ウェルシュ・テリアの性格や特徴は？飼い方のコツや寿命などについて解説【獣医師監修】

犬種名	ウェルシュ・テリア
英語名	Welsh Terrier
原産国	イギリス
分類	小型犬
グループ	3G：テリア

ウェルシュ・テリアはその名の通り、イギリスのウェールズ州原産の犬種といわれています。英語名はWelsh Terrierです。

もともとはキツネやウサギ、アナグマ、カワウソなどを狩るための狩猟犬として活躍し、農家や漁師から重宝されていたようです。ローマがイギリスに侵略する前に、ケルト族がウェルシュ・マウンテンや湖水地方に撤退した時代には、共通の血統だったとする説もあるほど歴史のある犬種です。

体高：約39cm以下
体重：約9～10kg

ウェルシュ・テリアは小型犬に分類されます。

ウェルシュ・テリアの平均寿命は14歳前後とされています。『アニコム家庭どうぶつ白書2021』によると、小型犬の平均寿命は14.4歳のため、平均的といえるでしょう。

犬を迎える際は、最期のときまでしっかり世話ができるかを考えておきましょう。
犬をみとる頃に自分は大体何歳になるか、犬の介護ができるか、自分の生活環境や経済状況などもあわせて考えなければなりません。

犬を迎えようと考えているシニアの方は保護犬などで成犬を迎えるケースも検討するほか、万が一自分が世話できなくなった場合を想定しておくことも重要です。犬の世話を頼めそうな人にあらかじめ相談して承諾を得てから迎えたり、老犬ホームといった預かり先を決めたりして急な環境の変化に備えておきましょう。

ウェルシュ・テリアの毛色は、ブラック＆タン（黄褐色）か、ブラック＆グリズル（黒色の毛色にグレーやレッドの色味が混じった混合色）のいずれかです。

被毛はタンを基調に、背中にブラックかグリズルの斑があります。生まれたときはブラックが多く、成長するにつれてしだいにタンが多くなります。針金のような硬い毛質もウェルシュ・テリアの大きな特徴です。

ウェルシュ・テリアはスクエア型の体形をしています。体は小さいながらも、骨量と筋肉量が豊かな犬種です。

ウェルシュ・テリアは陽気で人懐っこく、人を喜ばせることが大好きな賢い犬です。狩猟犬らしく活発で、勇猛果敢のウェルシュ・テリアは怖いもの知らずの面もありますが、飼い主には従順です。気が強く、犬同士のケンカでは後に引かない個体もいるものの、本来は決して攻撃的な性格ではありません。子犬の頃からきちんとトレーニングされていれば、無駄吠えや噛みつきなどはほぼありません。

ただし、興奮したときや警戒心を抱くと吠えやすい傾向があります。また、必要な運動量が満たされないと、ストレスから無駄吠えすることもあります。子どもやほかの犬に吠えることのないよう、子犬の頃からトレーニングする必要があります。

ウェルシュ・テリアを飼い始めるとき、飼い続ける際にかかる費用について説明します。

タイミング	内訳	費用の目安
迎えるとき	ペットショップ、ブリーダー	約35万円前後
飼い始めるとき	畜犬登録料	約3,000円
	生活用品（クレートやケージなど）	約5～7万円
1年に1回かかる費用	狂犬病予防接種費	約3,500円
	混合ワクチン接種費	約5,000～10,000円
毎月かかる費用	消耗品（フードやおやつなど）	約5,000～10,000円

飼い始める際にかかる費用

ウェルシュ・テリアをペットショップから迎える際の価格の目安は、約35万円前後です。月齢や血統などにより、値段が上がることもあります。他にも愛犬を迎えるには友人や知人から譲り受ける、譲渡会に参加する、保護犬を迎え入れるといった方法もあります。

犬を飼い始めるときには飼い始めてから30日以内に（子犬の場合は生後91日を経過してから30日以内に）お住いの自治体に犬の登録（登録料は3,000円程度）を行うほか、混合ワクチン接種費や狂犬病予防接種費も必要になります。母犬の初乳から得た免疫は徐々に低下していくため、混合ワクチンを子犬期に計3回接種してさまざまな感染症を防ぐ必要があります。子犬を迎える際の月齢によっては、ペットショップ側でワクチンを3回打っているため、生体代と一緒にワクチン代も支払います。3回全て打っていない場合は、飼い主が動物病院に連れて行って接種させましょう。

狂犬病予防接種は生後91日を過ぎた全ての犬が年に1回接種するよう法律で定められており、子犬の場合は混合ワクチンの接種を終えて2週間過ぎたタイミング（およそ生後110日前後）で打たせます。

