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ヤマザキ動物看護大学准教授、愛玩動物看護師、ペットグルーミングスペシャリスト。教育気・研究の現場だけでなく、数々のテレビ出演や、執筆活動など幅広く活躍。
愛嬌のある顔立ちと人懐こい性格が魅力のブリュッセル・グリフォンですが、ブリュッセル・グリフォンを初めて飼う場合に気になるのが、どんな性格をしていて飼いやすいかどうかではないでしょうか。そこで今回は、ヤマザキ動物看護大学動物看護学科准教授、ドッググルーミングスペシャリストの福山貴昭先生に教えていただいた、ブリュッセル・グリフォンの性格や特徴、かかりやすい病気やしつけのポイントなどについて解説していきます。
目次
- ブリュッセル・グリフォンの歴史やルーツ、英語名は?
- ブリュッセル・グリフォンの体高や体重は?
- ブリュッセル・グリフォンの平均寿命は?
- ブリュッセル・グリフォンの毛色の種類、被毛、外貌の特徴は?
- ブリュッセル・グリフォンはどんな性格、習性?
- ブリュッセル・グリフォンを迎える際にかかる費用は?
- ブリュッセル・グリフォンのしつけと社会化トレーニングのポイント
- ブリュッセル・グリフォンに必要な運動量や散歩の目安、おすすめの遊びは?
- ブリュッセル・グリフォンを飼うのに向いている人は?
- ブリュッセル・グリフォンがかかりやすい病気と予防法は?
- ブリュッセル・グリフォンの日常のお手入れ方法
- ブリュッセル・グリフォンとの生活で注意すべきことは?
ブリュッセル・グリフォンの歴史やルーツ、英語名は?
犬種名 | ブリュッセル・グリフォン |
英語名 | Brussels Griffon |
原産国 | ベルギー |
分類 | 小型犬 |
グループ | 9G:愛玩犬 |
ブリュッセル・グリフォンは、かつてベルギーのブリュッセルの周辺で害獣駆除を目的に飼われていた土着犬種です。マリー・アンリエット王妃が愛好したことで一躍有名になりました。
19世紀からはヨークシャー・テリアやパグ、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルなどとの交配による改良が進められます。これにより小型化すると同時に、毛色など特徴の異なるさまざまな系統が生まれました。
映画「スターウォーズ」のキャラクター「チューバッカ」のモデルになった犬ともいわれています。
ブリュッセル・グリフォンの体高や体重は?
体高:約22cm
体重:約3.5kg~6kg
体高と体長がほぼ等しく、スクエア型の体つきで、やや頭部が大きめです。短いマズルや折れた耳なども特徴的です。断耳や断尾をしていた時期もありますが、近年はあまり行われません。
ブリュッセル・グリフォンの平均寿命は?
ブリュッセル・グリフォンの平均寿命は10~15歳です。『アニコム家庭どうぶつ白書2021』によると、小型犬の平均寿命は14.4歳のため、平均とほぼ変わらないといえるでしょう。
犬を迎える際は、最期のときまでしっかり世話ができるかを考えておきましょう。
犬をみとる頃に自分は大体何歳になるか、犬の介護ができるか、自分の生活環境や経済状況などもあわせて考えなければなりません。
犬を迎えようと考えているシニアの方は保護犬などで成犬を迎えるケースも検討するほか、万が一自分が世話できなくなった場合を想定しておくことも重要です。犬の世話を頼めそうな人にあらかじめ相談して承諾を得てから迎えたり、老犬ホームといった預かり先を決めたりして急な環境の変化に備えておきましょう。
ブリュッセル・グリフォンの毛色の種類、被毛、外貌の特徴は?
ブリュッセル・グリフォンの毛色はレッド、もしくは赤みがかった茶色ですが、頭部の飾り毛に黒い毛や、胸元に白い毛が混じることもあります。全体的に黒色のベルジアン・グリフォンとは対照的です。
被毛の長さは中長毛です。硬くハリのある毛は、針金を意味するワイヤーコートと呼ばれます。
ブリュッセル・グリフォンはどんな性格、習性?
ブリュッセル・グリフォンは忠誠心に富んでおり、従順で愛情深い犬です。活発で社交性もあり、他の犬やペットとも上手にコミュニケーションが取れるでしょう。しかし、警戒心が強い面もあり、見知らぬ人などにほえる場合もあるため、一定のトレーニングが必要です。また、特有の頑固さがあり、トレーニングの際には難しさがあるかもしれません。
ブリュッセル・グリフォンを迎える際にかかる費用は?
