富な被毛を持つ犬種に多い病気です。セントラル・アジア・シェパード・ドッグは超大型犬で体が大きいため、換毛期の抜け毛の量も多くなります。ブラッシングやシャンプーなどのお手入れで皮膚を清潔に保って予防しましょう。