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飼い続けるために必要な費用

犬を養育する上での生涯コストは、ドッグフードやペットシーツ、留守番時のエアコン代、一般医療費、トリミング代、レジャー費など200～300万円といわれています。

なかには僧帽弁閉鎖不全症など手術費が100万円以上になる病気にかかる場合や、アレルギーなどによって継続的な通院や投薬の費用がかかることもあります。犬を迎えるにあたっては、計画的な貯金やペット保険の利用なども検討し、予期せぬ出費にも対応できるかよく検討しておきましょう。

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ウェルシュ・テリアを迎える際に必要な生活用品としては、クレートやケージ、サークルをはじめ、首輪やリード、食器、給水器、ドッグフード、トイレなどが挙げられます。

また犬が遊べるようおもちゃも用意するとよいでしょう。もともと狩猟犬であるウェルシュ・テリアは必要とする運動量が多いため、ジョギングできるコースや、ドッグラン、プールなどの安全な水場が近くにあると理想的です。

犬の生体代を除く初期費用としては、5～7万円程度を見込みましょう。

毎月の消耗品としては、ドッグフードやおやつ、トイレシーツ、歯ブラシやボディシートなどが挙げられます。一般的に毎月の平均額は5,000円～10,000円ほどです。ウェルシュ・テリアはダブルコートのため、ブラッシングや自宅でのシャンプーといったケア用品を揃えておくのが安心です。

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2022年6月から、ペットショップやブリーダーで販売される犬や猫にマイクロチップの装着が義務化されました。マイクロチップは思わぬ事故や災害で迷子になってしまったときに、保護された犬を飼い主のもとへ返すための重要な役目を果たします。装着費用は3,000～5,000円程度で、さらに飼い主の氏名や住所、電話番号などの情報登録料としてかかります。登録はオンライン申請で300円、郵送する場合は1,000円です。

ドアを開けた際に外へ飛び出したり、散歩中大きな音に驚いて逃げてしまったりなど、飼い主の不注意やアクシデントで犬は迷子になってしまう可能性があります。そのため、ウェルシュ・テリアを迎える際は迷子対策もしっかり講じましょう。迷子対策としてはマイクロチップの装着のほかに、迷子札などの導入が挙げられます。

迷子札は、飼い主の連絡先を記載したキーホルダーで犬の首輪に装着します。値段は1,000～5,000円程度で、素材やデザインによって異なります。
そのほか、家からの飛び出しを防ぐために玄関にゲートを設置するといった対策をとるのもおすすめです。

猟犬らしく負けん気が強く頑固な面もあるため、トレーニングは毅然とした態度で、根気よく教える必要があります。警戒心が強く、怒って反抗的になることもあるため、興奮によるトラブルは特に気をつけたいところです。ほかの犬とのトラブルを避けるためにも、子犬の頃からあいさつをさせるなど、社会性を身に付けるトレーニングを早い段階から始めましょう。

家族には従順で愛情深いウェルシュ・テリアですが、気位が高く、頑固な面があります。トレーニングは叱るよりも褒めて伸ばしましょう。警戒心が強く、見知らぬ人やほかの犬に吠えやすい犬種のため、無駄吠えにつながらないようにトレーニングする必要があります。コツは興奮させないことと、落ち着いて静かになったら褒めることです。

ウェルシュ・テリアは小型犬ながら強靭な顎を持っているため、子犬の頃から甘噛みを放置せず、噛み癖がつかないように注意しましょう。

飼い主には従順で、一緒に遊びことが大好きなウェルシュ・テリアは、一人になるのが苦手です。突然の留守番などでパニックを起こして、部屋中を荒らしたり粗相をしたりすることもありますから、少しずつ留守番に慣れさせましょう。また、飼い主への愛情が深いゆえに、子どもには強い態度をとることがあります。個体差や相性もありますが、家族全員でトレーニングをすることも大切です。

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✓散歩：30分以上を1日2回
✓運動量：多い
✓おすすめの遊び：ドッグラン、ボール遊び

ウェルシュ・テリアは、小型犬のわりに運動量はかなり多めです。1日2回、1回30分以上の散歩が必要です。近くにドッグランがあれば、休日に連れて行って思いっきり走らせてあげましょう。

知能が高く、好奇心も旺盛なので、ボールで一緒に遊んであげたり、ゲーム性のある頭を使う遊びを取り入れてあげたりするのもおすすめです。週末はキャンプやハイキングなどに一緒に連れて行ってあげれば、喜んでくれるでしょう。雨の日など運動量が足りない日は、犬用おもちゃなどを用いた部屋遊びで一緒に遊ぶなど、たっぷり運動させてあげましょう。