ブリュッセル・グリフォンを飼い始めるとき、飼い続ける際にかかる費用について説明します。
タイミング | 内訳 | 費用の目安 |
迎えるとき |
ペットショップ、ブリーダー |
約30万円~ |
飼い始めるとき | 畜犬登録料 | 約3,000円 |
生活用品(クレートやケージなど) | 約5~7万円 | |
1年に1回かかる費用 | 狂犬病予防接種費 | 約3,500円 |
混合ワクチン接種費 | 約5,000~10,000円 | |
毎月かかる費用 | 消耗品(フードやおやつなど) | 約5,000~10,000円 |
飼い始める際にかかる費用
ブリュッセル・グリフォンをペットショップから迎える際の価格の目安は、約20~30万円です。月齢や血統などにより、値段が上がることもあります。他にも愛犬を迎えるには友人や知人から譲り受ける、譲渡会に参加する、保護犬を迎え入れるといった方法もあります。
犬を飼い始めるときには飼い始めてから30日以内に(子犬の場合は生後91日を経過してから30日以内に)お住いの自治体に犬の登録(登録料は3,000円程度)を行うほか、混合ワクチン接種費や狂犬病予防接種費も必要になります。母犬の初乳から得た免疫は徐々に低下していくため、混合ワクチンを子犬期に計3回接種してさまざまな感染症を防ぐ必要があります。子犬を迎える際の月齢によっては、ペットショップ側でワクチンを3回打っているため、生体代と一緒にワクチン代も支払います。3回全て打っていない場合は、飼い主が動物病院に連れて行って接種させましょう。
狂犬病予防接種は生後91日を過ぎた全ての犬が年に1回接種するよう法律で定められており、子犬の場合は混合ワクチンの接種を終えて2週間過ぎたタイミング(およそ生後110日前後)で打たせます。
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飼い続けるために必要な費用
犬を養育する上での生涯コストは、ドッグフードやペットシーツ、留守番時のエアコン代、一般医療費、トリミング代、レジャー費など200~300万円といわれています。
なかには僧帽弁閉鎖不全症など手術費が100万円以上になる病気にかかる場合や、アレルギーなどによって継続的な通院や投薬の費用がかかることもあります。犬を迎えるにあたっては、計画的な貯金やペット保険の利用なども検討し、予期せぬ出費にも対応できるかよく検討しておきましょう。
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ブリュッセル・グリフォンを迎える際に必要な生活用品としては、クレートやケージ、サークルをはじめ、首輪やリード、食器、給水器、ドッグフード、トイレなどが挙げられます。
また犬が遊べるようおもちゃも用意すると良いでしょう。ブリュッセル・グリフォンはそれほど多くの運動量を必要としませんが、定期的な運動でストレスを解消してあげましょう。
犬の生体代を除く初期費用としては、5~7万円程度を見込みましょう。
毎月の消耗品としては、ドッグフードやおやつ、トイレシーツ、歯ブラシやボディシートなどが挙げられます。一般的に毎月の平均額は5,000円~10,000円ほどです。
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2022年6月から、ペットショップやブリーダーで販売される犬や猫にマイクロチップの装着が義務化されました。マイクロチップは思わぬ事故や災害で迷子になってしまったときに、保護された犬を飼い主の元へ返すための重要な役目を果たします。装着費用は3,000~5,000円程度で、さらに飼い主の氏名や住所、電話番号などの情報登録料としてかかります。登録はオンライン申請で300円、郵送する場合は1,000円です。
ドアを開けた際に外へ飛び出したり、散歩中大きな音に驚いて逃げてしまったりなど、飼い主の不注意やアクシデントで犬は迷子になってしまう可能性があります。そのため、ブリュッセル・グリフォンを迎える際は迷子対策もしっかり講じましょう。迷子対策としてはマイクロチップの装着のほかに、迷子札などの導入が挙げられます。
迷子札は、飼い主の連絡先を記載したキーホルダーで犬の首輪に装着します。値段は1,000~5,000円程度で、素材やデザインによって異なります。
そのほか、家からの飛び出しを防ぐために玄関にゲートを設置するといった対策を取るのもおすすめです。
ブリュッセル・グリフォンのしつけと社会化トレーニングのポイント
ブリュッセル・グリフォンは比較的活発な犬種です。飼い主と一緒に散歩したり遊んだりすることがうれしくて、羽目を外すこともあるでしょう。また、構ってほしくていたずらをすることもあるため、根気強いトレーニングも必要です。
一方、見知らぬ人への警戒心は強く、ほえることもあります。子犬のうちから社会性を身に付けさせることも大切です。
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ブリュッセル・グリフォンに必要な運動量や散歩の目安、おすすめの遊びは?