飼い主以外には警戒することが多いため、散歩の際は必ずリードを使い、ほかの人や動物に寄っていったり、飛びついたりしないように注意を払う必要があります。小型犬ながら、ウェルシュ・テリアは筋肉質で力が強いので、リードは必ず大人が持ちましょう。

✓十分な運動をさせてあげられる環境
ウェルシュ・テリアは小型犬ですが、猟犬として活躍していただけあってエネルギッシュな体力の持ち主です。散歩ではただ歩くだけでなく、ジョギングや早歩きなどに付き合える、体力に自信がある人に向いているでしょう。

✓しつけをきちんとできる人
ウェルシュ・テリアは警戒心が強く、怒ると頑固になって反抗的になることがあります。必要以上に警戒し攻撃的にならないよう、小さいうちから社会化トレーニングや、基本的なコマンドをマスターする必要があります。落ち着いて毅然とした態度を取れる人が向いているでしょう。

ウェルシュ・テリアがかかりやすい代表的な病気と対策方法を知っておきましょう。

✓外耳炎
湿気が耳道にこもりやすい垂れ耳の犬種に多い病気です。原因はアレルギーや細菌性の炎症など。強いかゆみを引き起こし、頭を激しく振ったり、耳を足で激しく掻きむしったりしますが、点耳薬などで治療できます。定期的な耳掃除で予防しましょう。

✓アトピー性皮膚炎
花粉やほこり、ダニなどのアレルゲンで皮膚に炎症を起こす皮膚の病気です。特に口ひげは雑菌が溜まりやすいので、食事の後はこまめにふき取るようにしましょう。定期的なブラッシングと皮膚を清潔に保つことである程度予防できます。

そのほか、以下のような病気に気をつけましょう。

• 膝蓋骨脱臼…膝のお皿（膝蓋骨）がずれて脱臼してしまう関節の病気
• 眼瞼内反症（逆さまつ毛）…瞼が内側にめくれ角膜に刺激を与えて炎症が起きる
• 白内障…目の水晶体の一部や全体が白く混濁し、視力低下を引き起こす病気

✓ブラッシング：１週間に1、２回
✓シャンプー：１カ月に１回程度
✓トリミング：１カ月～1.5カ月に１回程度

ウェルシュ・テリアは硬いゴワゴワした巻き毛の被毛で覆われています。抜け毛は基本的に少ない一方、体臭はやや強めです。日々のブラッシングのほか、定期的なシャンプーで体臭予防をしましょう。

また、ウェルシュ・テリアのケアでは、ブラッキングと呼ばれるトリミングが必要になります。定期的にプロのケアを受けましょう。ブラッキングとはハサミやバリカンを使わずに被毛を抜くことです。ブラッキングをすることで本来の毛質が維持でき、皮膚のトラブルも起こりにくくなります。

ブラッシング以外にもスキンシップの時間も兼ねて、表面からは分かりづらい皮膚の状態をチェックしたり、日々触れ合う時間を作ったりすることで、愛犬との信頼関係も高まります。

歯みがきは毎日～2日に1回、耳掃除や肛門腺絞り、爪切りは２週～１カ月に１回の頻度で行います。
また足裏の肉球間の毛が伸びると、フローリング床で滑りやすくなるためカットしてください。

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ウェルシュ・テリアと生活する上で注意すべきポイントを紹介します。

✓皮膚炎
豊富な被毛を持つ犬種に多い病気です。ブラッシングやシャンプーなどのお手入れで皮膚を清潔に保って予防しましょう。

✓湿気の多い季節は、耳のお手入れをいつもより念入りに！
ウェルシュ・テリアのような垂れ耳の犬種は、梅雨時期から夏にかけて耳や皮膚のトラブルが増えます。耳の色やにおい、耳垢の様子をこまめにチェックしましょう。ただし、過度な耳掃除は耳を傷つける恐れがあります。かかりつけの動物病院でケアしてもらうと安心です。

✓暑さに注意！
ウェルシュ・テリアは夏の暑さに弱い犬種です。暑い日に呼吸が速くなり舌を出してよだれを垂らしたりしていたら、すぐに体温が下がるような環境に移動しましょう。また、エアコンなどで温度調整できる室内で飼いましょう。

✓定期的にブラッシングをしよう！
ウェルシュ・テリアのようなダブルコートの犬は毛が密生しているため、むだ毛が絡まったり、毛玉になったりすることを防ぐためにも定期的なブラッシングを心がけましょう。その他、月に１度の頻度でシャンプーすることもおすすめです。肌のバリア機能が低下する原因にもなるため、洗いすぎは禁物です。