✓散歩:30分程度を1日2回
✓運動量:ふつう
✓おすすめの遊び:ドッグラン
小型犬のため、1日2回、20~30分程度の軽い散歩で十分です。しかし、本来は活発で体力のある犬種なので、時々、公園やドッグランのような広い場所で遊ばせてあげるとなお良いでしょう。
ブリュッセル・グリフォンを飼うのに向いている人は?
✓犬を飼うのが初めての人
ブリュッセル・グリフォンは比較的病気の心配が少なく、ビギナーに向いている犬種といえます。また運動量もそれほど多くないため、長時間の散歩ができない人でも大丈夫です。
✓しつけをきちんとできる人
必要以上に警戒し攻撃的にならないよう、小さいうちから社会化トレーニングや、基本的なコマンドをマスターする必要があります。落ち着いて毅然とした態度を取れる人が向いているでしょう。
ブリュッセル・グリフォンがかかりやすい病気と予防法は?
ブリュッセル・グリフォンがかかりやすい代表的な病気と対策方法を知っておきましょう。
✓逆さまつげ
まつげがまぶたの内側に向かって生え、眼球を刺激する症状です。犬が自分で目をこすったり、まつげが角膜に触れたりすることで、角膜炎や結膜炎を引き起こすことも。逆さまつげを抜き取るとともに、角膜炎や結膜炎の有無を確認し、炎症があれば治療を行います。
✓軟口蓋過長症
短頭種によく見られる呼吸器の疾患です。気道にある軟口蓋が長過ぎて、呼吸がしづらくなります。呼吸が苦しそうだったり、いびきをかいていたりするようであれば、病院で見てもらいましょう。他の呼吸器疾患や心臓疾患を誘発する可能性が高いため、早期に治療することをおすすめします。投薬ではあまり改善しないため、軟口蓋を短くする外科手術を行います。
✓膝蓋骨脱臼
膝蓋骨が脱臼してしまうブリュッセル・グリフォンなどの小型犬に多い疾患です。先天的に膝関節に異常がある場合や、外傷などで起こります。症状は4段階に分けられ、重症の場合外科手術による治療が行われます。
ブリュッセル・グリフォンの日常のお手入れ方法
✓ブラッシング:1週間に2~3回
✓シャンプー:1カ月に1~2回程度
✓トリミング:月1回
ブリュッセル・グリフォンは抜け毛は少ないのですが、毛が細く絡まりやすいため、週に2~3回程度のブラッシングをしましょう。目の細かいスリッカーブラシでほぐしたあと、仕上げにコームを使うのがおすすめです。
また、日常的なブラッシングと合わせて、ブラッキングという特殊なトリミングが必要です。プラッキングは毛を抜く作業で、専門的な技術が必要なのでトリマーに依頼しましょう。
ブラッシング以外にもスキンシップの時間も兼ねて、表面からは分かりづらい皮膚の状態をチェックしたり、日々触れ合う時間を作ったりすることで、愛犬との信頼関係も高まります。
シャンプーは、月に1~2回程度が目安です。口の周りなど、汚れた部分を蒸しタオルで拭いてあげるのもよいでしょう。
歯磨きは毎日~2日に1回、耳掃除や肛門腺絞り、爪切りは2週~1カ月に1回の頻度で行います。
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ブリュッセル・グリフォンとの生活で注意すべきことは?
ブリュッセル・グリフォンと生活する上で注意すべきポイントを紹介します。
✓湿気の多い季節は、耳のお手入れをいつもより念入りに!
垂れ耳の犬種は、梅雨時期から夏にかけて耳や皮膚のトラブルが増えます。耳の色やにおい、耳垢の様子をこまめにチェックしましょう。ただし、過度な耳掃除は耳を傷つける恐れがあります。かかりつけの動物病院でケアしてもらうと安心です。
✓暑さに注意!
ブリュッセル・グリフォンを含む短頭種は体温調整が苦手なため、夏の暑さで熱中症のリスクが高くなります。暑い日に呼吸が速くなり舌を出してよだれを垂らしたりしていたら、すぐに体温が下がるような環境に移動しましょう。また、小型犬のため冬は北風に当たると体温が奪われます。エアコンなどで温度調整できる室内で飼いましょう。
✓定期的にブラッシングをしよう!
ブリュッセル・グリフォンのような被毛の犬は、むだ毛が絡まったり毛玉になったりしやすいため、定期的なブラッシングやトリミングは必要です。